園まり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox Musician 園まり(その まり、1944年4月12日- )は、歌手女優神奈川県横浜市出身。本名は、薗部毬子(そのべ まりこ)。

略歴

1954年10才で安西愛子に師事しコーラスグループ”杉の子子ども会”を経て、キング児童合唱団へ入団。1956年、本名の薗部毬子名義で、キングレコードから「つゆの玉ころり」で童謡歌手としてデビュー。同時に岸恵子、有馬稲子と共にミシンの広告モデルとしても活動。

元々はクラシックの歌手を目指していたが、1960年11月NET「あなたをスターに」で優勝。1961年4月渡辺プロダクションに入社。1962年5月「鍛冶屋のルンバ」でレコードデビュー。7月フジテレビレッツゴー三人娘」で中尾ミエ伊東ゆかりと『スパーク3人娘』を結成。シャボン玉ホリデー日本テレビ)などに出演。

洋楽の日本語カバー「マッシュ・ポテト・タイム」「太陽はひとりぼっち」「女王蜂」「花はどこへ行った」などをスマッシュヒットさせるが、本格的な大ヒットは、東京オリンピックが開催された1964年発売「何も云わないで」。その後に「逢いたくて逢いたくて」「夢は夜ひらく」「何んでもないわ」「愛は惜しみなく」 とたて続けに大ヒットを飛ばし、甘く囁くように歌う独特の歌唱法で一世を風靡し(園まり節と呼ばれる)、園まりの世界を確立。特に「夢は夜ひらく」は数名の歌手の競作になったが園まり版がダントツのヒットでムード歌謡の定番となり、後に藤圭子バージョンも大ヒットした。これら3作は同名タイトルで日活で映画化され、いずれもヒットした。NHK紅白歌合戦には1963年から1968年まで6回連続出場。(1963年の「キューティ・パイ・メドレー」と1964年の「夢見る想い」は、中尾・伊東と三人娘で歌唱)

1966年~1967年マルベル堂ブロマイド売り上げ女性歌手第1位。

その後、ディナーショーや女優としてのドラマ出演などで活躍。1990年代に一時、芸能界を退いていたが、近年になり芸能活動を再開。2006年に25年ぶりのシングル「2人はパートナー」(原曲:ペ・ヨンジュン主演・韓国ドラマ「初恋」挿入歌)を発売。 「逢いたくて逢いたくて」は2007年、映画『歌謡曲だよ、人生は』の第9話(主演:妻夫木聡)の歌に起用された。

2009年3月4日放送、テレビ朝日徹子の部屋で、初期の乳がんだったことを告白。2007年に発見したが、翌2008年1月に手術し無事克服。早期発見の大切さを訴えた。 2010年4月「アクティブシニア2010」園まりふれあいコンサートin名古屋ドーム、6月「大人の文化祭2010」園まりふれあいコンサート in 長野エムウェーヴなどのシニア向けコンサートに出演。 2011年(2011年6月・7月NHK「ユアソング」)「もう一度逢いたくて」発売。 現在はコンサート、人生体験を交えた「語りでつづるライブ」、3人娘コンサートなどさまざまな音楽活動の傍らで、老人ホームなどでのボランティア活動にも積極的に取り組んでいる。

特記事項

  • 東京の小学校時代、放送部に所属、評判の名アナウンサーだった。
  • 全盛期、日劇で開催された『園まりショー』では、ザ・ドリフターズ布施明が前座をつとめていた。
  • 遠藤周作が、著書「足のむくまま気のむくまま」(文春文庫 1986年)で、園まりファンを公表。
  • 2003年文藝春秋で発表された小説「忌中」(車谷長吉・著)の中に、復活直後の様子が取り上げられている(のちに文庫化)。
  • 2006年に放送されたテレビ朝日「草野☆キッド」で、「草野仁が好きな女性芸能人」第1位に選ばれた。また同年、草野が日本テレビ「ラジかる!!」にゲスト出演した際、大学時代、園まり後援会に入会していたことを明かした。その後、2011年7月26日放送の「NHK歌謡コンサート」の“時代の歌こころの歌”コーナーでは、草野が好きな「何も云わないで」をリクエスト。園まりと初対面を果たした。
  • 2011年7月9日に放送された文化放送「ドコモ団塊倶楽部」にゲスト出演。パーソナリティで漫画家の弘兼憲史が「園まりは神」と発言(大学時代からのファン)。
  • ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」を日本語詩でカバー。レコーディングはされていないが、ステージソングでは欠かせない1曲に。訳詩は大塚彩子に依頼。2011年11月16日に発売された、ベン・E・キングのアルバム「Dear Japan,」に収録された日本語版「スタンド・バイ・ミー」には、園まりヴァージョンの訳詩が採用されている。

音楽

シングル

  • 鍛冶屋のルンバ/ベルリンの街角で(1962年5月)
  • 恋する悲しさ/私のハートに賭けないで(1962年8月)
  • マッシュポテトタイム/愛の白夜(1962年8月)
  • 太陽はひとりぼっち/家へ帰ろう(1962年9月)
  • グッド・バイ・ジョー/約束してね(1963年2月)
  • 燃える太陽/可愛いばらの少女(1963年4月)
  • 赤い風車/月夜の渚(1963年8月)
  • 女王蜂/禁じられた恋の島(1963年8月)(1963年・第14回NHK紅白歌合戦歌唱曲:三人娘による「キューティ・パイ・メドレー」の1曲として披露)
  • プリンセスではないけれど/涙のバースデイ・パーティ(1963年10月)
  • 夢の散歩道/ヴィーナスのたて琴(1964年1月)
  • 聞いちゃった!歌っちゃった!泣いちゃった!/明日に太陽を(1964年1月)
  • ひなげしの花咲けば/銀座のキューピット(1964年5月)
  • 花はどこへ行った/ほゝにかゝる涙(1964年5月)
  • ガラスの花園/帰らぬ初恋(1964年8月)
  • 何も云わないで/雨はいじわる(1964年10月)(NHKきょうのうた)
  • 夜明けの星のように/ごめんねママ(1964年12月) 
  • あなたとなら/冷たい星の下(1965年3月)
  • この喜びの日に/さよなら(1965年6月)
  • 忘れっこなしよ/幸せなの(1965年8月)
  • あれがお父さまよ/涙のスクリーン(1965年9月)
  • 逢いたくて逢いたくて/あんたなんか(1966年1月)(ザ・ピーナッツの「手編みの靴下」の焼き直し)(1965年・第16回NHK紅白歌合戦歌唱曲)
  • ふるさとの唄/砂に埋もれた恋(1966年4月)
  • やさしい雨/何んでもないわ(1966年6月)
  • 夢は夜ひらく/一人で踊るブルース(1966年10月)(1966年・第17回NHK紅白歌合戦歌唱曲)
  • 帰りたくないの/散りゆく花(1967年1月)
  • つれてって/夜があるかぎり(1967年4月)
  • 愛は惜しみなく/誓ってほしい(1967年8月)(1967年・第18回NHK紅白歌合戦歌唱曲)
  • 愛情/嘘でもうれしい(1967年12月)
  • 好きなの好きなの/あなたの愛がほしい(1968年3月)
  • あなたのとりこ/横をむかないで(1968年4月)
  • 泣きぬれて/ひとりにしないで(1968年9月)(1968年・第19回NHK紅白歌合戦歌唱曲)
  • おもいきり泣かせて/淋しかったの(1969年2月)
  • このままでいいの/不思議ね(1969年6月)
  • 捨て煙草/私をかき奏らして(1969年10月)
  • 気にかかる/これが愛なのね(1969年11月)
  • くちづけ/吹きだまり(1970年4月)
  • 私を責めないで/浮気なおさけ(1970年6月)
  • 未練/恋怨歌(1970年10月)
  • 最後の一時間/悪い女になりそう(1971年)
  • 私が何をしたのでしょう(1971年12月)
  • 旅情/あなたの背中に(1972年6月)(デビュー10周年記念盤)
  • 恋する女のブルース/その気になるまで待って(1973年2月)
  • 幸せになってね/恋のお話(1973年8月)(オリジナルは1972年3月発売の松平直樹とブルーロマン盤、1974年7月「私祈ってます」のタイトルで発売された敏いとうとハッピー&ブルー盤が大ヒット。2008年1月には瀬口侑希がカバー。)
  • お帰りなさい/おんな流れ唄(1974年1月)
  • 面影のワルツ/翼の下で(1974年8月)
  • 夜の指定席/本牧たそがれ(1974年8月)
  • たそがれためいき曲り角/横浜あたり(1976年6月)
  • 舞酔坂/夜は気分で(1978年2月)ワーナー・パイオニア移籍
  • 流されて/出来ごころ(1978年8月)
  • 蛾/万華鏡(1979年4月)SMSよりリリース
  • 大阪の女/かりそめの二人(1980年)ポリドール復帰
  • さかだち/夢は夢のままで(1981年)
  • アマンII(2003年10月)(with菅原洋一)
  • 2人はパートナー(2006年4月)(原曲:ペ・ヨンジュン主演韓国ドラマ「初恋」挿入歌)
  • もう一度逢いたくて 2011年(2011年6月・7月NHK「ユアソング」)

アルバム

  • まりちゃんのヒットアルバム(1963年5月)⇒CD化済み
  • まりちゃんの夢のアルバム(1964年8月)
  • 何も云わないで(1965年3月)
  • 逢いたくて逢いたくて(1966年4月)
  • ふるさとを唄う(1966年5月)
  • 夢は夜ひらく―まりちゃんのヒット・アルバム―(1966年12月)
  • まりちゃんのさのさ(1967年1月)
  • まりちゃんとデート 園まりギターヒット曲集(1967年9月)
  • 愛は惜しみなく(1968年1月)
  • まりちゃんとあなたの夜(1968年5月)
  • 恋のささやき(1969年8月)
  • 泣きぬれて―園まりゴールデン・ヒット・アルバム―(1968年)ベスト盤
  • 恋の宴は果てしなく(1969年12月)
  • まり・ミエ・ゆかりの大作戦(1970年)アポロン8トラック・テープで発売、1970年3月9日 三人娘共演ライブ盤 ⇒CD済
  • むせび泣く夜(1971年1月)
  • 愛をあなたに(1971年)ベスト盤
  • 園まりCD・BOX(2003年3月)5枚組CD-BOX ①②③まりのシングル・コレクション ④まりちゃん「歌謡ヒットを唄う」 ⑤まりちゃんのア・ラ・カ・ル・ト
  • ハイハイ3人娘~花の同窓会「まり・ミエ・ゆかり」(2004年6月)
  • ミエ・まり・ゆかり 3人娘CD-BOX(2005年6月)6枚組CD-BOX ①中尾ミエ ベスト・コレクション ②園まり ベスト・コレクション ③伊東ゆかり ベスト・コレクション ④3人娘ライヴ・トラックス ⑤3人娘ア・ラ・カルト ⑥3人娘シネマ・トラックス
  • 新たなる飛翔(たびだち)(2006年4月)
  • 今、甦るウエスタン・カーニバル ロカビリー三人男&3人娘 スペシャル・コンサート2005(2006年4月)
  • 園まりデラックス ~まりちゃんとデート~(2007年4月)3枚組CD ①カヴァーポップス ②オリジナル歌謡ヒッツ ③「まりちゃんとデート園まりギターヒット集」+「まりちゃんとあなたの夜」

主な出演

映画

テレビドラマ

バラエティー番組

他多数

CM

  • 日清 めん八珍 1980年
  • ハウス食品 六甲のおいしい水 1993年
  • 福正宗 1994年 
  • アサヒ緑健インフォマーシャル 2013年

連載

  • ケアノート 父の介護体験談 読売新聞 2007年5月10日~6月14日
  • 一病息災 自身の乳がん体験 読売新聞夕刊 2009年8月6日~8月27日
  • 自伝 夕刊フジ 2011年10月4日~10月21日

NHK紅白歌合戦出場歴

年度/放送回 曲目 出演順 対戦相手 備考
1963年(昭和38年)/第14回 1 キューティ・パイ・メドレー 24/25 植木等 中尾ミエ伊東ゆかりと出演。トリ前
1964年(昭和39年)/第15回 2 夢みる想い 03/25 芦野宏 中尾ミエ、伊東ゆかりと出演。
1965年(昭和40年)/第16回 3 逢いたくて逢いたくて 07/25 山田太郎
1966年(昭和41年)/第17回 4 夢は夜ひらく 14/25 舟木一夫(1)
1967年(昭和42年)/第18回 5 愛は惜しみなく 02/23 水原弘
1968年(昭和43年)/第19回 6 ひとりにしないで 16/23 舟木一夫(2)
  • 対戦相手の歌手名の()内の数字はその歌手との対戦回数、備考のトリ等の次にある()はトリ等を務めた回数を表す。
  • 出演順は「(出演順)/(出場者数)」で表す。


参考文献

中村 深海/著『永遠の東宝映画俳優』園まりインタビュー くまがい書房、2014年

関連項目

外部リンク