呂比須ワグナー

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テンプレート:サッカー選手 呂比須 ワグナー（ロペス ワグナー、Wagner Lopes, 1969年1月29日 - ）は、日本の元プロサッカー選手、サッカー指導者。ブラジル・サンパウロ州出身で、ブラジル名はワギネル・アウグスト・ロペス（Wagner Augusto Lopes）。1997年に日本へ帰化し、日本とブラジルの二重国籍者となった。

来歴

選手時代

サンパウロ州フランカ市で8人兄弟の末っ子として生まれる[1][2]。11歳の頃から学業の傍ら兄が経営する靴工場で働き、週末には地元のサッカークラブ、インテルナシオナルFCで練習する[3]。

1984年、15歳で親元を離れ[4]（フランカとサンパウロは同州内であるが約400km離れている）サンパウロFCの下部組織に加入[5]。同年のU-15サンパウロ州選手権で決勝点を挙げ優勝に貢献[6]。1986年にサンパウロFCとプロ契約を結ぶも出場機会に恵まれず、元ブラジル代表のオスカーに誘われ[7]1987年に日本に渡り、日産自動車サッカー部に加入[5]し、3年間所属後、日立に移籍する。1990年結婚[8]。

移籍後の日立・柏レイソルでは、1992年にジャパンフットボールリーグ（旧JFL）の得点王となり、ベストイレブンに選ばれる。同年長男が誕生。当時ロペスは日本もブラジル同様に出生地主義を採用していると誤解しており、この頃から「家族全員で日本人になりたい」と考えるようになった[8]。翌1993年もベストイレブンと得点ランク2位となる。1993年に世界的スーパースターのカレカが加入、元ブラジル代表のネルシーニョとともに外国人枠の2つを占め、残りの1枠を他の外国人選手と争う。元ブラジル代表のミューレルが加入することが決まり、1994年シーズン限りで柏を解雇される。

1995年、本田技研工業に移籍する。1996年にはクラブは初の旧JFL優勝を果たし、ロペス自身も得点王となる。

1997年、Jリーグのベルマーレ平塚へ移籍。同年9月に日本国籍を取得すると[9]、名前をそれまでの登録名であったワグネル・ロペスから呂比須ワグナーに改め、直後に日本代表に選出される。平塚では在籍時の2年間とも、チーム得点王になる[10]。

1999年に名古屋グランパスエイトに移籍し、同年と2000年の2年連続でチーム得点王[11]。しかしフロント不信から退団を余儀なくされた[6]。

2001年、FC東京に移籍[12][13]。開幕戦の東京ダービーではVゴールを含む2得点を挙げる好デビューとなったが、呂比須加入に伴って行われた戦術転換が奏功せず[14]、さらに布陣がFWアマラオの1トップへと変更されたことでポジションを失い、シーズン途中でアビスパ福岡へ移籍[15]。しかしチームは振るわず、J2降格を喫する。2002年はJ2でプレーし、同年限りで現役引退。2002年10月19日、博多の森球技場でのヴァンフォーレ甲府戦のゴールで、日本リーグ・JFL・Jリーグの合計得点が釜本邦茂の202ゴールを超えて203ゴールとなった。後日、福岡のローカルTV番組から203ゴール目を決めた記念ボールを贈られた。12月8日に博多の森球技場で行われた天皇杯2回戦（栃木SC戦）が最後の公式戦出場となった。

日本代表

1997年9月12日に帰化すると[9]、その16日後の、ワールドカップフランス大会予選の対韓国戦で日本代表デビューを果たす[16]。なお、日本の法務省は、元の国が国籍離脱を認めていない場合は、二重国籍者を容認する。ブラジルは国籍離脱を認めていない為、日本帰化以降、呂比須は日本とブラジルの二重国籍者となった。

同年10月11日のウズベキスタン戦、後半44分、井原正巳のパスを頭で合わせてゴールし、代表初ゴールとなる。続く10月26日の国立競技場でのUAE戦では前半開始早々に三浦知良から受けたボールをリフティングで相手をかわし、そのままボレーして得点する。続く11月1日のアウェーでの韓国戦でも得点し、3試合連続得点を記録[9][17]。イランとの第3代表プレーオフ決定戦の直前に母ルジアが病死するが[17]、イラン戦にも途中出場し、日本のワールドカップ初出場への大きな原動力となった。

1998年に行われたワールドカップ本大会では途中出場ながらグループリーグ3試合に出場[9]。対ジャマイカ戦では中山雅史のワールドカップにおける日本人初ゴールをアシストした[1][9]。

1999年に行われたコパ・アメリカ1999ではペルー戦・ボリビア戦でそれぞれ1得点を挙げた[18][16]。

指導者時代

引退後、故郷のサンパウロ州に戻り2005年から本格的に指導者としてのキャリアをスタート。パウリスタFCでは名将ヴァグネル・マンシーニ監督の下でヘッドコーチを務める。この時期、日本からやって来た笠井健太（登録名はKENTA）の指導に携わった[19]。同年、パウリスタFCは小クラブながらセリエA所属の強豪クラブを次々破ってコパ・ド・ブラジルに初優勝、翌2006年のリベルタドーレス杯出場権を獲得する。当時のマンシーニと呂比須は共に30代の若い指導者コンビとして注目を集める。この際、中東のクラブから高額のオファーがあったマンシーニ監督に共に中東行きを誘われるも「外国に住むなら日本に帰りたい。ブラジルに戻ってドバイに行ったら意味がない」と申し出を断り、チームに残った[20]。マンシーニはパウリスタFCを離れてアル・ナスルSCと契約する。呂比須は2007年までパウリスタFCでコーチを務めた後、病気（胆石）の手術の為に一旦コーチ業を休む。

2009年に古巣のパウリスタFCからオファーがあり、ヘッドコーチに就任。ブラジル時代の縁で古巣のアビスパ福岡にグラウシオやリンコンなどのブラジル人選手のJリーグ移籍の手助けをしたこともある。2010年2月にブラカリ前監督が更迭されると、監督に昇格。その後、サンパウロ州のポン・ジ・アスーカルECでも監督を務めた[21]。

2011年、再びパウリスタFCから監督として呼ばれ、監督に就任。同年のコパ・パウリスタで大会優勝（連覇）を果たすも、契約を延長せずにシーズン終了後に退団した。クラブ幹部は「海外クラブからオファーがあり引き止められなかった」と話していた[22][23]。

2012年、Jリーグ・ガンバ大阪から監督のオファーを受けるも、日本人監督としてJリーグの監督を務めるのに必要なS級ライセンスを保有しておらず、ブラジル国内でブラジル全国選手権セリエA（1部）及びセリエB（2部）での指導経験がないため、日本サッカー協会から承認が下りず監督就任は白紙になった[24]。その後、新監督に就任したサンパウロ時代のコーチであるジョゼ・カルロス・セホーンの下で、ガンバ大阪のヘッドコーチに就任[25]。しかし、開幕から公式戦5連敗と深刻な成績不振に陥り、同年3月26日、セホーン監督、ウェリントンコーチと共に解任された[26]。

人物・エピソード

  • 長渕剛のファン。訪日間も無い頃、日産の寮で金田喜稔が歌っているのを聴いて好きになった[6]。
  • 呂比須同様ブラジルから日本に帰化し、日本代表として戦った吉村大志郎によれば、1998年ワールドカップの開催中に、呂比須から「（吉村ら先人も頑張ってきたのに）自分だけがワールドカップに出て、すまない」と謝られたという。吉村は呂比須に「お前は僕らの代表」とエールを送っている[27]。
  • 現役引退後、家族の希望で母国ブラジルへ帰ったが、いつか日本からの監督のオファーがあると信じてブラジルで指導者として成功したいと述べている[28]。
  • 2004年、TVの解説の仕事で東北ユースサッカー大会を観戦した際、当時15歳の香川真司（宮城県選抜）のプレーを見て「香川は将来すごい選手になる。今すぐにでもブラジルに連れて帰りたいぐらい」と早くから将来性の高さを見抜いていた[29]。
  • 指導法のひとつとして、近年ブラジル人指導者にも浸透してる対戦相手のプレー集をビデオに自ら編集して選手に見せるようにしている[20]。監督としての哲学や指導法は師匠のマンシーニ監督と似ている、とも語っている[30]。

所属クラブ

テンプレート:表2列

個人成績

テンプレート:サッカー選手国内成績表 top テンプレート:サッカー選手国内成績表 th |- |1985||rowspan="3"|サンパウロ||||rowspan="3"|セリエA|||||||||||||||| |- |1986|||||||||||||||||| |- |1987|||||||||||||||||| |- !colspan="4"|日本!!colspan="2"|リーグ戦!!colspan="2"|JSL杯/ナビスコ杯!!colspan="2"|天皇杯!!colspan="2"|期間通算 |- |1987-88||rowspan="3"|日産||||rowspan="3"|JSL1部||21||8|||||||||||| |- |1988-89||||15||3|||||||||||| |- |1989-90||9||13||1||4||0|||||||| |- |1990-91||rowspan="3"|日立||rowspan="2"|7||JSL2部||23||33||1||0|||||||| |- |1991-92||JSL1部||20||4||3||4|||||||| |- |1992||||rowspan="2"|旧JFL1部||17||13||colspan="2"|-|||||||| |- |1993||rowspan="2"|柏||10||18||18||0||0||0||0||18||18 |- |1994||16||rowspan="3"|旧JFL||18||17||1||0||0||0||19||17 |- |1995||rowspan="2"|本田||rowspan="2"|9||30||31||colspan="2"|-||1||0||31||31 |- |1996||30||36||colspan="2"|-||2||1||32||37 |- |1997||rowspan="2"|平塚||rowspan="2"|10||rowspan="2"|J||27||18||6||8||3||4||36||30 |- |1998||29||18||0||0||2||0||31||18 |- |1999||rowspan="2"|名古屋||rowspan="2"|30||rowspan="4"|J1||23||13||6||4||5||2||34||19 |- |2000||28||10||4||0||1||1||33||11 |- |rowspan="2"|2001||FC東京||9||10||3||2||4||colspan="2"|-||12||7 |- |rowspan="2"|福岡||39||8||7||colspan="2"|-||0||0||8||7 |- |2002||9||J2||19||6||colspan="2"|-||2||0||21||6 テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算始|||||||||||||| テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算行125||69||18||16||11||7||154||92 テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算行19||6||colspan="2"|-||2||0||21||6 テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算行69||16|||||||||||| テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算行23||33|||||||||||| テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算行113||115||1||0|||||||| テンプレート:サッカー選手国内成績表 通算終|||||||||||||| |}

その他の公式戦
国際試合

指導歴

テンプレート:表2列

タイトル

クラブ

サンパウロFC
本田技研
名古屋グランパスエイト

個人タイトル

  • JSL2部得点王 : 1回 (1990-91)
  • JFL得点王 : 3回 (1992年、1995年、1996年)
  • JSL2部ベストイレブン : 1回 (1990-91)
  • JFLベストイレブン : 4回 (1992年、1993年、1995年、1996年)
  • Jリーグ優秀選手賞 :1回 (1997年)

指導者時代

パウリスタFC

代表歴

試合数

  • 国際Aマッチ 20試合 5得点 (1997-1999)[16]

テンプレート:サッカー代表個人成績 |- |1997||6||3 |- |1998||7||0 |- |1999||7||2 |- !通算 |20||5 |}

ゴール

# 開催年月日 開催地 対戦国 勝敗 試合概要
1. 1997年10月11日 ウズベキスタン、タシュケント テンプレート:UZBf △ 1-1 1998 FIFAワールドカップ・アジア予選
2. 1997年10月26日 日本、東京 テンプレート:UAEf △ 1-1
3. 1997年11月テンプレート:01日 韓国、ソウル テンプレート:KORf ○ 2-0
4. 1999年テンプレート:06月29日 パラグアイ、アスンシオン テンプレート:PERf ● 2-3 コパ・アメリカ1999
5. 1999年テンプレート:07月テンプレート:05日 パラグアイ、アスンシオン テンプレート:BOLf △ 1-1

著書

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Navboxes テンプレート:Navboxes

テンプレート:クリシューマEC歴代監督
  1. ↑ 1.0 1.1 テンプレート:Cite web
  2. ↑ 沢田,85頁
  3. ↑ テンプレート:Cite web
  4. ↑ 沢田,86頁
  5. ↑ 5.0 5.1 テンプレート:Cite web
  6. ↑ 6.0 6.1 6.2 テンプレート:Cite book
  7. ↑ 沢田,88頁
  8. ↑ 8.0 8.1 沢田,89頁
  9. ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 呂比須ワグナーが日本国籍を取得 J's GOAL
  10. ↑ リーグ戦DATA (湘南ベルマーレ) Jリーグ
  11. ↑ リーグ戦DATA (名古屋グランパス) Jリーグ
  12. ↑ テンプレート:Wayback 名古屋グランパスエイト
  13. ↑ テンプレート:Wayback FC東京 (2000年12月19日)
  14. ↑ テンプレート:Cite book
  15. ↑ テンプレート:Wayback FC東京 (2001年7月30日)
  16. ↑ 16.0 16.1 16.2 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「daihyo」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  17. ↑ 17.0 17.1 沢田,92頁
  18. ↑ 日本代表がコパ・アメリカに招待され出場 J's GOAL
  19. ↑ 菊川市出身DF笠井、リベルタ杯出るぞ! 日刊スポーツ
  20. ↑ 20.0 20.1 田崎健太「国境なきフットボール」:第47回 日本でプレーしたブラジル人たちのその後<Vol.4> SPORTS COMMUNICATIONS
  21. ↑ Copa SP: Novo técnico do Pão de Açúcar Wagner Lopes se apresenta aos jogadoresテンプレート:Pt iconFutebol Interior
  22. ↑ Wagner Lopes não seguirá a frente do Galoテンプレート:Pt iconパウリスタFC公式サイト
  23. ↑ Wagner Lopes não é mais técnico do Paulistaテンプレート:Pt iconDiário de Sao Paulo
  24. ↑ J1:ガンバ大阪、呂比須監督誕生は幻に毎日新聞、2011年12月16日
  25. ↑ テンプレート:Cite press release
  26. ↑ テンプレート:Cite press release
  27. ↑ テンプレート:Cite book
  28. ↑ 田崎健太「国境なきフットボール」: 第49回　日本でプレーしたブラジル人たちのその後<Vol.6> SPORTS COMMUNICATIONS
  29. ↑ カメイ杯東北ユースサッカー（U-16）選抜大会 日刊スポーツ
  30. ↑ 田崎健太「国境なきフットボール」: 第48回　日本でプレーしたブラジル人たちのその後<Vol.5> SPORTS COMMUNICATIONS
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