十二国記
テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Novel テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/Footer 『十二国記』(じゅうにこくき)は、小野不由美の一連の小説作品群の呼称である。古代中国思想を基盤にした異世界ファンタジー作品。2013年時点で未完。
文庫本の売り上げは、シリーズ累計750万部以上[1]。また、2002年にNHKでテレビアニメ化されている。
2001年7月以降シリーズ新作は久しく発表されていなかったが、『yom yom vol.6』(2008年2月27日発売)にて、約6年半ぶりとなる新作、十二国記シリーズ番外編「丕緒(ひしょ)の鳥」(90枚)が掲載された。最新作は同誌vol.12(2009年9月27日発売)に掲載された、柳国を舞台とした短編「落照の獄」(150枚)。
2012年4月、シリーズの刊行元が講談社から新潮社に移籍されることが発表され、同年7月以降、既刊の新装版及び新作を含む短編集、新作長編も順次刊行されることとなった[2]。
世界観
文化、政治形態は古代中国(特に周王朝)に類似しており、絶対的な王制である。王とそれを選ぶ麒麟、そして天意とは何なのかという問いが、作品全体の主題である。 『魔性の子』では、ホラー小説として描かれている。 テンプレート:Main
登場人物
テンプレート:Main シリーズ共通の主人公は存在しないが、各作品の登場人物は時代を超えてリンクし合っている。
- 『魔性の子』:広瀬、蒿里
- 『月の影 影の海』:景王 陽子、尚隆、六太
- 『風の海 迷宮の岸』:泰麒 蒿里、尚隆、六太
- 『東の海神 西の滄海』:延王 尚隆、延麒 六太
- 『風の万里 黎明の空』:景王 陽子、尚隆、六太、珠晶、月渓
- 『図南の翼』:供王 珠晶、利広
- 『黄昏の岸 暁の天』:李斎、蒿里、陽子、尚隆、六太
- 『華胥の幽夢』
- 『冬栄』:泰麒 蒿里
- 『乗月』:月渓
- 『書簡』:景王 陽子
- 『華胥』:朱夏
- 『帰山』:利広、尚隆
- 『漂舶』:延王 尚隆、延麒 六太
- 『丕緒の鳥』
- 『丕緒の鳥』:丕緒、陽子
- 『落照の獄』:瑛庚
- 『青条の蘭』:標仲
- 『風信』:蓮花
あらすじ
外伝作品である『魔性の子』については、魔性の子を参照。
「月の影 影の海」
日本で生まれ育った普通の女子高生・中嶋陽子は寝る度に恐ろしい気配に追われ、日を追う毎にその距離が縮まっていくという異様で怖い夢を見ていた[3]。そんな陽子の前に、突如「ケイキ」と名乗る異装の男が現れる。ケイキは陽子を主と呼んで跪き、一方的に謎の盟約を迫る。突然の出来事に戸惑う陽子を異形の獣が襲撃、それを辛くも退けたケイキは、強引に陽子を月の影の向こうにある地図にない世界へと連れ去った。陽子はケイキから「決して剣と鞘を離さないように」と碧の玉が付いた鞘に収まった剣を渡され、「剣を振るえない」という陽子に自らのしもべの賓満・冗祐を憑依させ、陽子の意に反して陽子に襲い掛かる獣を体が勝手に動いて撃退するようにして、他のしもべに陽子を託して彼女を異世界に送り出した。
異形の獣の襲撃は月の影に入った後も続き、「敵の攻撃から目をつぶってはいけない」(賓満は憑依した者の目を借りて動くため)という警告を無視して目をつぶってしまったことがきっかけで陽子は、ケイキとそのしもべ達とはぐれ見知らぬ場所(巧州国、略称:巧国)にたどり着く。巧国では自分と同じように日本や中国からこの世界に流された人を徹底的に差別しており多くの場合は処刑されるため、陽子も役人に役所に護送される事になったが、その道中でまた異形の獣に襲われ、陽子は車の下敷きになった鞘から玉だけを切り外してその場を逃走する。全く事情が判らないまま縋る気持ちで現地の人間に助けを求めるも、“海客”として酷い仕打ちを受けたり、利用されそうになったりしたため、夢で見る元いた世界の幻で自分の周りにいた人達が自分の事を悪く言ったこと(実は剣が本当の事を見せていた)や青猿(その正体は陽子が無くした鞘に封じられていた妖魔。剣と鞘が離れたため封印が解けた)の讒言もあって陽子は徐々に人間不信に陥る。人目を避けつつ、なおも襲撃を続ける異形の獣(妖魔)と戦い続ける陽子は満身創痍となり、行き倒れたところを楽俊に救われる。楽俊は陽子を介抱し、さらには海客に対する保護体制が整っている雁国(雁州国)への道案内を買って出る。道中に妖魔と遭遇しそれを退ける陽子であったが、衛士(警備兵)に見つかるという恐怖から、倒れている楽俊を見捨ててしまう。後にそれを後悔する陽子であったが、同時に「口封じに楽俊を殺す」という選択肢を選ばなかった自分に安堵する。そして、「口封じにあのネズミを殺せばよかったのに」と言った青猿を殺すと、無くした鞘が現れた。楽俊との再会はかなわず、陽子は一人で雁国を目指す旅を続けるのであった。
雁国へたどり着いた陽子を待っていたのは楽俊であった。楽俊は先に雁国に渡り、港で働きながら情報を集め、陽子を待っていたのだという。再び二人旅となった陽子たちは、雁国で暮らす海客「壁落人」を訪ね、そこで陽子が胎果であることを知る。その後、陽子と楽俊の何気ない会話で楽俊が「台輔にお目通り願うか?」言った事から陽子がケイキとそのしもべのやり取りを思い出し、「台輔」(宰輔の敬称)という単語がきっかけでケイキとは慶東国(略称:慶国)の麒麟の「景麒」であり、景麒が「主」と呼ぶならば陽子は巧と雁に挟まれた国である慶国の王「景王」であると告げられる[4]。陽子が神である王だと分かり距離を置こうとする楽俊に対し陽子は「私にとっては一歩の距離しかない」と楽俊に言い、それに楽俊は「おいらにとっては三歩だ」と返事をして今まで通りの接し方をしようとする。楽俊から慶王保護の延台輔宛ての書状を受け取り陽子らを妖魔の襲撃から助けた延王から「王は麒麟に跪かれた時点で人として死に、麒麟の霊力で神として生かされる」、「日本に戻ればお前は短い間しか生きられず、その上、慶国の民が大勢犠牲になる」と聞かされ、日本に戻るのか、景王になるのかの選択を迫られる陽子であったが、見るに見かねて「無きものとして振舞え」(陽子が体が勝手に動くのと冗祐の感触を嫌がったために下された命令)という主の命令を破った冗祐から言われた「玉座を望め。そうすれば道は開ける」という言葉に従い、延王の助力を受け、慶国に立った偽王・舒栄を討つことを決意する。
「風の海 迷宮の岸」
蓬山の捨身木に戴極国の麒麟の卵果・泰果が実り、母親代わりとなる女怪が生まれ、蓬山は麒麟の誕生を待っていた。しかし、突如襲来した蝕に巻き込まれ、泰果が流されてしまった。
それから10年後、泰麒は延麒によって蓬莱で発見され、廉麟の助けを受け、女怪の白汕子が泰麒を連れ戻すことに成功する。普通の人間として育った泰麒は、最初こそ戸惑うものの、程なく蓬山の生活に慣れ始める。だが、身の回りの世話をする女仙から「麒麟は人ではなく獣であり、獣の姿に転変する」、「麒麟は天啓を受けて自らの主である王を選定する」と知らされ、更に麒麟の能力を使えない泰麒を思い女仙の長・玉葉が招いた景麒から「麒麟は妖魔を折伏して使令にする」と知らされ、生まれたときから人間の姿で今も転変できない自分は「麒麟の出来そこない」ではないかと思い悩む。泰麒を泣かせたことで女仙から責められた景麒は、その後泰麒に麒麟の能力や役割を伝授していくが、結局この時は折伏は出来ず、自然に出来るようになる転変の仕方については教えることが出来なかった。
同じ麒麟として慕った景麒が慶国に戻り、麒麟としての自覚を持てないまま戴国に麒麟旗が掲げられる。泰果の失踪により長年王不在が続いていた戴国の民は喜び、昇山者が続々と先を競って蓬山に集ってくる。天啓が何なのか判らないながらも女仙に付き添われて昇山者と対面する泰麒は、騎獣をきっかけとして承州師将軍の李斎と知り合う。また、昇山者同士の喧嘩で出会った禁軍左軍将軍の驍宗には、恐怖に似たものを感じる。その後も度々李斎の下を訪れ、驍宗とも会話を交わすようになり、彼らが蓬山を去る間際には一緒に騎獣狩りに行くほどの仲になっていた。女仙の反対を押し切って同行した騎獣狩りの最中、李斎が見つけた洞窟に入った3人は、泰麒が嫌な胸騒ぎを感じた直後、内部に潜んでいた妖魔に襲撃される。李斎が囚われ、驍宗も弾き飛ばされ、泰麒は一人で強大な妖魔・饕餮と対峙することとなる。それまで一度も妖魔を折伏できずにいた泰麒であったが、初めて折伏に成功し饕餮を使令に下すのであった。
そして驍宗が蓬山を去る日が訪れる。王になれなかったら禁軍を辞め黄海に入ると驍宗から聞き、蓬山に昇山出来るのは一生に一度だけ、と女仙から聞いた泰麒は驍宗に感じる感覚に戸惑いながら、離れたくないと思う感情が抑えきれずに走り出す。泰麒の姿は、燐光を放って夜を駆け上がっていく漆黒の獣と化していた。
驍宗を王に選定した泰麒だったが、「驍宗の傍に居たいがために、天啓が無いのに偽者の王を選んでしまった」と思い悩み後悔し続けた。天勅を受ける儀式で罰を受けると思っていたが何事も無く、それが余計に泰麒を不安にさせ、泰麒の様子を伺いに載国の王宮を訪ねた景麒に「偽者の王を選んでしまった」事を打ち明ける。その事を知った景麒と驍宗は、誼がある延王を載国に呼び、泰麒に延王に対し叩頭礼をするよう命じる。言われるまま叩頭しようとしても体が動かない事で泰麒は「麒麟は自らの主以外に叩頭できない」という事を身を以って知り、景麒から彼が舒覚を王に選定した時も「この人は王になるべきではないと感じた」と聞かされ自分が運命に身がすくんでいたと言われる。
「東の海神 西の滄海」
延王・尚隆、延麒・六太は共に胎果であり、蓬莱で生まれ育った。六太は戦乱の中で親に捨てられた経緯から国を統治する者の存在を嫌い、蓬山に帰還した後も王を選べず、蓬莱へと戻ってしまう。その蓬莱で出会ったのが、滅亡に瀕した小松水軍を率いる小松三郎尚隆であった。会った瞬間に王気を感じた六太であったが、前述の理由により誓約を交わすことはなかった。しかし、尚隆の命を懸けて民を守ろうとする姿勢に自らの理想を重ね、絶体絶命の尚隆を助け、延王として十二国へと連れ帰った。
それから20年後、雁国は荒れた荒野から緑の大地へと復興を遂げていた。しかし、元州では治水の権限を王が奪ったままなのに梟王時代に破壊された漉水の堤が復旧されない事に州城の苛立ちが募り、謀反の動きがあるという情報があった。そしてある日、六太の古い親友である“駁更夜”と名乗る少年が玄英宮を訪れることから事態は進展する。妖魔の口の中に入れた赤子を見せて、この赤子の命が惜しければ言うとおりにしろ、と六太をおどした更夜は六太を元州城へと連れ去り、元州の令尹・斡由は六太に「漉水の堤」を名目として、天網で禁じられている「上帝位の新設」[5]を奏上した。権力者の存在に否定的な六太はこれを拒否し、牧伯(国から地方に派遣される監督官)の驪媚と共に額に赤索縄(一つが切れると他の綱が絞まる呪)を巻かれて神仙の力を封じられ、首に赤索縄を巻かれた赤子と共に3人で元州城の内宮の赤索縄が張り巡らされた牢に監禁されてしまう。
尚隆のもとへも同様の要求が伝えられたが彼がこれを拒否すると、成笙を元州に派遣し、道中で民を募って漉水の頑朴(元州の州都)の対岸に堤を築くよう指示する。そして尚隆本人は正体を隠して元州に行った際に元州師から勧誘を受けた事を利用して元州師に潜り込んだ。国府には宰輔の危機を聞き徴兵を希望する民衆が国内各地から押し寄せ、支援を申し出る郡や郷が沢山現れた上に、尚隆の計略もあって斡由があてにしていた諸侯諸官が宰輔誘拐という強攻策に反発して寝返るなど、事態は斡由に不利に動いていく。更に雨季が始まり、尚隆の計略により雨の中で対岸にのみ堤を築かれる(堤が無いこちら側が水攻め状態に陥る)事に危機を覚えた斡由は州師に対岸の堤を切るよう指示、州師と民の戦いとなり王師が民を守るという、「民のために堤を」を掲げる斡由にとっては皮肉な構図になってしまう。
一方、元州城の内宮では「誰が上に立っても同じ」と言う六太に対し驪媚が「宰輔が選んだ王以外のものが国権を握ってはならない」と返す問答が繰り返されていた。驪媚が、天帝の罰が及ばない仙が国権を握る事の恐ろしさを六太に説いても彼は権力者の存在自体を拒否し続けた。ある日、いつものように押し問答をしていた二人だったが、驪媚が突然、六太を逃がそうと彼の赤索縄を切ってしまう。赤索綱が切れた事を知って駆けつけた更夜は驪媚と赤子の血を被って呆然としていた六太を目撃する。更夜は再び六太の額に赤索縄を締める際に今度は角を外して締めた。その後、六太は血に酔って具合が悪い体で元州城から脱出しようとするも地下迷宮に迷い込んでしまう。六太はそこで牢に閉じ込められた先の元州候・元魁と遭遇し、斡由の過去や人となりと、斡由の目的が自分が誉められる事と権力を手に入れることだけであることを知り、斡由は民のためにならないと確信する。その後、近辺を警邏していた尚隆によって迷宮を抜け出せた六太は斡由と対峙し自分の考えを伝えるが、斡由は非を家臣の白沢や更夜へ転嫁することを試みる。しかし、大僕(王や州候の私的な護衛)としてその場に紛れ込んでいた尚隆によって全てを断罪され、怒りから斡由は尚隆に斬りかかるが、最期は六太の使令によって瀕死の重傷を負い、尚隆に介錯され絶命する。
「風の万里 黎明の空」
陽子が景王となって1年、玉座にありながら冢宰の靖共ら官吏の顔色をうかがう自らの姿に苦悩を感じていた。特に皆がいつも自分に対して平伏する事については、自分が通りかかる度に相手の仕事の手が止まる不合理さに悩み、相手の顔が見えない事に少々不信と恐怖を感じていた。そんな中、太師に謀反の疑いが掛けられ、陽子は靖共の言うがまま謀反に関わったとされる人を処罰し、監督責任を怠ったとして靖共を太宰に降格、政治の実権を握らせるべきではないとされる景麒に「自分よりこの国のことが分かっているから」と次の冢宰が決まるまでの間として実権を握らせた。そして陽子は、この世界の理も、国情も知らない自分に憤りを感じ、自ら市井に降りることを決意する。景麒の勧めにより遠甫という老人のもとで理を学ぶこととなるが、和州で暴政が行われているという噂を確かめに和州に出かけた間に里家が襲われ遠甫がさらわれた事から虎嘯らと出会い、和州の乱へと繋がっていく。
大木鈴はその100年ほど前に蓬莱から流されてきた海客である。長く才国の飛仙・梨耀から執拗な虐めを受け続けていたが、決死の覚悟で采王に申し立て自由の身となった。女性・海客でありながら王となった景王に興味を持ち慶国を目指す道中で清秀と出会い、妖魔から受けた怪我で衰弱していく彼を支え共に慶国にたどり着くが、彼は慶国和州止水郷で郷長・昇紘の馬車に轢殺されてしまう。自暴自棄となり、郷長・昇紘を庇う者の最上位にある景王を暗殺しようと才国の遣いを装い王宮に入る鈴であったが、景王不在の為その機会さえなく王宮を去る。虎嘯らと出会い宥められ、打倒昇紘の郎党に加わることとなる。
祥瓊は先の芳国の公主であったが、謀反によりその地位を失い、里家での貧しい暮らしや恭国での屈辱的な仕打ちが耐えられず出奔する。自分と同じ年頃で王宮に入った景王を妬み、逆恨みし、簒奪してやろうと慶国を目指していたが、道中で楽俊と出会ったことで考えを改めた。慶国の実情を知り、桓魋たちと出会った祥瓊は、呀峰討伐、和州の乱に身を投じることとなる。
陽子・虎嘯・鈴らは打倒昇紘を掲げ郷城へと乗り込む。郷城への突入は成功したが、呀峰は昇紘を庇うため州師を派遣する。州師相手では圧倒的に勢力の劣る虎嘯らであったが、桓魋・祥瓊らの加勢により戦況は一転する。しかし、続いて派遣されたのは王直属の禁軍であった。呀峰もまた靖共に庇われていたのである。王師(王が指揮権を持つ禁軍と首都州師の総称)を目の当たりにして動揺する人々の中にあって陽子は鈴と祥瓊の話を聞き、王としての責任を確信すると共に、王として行動する決意を固める。王の命令がない限り王師が動けない事をいい事に、陽子は景麒の背に乗り反乱軍が王の意思である事を知らしめ、王師に遠甫の救助と、呀峰と靖共を捕らえるよう勅命を出す。王宮に戻った陽子は遠甫を三公(王の相談役。政治の実権はない)の筆頭・太師に、鈴と祥瓊を自分の身の回りの世話をさせる役職に就け、桓魋を禁軍左将軍に、桓魋の上司であり、官吏に言われるがまま追放を命じた後失踪(護送中に靖共一派に襲われたところを桓魋らに救助され、身を隠していた)していた麦州候・浩瀚を冢宰に命じ、靖共派だろうが松塾(靖共らが敵視して焼き討ちした義塾。遠甫はそこの閭胥のような事をしていた。)出身だろうが関係なく個人だけをみる、と大規模な人事改革を宣言。そして景麒の「示しがつきません」という悲鳴のような制止を無視して初勅として「人は敬意を持つものに対しては自然に頭を下げる」と平時の伏礼を廃した。
「図南の翼」
猟尸師を自称する朱氏の頑丘は金剛山の麓、恭国乾の町の宿屋で一人の少女と出会う。少女の名は珠晶、恭国首都連檣の商家の娘でわずか12歳。無謀なまでの威勢のよさを見せる珠晶は昇山すると言い、そのための道案内として黄海に慣れた頑丘を雇うと提案する。
安闔日を迎え、珠晶と頑丘は令乾門から黄海に入る。珠晶が旅の途中で一度出会った青年・利広とも再会し、他の昇山者と共に蓬山を目指すことになる。旅が進むにつれ、頑丘や近迫ら黄海に慣れた者たちは、この旅が都合よすぎると気づいていた。妖魔の襲撃が少なく、かつ安全に進むために効率がよく、その被害自体も少なかったからである。彼らはこの一行の中に「鵬(王となるべき人物)」がいると噂するようになっていた。
蓬山への道中に強大な妖魔が住み着いていることが分かり、頑丘らは森の中を迂回することを提案するが、室季和を筆頭に一部の昇山者はそのまま進むことを選ぶ。頑丘と喧嘩別れした珠晶は季和と行動を共にすることにするが、妖魔の襲撃に恐れをなした季和や騎乗の者達は徒歩の随従や荷物を捨て去り、一目散に逃げてしまう。季和の馬車に同乗していた珠晶は、そのまま逃げることより残された随従と合流することを選んだ。
命からがら黄朱たち一行と再合流した季和と逃げてきた者から事情を聞いた頑丘・近迫・利広らは、追ってくるであろう妖魔から逃れる蓬山への旅を急ぐことと、危険を冒して珠晶や残された人々を救うことの苦しい二者択一を迫られる。結局、頑丘と利広が珠晶の救出に向かい、残りの昇山者は妖魔から逃れるために先を急ぐことになった。一方、珠晶は取り残された人々と合流を果たし、協力して妖魔を倒すことを試みるが、珠晶は妖魔の最期に巻き込まれる形で行方不明になってしまい、その直後に頑丘らが到着するのであった。
一人はぐれた珠晶は何とか自力で元の場所に戻ろうとするも、自身の位置を完全に見失い、挙句に人妖と遭遇して窮地に陥る。だが珠晶を探すために留まった頑丘と利広に発見され、間一髪で救われる。しかしその際に頑丘は重傷を負い、血の匂いに妖魔が集ってくることが予想されるため、利広と珠晶に先に行くよう指示する。しかし珠晶は頑なに拒否し、利広のみが剛氏に救援を求めるためその場を離れた。乗騎の駮を犠牲にしてまで逃げようとした頑丘・珠晶は、駮共々犬狼真君に救われる。
真君と別れたところで利広と再会、さらにそれを追うようにして30余騎の集団が突如として現れ、その中には蓬山にいるはずの女仙達に混じって妖魔に跨り金の髪を靡かせる男の姿があった。
「黄昏の岸 暁の天」
泰王・驍宗が登極して半年が経過した。先王の時代から驍宗は優秀な部下を有しており、国府の中央は信の厚い人物で固められていた。その中、文州で乱が勃発する。もとより内乱の多い土地柄であり、驍宗ゆかりの轍囲が包囲されたため驍宗自らが出兵することになった。驍宗の身を心配する泰麒は、ただ2つの使令を驍宗のもとに差し向けるが、そこで謀反が起こったのである。待ち伏せを受けた驍宗は行方知れずとなり、泰麒も襲われて角を失い鳴蝕を発して蓬莱へ渡ってしまった。
それから7年の月日が流れた。その間に謀反の首謀者と思われる阿選が権力を握り、驍宗の臣下は次々と排除され、李斎も罪人として追われていた。追い詰められた李斎は最後の手段として、胎果で登極したばかりの景王を唆して泰王を救出させようと、慶国への脱出を決意する。
和州の乱から1年、慶国は新王のもとで安定を取り戻しつつあった。そんなある午後、金波宮の禁門に天馬に乗った瀕死の武将が舞い降り、戴国瑞州師将軍の李斎と名乗り、景王に奏上したいことがあると申し出る。拒絶しようとする閽人の対応に業を煮やした李斎は強行突破を試み、たまたま出会った大僕の虎嘯に助けられ、景王に泰国への助力を願うことを伝えて意識を失う。
載から脱出する際に妖魔に襲われ右腕を失い、意識不明状態から回復した李斎の懇願に動かされ、陽子は雁国主従に協力を仰ぎ、どのような助力が可能かを相談する際に「覿面の罪」を知る。そして碧霞玄君の助言を得て、各国の麒麟が協力して泰麒を捜索することになった。その捜索の為に慶に来た氾王・呉藍滌から李斎は彼が驍宗に贈り、驍宗失踪後に断ち切られて血が付いた状態で送り返されてきた玉帯を見せられ、氾王は驍宗はまだ生きているかもしれないと李斎を励ます。泰麒捜索は難航したが、ついに廉麟が蓬莱で泰麒を見つけることに成功した。角を失った泰麒は麒麟ではなく人であるため虚海を渡れないと考えられたため、天網の条文の隙を付いた「他国の麒麟を戸籍に入れ三公に叙す」という手段を取り、延王が虚海を渡り連れ戻すことに成功したが、泰麒は角を失っていることで力が薄れ、また汕子と傲濫の蓬莱での行為により穢れていた。あまりの惨状に玄君の手には負えず、五山の主である西王母により清められるが、折れた角が再生されることはなかった。
泰麒は金波宮に戻ってしばらくの後に眼を覚ますが、直後に内宰と閽人が大逆を謀る。本来は景王の身の回りの世話をする者の長である内宰が陽子が彼を自分の身辺から遠ざけ気心が知れた者だけで固めていた上に他国の者に肩入れした事に激昂したのが原因だった。延麒の使令によりことなきを得たが、自分の存在が慶国に少なからず負担となっていると悟った泰麒は、隻腕となった李斎と共に戴国へ戻ることを決意する。夜明け前にこっそり出立しようとした二人だが陽子と延王、延麒に見透かされており、見送りにきた陽子に延麒からの餞別の旅費と陽子の裏書がある旌券(暗いので裏書の存在に二人は気づいていない)を授かり、更に載に着くまで延王の騎獣を貸し出されて出立した。
「華胥の幽夢」
- 冬栄
- 驍宗の登極間もない戴国。泰麒は帰還の際のお礼を兼ねて、使節として漣国を訪れることになる。
- 泰麒ら一行は、半月の行程を経て漣国重嶺へ辿り着く。後宮まで招き入れられたことに泰麒らは戸惑うが、そこに畑を見つけて今度は驚いた。聞くとその畑を管理しているのは鴨世卓、廉王であった。蓬莱から帰還して日が浅く、政治のことも分からず戴国での自分の存在に悩んでいた泰麒であったが、廉王との対話を通じて「お役目」と「お仕事」の違い、そして麒麟はそこにいることで「お役目」を果たしていると教えられる。
- 乗月
- 芳国恵州州侯の月渓は、諸侯を束ね峯王・仲韃を討った。次の峯王が立つまでの仮王として月渓を推す声は強かったが、当の月渓は頑なにそれを拒み、恵州城に戻ってしまった。
- ある日、慶国から青辛と名乗る使いが、景王から恵侯宛の書状を届ける。しかし、国に宛てた書状を、一州侯に過ぎない自分が受け取るわけにはいかないとこれを拒む。仕方なく冢宰にこれを預け、次いで一通の恵侯宛の書状を差し出す。書状の差出人は慶国下官、名を孫昭、先の芳国公主であった。それを知ってもなお受け取りを拒む月渓であったが、青辛の諌言を受け、仮王となる決意を固め、書状を受け取るのであった。
- 書簡
- 陽子と楽俊、かつて共に旅をした2人は、全く違う生活を送り、鸞で現状を伝え合っていた。
- 陽子は楽俊に「官吏とも問題がなく」と伝えていたが、実際は問題が起こるほど意見も出来ていない状態であった。楽俊は「生徒も教師も皆よくしてくれる」と伝えていたが、実際は半獣であることから苦労が絶えない生活を強いられていた。そんな嘘は互いに理解しており、それでもなお励まし合う仲となっていた。
- 華胥
- 華胥華朶、それは才国の宝重であり、枕辺に挿して眠ることで国のあるべき姿を見せるという。
- 国政に迷う采王・砥尚は、この宝重を用いて国のあるべき姿を理解する。砥尚はわずか8歳の采麟にこの宝重を授け、理想の世界に近づいていく様を見せることを約束する。しかし、采麟の見る国と砥尚の作ろうとする国は近づくことは1度としてなく、ついには采麟は失道してしまう。砥尚の思い描く世界は、国として到底成立するはずのないものであった。朱夏は、華胥華朶の本来の効果を悟るのであった。砥尚は自らの罪を認め、「責難は成事にあらず」との遺言を残し禅譲するのであった。朱夏は自分たちが自らの過ちを認めようとせずに他者にそれを押し付けようとしていた事を悟りそれを悔いる。
- 帰山
- 柳国は現劉王による厳格な法治体制の下で、安定した治世が120年続いていた。この柳国が傾きつつあるという。
- その噂に引き寄せられ、利広と風漢は柳国首都・芝草で30年ぶりに再会した。この2人が出会うのは、いつも傾きかけた国であるという。2人は酒を酌み交わしつつ語り合い、それぞれの国へと戻っていった。
「丕緒の鳥」
- 丕緒の鳥
- 慶国の新王即位にともない、大射の準備を命じられた羅氏の丕緒は、蕭蘭が行方不明になって以来足が遠のいていた冬官の工房へ赴き、馴染みの羅人の青江らと共に大射に使う陶鵲をどうするか悩む。百数十年、自分には断片的な噂しか聞こえてこない雲海の上の意思に翻弄され、時には親しい者を失ったことを思い出しながら、陶鵲の意匠を思案する丕緒。農村にいる取り分け目立つ鳥ではない鵲を陶鵲に使う理由、その陶鵲を祝賀に際し射ることの意義など、長い間考えているうちに、鵲は民を意味するものではないか、と思い至った丕緒は、陶鵲の意匠に自分の思いを込めるようになっていく。蕭蘭の思いを汲み取りながら丕緒と青江は陶鵲を作り上げ、大射に臨む。大射は成功し、その夜の打ち上げの祝杯の最中、丕緒は新王に呼び出される。女王は御簾越しに丕緒の大射を「ただ美しかった」と褒め、「今度は御簾など無しに、二人で見たい」と丕緒に語った。丕緒は今回の一件で満足して官を退く気でいたが、彼女の言葉を聞いて、波を越えて矢をかわして彼女の下に飛び込む1羽の陶鵲を思い描いた。
- 落照の獄
- 柳国の秋官・瑛庚(えいこう)は、3度の前科がある上に16件・23人もの人間を無惨に殺した男・狩獺の処罰に悩んでいた。殺刑(死刑)にすべきだと言う声は遺族や市井だけに留まらず、瑛庚の妻さえも死刑を訴えていた。死刑を停止してきた劉王は近頃、政治への興味を失ってしまったかのような態度を取っており、今回の件も司法に一任すると丸投げしていた。審理に詰まった瑛庚ら司法府の3名は、直接狩獺に面会しようと牢へと赴く。
- 青条の蘭
- 先王の圧政とその後の長い空位により、国が荒れ果てていた頃、迹人の標仲と山師の包荒の故郷のある雁国の北方地域では、山毛欅(ブナ)の木が石化する奇病が蔓延しつつあった。安定した実りをもたらさず、人の食糧や木材としての用途に乏しい山毛欅だったが、硬化した木は高値で売れるため、人々は病気の危険を顧みず、これを売って利益を享受した。しかし包荒はこのままでは餌が減って獣が里を襲ったり、木が失われることで山崩れが起こるようになると警告する。そこで標仲は、包荒及び猟木師の興慶と共に、疫病の薬となる草木を探し始める。興慶のアドバイスがきっかけで薬となる草「青条」を発見し、それを殖やそうと試みるが、青条は人の手では育てるのがやっとで殖やす事は出来なかった。その時、新王が即位したという話を聞くも病気の流行が一行に収まらなかった事から標仲と包荒は王に願い出て青条の卵果を実らせてもらおうと王宮まで青条を届けようとする。しかし、荒廃した国土や官吏の横暴などの妨害により、その道のりは長く険しいものであった。
- 風信
- 慶国の女王舒覚は、国からすべての女を追い出すよう布告したが、15歳になった蓮花の街では、女たちは家に留まり続けた。ところが、あるとき軍がこの街を襲い、蓮花は両親と妹を殺されてしまう。蓮花は、生き残った女たちと共に故郷の街を後にした。雁国を目指す途中、摂養の街で王が死んだという知らせを聞いて、女たちは故郷に戻っていったが、蓮花はそこに留まることを選び、暦を作る保章氏の嘉慶の園林である槐園で下働きとして暮らすこととなった。嘉慶やその部下たちはとても浮き世離れしていたが、蓮花に優しく、蓮花もそこでの生活を楽しんでいた。ところが、あるとき偽王という噂のある新王に与する州の軍が、新王に恭順しない摂養の街を焼き討ちした。蓮花は外の凄惨な現実に何もしない嘉慶らの浮世離れして外界と交わっていないような生活を罵るが、嘉慶は自分たちは暦を作らないといけないし、それしかできることがない、と蓮花に語り返した。摂養の街が早く王に恭順したため、街は多数の被害や犠牲者が出たものの他所に比べれば比較的軽く済んだ。そして、蓮花は嘉慶の部下である候風の支僑の手伝いで燕の巣と卵の調査を行い、自分の未来を飛び立つ燕に重ね合わせた。
文庫未収録
- 漂舶
- 延王と延麒の出奔癖に頭を抱えていた帷湍、朱衡、成笙は、人事異動の際に尚隆から脅し取る形で得た地位を利用して王と宰輔の生活の締め付けを始めた。騎獣も徹底的に管理され、六太の「失道しそう」という言葉にも耳を貸さない。厳しさに耐えかねた尚隆と六太は珍しく結託して王宮を脱走する。令艮門へ行った六太は門番から、自分から更夜への伝言に自分が命じていない文言が加えられていることを知る。その文言が示す場所へ行くと、尚隆が冢墓と酒を酌み交わしていた。
シリーズ全体の構成
作品一覧
新潮文庫刊行の『魔性の子』以外は、全て講談社X文庫ホワイトハートおよび講談社文庫。ホワイトハート版のイラストは山田章博が担当。講談社文庫版の装丁は菊地信義(イラストなし)。元々『図南の翼』まではホワイトハート版のみで刊行されていたが、後に講談社文庫からも刊行されるようになり、『黄昏の岸 曉の天』以降は講談社文庫版が先に発売されている。
2012年7月より新潮文庫から刊行されている新装版は、表紙および本文イラストはすべて山田章博による書き下ろし。言い回しや文字遣いなどに部分的に訂正が入ったのみで、内容に大きく影響する改訂は加えられていない。
- 『魔性の子』(日本を舞台にした外伝。新潮文庫)
- 『月の影 影の海』(登場国:巧、雁、慶)
- 『風の海 迷宮の岸』(麒麟の物語。登場国:黄海、戴)
- 『東の海神 西の滄海』(登場国:雁)
- 『風の万里 黎明の空』(登場国:慶、恭、芳、才)
- 『図南の翼』(登場国:黄海、恭、奏)
- 『黄昏の岸 曉の天(そら)』(登場国:黄海、慶、雁、戴、範、漣)
- 『華胥の幽夢』(かしょのゆめ、短編集)
- 『丕緒の鳥』(ひしょのとり、短編集)
- 「丕緒の鳥」(登場国:慶)(『yom yom vol.6』 2008年2月27日発売、新潮社)
- 「落照の獄」(らくしょうのごく、登場国:柳)(『yom yom vol.12』 2009年9月27日発売、新潮社)
- 「青条の蘭」(せいじょうのらん、登場国:雁)(書き下ろし)
- 「風信」(登場国:慶)(書き下ろし)
- なお、同人誌掲載作品については、短編集の後書きには同人誌に掲載されたことを記さず、「未定稿をもとにした書き下ろし」であるとされている。
- 『漂舶』(『ドラマCD 東の海神 西の滄海』付録)(登場国:雁)
ホワイトハート版と講談社文庫版との間には、ストーリーに違いはない。両者の間にある違いは次の通りである。
- イラストはホワイトハート版にのみ存在する。
- 後書きは図南の翼までホワイトハート版にのみ存在する。
- ホワイトハート版で仮名書きになっている言葉が講談社文庫版では漢字になっている。
- 文字の組まれかたが違い、講談社文庫版の方がつまっている。
- 地理や人物の設定に、微細な変更がある。
以上の違いがあるため、ホワイトハート版の方がページ数が若干多くなっており、『風の海 迷宮の岸』と『黄昏の岸 曉の天』ではホワイトハート版では上巻・下巻の2冊になっているが、講談社文庫版は1冊になっている。
本編・外伝・番外編
本シリーズは、同一の世界設定の中で作品ごとに別の国が舞台になって別の主人公がおり、執筆順と作品内での時間軸が前後する形でストーリーが展開されている。ホワイトハート版の後書きで、『月の影 影の海』が、「『魔性の子』の続編であり、本編である。」とされているのに対して、『東の海神 西の滄海』が、「今回は番外編という気分で書き始めた」(『東の海神 西の滄海』の後日譚を描いた『漂舶』は表紙に「十二国記外伝」と表記されている)、『図南の翼』が「今回も番外編」とされている。
時系列
作品の刊行順とストーリーの時系列は異なっており、時系列で並べ替えると以下の順になる(回想シーンなどを除く)。なお括弧内は初出刊行年。『月の影 影の海』を基準年とする。
- 『東の海神 西の滄海』(1994年)…約500年前
- 『漂舶』(1997年)…約400年前
- 『図南の翼』(1996年)…約90年前
- 『華胥』(2001年) - 理想を追いすぎた前采王の失道と禅譲。
- 『風の海 迷宮の岸』(1993年)…約5年前
- 『冬栄』(2001年) - 泰麒が漣国を訪問する。廉麟とは誼があった。
- 『月の影 影の海』(1992年)…基準年
- 『丕緒の鳥』(2008年)…陽子即位年
- 『書簡』(1993年) - 陽子と楽俊が、互いに背伸びした姿を伝え合う。
- 『風の万里 黎明の空』(1994年)…約1年後
- 『乗月』(1995年) - 芳で仮王として立つことを決意した月渓と、自身の罪を悔いる祥瓊。
- 『帰山』(1998年) - 諸国を旅している途中の尚隆と利広が傾きつつある柳で出会う。
- 『落照の獄』(2009年) - 『帰山』で語られる、荒れつつある柳国の様子が描かれる。
- 『黄昏の岸 曉の天』(2001年)および『魔性の子』(1991年)…約2年後
シリーズ展開の特徴
本シリーズの展開経過は次のような特徴を持っている。
- 最初に外伝が異なる出版社から刊行されている。
- ライトノベルで始まった人気シリーズの場合、最初に本編が刊行され、本編の刊行が進み人気が出てくるとともに外伝などが出されるようになるのが一般的であるが、本シリーズの場合は外伝が先に新潮社という別の出版社の一般向けレーベルの文庫で1冊だけ刊行され、その後本編が講談社のライトノベル文庫で刊行されるという特異な経過をたどってシリーズ展開された。また、6年半ぶりの新作となった『丕緒の鳥』は再び新潮社での発表となった。
- 最初はシリーズであることが明らかにされなかったこと
- シリーズものとして展開される作品の場合、通常は第1作からシリーズものであることもシリーズ名も明記して刊行されるが、本シリーズの場合、ホワイトハートで刊行された最初の数冊はシリーズものであることすら明記せずに刊行されており、後述のとおりシリーズ名がついたのもずっと後になってからである。
- ジュニア向けレーベルの文庫から一般向けレーベルの文庫へと展開されたこと
- 本編が数作刊行され、ホワイトハートでの人気シリーズとなってから様々な形で書評に取り上げられたが、その中に、「本シリーズは一般の成人が読むのに十分ふさわしい内容を持っているが、それがライトノベルの文庫から出されていることだけを理由として読まずに避けられているとしたらもったいない。」といった趣旨のものがあった[6]。同じ出版社の一般向けレーベルの文庫から刊行されることになり、これによって一般向けの知名度が大きく上昇することになった。
- ジュニア向けレーベルの作品の一般文庫への展開は現在米澤穂信や桜庭一樹、橋本紡など盛んに行われているが、当時は低年齢向けと高年齢向けの二つの文庫をまたぐことが極めて稀だった。
- 同人活動とかかわって展開されてきたこと
- 著者自らが本シリーズの外伝や番外編にあたる作品を入れた同人誌を発行するという同人活動を行っていた。それらの作品の一部は後に文庫に収録されている。
シリーズ化とその名称
現在、このシリーズは公式に「十二国記」と呼ばれており、そのことは表紙・カバーなどにも明記されているが、当初このような表記はされておらず、1991年9月に出版された『魔性の子』はシリーズものであること自体明らかにはされなかった。
「十二国記」という呼び方の元である「作品世界に12の国が存在する」ことは、1992年に出版された『月の影 影の海』において初めて明らかになった。しかし、『魔性の子』の続編であり、本編であるという位置づけはされていたものの、今後も続くシリーズ作品であることは明らかにされなかった。シリーズ作品であることが明らかになったのは、1993年に出版された『風の海 迷宮の岸』の後書きにおいてであるが、シリーズとしての名称は特に明らかにされてはいなかった。
正式な名称は無かったが、早期の作品から読者は「十二国」または「十二国記」と呼んでいた。このことは著者自身も知るところであり、著者自身が編集者との打ち合わせなどでもこのシリーズのことを「十二国」と呼んでいることを語っている。しかし、作者自身はこの呼び名を「あくまで便宜上のもの」であるとし、シリーズには名前がないことを明言している。その理由は著者により「この作品ではこの世界の十二の国全部が描かれているわけではないし、今後も十二国全てを描く予定は無いので十二国記と呼ぶのはある意味嘘になるから。」であると説明されていた[7]。また、正式に「十二国記」と呼ばれる以前は、「12の国の物語」と記載されることもあった。
「十二国記」という名称が初めて正式に用いられたのは、1994年9月に出版された『風の万里 黎明の空(下)』の後書きにおいてである。著者は一貫して「名称はない」としていたものの、方針が変更された理由は編集部から要望があったためとのことであると明かしている[8]。以降は重版されたものも含めて表紙や帯などに「十二国記」と表記されるようになった。
また、1997年6月17日にCDブック『東の海神 西の滄海』がリリースされたときには付属のブックレットに収録された書下し小説『漂舶』に「十二国記外伝」と明記された。
今後の執筆予定
- 「月刊ぱふ別冊 活字倶楽部Special 5」(1997年、雑草社)
- 著者がインタビューにおいて「十二国記の本編はあと二か三作くらい。外伝は希望があれば書きます」と発言。
- 「ダ・ヴィンチ」(2003年7月号、メディアファクトリー)
- 著者がインタビューにおいて「一連の事件についてはあと一作書けば決着する。」と発言。
- TOKYOPOPから英語版が発売された際のインタビュー記事(2007年3月)
- 今後も十二国記を書き続ける意思のあることを表明している。
テレビアニメ
NHKBS2の衛星アニメ劇場枠内で、2002年4月9日から2003年8月30日にかけて放送された。
当初は全39話とされ、2003年3月に第2シリーズ(第40話以降)の放送が発表されたが、第45話で終了となった。NHKの公式発表では、その理由として原作が未完であるためキャラクターを生き生きと描きづらいことなどが挙げられている。なお、脚色の會川昇が執筆し後に出版されたアニメ脚本集によれば、元々第2シリーズは「東の海神 西の滄海」に続いて、「図南の翼」、「黄昏の岸 暁の天」の構成で、原作未完の『黄昏の岸 暁の天』に何らかの決着を付けることでアニメ版十二国記の結末とする構想だった。
後に教育テレビや衛星ハイビジョンでも放送された。日本のみならず、韓国、台湾、中国、アメリカなどでも放送されている。
BS2初回の放送期間は以下の通り。
タイトル | 話数 | 放送期間 | 放送枠 |
---|---|---|---|
月の影 影の海 | 一章 - 転章 (第1話 - 第14話) | 2002年4月9日 - 7月16日 | 火曜 18:00枠 |
風の海 迷宮の岸 | 一章 - 転章 (第15話 - 第21話) | 2002年9月3日 - 10月15日 | |
書簡 | (第22話) | 2002年10月22日 | |
風の万里 黎明の空 | 一章 - 終章 (第23話 - 第39話) | 2002年10月29日 - 2003年3月11日 | |
乗月 | (第40話) | 2003年7月5日 | 土曜 9:00枠 |
東の海神 西の滄海 | 一章 - 転章 (第41話 - 第45話) | 2003年7月26日 - 8月30日 |
2002年7月23日から8月27日、2003年3月18日・25日は再放送、また2003年4月5日 - 6月28日まで「十二国記の世界」と題された全13回の総集編として再編集された特別番組が放送されている。また、同作品は2006年BS夏休みアニメ特選枠内にて一部放送した。2010年10月6日よりキッズステーションにて放送(CSは勿論、NHK以外の放送局で初の放送となる)。また、2012年8月2日からはNHKBSプレミアムにて全45話が再放送されている。
原作との相違
内容は大筋で原作に準拠しているが、一部プロットの変更やオリジナルの設定も含まれている。また、作品中に登場する漢字には金文が用いられている。
アニメ脚本集には、原作とアニメのストーリー上の相違点について「原作とアニメの最も大きなストーリー上の相違点である『月の影 影の海』の冒頭部で十二国に渡って来る人数が1人でないことはもともと原作者が小説を発表する前の構想に由来するものである」、原作中では未設定であった人物使令の名称や種族名などが設定されていることに対しては「原作に登場しない固有名詞は全て原作者に決めて貰っている」といった記述がある。このほかにも、「脚本作成時に『黄昏の岸 曉の天』が未刊であったため、そこで初めて明らかになった事柄については矛盾することになってしまったものもある」といった記述もある。
余談
- 第21話「風の海 迷宮の岸 転章」において、十二国の王と麒麟が紹介された(アニメ未登場者はシルエットで登場)。原作には今のところ登場していない舜極国の王は徇王(しゅんおう)、麒麟は徇麒(しゅんき)である。
- NHKで放送される前年の2001年に一旦WOWOWでアニメ化の企画が立てられたが実現しなかった。「月の影 影の海」の脚本はその頃に書かれたものである。
スタッフ
- 原作 - 小野不由美
- キャラクター原案 - 山田章博
- 監督 - 小林常夫[9]
- キャラクターデザイン - 田中比呂人、楠本祐子
- コンセプトデザイン[10] - 森木靖泰、若林厚史(第1話 - 第18話)、宮川治雄(第5話 - 第45話)、清水恵子(第19話・第20話・第24話 - 第45話)
- 美術監督 - 東潤一
- 色彩設計 - 佐藤祐子
- 撮影監督 - 松本敦穂
- 編集 - 森田清次、山岸由佳、高山智江子、他
- 音響監督 - 柏倉ツトム
- 音楽 - 梁邦彦
- アニメーション制作 - ぴえろ
- アニメーションプロデューサー - 本間道幸、押切万耀、他
- プロデューサー - 末川研
- 共同制作 - NHKエンタープライズ21、総合ビジョン
- 製作 - NHK
主題歌
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚色 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第一話 | 2002年 4月9日 |
月の影 影の海 | 一章 | 會川昇 | 小林常夫 | 田中比呂人 | |
第二話 | 4月16日 | 二章 | 須間雅人 | 中村哲治 | 門上洋子 窪詔之 | ||
第三話 | 4月23日 | 三章 | 佐藤卓哉 | 大八木正勝 | 遠藤裕一 | ||
第四話 | 4月30日 | 四章 | 中村哲治 | 清水恵子 | |||
第五話 | 5月7日 | 五章 | 斎藤哲人 | 小原正和 | つばたよしあき 遠藤裕一 | ||
第六話 | 5月21日 | 六章 | 吉川浩司 | 村上直紀 山沢実 | |||
第七話 | 5月28日 | 七章 | 佐藤真二 | 窪詔之 | |||
第八話 | 6月4日 | 八章 | 佐藤卓哉 | 大八木正勝 | 大竹紀子 斎藤寛 | ||
第九話 | 6月11日 | 九章 | 斎藤哲人 | 中村賢太朗 | 門上洋子、斎藤寛 山沢実 | ||
第十話 | 6月18日 | 十章 | 宮崎なぎさ | 遠藤裕一 | |||
第十一話 | 6月25日 | 十一章 | 藤森雅也 | 熨斗谷充孝 | 窪詔之 | ||
第十二話 | 7月2日 | 十二章 | 木村哲 | 吉川浩司 | 村上直紀 山沢実 | ||
第十三話 | 7月9日 | 終章 | 須間雅人 田中比呂人 |
中村賢太郎 大八木正勝 |
大竹紀子 | ||
第十四話 | 7月16日 | 転章 | 須間雅人 | 門上洋子 | |||
第十五話 | 9月3日 | 風の海 迷宮の岸 | 一章 | 會川昇 | 佐藤真二 | 遠藤裕一 | |
第十六話 | 9月10日 | 二章 | 斎藤哲人 | 中村賢太朗 | 窪詔之 | ||
第十七話 | 9月17日 | 三章 | 木村哲 | 吉川浩司 | 村上直紀 | ||
第十八話 | 9月24日 | 四章 | よしざね桜 潮乱太 |
土屋浩幸 | 大竹紀子 齋藤寛 | ||
第十九話 | 10月1日 | 五章 | 佐藤卓哉 | 矢野篤 | 門上洋子 時矢義則 | ||
第二十話 | 10月8日 | 終章 | 宮崎なぎさ | 遠藤裕一 | |||
第二十一話 | 10月15日 | 転章 | 須間雅人 | 田中比呂人 | |||
第二十二話 | 10月22日 | 書簡 | 會川昇 | 木村哲 | 中村賢太朗 | 窪詔之 | |
第二十三話 | 10月29日 | 風の万里 黎明の空 | 一章 | 會川昇 | 佐藤真二 須間雅人 |
熨斗谷充孝 | 門上洋子、時矢義則 芝美奈子、齋藤寛 |
第二十四話 | 11月5日 | 二章 | よしざね桜 | 杉山慶一 | 堀越久美子 村上直紀 | ||
第二十五話 | 11月12日 | 三章 | 木村哲 | 土屋浩幸 | 遠藤裕一 | ||
第二十六話 | 11月19日 | 四章 | 佐藤真二 | 小林理 津幡佳明 | |||
第二十七話 | 11月26日 | 五章 | 斎藤哲人 秋山勝仁 |
中村賢太朗 | 窪詔之 | ||
第二十八話 | 12月3日 | 六章 | うえだしげる | 遠藤裕一、時矢義則 芝美奈子、小林理 | |||
第二十九話 | 12月10日 | 七章 | 高岡淳一 | 武山遊山 | 堀越久美子 村上直紀 | ||
第三十話 | 12月17日 | 八章 | 斎藤哲人 秋山勝仁 |
熨斗谷充孝 | 窪詔之、津幡佳明 齋藤寛 | ||
第三十一話 | 2003年 1月7日 |
転章 | 須間雅人 | 今千秋 | 田中比呂人、清水恵子 楠本祐子 | ||
第三十二話 | 1月14日 | 九章 | 佐藤卓哉 | 土屋浩幸 | 小林理 | ||
第三十三話 | 1月21日 | 十章 | うえだしげる | 時矢義則 芝美奈子 | |||
第三十四話 | 1月28日 | 十一章 | 佐藤真二 | 遠藤裕一 | |||
第三十五話 | 2月4日 | 十二章 | 森脇真琴 斎藤哲人 |
吉川浩司 | 長谷川高志 | ||
第三十六話 | 2月18日 | 十三章 | 高岡淳一 | 土屋浩幸 | 門上洋子 楠本祐子 | ||
第三十七話 | 2月25日 | 十四章 | 斎藤哲人 高岡淳一 |
中村賢太朗 | 窪詔之 | ||
第三十八話 | 3月4日 | 十五章 | うえだしげる | 小林理 遠藤裕一 | |||
第三十九話 | 3月11日 | 終章 | 須間雅人 | 佐藤真二 | 田中比呂人 | ||
第四十話 | 7月5日 | 乗月 | 會川昇 | 佐藤真二 | うえだしげる | 遠藤裕一 | |
第四十一話 | 7月26日 | 東の海神 西の滄海 | 一章 | 藤間晴夜 | 山崎浩司 高岡淳一 |
山崎浩司 | 窪詔之 |
第四十二話 | 8月2日 | 二章 | 斎藤哲人 佐藤真二 |
わたなべじゅんいち | 村上直紀 内田シンヤ | ||
第四十三話 | 8月16日 | 三章 | 中村賢太朗 | 小林理 | |||
第四十四話 | 8月23日 | 終章 | 高岡淳一 | 土屋浩幸 | 津幡佳明 門上洋子 | ||
第四十五話 | 8月30日 | 転章 | 佐藤真二 | 山崎浩司 | 田中比呂人 |
関連商品
書籍
原作
- 新潮文庫
- 魔性の子 (1991年9月25日、新潮社) ISBN 4-10-124021-3
- 講談社X文庫版
- 月の影 影の海(上) (1992年6月20日、講談社) ISBN 4-06-255071-7
- 月の影 影の海(下) (1992年7月20日、講談社) ISBN 4-06-255072-5
- 風の海 迷宮の岸(上) (1993年3月20日、講談社) ISBN 4-06-255114-4
- 風の海 迷宮の岸(下) (1993年4月20日、講談社) ISBN 4-06-255120-9
- 東の海神 西の滄海 (1994年6月5日、講談社) ISBN 4-06-255168-3
- 風の万里 黎明の空(上) (1994年8月5日、講談社) ISBN 4-06-255175-6
- 風の万里 黎明の空(下) (1994年9月5日、講談社) ISBN 4-06-255178-0
- 図南の翼 (1996年2月5日、講談社) ISBN 4-06-255229-9
- 黄昏の岸 暁の天(上) (2001年5月15日、講談社) ISBN 4-06-255546-8
- 黄昏の岸 暁の天(下) (2001年5月15日、講談社) ISBN 4-06-255550-6
- 華胥の幽夢 (2001年9月5日、講談社) ISBN 4-06-255573-5
- 講談社文庫版
- 月の影 影の海(上) (2000年1月15日、講談社) ISBN 4-06-264773-7
- 月の影 影の海(下) (2000年1月15日、講談社) ISBN 4-06-264774-5
- 風の海 迷宮の岸 (2000年4月15日、講談社) ISBN 4-06-264833-4
- 東の海神 西の滄海 (2000年7月15日、講談社) ISBN 4-06-264834-2
- 風の万里 黎明の空(上) (2000年10月15日、講談社) ISBN 4-06-264998-5
- 風の万里 黎明の空(下) (2000年10月15日、講談社) ISBN 4-06-264999-3
- 図南の翼 (2001年1月15日、講談社) ISBN 4-06-273052-9
- 黄昏の岸 暁の天 (2001年4月15日、講談社) ISBN 4-06-273130-4
- 華胥の幽夢 (2001年7月15日、講談社) ISBN 4-06-273204-1
- 新潮文庫(完全版)
- 魔性の子 (2012年7月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-124051-0
- 月の影 影の海(上) (2012年7月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-124052-7
- 月の影 影の海(下) (2012年7月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-125053-1
- 風の海 迷宮の岸 (2012年10月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-124054-1
- 東の海神 西の滄海 (2012年12月24日、新潮社) ISBN 978-4-10-1240558
- 風の万里 黎明の空(上) (2013年3月28日、新潮社) ISBN 978-4-10-1240565
- 風の万里 黎明の空(下) (2013年3月28日、新潮社) ISBN 978-4-10-1240572
- 丕緒の鳥 (2013年7月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-1240589
- 図南の翼 (2013年10月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-124059-6
- 華胥の幽夢 (2014年1月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-124060-2
- 黄昏の岸 暁の天 (2014年4月1日、新潮社) ISBN 978-4-10-124061-9
アニメ関連本
アニメKC
- 月の影 影の海 一章 - 三章 (2002年8月2日、講談社) ISBN 4-06-310156-8
- 月の影 影の海 四章 - 五章 (2002年9月5日、講談社) ISBN 4-06-310157-6
- 月の影 影の海 六章 - 七章 (2002年10月5日、講談社) ISBN 4-06-310158-4
- 月の影 影の海 八章 - 九章 (2002年11月13日、講談社) ISBN 4-06-310159-2
- 月の影 影の海 十章 - 十一章 (2002年12月25日、講談社) ISBN 4-06-310160-6
- 月の影 影の海 十二章 - 終章 (2003年2月5日、講談社) ISBN 4-06-310161-4
- 風の海 迷宮の岸 一章 - 二章 (2003年5月2日、講談社) ISBN 4-06-310162-2
- 風の海 迷宮の岸 三章 - 四章 (2003年6月5日、講談社) ISBN 4-06-310163-0
- 風の海 迷宮の岸 五章 - 終章 (2003年7月11日、講談社) ISBN 4-06-310182-7
- 書簡 / 風の万里 黎明の空 一章 - 二章 (2003年11月21日、講談社) ISBN 4-06-310183-5
- 風の万里 黎明の空 三章 - 五章 (2004年1月23日、講談社) ISBN 4-06-310184-3
- 風の万里 黎明の空 六章 - 八章 (2004年3月17日、講談社) ISBN 4-06-310185-1
- 風の万里 黎明の空 転章 - 十章 (2004年5月21日、講談社) ISBN 4-06-310186-X
- 風の万里 黎明の空 十一章 - 十三章 (2004年7月23日、講談社) ISBN 4-06-310190-8
- 風の万里 黎明の空 十四章 - 終章 (2004年10月13日、講談社) ISBN 4-06-310191-6
十二国記公式アニメガイド KCデラックス(2004年10月13日、講談社) ISBN 4-06-334923-3
アニメ脚本集
- 月の影 影の海 一章 - 七章 (2002年8月2日、講談社) ISBN 4-06-255625-1
- 月の影 影の海 八章 - 終章 (2002年9月5日、講談社) ISBN 4-06-255629-4
- 風の海 迷宮の岸 / 書簡 (2003年9月5日、講談社) ISBN 4-06-255694-4
- 風の万里 黎明の空 一章 - 転章(2004年1月5日、講談社) ISBN 4-06-255703-7
- 風の万里 黎明の空 九章 - 終章 / 乗月 (2004年3月5日、講談社) ISBN 4-06-255717-7
CD
CDドラマ
- 講談社X文庫CDブック『東の海神 西の滄海』(1997年6月17日、講談社) ISBN 4-06-267801-2
- 付属ブックレットに書下し小説『漂舶』を収録している。
- 『魔性の子』ドラマアルバム(1997年6月25日、マーキュリー・ミュージックエンタテインメント)
- 十二国記夢三章(ビクターエンタテインメント、2003年2月21日)
- オープニング、エンディングと「第一章八麒麟」、「第二章姉妹王」、「第三章地に獣」からなり、アニメ版キャストが出演する。
音楽CD
- 月迷風影(有坂美香、2002年5月22日、ビクターエンタテインメント)
- 十二幻夢組曲(2002年7月24日、ビクターエンタテインメント)
- 十二幻夢絵巻(2002年10月23日、ビクターエンタテインメント)
- 蓬山遠景 胡弓 Memories(2003年6月21日、ビクターエンタテインメント)
- 夜想月雫 Piano Memories(2003年6月21日、ビクターエンタテインメント)
DVD
- 月の影 影の海DVDBOX
- 月の影 影の海1 (第1話、第2話)
- 月の影 影の海2 (第3話、第4話)
- 月の影 影の海3 (第5話 - 第7話)
- 月の影 影の海4 (第8話 - 第10話)
- 月の影 影の海5 (第11話 - 第13話)
- 月の影 影の海総集編 「十二国記の世界 月の影 影の海編」
- 風の海 迷宮の岸DVDBOX
- 風の海 迷宮の岸1 (第15話 - 第17話)
- 風の海 迷宮の岸2 (第18話 - 第20話)
- 東の海神 西の滄海1 (第40話 - 第42話)
- 東の海神 西の滄海2 (第43話 - 第45話)
- 転章 (第14話、第21話)
- 風の海 迷宮の岸総集編 「十二国記の世界 風の海 迷宮の岸編」
- 風の万里 黎明の空DVDBOX
- 風の万里 黎明の空1 (第22話 - 第24話)
- 風の万里 黎明の空2 (第25話 - 第27話)
- 風の万里 黎明の空3 (第28話 - 第30話)
- 風の万里 黎明の空4 (第31話 - 第33話)
- 風の万里 黎明の空5 (第34話 - 第36話)
- 風の万里 黎明の空6 (第37話 - 第39話)
- 風の万里 黎明の空総集編 「十二国記の世界 風の万里 黎明の空編」
Blu-ray
2009年9月26日より順次発売開始されている。特典として、新作ミニドラマCDなどが封入されている。
- 月の影 影の海Blu-ray BOX
- 風の海 迷宮の岸Blu-ray BOX
- 風の万里 黎明の空Blu-ray BOX
- 東の海神 西の滄海Blu-ray BOX(2010年6月23日の発売予定であったが、制作上の都合により2010年9月23日となった)
ゲーム
PS2版ゲーム2作が発売されている。いずれも制作コナミコンピュータエンタテインメントジャパン、発売元コナミ。
- 「紅蓮の標 黄塵の路」(ぐれんのしるべこうじんのみち)(2003年8月28日発売)
- 「赫々たる王道 紅緑の羽化」(かくかくたるおうどうこうりょくのうか)(2004年6月17日発売)
PC版オンラインゲームが1作発売されていた。発売元はアスミック・エース エンタテインメント。
- 「十二国記オンライン」(じゅうにこくきおんらいん)(2003年6月24日発売 2005年2月24日サービス終了)
演劇
1997年・2000年に女性だけの劇団として知られる「劇団てぃんか〜べる」が『東の海神 西の滄海』を上演している。
2009年7月14日、7月15日に劇団ひまわりが福岡で『月の影 影の海』編の舞台化公演を行なった。
脚注
関連項目
- 田中芳樹 『銀河英雄伝説』
- 『十二国記』の構想のきっかけとなった作品。1998年発行の『銀河英雄伝説9 回天篇』徳間文庫での小野不由美の解説による。
- 都筑道夫『なめくじ長屋』シリーズ
- 『十二国記』における独特の漢字の使い方やルビの振り方はこの作品の影響である。ホワイトハート版『風の万里 黎明の空』の後書きによる。
- 雪乃紗衣『彩雲国物語』
- 政治・経済等の社会構造を広く視野に入れた中国風ファンタジーという点で比較されることがある。NHK衛星第2テレビジョンの衛星アニメ劇場という、本作品と同じ枠でアニメ化されている。
外部リンク
- NHKの公式サイト(NHKアニメワールド)
- 小野不由美の異世界ファンタジー『十二国記』(講談社BOOK倶楽部の公式サイト)(アーカイブ)
- 小野不由美「十二国記」新潮社公式サイト(新潮社)
- 「yom yom」(新潮社)
- 新DVD BOX & Blu-ray BOX 情報