会員制ラジオ番組 うまいっしょクラブ

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『会員制ラジオ番組 うまいっしょクラブ』(かいいんせいらじおばんぐみ うまいっしょくらぶ)は、北海道ラジオ局であるSTVラジオ(当時は札幌テレビ放送ラジオ局)が放送していた深夜ラジオ番組である。通常は『うまいっしょクラブ』と称され、愛称は『うまクラ』。

基本情報

  • パーソナリティ:明石英一郎(STVアナウンサー)
  • アシスタント
  • 放送時期:1987年10月12日~1995年10月6日
  • 放送時間:月曜~金曜の22:45~23:00(後に23:00~23:15に移行、いずれもJST
  • スポンサー:ハウス食品(のちに降板)

番組スタイル

「会員制」といっても会員にならないと放送が聴けないというわけではない。聴取者は曜日ごとに決められたテーマに沿ったネタをハガキで寄稿することによって参加することができ、採用されると晴れて会員になれる。初めてハガキが番組で読まれると明石英一郎が必ず「会員番号無し、ずぉっと!おめでとう!」と祝福し(ずぉっと!は明石独自の感嘆句。これを言わない場合もあり)、会員番号が記載されたハガキ大の黄色い「会員証」が採用された聴取者に送られる。

会員証には4枚シールを貼る枠があり、その後ハガキが読まれるとシールが1枚送られ、順次会員証に貼付していく。通算5回ハガキが読まれ、シールの枠が全部埋まると「明石英一郎の恥ずかしい写真」が完成する。シールが埋まった会員証はSTVに返送すると、新しい会員証と共にノベルティグッズが貰える仕組みだった。[1]

ノベルティグッズには巾着袋やテレホンカードのほか、あらかじめ表にSTVの住所が、裏には明石の似顔絵が印刷済みの「常連ハガキ」など複数あり、会員証を送り返す時に好きなものを選ぶことができた。1日の放送の中でいちばん面白かったネタには、別に特製のTシャツがもらえる。会員証やシールがもらえない「ボツボ13」でも、明石の笑いを誘えばTシャツはもらえるチャンスがあった。

この番組からは多くのハガキ職人が生まれた。その中の一部は就職や進学で上京し、他番組(伊集院光 深夜の馬鹿力 気象衛星あさがおなど)でも常連投稿者となった。

主なコーナー

主にそのコーナーが取り上げられる曜日で放送されていた企画を紹介する(稀に本来とは違う曜日にコーナーが取り上げられることもあった)。

月曜日

夜のトンデモ野郎
身の回りで見かけた、常識はずれの行動をする人を紹介する。

火曜日

先生だって人間だい!
学校の先生の面白いエピソードを紹介する。
哀しい奴
自分、もしくは周囲の人間の哀しい言動を紹介する。
過激な奴
自分、もしくは周囲の人間の過激な言動を紹介する。

水曜日

子供ってスゲエ!
身の回りの子供あるいは自分が子供だったときの、子供ならではのとんでもない言動を紹介する。
田舎者の構図
ある地方(大抵は自分の地元)のネガティブな特徴を紹介する。

木曜日

嵐の木曜チョス曜日
「ちょす」は北海道弁で「いじる」の意。身の回りの事象に鋭い視点からツッコミを入れて楽しむ。テレビ番組(特に2時間ドラマ)に関するネタが多かった。
空想番組評論
リスナーがそれぞれ勝手に架空の番組を作り、それに自分自身で評論をつけたものを紹介する。
レベルの低い奴
身の回りの奴の、レベルの低い言動を紹介する。

金曜日

世にもなまらな出来事
「なまら」は北海道弁で「very」の意。いろいろな意味で筆舌に尽くしがたい気分になった出来事を紹介する。
ボツボ13(サーティーン)
その週に「ボツ」とされた投稿の中から特徴のあるもの、あるいは同様のものが多すぎるために送って欲しくないネタ(例:明石と苗字が同じという理由だけで明石原人のことを投稿するネタ)などを紹介する。中にはネタを書かずに『うまいっしょ』の空き袋だけを送り付けたものや、別番組のふりをしてワザとうまクラにネタを投稿した悪質なものもあった[2]
占いの小部屋
誰もが一度はやったことのある行動(いわゆる「あるあるネタ」)を、エコーの効いた声で「あなたは~ですね?」と指摘される。
つくってゴメン
作り話のネタを紹介する。

その他の企画

加勢大周の新しい芸名を考えるコーナー
加勢大周がその芸名の使用について事務所とトラブルを起こした際に出来たコーナー。内容はそのタイトル通りであるが、偶然うまクラの次の番組が彼がパーソナリティを務める『加勢大周のワイルドで行こう』であったため、その番組タイトルやCMまでも新しく考案された。また、加勢の従兄弟(と名乗る人物)からの投稿もあった。
設楽りさ子のどこがいいのよー」シリーズ
1993年、当時人気絶頂だった三浦知良が結婚した際の女性ファンの妬みをネタにしたもの。
冷蔵庫レクイエム
冷蔵庫の中に長期間しまわれがちな物をネタにしたコーナー。後に嘉門達夫がこのコーナーを参考に曲を作って発表した。
エッチに聞こえてしまう言葉シリーズ
青江三奈伊勢佐木町ブルースのイントロからコーナーが始まる。後期、番組の冒頭で紹介されていた。
田舎のことは言わないで・「岩内」のコーナー
「岩内町を馬鹿にしている」と北海道新聞宛てに投書があって問題になった。
音ネタバトルロイヤル
ジングルの替え歌などをカセットテープで募集するもので、年1回程度の割合で行なわれた。替え歌の内容はほとんどが放送禁止用語連発であったため、頻繁にいわゆる「ピー音」がかぶせられた。内容の約半分が「ピー音」で意味不明なテープを放送したり、逆に(意図的かどうかは不明だが)音を入れるタイミングが微妙にずれていたため、何を言っているのか丸わかりだったりという、かなり過激な企画だった。

Z作戦

学生リスナーに明石が指令を出してその結果を報告してもらおうという「Z作戦」(Z旗からのネーミングと思われる)。仮面ソフトボール大会や仮面ラジオ体操などの「仮面シリーズ」、春休み中にデパートの開店時間をねらい、「どうも」といいながら、お歯黒を見せて店員の反応を見る「お歯黒大作戦」や、特定の日時・時間に銭湯に行き、鼻歌で「オーコッペ節」を歌いながら入浴、風呂上りにカツゲンを飲む「一番風呂作戦」など、馬鹿馬鹿しい作戦が多かった。 なお、このコーナーは2007年からスーパーヒットチャートなまらんの中で復活し定期的に実施されている。

広報誌・番組本

うまいっしょクラブは放送初期から人気が高く、熱烈な番組ファンの為に、多くのイベントが道内各地で催されていた。またファン向けに、1989年6月から「よめ、コラ!」という広報誌などが発刊されており、さっぽろ地下街オーロラタウンに設置されていたSTVのサテライトスタジオ(現在は無い)などに設置し、会員とのコミュニケーションを図っていた。
また、番組が好評になるにつれて、下記のような番組本も制作された。

  • 夜のとんでも野郎 ギャグの天才たち(1992年11月25日発行)
  • 会員制ラジオ番組うまいっしょクラブリスナー教則本 神髄(1994年2月14日発行)

これらの本は通常の方法で入手することはできず、応募などによって入手することができた。

使用楽曲

  • オープニング曲:『コンバット!』のオープニングテーマ。
  • 先生だって人間だい!:『てのひらを太陽に』(インストヴァージョン)
  • 哀しい奴:『ドナドナ』
  • 子供ってスゲエ!:『黒ネコのタンゴ』(イントロ部分のみ使用)
  • ボツボ13:映画『ディア・ハンター』のテーマ。
  • 世にもなまらな出来事:『ウルトラQ』のオープニングテーマ。
  • 音ネタバトルロイヤル:『サンライズ』(スペクトラムスタン・ハンセンの登場テーマ曲)

ジングル

コーナーとコーナーの間にはジングルが流れていたが、多岐に渡る曲が使用されていた。主な曲に以下のものがある。

また、ジングル放送中に別のアナウンサーによるニュース速報が入ったことがある。

エピソード

  • 1990年10月から1991年3月まで、その週のダイジェストと独自の企画を放送する「うまいっしょクラブスペシャル」も放送された。放送時間は日曜夜10時から同30分まで。スポンサーはなし。
  • 1988年8月26日、プロ野球中継延長で初めて放送中止となったが、この際収録済みだったテープをカセットテープにダビングし、「幻のONAIRテープ」と題してプレゼントした。テープは2回目の中止時(1990年5月2日)にも作成されたが、こちらは中止を受けて新規に収録したもので、中止にキレた明石が下ネタ投稿作品を披露するなど放送を前提としない過激な内容であった。その後野球中継延長が頻繁となり、テーププレゼントはこの2回限りである。
  • 「イベンターへの道」というコーナーで自分の学校でリスナー同士の交流会を行うと投稿したリスナーが実際は会員証目当てで何もしていなかった事が判り、会員資格を剥奪された事がある。
  • 放送当時、ラジオ情報誌『ラジオパラダイス』で行われていた番組及びパーソナリティ人気投票では、ローカル番組にも関わらず常に上位にランクインされていた。
  • 「うまくらウォーズ3」という軍人将棋を作成、駒には明石や安達、更にはPTAなどの名がつけられた。これはAコープ(JA)におかれた申し込み葉書(ハウス『うまいっしょ』のノベルティとして置かれた)のみ応募可能で、落選者には将棋盤と駒が印刷された用紙が送られた。
  • 1989年11月27日にはSTVラジオの道内各放送局(札幌、函館、旭川、釧路、帯広、北見)のローカル送出システムを活用して、6エリア別の同時多元放送が行われた。それぞれのエリアでキーワードを発表し、すべて集めて応募するとプレゼントがもらえる企画があった。
  • 放送開始を前にして、アシスタントパーソナリティーの公募が行われた。中学生から主婦層まで多数の応募があり、明石らの前で「得意技」を見せるオーディションが行われた。最年少は地元の中学生で、耳を動かすという技を見せ明石らに大うけだったが、不採用であった。

番組の終了

番組晩年には「モーホーの見分け方」という同性愛者をからかうようなネタを放送した(1993年11月頃)ことがきっかけで人権団体(札幌ミーティング)から抗議があったことから、ハウス食品がスポンサーから降板し、その後はスポンサー無しで放送されていた。しかしその後も人権団体からの抗議が止まなかったことや、『船守さちこのスーパーランキング』枠拡大に伴う改編も重なり、結果的に1995年10月6日をもって8年間の歴史に幕を閉じた[3]。なお、番組終了までの会員総数は8,269名だった。

脚注

  1. 但し、金曜日のコーナー「ボツボ13」(ボツネタを紹介するコーナー)で紹介された場合は会員証やシールはもらえない。逆にこのコーナーで明石やスタッフのミスを指摘する投稿を読まれた場合は会員証やシールがもらえる。
  2. いずれも1988年2月26日の放送にて紹介された。
  3. なお、ニッポン放送古田新太と犬山犬子のサンデーおちゃめナイト』でも同様の事件が起きている(すぐには打ち切られなかったものの、番組本が回収されている)。

外部リンク

ポッドキャスト『STVラジオ福袋』にて当番組が再構成されたものが配信される(会員登録者に限り、バックナンバーが確認できる)。