レッドマン

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レッドマンとは、


レッドマンは、円谷プロダクションが製作し、1972年4月24日から10月3日まで、日本テレビ系の子供番組『おはよう!こどもショー』内で放送された、特撮コーナードラマの名、及び主人公の名である。

放映時間は1回当たり5分間、月曜から土曜の朝7時30分頃 - 7時35分頃放送。1話完結、または2話完結。全138話。

概要

ウルトラファイト』と同様、レッドマンとウルトラ怪獣が戦う格闘番組である[1][2][3]テンプレート:Sfn。『おはようこどもショー』がマンネリ化対策として大幅リニューアルする際に、当時の第二次怪獣ブームに乗じる形で企画された[4][2]テンプレート:Sfn。『ウルトラファイト』との違いは番組に一切ナレーションがないことと、本編の前後で怪獣おじさん(朝戸鉄也)が登場して怪獣の解説をしていたことが挙げられる[1][3][5]

登場怪獣は『帰ってきたウルトラマン』に登場したものを中心にしつつ、他の円谷プロ作品に登場した怪獣も登場している[1][3][6]。巨大な超人と怪獣の戦いという設定から格闘シーンには重々しい効果音が入る。造成地や野山を主な撮影ロケ地としていた。

長らく再放送がなく、映像メディアもLDボックスのみという状態だったが、2013年4月13日にCS放送のチャンネルNECOで当時の関係者やその回に登場する怪獣の簡単な紹介も挿入した上で再放送された。また作中ではレッドマンの新規スーツのアクションシーンも放映された。

2013年にウルトラマンが「最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」としてギネス世界記録に認定された際には、本作もウルトラマンの派生作品の一つに数えられている[7]

キャラクターとしてのレッドマン

レッドマンは、レッド星雲のレッド星からやってきた平和を愛する戦士。身長42メートル、体重3万トン。

その名の通り全身がを基調としたデザインで、顔や胸・背中の模様や手袋・ブーツ・ベルトが銀色で意匠されている。頭部は中国の辮髪帽をかぶっているウルトラマンのようなルックスで、耳は独楽の上にアンテナ状のものが立った形状になっている。

番組の構成上、怪獣が街中に出現して悪さをする場面がなく、冒頭で野原などを徘徊している怪獣を発見したレッドマンが猛然と怪獣に挑みかかり戦闘開始となる。そのためレッドマンが一方的に襲いかかっているようにしか見えない場面も見られた。そのことからレッドマンはファンから「赤い通り魔」との異名をとっており、この名称は円谷プロの公式エイプリールフールネタでも使用されている。また、レッドマンにはセリフが存在せず、「イヤッ」「ハッ」などの掛け声と必殺技の名前(「レッドアロー!」など)を発するのみで番組が進行するため、重厚なBGMと相まってどこか重苦しい雰囲気が醸しだされていた。 2013年にチャンネルnecoで放送され、その際に「怪獣たちが次々と襲い、地球を守るために戦っている」というようなナレーションが流れている。

ファイトスタイル

レッドマンは格闘を主とした肉弾戦を得意とする。戦法として、怪獣をパンチキックで弱らせた上でレッドナイフやレッドアローなどの武器でとどめを刺す事が多い。光線を発射するなどの必殺技はあまり使われなかった。フィニッシュのバリエーションは幾多の特撮ヒーローの中でも群を抜いた多彩さを誇っている。怪獣に馬乗りになってレッドアローで滅多刺しにする、レッドナイフで首をはねる、怪獣の頭部を何度も地面に叩きつけた後に頚椎をへし折る、怪獣を崖から投げ落とすなど、手際の無骨さは作中に一種異様な印象を与えている。決着後は倒した怪獣を見下ろすように仁王立ちし、胸を張ってやや上方を見上げるのが通例。稀にナチス式敬礼にも似たポーズを取ることがある。

作中でレッドマンは過剰な攻撃性を表していた。以下に数例を示す。

  • 戦う意志が無く、逃げようとしている怪獣に対して「レッドファイト!」と叫び、無理やり戦闘を仕掛ける。
  • 既に倒れて動かなくなっている怪獣に、とどめとしてレッドアローを突き刺す。数体いる場合には念入りに一匹一匹突き刺していた。
  • 既に決着がついたにも関わらず、戦いで受けたダメージで動けない怪獣を崖っぷちまで引きずっていき、そこから(レッドフォールで)投げ落とす。

この作品における怪獣は戦闘で倒されても爆発や消滅などはせず、死体はその場に残るという特徴がある。そのため、怪獣の死体を放置したままレッドマンがその場を立ち去る(レッドアローなどの武器もそのまま置いていく)という場面がラストシーンとして多用された。

なおレッドマンは設定上は空を飛ぶことが可能だが、戦闘終了後は徒歩で帰る描写が多い。

必殺技と武器

レッドパンチ、レッドキック
レッドマンの基本戦法。ヒットした際の効果音から威力はかなりのものと推測される。強烈な打撃のみで怪獣を倒すこともあった。レッドキックは跳び蹴りや、前転するようにして敵の目の前で倒立、同時に顔面を蹴るというアクロバティックな技をつかいとどめを刺すことが多かった。
レッドチョップ
怪獣の頭部へ打ち下ろしの手刀を叩き込む。ジャンプなどの予備動作で落差を付ける場合が多い。レッドキックとこの技は繰り出す際「レッドチョップ!」「レッドキック!」という専用の掛け声がある。
レッドアロー
アローと名付けられているがいわゆる手槍である。石突が十字架の形をしている。戦闘の最中にどこからともなく取り出す。手に持った状態で相手を突き刺す、投擲武器として用いるなど汎用性が高い。また、至近距離からの投擲では怪獣の胴体を二体まとめて串刺しにするほどの驚異的な貫通力を誇る。また、刺さると爆発する(本体は残る)ことも。
レッドナイフ
大型のナイフで、短剣と呼べるほどのサイズである。先端に向かって刀身の幅が広がる独特の形状をしている。レッドアローと同じく、どこからともなく取り出す。レッドアローほど凝った造形ではないが殺傷能力は抜群。先端から「レッドショット」として弾丸を発射することも可能。また、レッドアローと同じく投擲武器として用いる場合もあり、レッドナイフが命中した部分は発火炎上する。初期のころは2本使用していたが(2013年再放送時にもそう解説された)、後に3本目も登場。
レッドフォール
怪獣を頭上に高々と持ち上げ、崖から谷底へ投げ落とす技。主に虫の息になった怪獣へのとどめに使用するが、ゼットンのような強敵に対しては打つ手無しと見たのか半ば強引に谷底へ叩き落として勝負をつけてしまったこともある。
レッドサンダー
腕先から発射する破壊光線。使用したのは第137話でシュガロンに放った1回のみ。
分身
第136話で使用。2人になってグドンとビーコンと戦った。

未登場怪獣

当初は既存の怪獣だけでなく新怪獣も出る予定だった[4]テンプレート:Sfn。以下の三怪獣は設定画が存在する。

テンプレート:Anchor
  • 体長:55メートル
  • 翼幅:46メートル
  • 体重:1万5000トン
暗黒星雲のR星出身。
テンプレート:Anchor
  • 体長:48メートル
  • 体重:5万トン
ミッド星人が作った地球侵略用ロボット。
テンプレート:Anchor
  • 身長:52メートル
  • 全長:75メートル
  • 体重:3万4000トン
アリゾナの地底に生息。口から火炎を吐く。

スタッフ

  • プロデューサー:近藤恒彦
  • 監督:大塚莞爾、安藤達己
  • 助監督:布施修、石田徹
  • 撮影:大岡新一、佐藤和美
  • 照明:伊藤裕二、田中謙二
  • 操演:岸浦秀一
  • 音楽:山下毅雄
  • 制作:円谷プロダクション

主題歌、イメージソング

  • 主題歌:「レッドマン」
  • イメージソング:「夕陽のレッドマン」
    • 作詞:藤公之介/作曲:山下毅雄/編曲:広瀬雅一/歌:子門真人(東宝レコード DS-1003)

主題歌には、メロディーがまったく異なるNGバージョンが存在する。このNGバージョンは、2番以降も1番の歌詞が繰り返し歌われている。

出演

放映リスト

サブタイトルは存在しない。

放送日 話数 登場怪獣
1972年
4月24日
1 ダークロン
4月25日 2 ブラックキング
4月26日 3 アーストロン
4月28日 4
4月29日 5 ブラックキング
5月1日 6 ガラモン
5月2日 7 イカルス星人
5月3日 8 ドラコ
5月4日 9 イカルス星人
5月5日 10 ガラモン
5月6日 11 ドラコ
5月8日 12 ペギラ
5月9日 13 ジラース バルタン星人
5月10日 14 ゴーロン星人 ペギラ
5月11日 15 ジラース
5月12日 16 バルタン星人
5月13日 17 ゴーロン星人
5月15日 18 ゴモラ
5月16日 19 ウー カネゴン
5月17日 20 ゴモラ
5月18日 21
5月19日 22 メフィラス星人
5月20日 23 ゴモラ
5月22日 24 ウー
5月23日 25 メフィラス星人
5月24日 26 サドラー ダンガー
5月25日 27 ゴーストロン
5月26日 28 サドラー
5月27日 29 ゴキネズラ ダンガー
5月29日 30
5月30日 31 エレキング テレスドン
5月31日 32 ノコギリン
6月1日 33 キングマイマイ
6月2日 34 テレスドン
6月3日 35 サータン ベムスター ノコギリン
6月5日 36 ビーコン
6月6日 37
6月7日 38 ノコギリン ビーコン
6月8日 39 ベムスター
6月9日 40 サータン
6月10日 41
6月12日 42
6月13日 43 グロンケン
6月14日 44 ザウルス
6月15日 45 キングストロン
6月16日 46 グロンケン
6月17日 47 ザウルス ステゴン
6月19日 48
6月20日 49 ステゴン グロンケン
6月21日 50 キングストロン
6月22日 51 ミステラー星人
6月23日 52 アーストロン
6月24日 53 サータン
6月26日 54 ミステラー星人
6月27日 55 アーストロン
6月28日 56 サータン ミステラー星人
6月29日 57 ゴーストロン ペギラ
6月30日 58 ザゴラス
7月1日 59 テレスドン
7月3日 60 エレキング
7月4日 61 ジラース
7月5日 62 コダイゴン
7月6日 63 ドラコ
7月7日 64 ウー
7月8日 65 イカルス星人
7月10日 66 グラナダス ドラコ
7月11日 67 テレスドン ガラモン
7月12日 68 エレキング ザゴラス
7月13日 69 コダイゴン ガラモン
7月14日 70 エレキング ジラース
7月15日 71 イカルス星人
7月17日 72 ウー
7月18日 73 ガラモン ドラコ
7月19日 74 テレスドン エレキング
7月20日 75 イカルス星人 ジラース
7月21日 76 ガラモン ウー
7月22日 77 ドラコ
7月24日 78 テレスドン
7月25日 79 ガラモン
7月26日 80 ペギラ ゴーストロン
7月27日 81
7月28日 82 グロンケン プルーマ
7月29日 83
7月31日 84 ゴーストロン
8月1日 85 ペギラ
8月2日 86 ササヒラー
8月3日 87 ケンタウルス星人
8月4日 88 ゴーストロン
8月5日 89 ペギラ
8月7日 90 ササヒラー ゴーストロン
8月8日 91 ペギラ
8月9日 92 ゴーストロン
8月10日 93 ササヒラー
8月11日 94 グドン レッドキラー
8月12日 95 ゴモラ
8月14日 96 コダイゴン
8月15日 97 グドン ドラキュラス
8月16日 98 レッドキラー ゴモラ
8月17日 99
8月18日 100 ジラース
8月19日 101 ペギラ グドン
8月21日 102 ゴキネズラ レッドキラー
8月22日 103 グドン ジラース
8月23日 104 レッドキラー ペギラ
8月24日 105 グドン ゴキネズラ
8月25日 106 ペギラ
8月26日 107 ジラース レッドキラー
8月28日 108 ザゴラス
8月29日 109 シュガロン ジラース
8月30日 110 グドン
8月31日 111 シュガロン
9月1日 112 サドラ
9月2日 113 ザゴラス グドン
9月4日 114 イカルス星人
9月5日 115 グドン
9月6日 116 サドラ シュガロン
9月7日 117 グドン
ザゴラス
9月8日 118 イカルス星人
9月9日 119 シュガロン
9月11日 120 ドラキュラス
9月12日 121 バット星人 イカルス星人
9月13日 122 ビーコン サドラ
9月14日 123 ドラキュラス バット星人
9月15日 124 ビーコン イカルス星人
9月16日 125 サドラ ドラキュラス
9月18日 126 バット星人 ビーコン
9月19日 127
9月20日 128 ドラコ
9月21日 129 ゼットン二代目
9月22日 130 コダイゴン
9月23日 131 サドラ
9月26日 132 ドラコ ゼットン二代目
9月27日 133 コダイゴン サドラ
9月28日 134 ドラコ ゼットン二代目
9月29日 135
9月30日 136 グドン ビーコン
10月2日 137 シュガロン
10月3日 138 エレキング

映像ソフト化

余談

  • 本作は長期に渡ってネガフィルムの所在が不明となっていたため、1980年代に発売された書籍では、「リハーサルフィルムにて撮影されたためにネガが存在せず、ニュープリントは絶望的である」[8]と紹介してあるものも存在する。しかし、テンプレート:要出典ただし、オープニング映像が発見されていない。
  • ネガフィルムの発見に数年ほど先駆けて円谷プロの保管庫からモノクロのラッシュフィルム数本が発見され、これによってネガの存在が推測されることとなった。このラッシュフィルムは、ハミングバードより「ウルトラマンタロウ」のLDソフトが発売された際、新規に主題歌のカラオケをBGMとして付けたうえで最終14巻の映像特典として収録されている。
  • 放送当時の資料は一部散逸しているため、正確な放送期間が公式の記録として残されておらず、一時期は放送回数さえ不明だった。現在公表されている放送期間は、のちに『ウルトラマンAGE』(辰巳出版)で円谷プロ作品年表を作る際に、新聞の記述や当時の視聴者の証言などから編集部が「信頼性が高い」と判断した情報を基にしたものであり(この年表自体、新たな情報が得られるたびにそれを検証したうえでの修正が繰り返されていた)、現在も異説が存在する。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプテンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:前後番組 テンプレート:おはよう!こどもショー

テンプレート:Asbox
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Harvnb
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Cite book
  3. 3.0 3.1 3.2 テンプレート:Harvnb
  4. 4.0 4.1 テンプレート:Harvnb
  5. 『メーキング・オブ・円谷ヒーロー・1』 講談社〈講談社X文庫〉、1987年、112頁。
  6. 『メーキング・オブ・円谷ヒーロー・1』 113頁。
  7. テンプレート:Cite web
  8. 『メーキング・オブ・円谷ヒーロー・1』 114頁。