ミームいろいろ夢の旅

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/Footerミームいろいろ夢の旅』(ミームいろいろゆめのたび)は、日本の日本アニメーションが制作した科学教養アニメである。1983年4月3日から1985年9月29日にかけてTBS系列で全127話、番外の実写特別編が2回放送された。TBSおよび同時ネット局の放送日時は毎週日曜日午前11:00から11:30。1984年厚生省児童福祉文化奨励賞受賞作品[1]

内容

子供にも親しみやすい表現方法のアニメーションを用い、解説役のキャラクター「ミーム」が科学に関する様々な事柄を分かりやすく説明する教養番組である。この概念は同じTBSで放送された『まんがはじめて物語』と類似するが、本作に実写パートは存在せず、すべてアニメーションで構成される。扱われた事柄については数回の話数に渡り深く掘り下げる、専門用語が解説されるなどより詳細な説明がされた。

当時の電電公社、さらに民営化したNTT一社提供番組として制作・放送された。このため物語には同社の動向、電話通信に関する話題がふんだんに盛り込まれ、広報番組としての役割も果たした。特に当時同社が実用化に向け実験を進めたINS[2]は番組内で頻繁に紹介され、物語設定にも組み入れられた。

製作は日本アニメーションであるが、ほぼ同じスタッフがこの番組終了後「宇宙船サジタリウス」を手がけている。

この番組は全127話が約2年半の長期にわたり放送されたが、放送途中の2年目51話以降には登場人物や設定など内容の大幅な変更が加えられた。

1話-50話

1年目50話まではレギュラーキャラクターをミームと大谷大助・さやかの兄妹とし、歴史上の偉人とその業績[3]コンピュータ[4]ロボット工学[5]、通信手法と技術の発展[6]などを題材とした教育的な内容で占められた。物語は毎回さやかの疑問に答えられない大助がミームを呼び出し、ミームが2人の質問に答える形式で始まる。

番組初期は偉人とその業績の紹介を主とし、ミームがそれらを大助とさやかに説明する形式を取った。中期以降はシミュレーションとして全員でコンピュータの中に飛び込む、あるいは夢オチとして、極地や砂漠・宇宙を探索する、過去の世界へタイムトラベルをする、コンピュータネットワークが発達した未来世界を擬似体験するなど、特にSF要素の強い長編が制作されるようになった。

物語設定

海のむこうへ沈む夕日を見ていた大助とさやかの兄妹。大助は太陽ではなく地球の方が動いているのだとさやかに教えるが、詳しく説明することはできなかった。帰宅した2人はこのことを調べようとマイコン[7]を使い、ガリレオ・ガリレイについて検索する。その最中、マイコンの画面から突如「ミーム」が飛び出した。これ以降2人はマイコンからミームを呼び出し、疑問に思うことを尋ねるようになった。

51話-127話

2年目51話以降にはミームと関わる子供たちが大谷兄妹から強い個性を持った「科学探偵団」の7人に交代するなど設定の改変がされた。このキャラクター交代に伴いオープニングアニメーションも一新された。

以前の教育的・説明的な内容は弱まり、物語にはコメディー要素や日常色が盛り込まれた。プラスチックや木材などの素材[8]天気の発生[9]血液型性格分類の信憑性[10]など日常生活から発生する素朴な疑問、放送当時開催されたロサンゼルスオリンピックに関連した古代オリンピック[11]スポーツの話など[12]、視聴者の子供達にとって身近な題材が取り上げられた。

物語設定にはINSが組み込まれ、作中のINS端末機は電話機キーボードファクシミリを兼ねたプリンターディスプレイ ビデオカメラなど、多数の機器が付けられたパソコンの姿で描かれた。後の世代では当たり前となったさまざまな情報サービスの検索、自宅からのネットバンキング電子商取引、双方向テレビ番組への参加、在宅勤務・学習などが、番組内ではINSによる通信網・ケーブルテレビキャプテンシステムなどのニューメディアとコンピュータの普及により実現する近未来の技術として紹介された。

電電公社がパビリオンを出展した科学万博つくば'85に関する話題も番組内で積極的に採り上げられた。物語中では登場人物が万博開催までの日数などを話題とし[13]、各パビリオンの紹介を目的とした話も制作された[14]。特別企画として万博開幕当日の1985年3月17日にはアニメの放送に代わり万博会場からの実写生中継が行われた。科学万博閉幕直後の1985年9月29日に番組は終了した。

物語設定

モニター地区として全世帯にINSを導入し、通信端末となるパソコンが配布されることになった桜町(さくらまち)が舞台。子供たちは早速パソコンを使いこなし、自宅にいながら友達と一緒にコンピュータゲームをしたり、テレビ電話で話をしたりと大喜び。しかし、しだいに大人がパソコンを占有するようになってしまう。この状況に不満を持ったサトルなど科学探偵団の子供たちは、ガラクタから部品をかき集めて自分たちだけのパソコンを作る計画を立て、なんとか完成させる。そこにミームが現れた。

登場するキャラクター

ミーム
声- 藤田淑子
豊富な科学知識を持つ本作の主役であり解説役を務めるキャラクター。面倒見のよい姉御肌といった性格で、子供たちに様々な科学知識を教えてくれる。口数が多い為に、時には子供たちからお節介でやかましい奴と言われることもある。自分のことを「わたし」「あたし」と呼ぶなどの言葉遣い、正月に振袖を着るなどの行動から女性と推測できるがはっきりしたことは不明。外見の特徴は人間の頭くらいの背丈、白い体と手のかわりもするピンク色の長い髪の毛(自分でもどこまでが髪の毛でどこからが手なのかわからないらしい)。空中を自在に飛び回って移動し、電話回線などの通信網や電気回路の中を自在に移動できる能力を持つ。
このキャラクターはリチャード・ドーキンスの提唱した「ミーム」に発想を得たものだが、作品中で彼やその主張について詳しく説明される機会はなかった。番組初期にはその回で紹介する「偉人のミーム」を名乗り登場した。

1話-50話

大谷 大助(おおたに だいすけ)
声 - 神保なおみ(28話まで)→山岡葉子(29・30話 神保の代役)→小宮和枝(31話以降)
小学生の少年。12歳。宿題をするのを嫌がったり後回しにしたりと面倒くさがりな性格。自分のパソコンを持っておりその扱いには慣れている。ヨットのマークが描かれた青いシャツをいつも身につけている。高層マンションに住んでおり、同居している家族には父親と母親、妹のさやかがいる。
大谷 さやか(おおたに さやか)
声 - 室井深雪(現・深雪さなえ)
大助の妹。8歳。何かにつけて兄に注意や質問をするしっかり者。ミームの説明を簡潔にまとめることが多い。大助と色違いの赤いシャツを身につけている。

当初この2人はただミームの話を聞き質問をするだけの立場で名前が付けられておらず、エンディングの配役紹介では単に「少年」「少女」と表記されていた。しかし物語にシミュレーションの要素を取り入れた16話「氷の海を行く 北極」で初めて名前が明らかにされた。

51話-127話

科学探偵団のメンバー

大空 サトル(おおぞら サトル)
声 - 山田栄子
小学生の少年。科学探偵団のリーダー的な存在で鶏のトサカのような髪型が特徴。性格はお調子者で、遊ぶことと野球などスポーツが大好きだが勉強は苦手。科学探偵団で結成した、地元の少年野球チーム「チェリーズ」のピッチャーを務めている。父親はサラリーマンの一平(いっぺい)、母親は専業主婦の信子(のぶこ)。
大空 マリ(おおぞら マリ)
声 - 室井深雪(89話まで)→原えりこ(90話以降)
サトルの妹で、兄と同じような髪型に赤毛と八重歯が特徴。すぐ泣いたり笑ったりと感情の起伏が激しい。サトルのことはダメ兄貴と思っている節もある。科学探偵団はマリを除き全員サトルの同級生で結成されているため、メンバーの中では一番年下となる。
薬師寺 ひろ子(やくしじ ひろこ)
声- 富沢美智江(現・富沢美智恵)
しっかり者でおしとやかな性格、かわいらしい外見の少女。ミームの話を簡潔にまとめて質問を返すなど物分りがよく、学校の成績も優秀。科学技術への興味が強くアマチュア無線の免許を所有。家族には父親と母親、社会人の姉がいる。その性格と容姿からサトルは彼女に好意を持っている。
博士(はかせ)
声 - 小宮和枝
メガネを掛けており、誰とでも敬語で話す生真面目な少年。科学探偵団の頭脳ともいえる存在で、皆からも頼りにされているが多少頑固な面もあり、時には暴走することもある。科学探偵団が使用するパソコンの「レインボー」や、ロボットのピコ等は彼が中心となって製作した。ひろ子と同様にアマチュア無線の免許を所有。
大沢 武(おおさわ たけし)
声 - 青木和代
小学生には似つかない巨体を持つ少年。背格好は身長165センチ、体重75キログラムと、大人と同じくらいかそれ以上ある。食いしん坊の大食漢。常にチェリーズの野球帽を被り、冬でも横縞のランニングシャツ、緑色の半ズボンの服装を貫いている。科学探偵団は彼のおじが所有する廃ビルの地下室、その後建て替えられたビルの屋上を借り、そこを集会場所としている。
笠原 光男(かさはら みつお)
声 - 坂本千夏
色黒で小柄な少年。武と同じようにいつもチェリーズの野球帽をかぶっている。スポーツ全般が得意で、クラス選抜の400メートルリレーではアンカーを務める。個性的な面々の多い科学探偵団の中ではあまり目立たないが、マリに縄跳びを教えたり犬を飼ったりと面倒見のよい性格。途中で北海道へ引っ越した為にレビュラーメンバーから外れたが、夏休み中のエピソード等で再登場した。
秋子(あきこ)
声 - 頓宮恭子
メガネを掛けており、威勢のよい言葉遣いをする、外見は丸っこくやや太めの少女。食べることが何よりも好きで、スナック菓子やハンバーガーなどのジャンクフードをいつも持ち歩いてはパクついている。父親はケーブルテレビ局の職員。途中で熊本県へ引っ越した為にレビュラーメンバーから外れたが、夏休み中のエピソード等で再登場した。
早崎さん(はやさきさん)
声 - 島田敏
桜町派出所に勤務するおまわりさん。おっちょこちょいで恋多き性格な為、科学探偵団のメンバーによくからかわれるコメディリリーフ的なキャラクター。

ロボット達

ピコ
博士が作ったオリジナルロボット。二足歩行が可能だが自律行動はできない。無線電話を使って音声認識によるリモコン遠隔操作や、内蔵されたカメラによる映像や音声の中継・記録、操縦側の声による会話、タイマー録画や撮影など様々な機能を有する。しかし、転倒しても自力で起き上がれないなど未完成部分も多く、後にミームのアドバイスにより改良。ミームが中のコンピューターに入って操作も可能。
玉三郎(たまさぶろう)
声 - つかせのりこ
ミームが作った雑用ロボット。しかし、最初のプログラムのインストール時に、間違えて演歌のカセットテープを入れてしまった為、演歌を歌うカラオケロボットになってしまった。リモコンなどで操られることなく、自分で思考・行動が可能な完全自立ロボット。語尾に「マル」と付ける口癖を持ち、感情表現を行うなど、およそロボットとは思えない行動を取る。普段は従順で命令もちゃんと聞くが、頭に強い衝撃を与えると性格が豹変し、梅沢富美男の「夢芝居」等の演歌を歌いまくる。秋子が熊本県へ引っ越す際に引き取られ、一緒に九州へ行った為にレギュラーメンバーから外れたが、夏休みのエピソードで再登場。第126話では再び東京へ送り返された。
オム
声- 坂本千夏
サトルとマリの叔父にあたる大作(だいさく)が、イギリスの知り合いから貰った探偵ロボット。正式な名称はシャーロック・ホームズからその名を拝借したSHERLOCK 00M(シャーロック ダブルオーエム)だが、長すぎて言いづらいとの理由から「オム」の愛称が与えられた。音声認識機能で命令を聞いて行動するが、最初は英語でしか認識できず、しかも誰の命令でも聞くなど未完製品で、誰でもワトソン君と呼ぶなど欠陥も多かった。その後、科学探偵団のメンバーにより日本語フォーマットに変更され、音声認識もメンバーの声以外の命令は聞かないように改良された。本体にモニターやマイコンを内蔵しており、無線電話回線でネットにも接続可能。これにより、オムから直接ミームを呼び出すことも可能。その他にも各種のセンサを備えるなど様々な機能を有する。他のロボットとは違い、二足歩行ではなくキャタピラよって移動する。

スタッフ

主題歌

いずれも発売元は日本コロムビア

オープニングテーマ - 『ポケット宇宙』
作詞 - 武鹿悦子 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 青木望 / 歌 - 山野さと子コロムビアゆりかご会
エンディングテーマ - 『ちいさいかわのうた』
作詞 - 武鹿悦子 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 青木望 / 歌 - 大杉久美子

ED映像は一貫して不変だったのに対し、OP映像は「大谷兄妹編」と「科学探偵団編」の2種類が有り、更に後者は第101話までの物と、光男と秋子が去り、代わりにオムが入った第102以降の物が或る。

ネット局

無印=同時ネット局 ※=時差ネット局  (注)毎日放送は第1回目放送は『選抜高等学校野球大会』準決勝戦中継の関係で1983年4月9日(土曜日)16:00から。

映像ソフト

  • 放送当時、第1話から第26話(大谷兄妹編)がVHD化されたが、VHDが製造廃止されたため全話は映像ソフト化されてない(「科学探偵団編」に至っては皆無)。
  • 現在は、東映ビデオから発売6レンタルされた「TVヒーロー主題歌全集 16」(日本アニメ編2。VHS)と、「日本アニメTV主題歌大全集」(VHS、LD、DVD)でOP・EDを見る事が出来る。なおOP映像は、VHSは「大谷兄妹編」時代の物のみ収録、LDとDVDではメインに「大谷兄妹編」時代を収録し、「科学探偵団編」時代(2期とも)はボーナストラックに収録されている。

関連項目

脚注

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外部リンク

テンプレート:前後番組

  1. テンプレート:Cite web
  2. Information Network System(高度情報通信システム)の略。NTTによるISDNのサービス名。
  3. 1話「それでも地球は…」ではガリレオ・ガリレイの半生と地動説を中心に紹介した。
  4. 31話「夢のコンピュータ物語」ほか。
  5. 35話「ロボットを作ろう(全4回)-1-」ほか。
  6. 47話「言葉と文字のはじまり」ほか。
  7. マイクロコンピュータの略。当時多用されたパーソナルコンピュータの呼び名。
  8. 59話「石油を着たり食べたり…」、125話「きられても生きている木」ほか。
  9. 87話「天気予報と忘れた傘と…」
  10. 114話「血液型に強くなる方法」 この話ではABO式以外にも多数の血液型分類方式が存在することを説明し、血液型性格分類を否定した。
  11. 68話「遠い昔のオリンピック!?」
  12. 69話「0.1秒でも速く泳ぐには」ほか。
  13. 85話「万国博覧会ってなあに?」 この話では科学万博まで105日と紹介された。
  14. 86話「科学万博・つくば'85」 この話では科学万博まで98日と紹介された。