ミノムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:出典の明記 テンプレート:生物分類表 ミノムシ(蓑虫)は、ミノガ科学名: テンプレート:Sname)の幼虫。一般には、その中でもオオミノガの幼虫を指す。

幼虫が作るが、で作った雨具「」に形が似ているため、「ミノムシ」と呼ばれるようになった。

形態・生態

多くの成虫は、も持たないが、脚を残している種や痕跡的に退化した翅を持つ種もある。中にはヒモミノガ類のように雌が同様に羽化する種も存在する。

幼虫はバラ科カキノキ科などの果樹や、サツキ等のを、特に7月から8月の梅雨後の夏期食害する。摂食後の枯葉や枯枝に粘性の糸を絡め、状のを作って枝からぶら下がる。

下位分類

ミノガ科には日本列島では20以上の種が属している。

人間との関わり

ミノムシは身の回りの繊維であれば、葉や枝でなくても、蓑を作り上げる。このため、毛糸くずや細かく切った色紙の中に蓑を取り去った幼虫を入れると、色鮮やかな蓑を作り上げる。子供の遊びとして広く知られていた。

ミノムシはに蓑を作るため、俳句では秋の季語となった。ミノムシ自体は発声器官を持たないのだが、季語では「蓑虫鳴く」と扱われている。一説によれば、これは秋の深い頃まで枝先で鳴くカネタタキの鳴き声であるという。

ミノムシが登場する作品

  • 随筆
    • 枕草子』 - 「蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも恐しき心あらんとて、…八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く、いみじうあわれなり」(ちなみにミノムシが鳴くことはないため、誤解も含まれていると思われる)
  • 俳句

類似の虫

同じように糸で体を包んで、移動する巣を作るガは他にもある。家屋内ではイガが小さいながらも同じような巣を作る。

ミノガ同様、雌の翅が退化する種類のガにテンプレート:仮リンクがある。フユシャク類の雌は翅を全く持たないか、小さく退化した翅を持つ。その代わり胴体や脚は雄より発達している。ミノガの雌と違う点として、ミノガの雌は蛹の段階から翅が無いのに対し、フユシャク類の雌は蛹の段階では翅があるように見える。羽化後に餌を摂らないのもミノガと共通している。

他にもドクガの一種に雌の翅が退化する種がある。夏に発生する雌は翅を持つが、秋に発生する雌のみ翅が退化するヒメシロモンドクガのような特異な種もある。

また、トビケラ類の幼虫は水生昆虫であるが、多くの種が同じような巣を作る。

オオミノガ

テンプレート:生物分類表 オオミノガ(大蓑蛾、学名: テンプレート:Snamei)は、チョウ目ミノガ科に属する昆虫。ヤマトミノガともいう。

形態

日本産で最も大きなミノムシ[1]

成虫が「」の形になるのはに限られる。雄は退化しており、などを吸うことはできない。雄の体長は30〜40mm。は無翅、無脚であり、形は小さいに、小さなと体の大半以上を腹部が占める形になる(また、雄同様口が退化する)。したがって「ガ」にはならず、蓑内部の蛹の殻の中に留まる(性的二形)。

生態

雄は雌のフェロモンに引かれて夕方頃飛行し、蓑内の雌と交尾する。この時、雄は小さな腹部を限界近くまで伸ばしの殻と雌の体の間に入れ、蛹の殻の最も奥に位置する雌の交尾孔を雄の交尾器で挟んで挿入器を挿入して交尾する。交尾後、雄は死ぬ。その後、雌は自分が潜んでいた蓑の中の蛹の殻の中に1,000個以上のを産卵し、卵塊の表面を腹部の先に生えていた淡褐色の微細な毛で栓をするように覆う。雌は普通は卵が孵化するまで蛹の殻の中に留まっていて、孵化する頃にミノの下の穴から出て地上に落下して死ぬ。

20日前後で孵化した幼虫は蓑の下の穴から外に出て、そこから糸を垂らし、多くは風に乗って分散する。葉や小枝などに到着した1齢幼虫はただちに小さい蓑を造り、それから摂食する。6月から10月にかけて7回脱皮を繰り返し、成長するにつれて蓑を拡大・改変して小枝や葉片をつけて大きくし、終令幼虫(8令)に達する。主な食樹は、サクラ類、カキノキイチジクマサキなど[2]

秋に蓑の前端を細く頸って、小枝などに環状になるように絹糸をはいてこれに結わえ付けて越冬に入る。枯れ枝の間で蓑が目立つ。越冬後は普通は餌を食べずにそのまま4月から6月にかけて蛹化する。そして6月から8月にかけて羽化する。

分布

日本列島本州四国九州対馬屋久島沖縄本島宮古島石垣島西表島[3]に分布する。本種は東南アジアに広く分布する テンプレート:Snamei と同じ種であるという説も有力である。

近年は後述する外来種ヤドリバエによる寄生により生息個体が激減しており、各自治体レッドリスト絶滅危惧種に選定されるようになってきている。

オオミノガヤドリバエによる寄生

オオミノガを初めとして、日本ではミノムシは広く見られる一般的な昆虫であったが、1990年代後半からオオミノガは激減している。原因は、オオミノガにのみ寄生する外来種のヤドリバエ科オオミノガヤドリバエ (テンプレート:Snamei) である。テンプレート:要出典範囲

オオミノガヤドリバエは、主にオオミノガの終令幼虫を見つけると、摂食中の葉に産卵し、卵は葉と共に摂食される。口器で破壊されなかった卵はオオミノガの消化器に達し、体内で孵化する。テンプレート:要出典範囲(さらに、オオミノガヤドリバエ自体に寄生する寄生蜂が見つかっている)。

テンプレート:Wikispecies-inline

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:Sister テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:Animal-stub
  1. イモムシハンドブック』 51頁。
  2. 昆虫の食草・食樹ハンドブック』 53頁。
  3. 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「dji」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません