サイド
サイドは、アニメ作品群ガンダムシリーズのうち、宇宙世紀を舞台にした作品で用いられる架空の宙域名である。宇宙での一部の宙域名の接頭語で、後ろに番号を付ける事でスペースコロニーの集合体を指している。
目次
概要
各サイドは、地球と月のラグランジュポイントを巡る軌道に設置されており、建造順に番号が振られている。初期設定ではルナツー側とのラグランジュポイントを含めて各地に1サイドずつが配置されていたが[1]、現在の設定ではルナツーはサイド7と共にL3点付近に配置され、その他のサイドも月とのラグランジュポイントにのみ配置されるようになっている。『機動戦士ガンダム』とそれ以降の作品では一部のサイドの場所と番号がずれているため、一年戦争後の再建時に改称されたと推測される。
作品にもよるが、1つのサイドで1億〜20億人程度の人口を持つとされる。漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、1つのサイドで1億2000万人前後の人口とされている。また劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』では、サイド3の総人口が1億5000万人と語られている。しかし、ラポート社の『機動戦士ガンダム 宇宙世紀vol.1 歴史編』などの設定資料では、1つのサイドで10億人、サイド3, 5のみ20億人とする説が取られている。
なお、『機動戦士ガンダム』の総監督・富野喜幸(現・富野由悠季)が放映4ヶ月前に纏め上げた「機動戦士ガンダム設定書」によると、スペースコロニーは「全長32キロ、直径6キロの円筒の中に3600万人を収容する人工の宇宙植民地」で、「その一台を一バンチ」と呼称し、「1サイドは36〜40バンチ、1バンチ3600万人として、1サイドに13億人移住」とされている[2]。
漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、サイド3の居住用コロニーが約40基、1基当りの収容人口を約1,000万人としているが、一年戦争時は出兵・疎開により人口は3分の1以下に減少した結果、戦争末期の12月の総人口は1億5000万人になっているとされている。その他のサイドについてはいくつのコロニーがあるのかは不明。
サイド全体についている愛称の語源については、関連書籍に記述がまったくなく、不詳である(広く用いられたのは『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』から)。この愛称は「機動戦士ガンダム設定書」で既に使用されており、サイド7のみ草案及び設定書で使用されていた「トア」から「ノア」に変更されている[3]。
宇宙における生活拠点はサイドや月以外にも、独自の軌道を取るコロニーや宇宙要塞等が存在している。また、ラグランジュポイント付近にはしばしば戦乱で破壊されたコロニーの残骸などのスペースデブリが集積して暗礁宙域が形成され、反地球連邦勢力の拠点となることもあった。
スペースコロニー
宇宙世紀のスペースコロニーのほとんどはシリンダー型で3枚の採光ミラーを持つ「開放型」だが、サイド3だけはミラーのない「密閉型」(開放型の採光ミラーの代わりに人工太陽灯を光源に用いるタイプ)が主流である。開放型コロニーの採光部は「河」と呼ばれる。なお、シリンダー型コロニー1基の人口についても300万人という説や1500万人という説がある。
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、戦後のコロニー再建計画のコロニー移送シーンが描かれているが、シリンダー型コロニーを2基1組にして、互いに逆回転させることでトルクを相殺している。他作品ではそのような描写は見られない。
個々のスペースコロニーは「サイド7・2バンチ」の様にバンチを付けられて表されるが、「グリプス」や「リボー」、「アメリア」等、固有名を持つコロニーもある。一方で「インダストリアル7」の様に、どのサイドにも属していないコロニーも存在する[4]。
コロニー内の交通機関としては主にエレカと地下鉄(ただし、コロニー外壁の外側に設けられた軌道に沿って走る懸垂式モノレールのような形態)が用いられる。
『機動戦士ガンダムUC』ではコロニービルダーと呼ばれる、密閉型コロニーを建造する円盤型ないし缶型の巨大プラント「メガラニカ」が登場。建設途上のコロニーの一端に蓋をするように取り付いたコロニービルダーが、パネルを次々とレールで送り出して繋ぎ合わせていく多層構造のコロニー外壁の構築と、それを追って内装工事と住民入居が並行的に進められていく過程が描かれた。
なお、現時点で宇宙世紀において最も未来の時代を描いた『G-SAVIOUR』においては、本編以前の地球連邦崩壊に伴って、スペース・セツルメントという呼称に改められたという設定になっている。
各サイドの一覧
サイドは数字の小さい順から、コロニーはバンチ(bunch)の数字の小さい順から配置、バンチの数字が不明な場合はコロニーの愛称名を五十音順で配置している。
- ()内はサイドの愛称
- 〔〕はコロニーのバンチの判別記号
サイド1(ザーン)
月と同じ軌道で月より後方のL5点付近にある。人類が最初にスペース・コロニーを建設した空域である。一年戦争の緒戦で大きな被害を受け、またジオン軍の宇宙要塞ソロモンが置かれた。『機動戦士ガンダムΖΖ』の序盤の舞台となった。
- シャングリラ〔1バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』で登場。史上初のシリンダー型スペースコロニー。『ΖΖ』の主人公ジュドー・アーシタ達の出身地でもある。「シャングリラ」(桃源郷)の名前とは裏腹に宇宙世紀0088時点ではジュドーの両親が出稼ぎしなくてはならないほど経済状態は悪化し、行政についても自転速度のコントロールに遅れが生じたまま[5]であったり気象コントロールをほとんどせず何ヶ月も雨を降らせない[6]などサービスのレベルが低下している。ジャンク品を取り扱う中小企業が多く点在する。
- 当初「シャングリラ」の名は『機動戦士ガンダム』において監督の富野由悠季(当時は富野喜幸)が連邦軍本部の地名として提案していたものだったが、オカルト的な名称に批判的だった安彦良和に反対されて不採用となり、地名はジャブローになったという逸話がある。
- エデン〔3バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダムUC』で名前のみ登場。主人公バナージ・リンクスの出身地。
- ケルン〔7バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』で登場。宇宙世紀0122年に連邦軍とジオン残党部隊の戦闘が繰り広げられた場所。
- 13バンチ
- 『宇宙世紀余話』で登場。宇宙世紀0079年1月3日8時2分、ジオン軍のC型ザクIIの核バズーカによる攻撃で破壊される。一年戦争で最初に犠牲となったコロニー。
- 30バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。宇宙世紀0085年7月31日にティターンズがG3ガスを注入して全住民を虐殺、ティターンズの暴虐と恐怖を世に知らしめた30バンチ事件の舞台となったコロニー。事件後はティターンズによって封鎖されており、内部はミイラ化した住民の遺体が散乱していた。
- アルバニアン
- 『機動戦士Vガンダム』で登場。ザンスカール帝国の女王マリアが生まれた地。
- スウィート・ウォーター
- 『機動戦士Ζガンダム』(小説版)、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に同名のコロニーが登場するが、それぞれ場所や形が異なる。
- 『逆襲のシャア』では宇宙戦争の難民を収容する目的で、密閉型と開放型を組み合わせ急造されたコロニー。ネオ・ジオンが宇宙難民の不満を背景に進駐し、総帥となったシャア・アズナブルが演説をおこない地球連邦に対し宣戦布告する。
- 小説版『機動戦士Ζガンダム』では宇宙図を見るとサイド7に存在し、トーラス型となっており人口は一万、その後主流となる巨大なシリンダー型コロニーを建設するための建設基地として建造された歴史的な遺物となりつつある代物とされている。また、ここでシャアはクワトロ・バジーナとしてブレックス・フォーラ、ヘンケン・ベッケナー、レコア・ロンドといったエゥーゴのメンバーと秘密裏にコンタクトをとっている。
- ブッホ
- 『機動戦士ガンダムF91』で登場。複合企業「ブッホ・コンツェルン」の密閉型私設コロニー。軍事関連産業のほか職業訓練校があり、私設兵団「クロスボーン・バンガード」の兵の養成が行われていた。
- ブリガドーン
- 『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』で登場。一年戦争以前からナノテクロノジー産業で名を馳せていた工業用コロニー。宇宙世紀0088年にネオ・ジオンの占領下に置かれてからは、巨大太陽光発電システム「ラーフ・システム」建設の中心地となった。
- ムーン・ムーン
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』で登場。サイド1付近の隕石群の中にあった小さな球型コロニー。元はサイド1建設のために設立された開発基地で、サイド1建設終了と共に放棄されていた。しかし密かに残留を続けている者、不法移住してきた者が集まって生活を続けており、外界との接触を断って独自の生活様式を営んでいた。
- ロンデニオン
- 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で登場。連邦軍の外郭新興部隊ロンド・ベルの拠点が置かれたコロニー。宇宙世紀0093年における地球連邦軍とネオ・ジオン軍の秘密会談の会場ともなった。人口は500万人ほど。
- 小説『機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード』でも数回登場。ハウゼリー・ロナの結婚式が行われる、コスモ・クルス教の神殿建設の予定地に挙げられるなどしている。
サイド2(ハッテ)
月と同じ軌道で月より前方のL4点付近にある。一年戦争の緒戦で壊滅した。宇宙世紀0087年頃には50バンチ程が存在し、建造途中のコロニーもある[7]。 『機動戦士Vガンダム』では、ザンスカール帝国の発祥の地となった。連邦軍の研究機関とサナリィ・サイド2支社が存在していたがザンスカール帝国に接収された。
- アイランド・イフィッシュ〔8バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム』で登場。宇宙世紀0079年にジオン公国によるブリティッシュ作戦の結果、地球へ落とされる[8]。本編の冒頭で地上の都市に落着するのは、本コロニーの前端部分である。当時の人口は約2000万人[9]。また、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の主人公シロー・アマダの出身地でもある。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』には首都バンチとの記載がある。
- モルガルテン〔13バンチコロニー〕
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。コロニー内にアルプスの風景が再現された観光コロニー。ティターンズの隠れハイザック部隊が展開されていた[10]ほか、ハマーンがミネバを静養に連れて来ていた。グリプス戦役中、ティターンズによってG3ガス攻撃の標的となるが攻撃は失敗[11]。
- 18バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。宇宙世紀0087年12月7日にティターンズによってグリプス2を改修したコロニーレーザーの試射標的とされ、直撃を受け住民全員が死亡している。
- 21バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。宇宙世紀0087年12月14日にティターンズによるG3ガス攻撃を受け、住民全員が死亡している[12]。
- 22バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で名前のみ登場。25バンチが毒ガス攻撃の標的となりガスボンベを設置された際、それを阻止するために狙撃できる場所に位置していた[13]。
- 25バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。宇宙世紀0087年8月21日にティターンズによるG3ガス攻撃の標的となるが攻撃は失敗、住民に被害は出ていない。なお、サイド2市長は同作戦が進行している事実を知りながら、事前に避難命令等を発しなかった[14]。
- 26バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で名前のみ登場。25バンチが毒ガス攻撃の標的となりガスボンベを設置された際、それを阻止するために狙撃できる場所に位置していた[13]。
- 85バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で名前のみ登場。漂流者を装いジュピトリスに潜入したレコア・ロンドが、パプテマス・シロッコに所属を訪ねられた際に答えた[15]。
- アメリア
- 『機動戦士Vガンダム』で登場。ザンスカール帝国の本拠地が置かれたコロニー。地球圏からは最も遠い位置に存在する。
- カラブリア
- 『機動戦士Vガンダム』で登場。サイド2の中では最も地球圏に近い独立コロニー。
- ブルー3
- 『機動戦士Vガンダム』で登場。サイド2にある密閉型コロニー。エンジェル・ハイロゥ建設の前線基地となった。
- ヘラス
- 『ガイア・ギア』で登場。メタトロンとマハの小規模戦闘が起きたコロニーである。
- マケドニア
- 『機動戦士Vガンダム』で登場。ザンスカール帝国の影響下にある独立コロニー。地名の由来は実在のマケドニアからと思われる。
サイド3(ムンゾ)
月の裏側で、地球からは最も遠いL2点付近にある。ジオン公国発祥の地となった。L2点付近にはジオン軍の宇宙要塞ア・バオア・クーも置かれていた。ジオン・ダイクンによってサイド3にジオン共和国が建国された後、サイドに存在する開放型コロニーを密閉型コロニーに改造し、工業生産能力と人口の収容能力等を他のサイドよりも増強させられている。また、ジオンの本国としてズム・シティが置かれ、一年戦争ではア・バオア・クー、ソロモン、グラナダを本国に対する防衛拠点とし、それらを結んだ線を防衛ラインとして成立させ、万全の防衛体制をとる。
一年戦争末期、ソロモンが地球連邦軍に攻略された後(8月や攻略戦前の説あり)には、第3バンチコロニー「マハル」をソーラ・レイへ改造するために住民を強制疎開させる(もともとマハルは貧困層コロニーだったため、改造された原因となっている)など、戦争の旗色が悪くなり一般住民に直接影響が及ぶ場面もアニメで描かれている。星一号作戦の目標が判明する頃には、駐留する部隊はア・バオア・クー防衛のために動員され艦隊がほとんど残らなかったが最終的にア・バオア・クーは陥落、防衛拠点のうち2つが攻め落とされた時点でジオン公国改めジオン共和国は連邦政府と終戦協定を結ぶ。
これによりジオン本国への直接攻撃は辛くも回避され、(他のサイドのほとんどをジオン公国が徹底的に破壊した事により)皮肉にも最も工業生産能力を温存していたサイドとして、終戦後はコロニー再建計画等に関わることとなる。ジオン共和国は宇宙世紀0100年に自治権を放棄して消滅した。
『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』や漫画版『機動戦士ガンダムF90』に登場した暗礁空域ゼブラゾーンは月の裏側にあるが、サイド3との関係は不明。
- ズム・シティ〔1バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム』で登場。サイド3の1バンチに置かれている[16]。名称はジオン・ズム・ダイクンに由来する。
- ここには公王庁が設けられ謁見室やデギンの私室があり、裏手にギレンの官邸が配されている。そのため公国の施政の中心となり、サイド3の政府高官・高級軍人・名家が住んでいる。ガルマの国葬もここで行われた。地球連邦軍の星一号作戦の最終目標となっていたが、終戦協定で戦火を免れた。漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、自治体に無人でも明かりを灯す「灯火管制」が要請され、何も気づかず平穏に暮らす住民が描かれている。
- 終戦後のジオン共和国、宇宙世紀0100年の自治権放棄後のサイド3でも「首都」とされている[17]。
- 『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―』では、宇宙世紀0105年に「ジオン公国庁舎」の対面側に「一年戦争記念館」が建造されたとされている。
- 『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』の宇宙世紀0153年では、主人公フォント・ボーの居住コロニーとして登場。公王庁舎は「ズム特別戦争博物館」となっている。
- マハル〔3バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム』で登場。シーマ・ガラハウの故郷でもある。一年戦争時に軍により150万人の住民全員を強制疎開させ、決戦兵器ソーラ・レイに改造された。
- 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のCDドラマでは、コロニー公社からの建設や補修の下請けをしていた男たちが半ば強制的に海兵上陸部隊へと集められている。住民の中にはジオン公国に対する戸籍登録さえ行っていない者も存在した。
- 11バンチコロニー
- 『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』で名前のみ登場[18]。オクサーナ・ボギンスカヤの故郷である。
- リゾンデ〔21バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』で登場。ジオニック社が所有する観光用を兼ねた海洋コロニー。一年戦争時にはジオニック社の兵器試験場として、水陸両用モビルスーツの開発が行われ、一般人の立ち入りは厳しく制限されていた。
- タイガーバウム〔24バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』で登場。香港を真似た観光用コロニー。第一次ネオ・ジオン抗争時にはスタンパ・ハロイが治め、中立を保っていた[19]。この当時は観光客向け以外の場所は治安や衛生など管理が行き届かず問題が多かったようだが、漫画作品『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより-』の頃(U.C.0105年代)にはホンコンシティからルオ商会の手が入る事で環境面の向上を果たし、成功していることがウォン・リーの口から語られている。
- アキレス〔26バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』で登場。主人公アスナ・エルマリートの実家がある。一年戦争終結まではジオン国防大学が置かれ、大学内の研究施設ではスペース・ノイドの優秀性を証明するという名目で遺伝子交配実験が行われていたが、戦後は施設の一部を除いて広く開放され観光名所となっている。
- ブリュタール〔31バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』で登場。地球連邦が一年戦争後、ジオン共和国に作った観光用コロニー。スペースコロニーの中でも最大級の面積を誇るコノシア湖がある。
- コア3
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』で登場。宇宙世紀0088年時点で人口約500万人[20]。第一次ネオ・ジオン抗争時にサイド3を手に入れたネオ・ジオンのハマーン・カーンが本拠地とし、同抗争終盤に戦力増強をはかり鉱山小惑星キケロを接続。しかしエゥーゴのネェル・アーガマが砲撃でドッキングベイを破壊、鉱山小惑星キケロは離脱していった[21]。グレミーの反乱時に小惑星アクシズ、次いで小惑星モウサの衝突により大破した[22]。
- ウィルヘルムスハーフェン
- 小説版『機動戦士ガンダム第08MS小隊』で登場。地球の湖や森を再現したレジャー用コロニー。アイナが幼い頃、一家でここを訪れている。
サイド4(ムーア)→新サイド6
L5点付近にある。一年戦争緒戦で壊滅的被害を受けた。コロニー再生計画により、名称がサイド6に改められた。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』ではコロニーや艦船の残骸が密集して絶えず放電を起こしていることから、サンダーボルト中域と呼ばれている。 作中では、宇宙要塞ア・バオア・クーへの補給路として制宙権を握る公国軍スナイパー部隊と、ムーア居住者たちで編成された連邦軍ムーア同胞団による故郷再建の為に宙域奪還を目指す戦闘が行われた。
- 6バンチ
- 漫画『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』で登場。一年戦争中に破壊され、その残骸に地球連邦軍が秘匿ビーム砲台を設置した。
- アイランド・イーズ
- 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場。コロニー再生計画により移送中のところをデラーズ・フリートに制圧され、コロニー落としに使用される。
- アイランド・ブレイド
- 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場。コロニー再生計画により移送中のところをデラーズ・フリートに制圧される。ミラーを1枚失ったことによる重心の変化でアイランド・イーズと衝突、イーズは月へ落ちる軌道に乗るが、ブレイドの消息は描かれておらず、不明である。
サイド5(ルウム)→新サイド4(フロンティア)
地球と月の間のL1点付近にある。一年戦争緒戦でルウム戦役と呼ばれる大艦隊戦が行われ、ほとんどのコロニーが壊滅した。ミラー調節不能ながらも気密性を保った唯一のコロニー“テキサス”は、両軍とコロニー公社との協議により、非武装・非交戦地帯に指定された。この事からこの宙域は、テキサスゾーンとも呼ばれる。
一年戦争後、旧サイド5付近の暗礁宙域にデラーズ・フリートが自らの根拠地茨の園を築いた。
コロニー再生計画によって、名称がサイド4に改められた。その後長らく放置されていたが、宇宙世紀0110年代から再建計画が実行され、この頃からフロンティア・サイドと呼ばれ、新技術のコロニーが建造されて開拓者の入植も激しい宙域となり『機動戦士ガンダムF91』の主要な舞台となった。その後の経緯は不明だが、宇宙世紀0220年代を舞台とする『G-SAVIOUR』ではサイド4として分類されるようになっていることが確認できる。
- ワトホート〔11バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』で登場。ジオンがこのコロニーを使って第二次ブリティッシュ作戦を行おうとしたため、ルウム戦役が発生した。
- 27バンチ
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。宇宙世紀0087年、ティターンズにより月面都市グラナダへのコロニー落とし作戦に使われるが、作戦は失敗。
- インダストリアル7
- 『機動戦士ガンダムUC』で登場。旧サイド5宙域に設置された密閉型工業用コロニーであるが、管理・運営はアナハイム・エレクトロニクス社が直接行っている独立したコロニーである。登場時は未完成で、コロニー作成用のコロニービルダーが稼働しながら機能している。アナハイム関連企業がある他、新兵器開発の秘密工場が置かれており、ユニコーンガンダムが極秘裏に開発された。
- テキサス
- 『機動戦士ガンダム』で登場。現実のテキサス州を真似た観光コロニーであったが、一年戦争の長期化に伴い軍事的価値の判断から連邦・ジオン共に見捨てており、そのため太陽光を吸収するコロニーのミラーが働かずコロニー内部は荒廃している。
- 第37話、第38話にて登場。ホワイトベースはソロモン戦の後にジオン残存艦の駆逐のためにこの地を訪れた。同時期にシャアのザンジバルも、ゲルググの受け取りとララァ・スンの最終調整のためにテキサスコロニーに入港している。
- ここでの戦いによってジオン側はマ・クベがテキサス内でガンダムに破れ戦死。また宙域の艦隊戦でデラミン艦隊・バロム艦隊が撃破された。連邦側もワッケインが戦死している。また、アムロとララァ、シャアとセイラがそれぞれ再会するなど、多くのエピソードが散りばめられている。
- 映画版ではテキサスのエピソードはソロモン戦以前に移され、内容もゲルググ対ガンダム戦とシャア・セイラの再会に絞られている(マ・クベはここでは登場せず、ソロモンでゼナ・ミネバ母子を救出するのみ)。
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、開戦以前のテキサスコロニーが登場する。景気悪化にともない建設が中断され廃棄されかけた所をシュウ・ヤシマ(ミライ・ヤシマの父)が購入、私費で完成させたという設定になっており、ジオン・ダイクンの遺児でマス家の養子になっていたキャスバル(シャア)・アルテイシア(セイラ)兄妹がここに移住、後にキャスバルが取って代わる本物のシャア・アズナブルとの出会いなどの重要なエピソードの舞台となっている。
- ニューマンハッタン
- 『G-SAVIOUR』に登場。内部にセントラル・パークを再現した公園が存在し、湖上に自由の女神のレプリカが置かれている。
- フロンティアI
- 『機動戦士ガンダムF91』で登場。名称変更後に作られたコロニー。鉱物採集用の小惑星が接続されている。サナリィの研究機関があり、F91の最終調整が行われていた。クロスボーン・バンガードによる侵攻の際に、バグによる無差別殺戮が行われた。
- フロンティアIV
- 『機動戦士ガンダムF91』で登場。名称変更後に作られたコロニー。主人公のシーブック・アノーの出身コロニー。クロスボーン・バンガードにより制圧され、コスモ・バビロニアの首都バビロンが置かれる。
- ミランダ
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』で登場。首都バンチ。作中ではルウム戦役直前のミランダ内における連邦派の住民とジオン派の住民との衝突や、セイラがミランダ中央病院に勤務している様子、ジオン派の住民がミランダから脱出する様子などが描かれている。
- 「名称・バンチ不明」
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』で登場。一年戦争時に廃棄された無人のコロニー。ハマーン・カーン率いる第一次ネオ・ジオンによってダブリンに落とされる。
サイド6(リーア)→新サイド5
L4点付近にある。一年戦争序盤に中立宣言を行ったサイドで、当時は独自の通貨も発行していた。コロニー再生計画により、名称がサイド5に改められた。
宇宙世紀0079年1月11日に中立を宣言し、ジオン公国、地球連邦どちらの戦争行為にも加担しない事を両軍に伝えた。それ以降、戦争には(表向き)巻き込まれていない。ちなみに中立を宣言できたのは、サイド単独での自給自足のために必要な経済基盤の整備が整ったからである。開戦当初はジオン寄りの態度だったが、戦局の変化に伴い連邦寄りへと態度を変化させ、一年戦争終盤では極秘に連邦軍の実験施設まで作られている。ムック「ガンダム・センチュリー」によると、連邦、ジオン両陣営の首脳や資産家の子弟、関係者などが戦火を避ける等の目的から多数居住しており、コロニー落とし後の異常気象に苦しむ地球に余剰食料などを輸出するという立場にもあったらしい。
『機動戦士ガンダム』の第33話、第34話にて、ホワイトベースが立ち寄ったのがここサイド6である。中立サイドであるが故の戦闘のタイミングや、様々な人との出会いによって、作中では重要なターニングポイントの舞台となっている。
アムロ・レイと、宇宙に吹き飛ばされて以降消息不明であったテム・レイとの再会。また、アムロとララァ・スン、そしてアムロとシャア・アズナブルが初めて直接対面をした場所でもある。更にミライ・ヤシマと婚約者のカムラン・ブルームとの偶然の再会もあった。
この周辺の「戦闘禁止区域外」にてコンスコン機動部隊はアムロによって全滅させられた。
- ユピテル〔28バンチコロニー〕
- 漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』に登場。マリー・アルベルティア率いる海賊たちに拾われたアスナ・エルマリートが、同じく海賊のメンバーのユーナと共に買出しに訪れた。
- フランチェスカ
- OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では作戦に失敗したバーナード・ワイズマン伍長が逃亡しようとした先として名前のみ登場。『機動戦士ガンダムUC』ではタクヤ・イレイが毎年恒例の家族旅行で訪れる先として言及している[23]。本サイドにあるのかは不明。
- リボー・コロニー
- OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場。作中の主な舞台であり、主人公アルフレッド・イズルハの暮らすコロニー。地球連邦軍が極秘に基地を設けてガンダムNT-1の実験場としていた。
サイド7(ノア→グリーン・オアシス)
月と同じ軌道で、地球から見て月とは正反対のL3点付近にある。一年戦争当時は建設が開始されたばかりで、未完成だったが居住が始まっていたコロニー1基が『機動戦士ガンダム』の物語の発端となった。L3点付近には地球連邦軍の宇宙要塞ルナツーも置かれていた。
一年戦争終了後に再建され、グリーン・オアシスと改称された。ティターンズの拠点が置かれ、『機動戦士Ζガンダム』においても物語の発端の場所となっている。
- 固有名なし→グリーンノア1〔1バンチコロニー〕
- 『機動戦士ガンダム』、『機動戦士Ζガンダム』で登場。
- 一年戦争当時、地球近傍の宇宙空間の大半は緒戦の1週間戦争でほぼジオンの制圧下におかれ、ルナツーの守備範囲内にあるこのサイドのみが連邦軍の勢力下にあった。表向きは疎開地のような扱いをされており、住民は老人や子供の比率が高い。
- そのような環境を隠れ蓑とし、ここにV作戦により開発されるモビルスーツの性能試験等を行う施設が極秘に建造される。そして、宇宙世紀0079年9月18日にホワイトベースがモビルスーツの受領のため入港した時、シャア率いる偵察部隊との間で史上初めてのモビルスーツ同士の戦いがコロニー内で展開された。その時コロニーシリンダーに被った甚大なダメージにより、住民の生存者はホワイトベースに避難。コロニーは放棄されることとなる。
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、サイド7の建設そのものがV作戦の隠れ蓑であった事が示されている。そのため工事は故意に遅延されており、そうした事情を知らされずに工事を受注したミライ・ヤシマの父シュウ・ヤシマが訝る場面がある。
- 一年戦争終了後に再建され、グリーンノア1と改称された。カミーユ・ビダンやファ・ユイリィが住んでいた。このコロニーにおいてガンダムMk-IIの性能テストが行われていることを知ったクワトロらが潜入。交戦状態となり、混乱に乗じてカミーユがガンダムMk-IIの1機を強奪している。
- グリーンノア2(グリプス)〔2バンチコロニー〕
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場。密閉型コロニーを2つ繋ぎ合わせた形状で、主に軍事基地・工廠としての機能に特化されていた。バスク・オムによってグリプスという別称を与えられており、グリプス戦役の呼び名はここに由来する。
- グリプス戦役の後半で再び2基に分離させられ、片方(グリプス2)はコロニーレーザーに改造された。
サイド8(ガイア)
テレビ映画『G-SAVIOUR』にて、作品後半の舞台となったサイド。場所は新サイド4と同じL1点に位置する。ガイアとは「大地」の意味。ギリシア神話に登場する最古の大地の女神の名でもある。劇中の時代である宇宙世紀0223年においては、地球連邦は既に崩壊し、旧連邦派は地球寄りだったサイド2,3,5,7とまとまったセツルメント国家議会に、サイド1,4が月と共にセツルメント自由同盟を形成しているが、サイド8は当時建設中であったためにサイド6と共にどちらの勢力にも属さず中立を保っている状況にある。
- ガイア
- 『G-SAVIOUR』に登場。サイド8に最初に建設されていた唯一のコロニーで、地球連邦崩壊後は中立のセツルメントとしての立場を貫いていた。宇宙世紀0220年代には当時深刻化していた食糧問題対策のため、生物発光体の研究が行われていた。
脚注
参考文献
- ラポート『機動戦士ガンダム 宇宙世紀vol.1 歴史編』、1998年8月 ISBN 4-89799-293-1
- 『機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDUM』図録、2014年
関連項目
テンプレート:宇宙世紀it:Luoghi dell'Universal Century#Colonie spaziali- ↑ 『機動戦士ガンダム記録全集 1』より
- ↑ 『機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDUM』 16頁
- ↑ 『機動戦士ガンダム展 THE ART OF GUNDUM』 14、16頁
- ↑ 『機動戦士ガンダムUC』第1巻(スニーカー文庫版)95頁より。
- ↑ 『ΖΖ』第1話にて語られる
- ↑ 『ΖΖ』小説版
- ↑ TV版『Ζ』第29話におけるサイド2市長の発言、及び、劇中の描写より。
- ↑ 『ガンダムセンチュリー』において、ブリティッシュ作戦という作戦名、およびアイランド・イフィッシュというコロニーの名前が登場
- ↑ 『機動戦士ガンダム MS IGLOO』第1話より。
- ↑ TV版『Ζ』第39話において、期せずしてモルガルテン内で戦闘を行ってしまったクワトロが13バンチの「警官」に事情を聞かれている
- ↑ TV版『Ζ』第42話
- ↑ TV版『Ζ』第41話。なお、劇場版『Ζ』では本エピソードはカットされている。
- ↑ 13.0 13.1 TV版『機動戦士Ζガンダム』第29話より。狙撃する様にとの進言を市長は却下し、劇中には登場しない。
- ↑ TV版『Ζ』第29話。コロニー周辺でMS戦が開始した後に、住民が避難しているシーンがほんの数秒ある。なお、劇場版『Ζ』では本エピソードはカットされている。
- ↑ TV版『Ζ』第28話。なお、劇場版『Ζ』ではジュピトリスに潜入するエピソードはカットされている。
- ↑ 1バンチの中にあるのか、1バンチコロニー自体の名前なのかは不明。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、サイド3の基幹コロニーという表現で1バンチコロニー自体を指している。
- ↑ また『機動戦士ガンダムUC』第10巻(スニーカー文庫版)182頁には「首府」と記載。
- ↑ 5巻file:sixteen
- ↑ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第40、41話で描かれる。第39話終盤で24バンチが中立であることが語られる
- ↑ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第43話、ジュドーの発言より。
- ↑ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第42、43話より。
- ↑ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第46、47話より。
- ↑ 『機動戦士ガンダムUC』第1巻(スニーカー文庫版)133頁より。