コロンバス (オハイオ州)

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コロンバステンプレート:Lang-en-short)は、アメリカ合衆国オハイオ州中央部に位置する都市州都であり、政治行政の中心であると共に一帯の商工業中心地である。また、アメリカ中西部有数の世界都市であり、オハイオ州立大学を抱える学術都市でもある。

州内のクリーブランドシンシナティの知名度が高いため、あまり大都市というイメージを持たれることが多くないが、五大湖周辺の都市としては珍しく人口が増え続けている成長都市であり、市域人口は730,657人(2005年推計)でオハイオ州最大、全米でもサンフランシスコに次いで第15位である。ただし、1950年代アメリカ合衆国の都市としては珍しく郊外の小都市・町村・所属未定地を編入することで市域の拡張、および市外への人口流出の防止を図ったため、周辺の衛星都市・町村が少なく、都市圏の人口では約150万人で、クリーブランドの半分ほど、全米で第31位にとどまっている。このような例はノースカロライナ州シャーロットテキサス州サンアントニオでも見られる。

また、同市は「帝王」と称されるプロゴルファージャック・ニクラスの出身地でもある。

都市概観

ダウンタウン

コロンバスを南北に貫くメインストリートはハイ・ストリート、東西のメインストリートはブロード・ストリートである。オハイオ州会議事堂はハイ・ストリートとブロード・ストリートの南東角に位置する。ダウンタウンのオハイオ州議事堂周辺にはいくつかの高層ビルディングが見られるが、主として州政府に関係するオフィス、法律及び会計事務所、又は金融機関などが入るオフィスビルとなっている。

ダウンタウンの北に隣接するハイ・ストリート沿いの地域はショート・ノースと呼ばれている。コロンバスではもっとも古い歴史をもつ地域で、現在では商店、レストラン、画廊などが連なり、コロンバス中心部きってのショッピングエリアとなっている。2002年秋に、ハイ・ストリート上に連続的にかかる鉄製(かつては木製)のアーチが復活し、町並みの美化が図られた。

少し前までは、ダウンタウンのオハイオ州議事堂からほど近くにファストフード・ハンバーガーチェーン、ウェンディーズの1号店が立地していた。現在では、同社はコロンバス北西郊のダブリンに本社を置いている。

ダウンタウンでは、毎年独立記念日付近の週末に大規模な花火大会が行われる。非常に込むので有名である。ただ花火打ち上げはダウンタウンのすぐ側にある川から行われるので、川周辺にあるオフィスビルに事務所を持つ企業はその従業員及び家族に対し、オフィスから花火を見物できる見晴らしの良い場所を提供したりしている。

周縁部の開発が進むのに伴い、他の都市にも見られる中心部の空洞化(ドーナツ化現象)が指摘され、コロンバスのダウンタウン中心部については、その再活性化に市を挙げて取組んでいる。かつてオハイオ州議事堂の南側には、シティセンターというハイエンドのショッピングセンターおよび隣接するデパートメントストアが立地していたが、近年は郊外のショッピングモールなどに客足を奪われるなどして、店舗の退去が後を絶たずついにシティセンター自体取り壊され現在では公園広場となっており、週末のイベント等などダウンタウンの活性化に一役買っている。最近はダウンタウン周辺地域の開発も進んでおり、各種コンサートやNHLプロホッケーが行われる、ネイションワイドアリーナ、クリーブランド・インディアンズの下部組織(AAA)のホーム球場である、ハンティングトンパーク等ある程度充実してきていると言える。ここ2、3年中には、ダウンタウンに隣接する区域に大規模なカジノが建設され営業を開始する予定で、地域の活性化と同時に治安の悪化が懸念されている。

また、ダウンタウンに隣接する川のほとりに全米ナンバー1と呼ばれるサイエンスミュージアム(COSI)を擁し、州内及び州外からの多くのゲストで賑わっている。

周縁部

コロンバスの周縁部には、独立した市町村としてダブリン、アッパーアーリントン、ヒリヤード、クリントンビル、ベクスレーなどが存在する。これらはコロンバス市の市域の拡張もあり、その市域に隣接したり取り囲まれたりしているが、行政としての運営はコロンバス市からは独立している。これらの市部なども含めて、広義の意味でのコロンバスを構成する。

コロンバスの人口はダウンタウンより北側に集中している。ダブリン・ワージントン・ウェスタービル(Westerville)・ニューアルバニーなど郊外の高級住宅地も北側にある。オールド・ワージントンと呼ばれる、北郊のワージントン市内でOH-161とハイ・ストリートが交わる付近には古い町並みが保存されている。

市北端のポラリス、市北東部のイーストンは職住近接のニュータウン開発が進んでいる地域である。この両地域には大規模なショッピングモールもあり、週末や夕刻などには買い物客で賑わう。オハイオ州立大学もダウンタウンより北側に位置する。ダブリンよりさらに北西には本田技研工業が在米拠点を置くメアリーズビルが位置する。そのため、ダブリンの周辺を中心に日本人の住民も多い。

一方、南側はジャーマン・ヴィレッジ(German Village)などダウンタウンに近い一部の地域を除き、未開発の地域が多い。東側には、レイノルズバーグ(Reynoldsburg)、ガハナ、ブラックリックなどが位置する。レイノルズバーグはかつてそこの住民たちが有毒であると信じられていたトマトを食用野菜として大衆に広めることに貢献したため、「トマト発祥の地」と呼ばれている。トマトジュースオハイオ州の公式飲料である。

地理

コロンバスは[[[:テンプレート:座標URL]]39_59_0_N_82_59_0_W_ 北緯39度59分0秒西経82度59分0秒]テンプレート:GRに位置し、日本の秋田市秋田県)や盛岡市岩手県)とほぼ同緯度にある。

アメリカ合衆国統計局によると、同市は総面積550.5 km² (212.6 mi²) である。このうち544.6 km² (210.3 mi²) が陸地で5.9 km² (2.3 mi²) が水域である。総面積の1.07%が水域となっている。

気候

コロンバスの気候は内陸性であり、夏は湿気が多くて暑く、冬は乾燥して寒い。ケッペンの気候区分ではCfa温暖湿潤気候)とDf亜寒帯湿潤気候)のちょうど境界線上に属する。1月の平均気温は-2.2度、7月の平均気温は23.7度、年平均気温は11.3度、年降水量は978mmである。

観測史上の最高気温1934年7月21日1936年7月14日に記録した摂氏41度(華氏106度)である。 また、最低気温は1994年1月19日に記録した摂氏-30度(華氏-22度)である。

このような気候から、コロンバス周辺にはカエデオーククルミポプラなどの木々からなる大陸性の落葉樹林が広がる。しかし、何と言ってもこの地域の植生を代表する植物は、州の木でもあるトチノキである。

産業・交通

ファイル:Columbus-ohio-leveque-tower.jpg
コロンバス市内で一番古い超高層ビル、ルヴェック・タワー(LeVeque Tower

1821年に都市が創設、交通に至便であり、古くは荷車や馬車の生産が盛んであった。戦前には被服産業なども栄え、戦時中に軍隊の被服工廠があった。今日では航空機自動車及び関連部品、電子機器などの機械工業が盛んで、とりわけ本田技研工業(ホンダオブアメリカ)の工場が近郊に進出したことから、デトロイト等と肩を並べる自動車工業都市にもなっている。また、オハイオ州立大学を抱え、教育水準が高いことから、近年では金融保険ロジスティクス産業が栄えている。

市域全体をフリーウェイI-270が環状に取り巻き、それに沿って衛星都市が点在する。近隣の中心空港は、ダウンタウンの東13kmに位置するポート・コロンバス国際空港である。航空機ではニューヨークシカゴのいずれからも1時間半ほどである。また、アトランタダラス・フォートワースヒューストンニューアークミネアポリス・セントポールデトロイトトロントといった主要航空会社のハブ空港からも便がある。その他、市南部(ダウンタウンの南東約25km)に主に航空貨物を取り扱う空港としてリッケンバッカー国際空港を有している。

オハイオ州を縦断する州間高速道路I-71クリーブランドまでは車でおよそ2時間半程度、シンシナティまでは2時間弱の距離に位置するなど、オハイオ州の中央部に位置するため州内の各地に自動車で2時間余りでアクセス可能である。また、オハイオ州を横断するフリーウェイI-70では隣接州のインディアナポリスピッツバーグまでそれぞれ4時間ほどである。シカゴワシントンD.C.とは6時間余りの距離にある。

ダウンタウンにはグレイハウンドのバスターミナルがあり、クリーブランド・シンシナティ・ルイビルナッシュビルデトロイトインディアナポリスセントルイスピッツバーグフィラデルフィアニューヨークなど多くの主要都市への長距離バスの便がある。

また、市内の公共交通機関として中部オハイオ交通局(COTA)が運営する路線バスが縦横に走っている。市内には貨物運送のための鉄道の路線が複数走っているが、乗客輸送を担う近郊電車や地下鉄はない。ダウンタウン近辺を中心に、再開発の一環としてライトレールの建設が検討されている。

文化

ランドマーク

ダウンタウンにあるオハイオ州議事堂右の画像) は、オフィス街の中心に位置し、オハイオ州都としてのコロンバスの中心を形作っている。都市の元々の計画の一部でなく、Capitol Square を形成するために4人の著名な地主によって寄付された10エーカー(40,000 m²) の土地に1839年から建設が行われたものである。議事堂の建物を囲むように芝生のスペースが広がっており、夕刻には球技などの利用にも開放されている。

コロンバスの市名はクリストファー・コロンブスにちなんでいる。サイオト川の河岸にはアメリカ大陸発見500周年を記念して造られたサンタ・マリア号のレプリカが係留されており、名所のひとつになっている。

文化・教育

オハイオ州は文化教育の先進地区として知られ、同市もオハイオ州立大学などがある学術都市である。また、Ameriflora '92の開催地でもあるFranklin Park Conservatory・産業科学博物館(COSI)・歴史博物館・オハイオ村・ばら園・コロンバス動物園など文化施設、自然体験学習施設などが発展している。

コロンバス美術館は初期モダニズムのヨーロッパ及びアメリカ芸術に焦点を当てたコレクションと共に、1931年に開館した。

オハイオ州立大学は学生数50,000を超える全米有数の大規模総合大学である。特に農学航空学の分野に強い。また、経営学、特にロジスティクス研究においても全米屈指の高い評価を得ている。消費者行動研究で有名なロジャー・ブラックウェル博士も同校のマーケティング教授として教鞭をとっていた。

スポーツ

オハイオ州立大学カレッジフットボールチーム「オハイオステート・バックアイズ」は強豪として知られ、特にミシガン・ウォルヴァリンズミシガン大学)とのライバル関係は熾烈を極めている。1968年にはO・J・シンプソンを擁するUSCトロージャンズ南カリフォルニア大学)をローズボウルで破り優勝、また2002年にはフィエスタボウルでマイアミ・ハリケーンズ(マイアミ大学)の連勝を34で止め優勝した。バッカイズの本拠地オハイオ・スタジアムは100,000人以上を収容できる巨大スタジアムである。また、同校はジャック・ニクラウスの母校としても知られている。

プロ・スポーツではNHLコロンバス・ブルージャケッツMLSコロンバス・クルーなどが本拠地を構える。メジャーリーグベースボールの球団は存在しないが、AAA級コロンバス・クリッパーズが本拠地を置く(2008年シーズンよりクリーブランド・インディアンズと提携)。(2011シーズンAAA級のチャンピオン、8-3でオマハ・ストーム・チェイサーズを下す)。2008年まで本拠地球場はダウンタウンの西に位置するクーパー・スタジアムであったが、コロンバス・ブルージャケッツの本拠地であるネイションワイド・アリーナの西側のエリアに2008年度に移転した。新スタジアムの命名権を地元のHuntington Bankが取得したため、「ハンティングトン・パーク」と呼ばれている。

チーム スポーツ リーグ 競技場
コロンバス・ブルージャケッツ アイスホッケー NHL ネイションワイド・アリーナ
コロンバス・クルー サッカー メジャーリーグサッカー コロンバス・クルー・スタジアム
コロンバス・デストロイヤーズ アリーナフットボール AFL ネイションワイド・アリーナ
コロンバス・クリッパーズ 野球 インターナショナルリーグ ハンティングトン・パーク

メディア

コロンバスで唯一存続している日刊新聞はコロンバス・ディスパッチColumbus Dispatch)である。主要な競争相手であったコロンバス・シチズン・ジャーナル(Columbus Citizen-Journal)は1985年12月31日に出版を停止している。コロンバスおよびその周辺の郊外都市をカバーしている新聞としては、ThisWeekThe Other Paper および aLIVE(元コロンバス・アライブ)などの週刊新聞がある。Columbus Monthly はこの都市の雑誌である。また、Lanternという、オハイオ州立大学が出している新聞も存在する。

コロンバスのラジオ局としては、いずれも合衆国内でもっとも古いAM 放送局であるWTVN (610)とWBNS (1460) が挙げられる。その他にはオハイオ州立大学によって運営されているWOSU (820 AM / 89.7 FM)、コロンバス教育委員会 (Columbus Board of Education) によって運営されているNPR系列のWCBE (90.5 FM)、長くクラシックロック局を続けているWLVQ (96.3 FM)、そしてローカル独立系オルタネーティブロック局のWWCD (101.1 FM)などがある。

コロンバスのテレビ放送局には、WCMH 4 (NBC)、WSYX 6 (ABC)、WBNS 10 (CBS)、WTTE 28 (Fox)、WOSU 34 (PBS)、WSFJ 51 (キリスト教重視の独立系放送局)、そしてWWHO 53 (CW)などが挙げられる。

人口動勢

コロンバス市
年代ごとの人口推移
[1]
1840年 6,048人
1850年 17,882人
1860年 18,554人
1870年 31,274人
1880年 51,647人
1890年 88,150人
1900年 125,560人
1910年 181,511人
1920年 237,031人
1930年 290,564人
1940年 306,087人
1950年 375,901人
1960年 471,316人
1970年 539,677人
1980年 564,871人
1990年 632,910人
2000年 711,470人
2005年(推計) 730,657人

以下は2000年国勢調査における人口統計データである。

基礎データ

  • 人口: 711,470人
  • 世帯数: 301,534世帯
  • 家族数: 165,240家族
  • 人口密度: 1,306.4人/km²(3,383.6人/mi²)
  • 住居数: 327,175軒
  • 住居密度: 600.8軒/km²(1,556.0軒/mi²)

人種別人口構成

年齢別人口構成

  • 18歳未満: 24.2%
  • 18-24歳: 14.0%
  • 25-44歳: 35.1%
  • 45-64歳: 17.9%
  • 65歳以上: 8.9%
  • 年齢の中央値: 31歳
  • 性比(女性100人あたりの男性の人口)
    • 総人口: 94.6
    • 18歳以上: 91.9

世帯と家族

  • 18歳未満の子供がいる: 28.0%
  • 結婚・同居している夫婦: 36.1%
  • 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 14.5%
  • 非家族世帯: 45.2%
  • 単身世帯: 34.1%
  • 65歳以上の老人1人暮らし: 7.0%
  • 平均構成人数
    • 世帯: 2.30人
    • 家族: 3.01人

収入と家計

  • 収入の中央値
    • 世帯: 37,897米ドル
    • 家族: 47,391米ドル
    • 性別
      • 男性: 35,138米ドル
      • 女性: 28,705米ドル
  • 人口1人当たりの収入: 20,450米ドル
  • 貧困線以下
    • 対人口: 14.8%
    • 対家族数: 10.8%
    • 18歳未満: 18.7%
    • 65歳以上: 10.9%

できごと

2004年12月8日の午後10時頃、ナイトクラブ「アルロサ・ヴィラ」でパンテラダメージプランギタリストダイムバッグ・ダレルがダメージプランのコンサート中に犯人のネイサン・ゲールに射殺された。

姉妹都市

2011年現在、日本における姉妹都市候補を絞り、提携に向け各種調整中である。

脚注

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関連項目

外部リンク

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公式

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