温暖湿潤気候

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

温暖湿潤気候(おんだんしつじゅんきこう)とはケッペンの気候区分における気候区のひとつで温帯に属する。温帯湿潤気候と呼ぶこともある。記号はCfaでCは温帯、fは湿潤(feucht)、aは(温帯の中で)夏の気温が高いことを示す。

特徴

  • 気温の年較差が大きく大体は夏に高温・多雨となる。冬は比較的寒く、乾燥する。
  • 最多雨月が冬季にあり、冬の平均気温が0℃近くの場合は場合は世界有数の豪雪地帯の場合がある。(青森市など)
  • 四季の変化が特に明瞭。
  • 夏季の高温・多雨により稲の生育に適することからアジアでは稲作が盛ん。
  • 人口密度が高い。

条件

  • 最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満。
  • 最暖月平均気温が22℃以上。
  • 年平均降水量が乾燥限界以上かつ下記の条件を満たす。
    • 最多雨月が夏にある場合は、最多雨月降水量≦10×最少雨月降水量。
    • 最多雨月が冬にある場合は、最多雨月降水量≦3×最少雨月降水量 または 最少雨月降水量が30mm以上。

分布

分布地域

中緯度の大陸東岸に主に分布。

日本での分布地域

温暖湿潤気候に属する観測地点が存在するのは以下の市町村である。(かっこ書きはアメダスの設置点):

北海道

    • 松前町(松前)
    • 奥尻島(奥尻)
    • 函館市(函館)平年値の最暖月の平均気温は22℃、最寒月の平均気温-2.6℃と温暖湿潤気候に属す。寒冬や冷夏により、その年の最暖月や最寒月の気温が変わり西岸海洋性気候、もしくは亜寒帯湿潤気候になることもある。

典型的な都市

また以下の都市も温暖湿潤気候に分類されるが、年較差が小さく四季の変化は上記の都市ほど明瞭ではない。ケッペンの気候区分にはないが、亜熱帯気候とすることがある。

雨温図

テンプレート:Climate chart

テンプレート:Climate chart

テンプレート:Climate chart

テンプレート:Climate chart

テンプレート:Climate chart

テンプレート:Climate chart テンプレート:Clear

気候の特徴

モンスーン季節風)の影響により四季の変化が大きい。特にアジアで顕著である。

は低緯度地帯の海洋側から高緯度地帯の大陸側に向かって暖かく湿ったモンスーンが吹くため通過する地域である大陸東岸は暑く、湿った気候となる。

は夏とは逆に大陸側から海洋側に向かって冷たく乾いたモンスーンがその地域を吹き抜けるため冷たく乾燥した気候となる。日本の日本海側地域が冬に湿潤となるのは、日本が大陸東岸の沖合に位置することによる(日本海側気候)。大陸からの乾燥した季節風が日本海を通過することで多量の水蒸気を含むためで、典型的な温暖湿潤気候とはやや異なった傾向になることとなる。

また、夏 - 秋にしばしばタイフーン台風)など熱帯低気圧の影響を受けることも夏の降水量が多い原因のひとつである。

黒海・地中海沿岸の地域は冷たく乾燥した大陸性気団の影響を受けるため、降水量はやや少ない。また沖縄やアメリカ南部などは緯度が低いため、年間を通して降水量が比較的多く気温の年較差も少ない。

土壌と植生

産業・産物

年平均降水量は1,000mmを超えることが多いため稲の生育に適する。この事からアジアではこの気候を利用して集約的米作が行われる。アジア以外では、混合農業放牧が多い。また、多くの地域で小麦の栽培(北アメリカでは企業的農業が中心)も行われている。ある程度の降水量と適度な気温のおかげで、栽培可能な農作物の種類は他の気候区と比べても多い。

また日本犬柴犬紀州犬甲斐犬四国犬など)はこの気候に強く、古くから猟犬として使われた。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:ケッペンの気候区分

テンプレート:Asbox
  1. 1.0 1.1 地域気象観測(アメダス)平年値表 CD-ROM
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 『日本気候表 全国の平年値一覧(統計期間19712000年)』気象庁 2001年
  3. 中央気象台『中央気象台月報 全国気象表』 19191921年19261928年1941~1943年の 各月
  4. 中央気象台『中央気象台月報 全国気象表』 19401943年の各月、自衛隊による観測記録有