グリゴリー・ラスプーチン
テンプレート:Infobox 人物 グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン(露:Григорий Ефимович Распутин グリゴーリィ・イフィーマヴィチュ・ラスプーチン、ラテン文字転写:Grigorii Efimovich Rasputin、1869年1月9日[1] - 1916年12月30日(ユリウス暦12月16日))は、帝政ロシア末期の祈祷僧。シベリア、チュメニ州ポクロフスコエ村出身。
奇怪な逸話に彩られた生涯、怪異な容貌から怪僧・怪物などと形容される。ロシア帝国崩壊の一因をつくり、歴史的な人物評はきわめて低い反面、その特異なキャラクターから映画や小説など大衆向けフィクションの悪役として非常に人気が高く、彼を題材にした多くの通俗小説や映画が製作された。
目次
[非表示]経歴・人物
1871年頃、シベリアの寒村ポクロフスコエ村の農夫の息子として生まれ、20歳で結婚した後、突然、父親や妻に「巡礼に出る」と言い残して村を出奔した。一説では、野良仕事をしているとき生神女マリヤの啓示を受けたといわれている。修行僧と自称していたものの、正規の教育を受けた形跡はなく経歴は不明。
1904年、サンクトペテルブルク(ペトログラード)に出たラスプーチンは、人々に病気治療を施して信者を増やし『神の人』と称されるようになり、皇族ニコライ・ニコラエヴィチ大公の妻アナスタシヤ大公妃に取り入った。後にアレクサンドラ皇后に紹介され、血友病患者であったアレクセイ皇太子を治療して皇后の信頼を得た。1905年11月1日にロシア皇帝ニコライ2世に謁見し、以後、皇太子の病状が悪化する度に宮廷に呼び出された。ラスプーチンが祈祷を捧げると、不思議にも皇太子の発作が治まって症状が改善した。その治療法は催眠療法の一種ではないかと推測されているが、こうして皇帝夫妻から絶大な信頼を勝ち取り、『我らの友』と呼ばれるようになったラスプーチンは、皇帝夫妻の権威を背景に政治に容喙するようになった。
しかし、ヨーロッパで最も官僚的といわれたロシア宮廷は、ラスプーチンが権勢を振るう環境ではなく、元々ラスプーチンも政治に強い関心はなかったとされている。皇帝に対して大戦不参加を説いたり、革命運動激化を考慮して農民層の減税などの提言をしたこともあったが、皇帝の政策決定に大きな影響を与えた証跡はない。
暗殺
テンプレート:Hidden 皇后の信任を背景にラスプーチンが宮廷人事を左右しはじめた事に、宮廷貴族たちは危機感を抱き、ついに暗殺計画が立てられた。1916年12月29日、皇帝の姻戚であるユスポフ公は皇帝の従兄弟のドミトリー大公と共謀してラスプーチンを晩餐に誘い、彼の食事に青酸カリを盛った。しかしラスプーチンは毒入りの食事を平らげた後も態度に変化を示さず、周囲を驚愕させた[2]。食後に祈りを捧げていたラスプーチンは背後から鉄製の重い燭台で頭蓋骨が砕けるまで激しく殴打され、大型拳銃で2発の銃弾を撃ちこまれた。ラスプーチンは反撃に出るがさらに2発、計4発の銃弾を受け、倒れたところに殴る蹴るの暴行を受けて窓から道路に放り出された。それでも息が残っていたので、絨毯で簀巻きにされ、凍りついたネヴァ川まで引きずられ、氷を割って開けた穴に押し込まれた。3日後にラスプーチンの遺体が発見され、警察の検視の結果、肺に水が入っていた事から死因は溺死とされた。川に投げ込まれた時もまだ息があったのである。
死の前にニコライ2世に謁見したラスプーチンは、以下の様な予言めいた進言をしたとされる。 テンプレート:Quotation
その言葉通り、その後ロシアは革命によってロマノフ朝は崩壊、またそれに続く内戦やボリシェヴィキによる専制で膨大な死者を出すことになる。
また暗殺者たちに切り取られた「ラスプーチンの男根」とされる、13インチ(約33センチ)の巨大な男性器のアルコール漬標本が、サンクトペテルブルクの博物館に保存されている[3]。
逸話
- ロシア革命の指導者アレクサンドル・ケレンスキーは「ラスプーチンなくしてレーニンなし」と記している。
- 暗殺には、第一次世界大戦でロシアの戦線離脱を危惧したイギリスの諜報機関の関与説もある。
- 当時、ラスプーチンという姓は西シベリアでは比較的多く見られたが、帝政ロシアを崩壊に招いた人物の姓は忌み嫌われ、改姓する者が多く出た。
- ロシアのプーチン大統領は元KGB情報部員であり、その過去についても不明な点が多く、首相就任時に影の薄かった彼が大統領に就任した際、その謎に包まれた経歴からラスプーチンに引っかけられ、「ラス・プーチン」と揶揄されたことがある。ただし、プーチンという姓はロシア語で「道」を意味するプーチ(Путь、Put')を思わせ、ラスプーチンのラス(Рас、Ras)は(さまざまな意味があるがその1つとして)「逆」という意味があるため、ロシア人の間では、プーチンは「道」、ラスプーチンは「道がない」という逆の意味だと好意的に捉える者もいる。なおプーチン本人は「ラスプーチンとは無関係である」と語っている。
- 後述にもあるが、政財界に影で強い影響力を持つ人物のことを「~のラスプーチン」と称することがある。
- 甘いものが何よりも好物であるが歯を磨く習慣がなかったため、虫歯だらけであった。暗殺の時も菓子に青酸カリを盛られた。
ラスプーチンの異名を得た日本の人物
- 飯野吉三郎 - 明治・大正期の日本の自称予言者。「日本のラスプーチン」。
- 富塚三夫 - 元日本労働組合総評議会事務局長。「労働界のラスプーチン」。
- 佐藤優 - 作家で、日本の元外務省職員。「外務省のラスプーチン」。
- 飯島勲 - 小泉純一郎の筆頭秘書にして、元首相秘書官。「官邸のラスプーチン」。
- 小崎哲資 - 銀行家。「みずほフィナンシャルグループのラスプーチン」と称される。
- 白洲次郎
- 石川一洋 - NHK解説委員
関連書籍
- コリン・ウィルソン 大瀧啓裕訳 『怪僧ラスプーチン ロマノフ朝の最期』(青土社、1991年)
- フェリックス・ユスポフ著, 原亙全訳 『ラスプーチン暗殺秘録』(青弓社 1994年) ISBN 4787291025
- ブライアン モイナハン著, 訳『実録ラスプーチン』(草思社 上・下, 2000年)ISBN 479420969X ISBN 4794209703
- マッシモ・グリッランディ著, 米川良夫訳『怪僧ラスプーチン』(中公文庫改版、2003年) ISBN 4122042143、初版中央公論社 1986年
- エドワード・ラジンスキー著, 沼野充義訳『真説ラスプーチン』(日本放送出版協会 上・下, 2004年)ISBN 4140808578 ISBN 4140808586
ラスプーチンが登場するフィクション
その怪しげな経歴・容貌・女性関係・最期に加え、ロマノフ朝との関連等からある意味では神秘的な人物、あるいは稀代の怪人物とも言え、それゆえにフィクションの世界では国境の別なく非常に人気の高い人物である。そのキャラクターは帝政ロシア末期を舞台にした史実性を重視したドラマから、荒唐無稽なファンタジーや怪奇ストーリー、果てにはアダルト作品に至るまで、幅広い分野で用いられている。
書籍
漫画
- 孔雀王
- ヘルボーイ
- ゴルゴ13 - ゴルゴのルーツの一つにあげられている。
- オルフェウスの窓 - ロシア編で登場、レオニード・ユスーポフ侯によって暗殺される(史実では暗殺したのは*フェリックス・ユスポフ公なので少し違う所もあるが、怪しいキャラクターとしての存在感、殺され方など、通説のとおり)。
- ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド - 実は数百年を生きる吸血鬼であったと言う設定で登場する。
- ドリフターズ - 主人公達と敵対する「廃棄物」の一員として、皇女アナスタシアと共に登場。
- ミキストリII-太陽の死神-
- マスターモスキートン - 主人公モスキートンの宿敵。
- 春風のスネグラチカ
オペラ
- エイノユハニ・ラウタヴァーラ作『ラスプーチン』
映画
- 怪僧ラスプーチン(1932年)
- 怪僧ラスプーチン(1954年)
- ロマノフ王朝の最期(1981年 ソ連)
- ラスプーチン(1996年)
- ヘルボーイ(2004年)
アニメーション
- アナスタシア
- ルパン三世 ロシアより愛をこめて - 敵役としてラスプーチンの孫であるラスプートン(架空の人物)が登場
- 名探偵コナン 世紀末の魔術師 - ロマノフ家を題材としたストーリーであり、真犯人である"スコーピオン"はラスプーチンの子孫であるという設定
- BLOOD+
ゲーム
- シャドウハーツII
- デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団
- ワールドヒーローズ - プレイヤーキャラクターとして登場するが、史実とは違い「争いを嫌い、愛を唱える変人の魔法使い」になっている。
- らいむいろ戦奇譚
- 英雄*戦姫
脚注
関連項目
- ロシア革命
- ロマノフ王朝
- ウラジーミル・プーチン(ロシア連邦大統領) - 1999年、首相就任時にはまだ影が薄く、その謎に包まれていた経歴から、ラス「プーチン」と名前を引っ掛けられていた。
- ゲンナジー・ブルブリス - 旧ソ連の黒幕的な官僚
- 道鏡
- 巨根
- ボニーM -1978年に『Rasputin(邦題・怪僧ラスプーチン)』という楽曲を発表、ヒットした
- 麻原彰晃
外部リンク
- The Alexander Palace Time Machine Bios-Rasputin - bio of Rasputin
- Okhrana Surveillance Report on Rasputin - from the Soviet Krasnyi Arkiv
- Rasputin, Grigory Yefimovich, Microsoft Encarta Online Encyclopedia
- Russian Revolutions of 1917
- The Murder of Rasputin
- Rasputin the Musical by Michael Rapp
- BBC's Rasputin murder reconstruction
- RASPUTIN Grigory Efimovich - article about Rasputin at Encyclopaedia of St. Petersburg
- Mark 16:18 - a bible verse believed by some Christians to ascribe Rasputin-like powers to some Christians
- HistoryOfXXX: ラスプーチン