ガンダリウム合金

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テンプレート:言葉を濁さない ガンダリウム合金(ガンダリウムごうきん、Gundarium Alloy, Gundlium Amalgam)は、アニメ作品群「ガンダムシリーズ」のうち、宇宙世紀及び未来世紀の世界観を持つ作品に登場する架空の物質。主にモビルスーツなどの装甲材として用いられる。

宇宙世紀におけるガンダリウム合金

宇宙世紀におけるガンダリウム合金はGundarium Alloy

ルナチタニウム合金

ルナチタニウム合金(ルナチタニウムごうきん、Luna-Titanium Alloy)は、宇宙世紀0064年に開発されたチタンアルミニウム希土類金属などから構成される合金である。(ルナ)で精製されるチタン(チタニウム)の合金であるところからその名が付いた。月面上という特殊な重力下で精製することにより従来のチタン系合金に加え、様々な特性を有する。

機動戦士ガンダム』において、地球連邦軍のV作戦で開発されたモビルスーツ、RX-78ガンダム、RX-77ガンキャノン、RX-75ガンタンク、及びホワイトベース級強襲揚陸艦の装甲材に採用された。また、RX-78ガンダムは機体本体だけでなく携帯するシールドも「ガンダムと同じ超硬合金ルナチタニウムでできて」おり、かつその量産機RGM-79ジムのシールドも「同じ」ものである[1]

アステロイド基地ルナ2で採掘されるものが特に高純度である[2]

RX-78ガンダムの装甲材として採用され、至近距離からのザクマシンガンでもびくともしない防御力の高さを見せたが、コストの問題によりガンダムの量産型であるジムには従来型のチタン系合金が採用されている。ただし陸戦型ジムの装甲はルナチタニウムである。ガンダムのシールドの表面にも使用されている。

一年戦争におけるRX-78ガンダムの戦果が喧伝された結果、『機動戦士Ζガンダム』の舞台であるグリプス戦役時には、この合金はガンダリウム合金と呼ばれるようになった。

ジオン側での使用例もあり、ケンプファーのショットガンの弾体にルナチタニウムが使用されているという設定がある。なお、グフ・カスタム及びグフ・フライトタイプをルナチタニウムであるという記述が1/144プラモデル説明書にあるが、これは後にHGUC版で超硬スチール合金に修正されている。

ガンダリウムα

ガンダリウムα(ガンダリウムアルファ、Gundarium α)は、アクシズが開発したガンダリウム系合金3種類のうちの一つの合金である[3]。アクシズがルナチタニウム合金またはガンダリウム合金を再現した物である。前者の場合、ガンダリウムの名はアクシズによってつけられたものとされる。

ルナチタニウムとの区別は曖昧、もしくは全く同一とされていることが多いが、『アナハイム・ジャーナル』では、ルナチタニウムのうち、ガンダムらRXシリーズに採用された特に生産性の悪い種類を、後にガンダリウムαと呼び始めたとの記述がされている。

ガンダリウムβ

ガンダリウムβ(ガンダリウムベータ、Gundarium β)は、アクシズが開発したガンダリウム系合金3種類のうちの一つの合金である[3]。ガンダリウムαとガンダリウムγの中間にあたるものだが、β自体の特徴に触れている資料は皆無で、詳細は知られていない。

ムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』の独自設定では、ティターンズの試作機ハーピュレイの装甲材を「ガンダリウム・ベータ級」だとしている。ただし『MISSION ΖΖ』では、ハーピュレイはチタン・セラミック複合材に改められている。

ムック『ガンダムMSヒストリカ Vol.4』には、ネモやマラサイなどの量産機はコストダウンのために、ガンダリウムγではなくβが使われた旨の記載がある(ただし同ムックのVol.3では理由は同様ながら、ネモはガンダリウムαとしている)。

ガンダリウムγ

宇宙世紀0087年のグリプス戦役では、ガンダリウムγ(ガンダリウムガンマ、Gundarium γ)が登場する。αに比べ、生産性、加工性に優れるとしている場合[4]が多いが、それに反するような資料もある[5]

元々は一年戦争終結後に小惑星アクシズに逃げ延びたジオン公国軍残党の研究者達が宇宙世紀0083年に開発した。アナハイム・エレクトロニクス社はアクシズ側との裏取引によりガンダリウムγの製造技術を入手し、リック・ディアスを始めとするエゥーゴの新型モビルスーツで採用した。耐久力に優れたこの新素材は第2期モビルスーツ以降のモビルスーツの基本装備となっていく。更にフレームの構造材に用いることにより、ムーバブルフレームの実用化に貢献し可変モビルスーツの開発が可能になった。

グリプス戦役開戦当時、エゥーゴと対立している地球連邦軍(ティターンズ)側はこの技術を知らなかった。ティターンズはガンダムMk-II強奪事件の後に、アナハイムがエゥーゴに協力している疑いを持った際、アナハイムはこれを晴らすためにマラサイをティターンズに無料供与するという行動を取った。アナハイムが製作したマラサイにはガンダリウムγが使用されており(稀に異説あり。下記参照)、その精製技術も同時にティターンズ側に渡ったとされる。その結果、グリプス戦役に登場する全ての陣営がガンダリウムγを採用したモビルスーツを運用することとなった。

技術の伝播についての異説

現在、広く知られているのは上記の通り、マラサイの譲渡の際に、ガンダリウム関連の技術もティターンズに渡ったとする設定[6]であるが、この経緯は明記されていない資料もある。さらに前述のようにマラサイはガンダリウムβとする設定や、1/144ネモ(旧キット)の解説書のように全く反する設定(ティターンズに譲渡されたマラサイは譲渡用にガンダリウム・アルファ系合金に変更されている)も存在しており、固定化されているというわけではないようである。

また、ガンダリウムγがαと比べて量産性に優れるかどうかは対立している資料があるため、グリプス戦役以降の単に『ガンダリウム合金』と書いてあるものがαかγかは判断できない状態である。特にガンダリウムαを採用したという設定が広く知られているネモは、通常はγだが初期型のみαであるという説も提示されている[7]。 例外として『ガンダム・センチネル』ではアナハイム製のガンダムタイプが「ガンダリウムγコンポジット」とされているのに対し、他は量産機やガンダムMk-Vのような高級機まで全て「ガンダリウム・コンポジット」で統一されており、明確な区別が図られている。

なお、マラサイの譲渡より以前か、ほぼ同時期に開発されている連邦側の機体(ギャプラン[8]ザク・マリナー[9]ゼク・アイン[10]など)にも『ガンダリウム合金』が設定されているものがある。これらについての説明は十分とは言えない。

補足として、複数の資料にある『第二世代MS』の条件に「ガンダリウムγの使用」があるため、第二世代MSだと明記されている場合(この条件が遵守されているという前提で)全てγを使用していることになるが、この世代分けの定義じたいに曖昧な部分がある。たとえば上述の『MSヒストリカ Vol.4』では第二世代でも量産機はガンダリウムγではないとしている。

ガンダリウムエプシロン

エプシィガンダムの装甲材として設定されている、ガンダリウムγの改良型。ムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』によると、この時点のガンダリウム合金で最高の特性を持ち、これによりエプシィガンダムの核融合パルス推進器「ブラッサム(ブロッサム)」は脆弱な構造ながら十分な強度を維持している。しかし『MISSION ΖΖ』ではエプシィガンダムの装甲はガンダリウム・ガンマに改められており、エプシロンも「ブロッサム」用に開発中の段階であるという。

この機体に纏わる諸設定自体が非公式に近い扱いであり、ガンダリウムエプシロンも現在の資料では殆ど見られない。

その他

機動戦士ガンダムΖΖ』後半に登場するモビルスーツは装甲材が「ガンダリウム・コンポジット」と設定されているものがある。コンポジット複合材料か複合装甲の意と思われるが詳しい設定は作られていない(同時期に登場するリゲルグは「チタニウム・コンポジット」である)。またムック『ガンダム・センチネル』に掲載されたものは陣営や時期を問わず一様に「ガンダリウム・コンポジット」「ガンダリウムγコンポジット」であり、本書では単に表記の統一を図っただけとも取れる。

第一次ネオ・ジオン抗争までのMSは量産機を含めてほとんどがガンダリウムを使用しているが、0090年代の主力機であるジェガンギラ・ドーガ(及びギラ・ズール)は『チタン合金セラミック複合材』を使用している。書籍『総解説ガンダム辞典』では、チタン合金セラミック複合材の装甲も、ガンダリウムγからの派生技術でβ級の強度を得たと解説している。

モビルスーツの小型化が進んだ宇宙世紀0123年(『機動戦士ガンダムF91』)以降のモビルスーツの装甲素材は「ガンダリウム合金セラミック複合材」と設定されている。

さらに時代が進むにつれて「ガンダリウム合金ハイセラミック複合材」、「ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材」といった名称へと変遷している。

解説

アニメ本編ではモビルスーツの装甲素材の固有名「ルナチタニウム」は一切登場していない。

アニメ『機動戦士ガンダム』におけるRX-78ガンダムは当時のロボットアニメの主流だったスーパーロボット的な演出の名残により、ザクIIのマシンガン攻撃を一切受け付けない圧倒的防御力が描かれている。ルナチタニウム合金の名はガンダムによって生み出された「リアリティ重視のロボットアニメ」の風潮の中、主役ロボットだけが際立って強い根拠として、後付で設定された。ただ、設定の作成時期は番組放映当時であり、関連書籍のライターが創作したわけではない。また、『機動戦士ガンダム』の場合、装甲材の名前こそ登場しないが説明抜きにガンダムが撃たれ強かったわけではなく、ジオン軍パイロット=ジーンが「なんて装甲だ。ライフルを全く受け付けません」と、ガンダムの装甲の耐弾防御能力が桁外れに高いことをセリフで視聴者に説明している。それゆえ、主人公メカ「ガンダム」に特段に堅牢な装甲材が用いられているということは後付けの設定ではない。

ガンダリウム合金の名称は、最初の続編である『機動戦士Ζガンダム』において、リック・ディアスの装甲材として、初めて登場した。この時に、同時に「かつてのRX-78ガンダムの装甲材にガンダリウム合金が使用されていた」という設定も公表されている。アニメックなどのアニメ雑誌による富野由悠季へのインタビューにおいて、「ルナ・チタニウム=ガンダリウム合金と考えて良いか?」という編集の質問に対し、肯定がなされたことで、ルナ・チタニウム=ガンダリウム合金という図式が成立した。

小説『機動戦士Ζガンダム』やバンダイ「エンターテイメントバイブル」シリーズ等は、RX-78の装甲材「ガンダリウム合金」をジオン残党アクシズが改良し、それをシャア・アズナブルが地球圏に持ち帰ってきたのがガンダリウムガンマ、そしてその初の採用機がリック・ディアス(ガンマガンダム)であるとしており、後に発行される『データコレクション』シリーズ(メディアワークス)等の紙媒体で、初代ガンダリウム合金(ガンダリウムα)はルナチタニウムの別名、新名であると明記される。

『機動戦士Ζガンダム』以降におけるガンダリウム合金は敵味方の全ての陣営のモビルスーツで採用される装甲材となっており、演出上も初期のRX-78のような際立った防御力を見せるものは少なくなった。

未来世紀におけるガンダリウム合金

テンプレート:出典の明記 未来世紀におけるガンダリウム合金は Gundlium Amalgam あるいは Gundlium Alloy

ディマリウム系合金

ディマリウム系合金Dimalium Amalgam、一部にディマニウムとする記述あり)は、重力子の発生や制御も含む慣性制御を可能とした合金で、主に重力制御の機関に使用されている。また、様々なバリエーションが発見・発明され、重力制御以外にも精神波による干渉を受けて発振、発光、蠕動を起こす組成も発見されており、精神感応制御に欠かせないものとなったが、その反面、制御が難しく、精神波の送受信端末(ファイティングスーツアンテナなど)における使用が主になっている。

ガンダリウム合金

ガンダリウム合金は、ディマリウム系合金の一種であり、月面で産出されるチタンをベースとした合金(ルナチタニウム合金)の一種である。第三種融合ディマリウム精製の過程で偶然発見されたため、ガンマ・ユニフィケイショナル・ディマリウム合金 (Gamma UNificational DimaLIUM amalgam) =ガンダリウム合金と呼ばれるようになり、後に軽量な上に高剛性高展性を併せ持つルナチタニウム合金の総称となった。

未来世紀5年の第二次カオス戦争危機以降のモビルスーツ開発競争でモビルスーツの装甲材・建造材として積極的に用いられることとなり、本合金を用いた高性能モビルスーツのことをガンダムと呼ぶようになった。この経緯は宇宙世紀とは逆である。

モビルファイターの装甲材としては、非常に独特なレアメタルハイブリッド多層材(積層材とも)と呼ばれる構造をしており、金属と合成樹脂を合わせたような性質を持っている。これは複数の素材で構成されているわけではなく、一つの素材の中で複数の性質を持つ層がその状況に応じて現れてくるということであり、その最上面の状況や環境の変化に応じて、素材の位相変換も急速に進行し、その層構造も変化する。もちろん、性能が変化するだけでなく、その形状や色までもが変化することがある。

スーパーモード・ハイパーモードとU細胞(DG細胞)

一説によれば、(特に精神感応制御用の)ディマリウム系合金は上記以上の性能を持っているとされる。この素材は、使用者の精神的なコンディションによって、上記のような特徴を引き起こせることが分かり、ネオジャパンの研究によって、モビルファイターにおいては「スーパーモード」、「ハイパーモード」などの名で実現している。

さらに、この素材は自立した分子構造を持っていることが分かり、素材自身が設定された条件を記憶すれば、経年変化することなく維持できることが判明した。また、プログラムの仕方によってはレアメタルハイブリッド多層材のような変化をあたかも意識的に行っているように見受けられる性質も持っているという。

ネオジャパンはU細胞効果(アルティメットさいぼうこうか、一部にU-細胞効果とする記述あり)と言う研究コードを付け、この素材の研究を進めた。まるで生物のように行動、さらには思考できる素材になるのではないかと期待されたこのU細胞は、後にDG細胞と呼ばれることになる。

未来世紀のその他の合金

モビルファイター以外のMS・MAには、それぞれビグザニウム合金ザクリウム合金ジムニウム合金ゾグニウム合金というガンダリウム合金と命名規則の似た装甲材が設定されている。

アフターウォーにおけるルナチタニウム合金

機動新世紀ガンダムX』の「アフターウォー」世界においてはルナチタニウム合金の登場要因や特別な意味づけはなされておらず、宇宙世紀の考え方とほぼ同じ見方である。ただしMSの重量は約1/6(ガンダムは本体のみで43.4t、ガンダムXは7.5t)と、技術設定は大きく異なる。作中では主にガンダムタイプMSの装甲材質として用いられている。

脚注

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関連項目

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  1. 『講談社ポケット百科シリーズ ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』(講談社・1981)。
  2. 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション(3)連邦軍編』講談社、1984
  3. 3.0 3.1 HGUC「リック・ディアス」の説明書より。
  4. 『データコレクション 機動戦士Ζガンダム 上巻』や、『アナハイム・ジャーナル』など。小説版『機動戦士Ζガンダム』にも量産技術を含む改良が行われた旨の記述がある。
  5. プラモデル1/144ネモ(旧キット)の説明書には大量生産用にαを採用したとあり、講談社『ガンダムMSヒストリカ Vol.3』でも同様の記述がある。
  6. 『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』など。
  7. 『ガンダムパーフェクトファイル』Vol.13。ただし本書ではネモがαを採用した理由は未提示。
  8. ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』では0087年3月の時点でギャプランの改造型である[フライルー]が存在している。なお『データコレクション』ではギャプランをチタン合金としているが、他の資料ではガンダリウム合金である。また『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』40ページでは、ギャプランはガンダリウムγをフレームに使用することで変形機構を実現したと明記されている。
  9. ザク・マリナーはジャブロー工廠開発のため、ジャブローが失われるグリプス戦役前半の時点で存在していると考えられる。『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では0087年4月の時点で新型として配備されているが、この時点ではガンダリウムではなかったらしく、7月に一部装甲がガンダリウムに換装されている。よって本機については作中の記述で説明がつく。
  10. ゼク・アインはグリプス戦役開戦前に完成している。ただし本機は『センチネル』のスペック表からガンダリウムγではないと判断できる。