機動新世紀ガンダムX

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テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/Footer機動新世紀ガンダムX』(きどうしんせいきガンダムエックス、After War Gundam X)は、1996年4月5日から同年12月27日まで(テレビ朝日は12月28日まで)テレビ朝日および一部地方のテレビ朝日系列にて放送されたテレビアニメガンダムシリーズの1作。全39話。略称は「GX」。キャッチコピーは「月は出ているか?」「君は、生き延びた先に何を見るのか?[1]」など。平均視聴率は2.75%。

概要

新機動戦記ガンダムW』の後の時間帯に放映された作品であり、放送局への納品がテレビアニメのガンダムシリーズで初めてD2マスターで行われた作品でありそれに伴ってステレオ放送が初めてされた作品でもある[2]

『ガンダムW』は監督の池田成が中途で辞め、急遽『黄金勇者ゴルドラン』を担当していた高松信司がかわりに起用されていた。ただし高松は最後までクレジットされていない。同作の作業にもだいたい目処のついた頃に、次に製作するガンダムの監督のオファーを受けた。高松はビデオソフトに封入されたインタビュー記事やDVD-BOX封入冊子インタビューで、「1995年11月に突然『ガンダムをやれ!』とサンライズから言われた」という趣旨の発言をしている。また、サンライズプロデューサーの富岡秀行も同じDVD-BOX封入冊子インタビューで、当時「高松を推薦した」と述べている。

「好きなようにやっていい」と言われた高松は様々なアイディアを検討した末、自分の脳裏から離れなかった荒野にただ1機背中を向けてたたずむガンダムのイメージからインスピレーションを得て、この作品の制作に取りかかった。

制作までの時間がなかったことから、シリーズ構成を担当した川崎ヒロユキが最終的に全話の脚本を手がけた。

前作『ガンダムW』同様、5人の美少(青)年がセールスポイントのひとつに挙げられる[3]が、前作のようなキャラクターを前面に出した作風とは趣が異なる。またエンディングと次回予告の映像を同時進行させたこと、その最後に登場する登場人物の言葉をサブタイトルに採っているのも特徴となっている。第1話のサブタイトル「月は出ているか?」は同作品を紹介した様々な媒体で引用されている。

ガンダムを考えるガンダム

この作品の大きな特徴は、高松が「ガンダムを考えるガンダム」と述べているとおり、「少年と少女が出会い、彼らと彼らを取り巻く人々がやがては世界を変えていく冒険譚」という物語上に、ガンダムという作品にまつわる事象がメタフィクション的に多々取り入れられている点である。

メタフィクションの多用は高松の手がけた『勇者特急マイトガイン』などでも見られたが、高松やシリーズ構成・脚本の川崎ヒロユキは、カリスのエピソードを描く中でそういった方向性が固まり、当初は意図しなかったものまで最終的にメタフィクションの方向に落ち着かせるのが自然な流れになるなど、偶然の符合があったことも明らかにしている。川崎と高松の対談において、それらの裏話や後述するD.O.M.Eの声優決定エピソードなどが語られている[4]。制作当初や早い時期から意図していたものとして、次のものが挙げられる。

  • 機動新世紀 = 1981年、『機動戦士ガンダム』劇場版の公開直前に、新宿駅前で行われた「アニメ新世紀宣言」を踏まえている。劇中の舞台が「A.W.(アフターウォー)15年」なのも、アニメ新世紀宣言から15年経っているということ。
  • 第7次宇宙戦争後 = 当作品はテレビシリーズ7作目。また、この戦争とは「ガンダムという現象」の象徴(メタファー)となった。
  • 当作品のニュータイプ = 元々「主人公が出会って恋に落ちる少女」というプロットを高松が川崎に与えた際、川崎がその少女・ティファをニュータイプと設定したことで登場したが、結果的に「ガンダムという作品の象徴」となった。ニュータイプという言葉には「ガンダムという作品」そのものが投影されてもいる。この点で富野作品に登場するニュータイプとは意味的に異なる。

また川崎は、劇中のニュータイプに対する答えは、「ファーストガンダムという作品のテーマ性を卒業しよう」ということを考えながら導き出したものであると語っている[5]

ファーストニュータイプこと「D.O.M.E.」の声優には、当初『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイ役を演じた古谷徹の起用案もあったという。しかし、高松の「古谷さんにお願いすると、自分の意図する『ニュータイプ』の意味が変わってしまう」という意見で没になり、最終的に自分達の最も言いたいことを表現するのには、物語の語り手に「私」としてしゃべってもらうことが効果的だと考えて、ナレーション担当の光岡湧太郎に依頼した。これにより、本作品が三人称ではなく一人称で語られた作品であることが判明する作りになっているが、高松らは「演出的にもつじつまが合っていたし、うまい落としどころだったと思う」と、当初からそういう意図で考えていたわけではなかったこともコメントしている。

放送期間短縮、時間変更および枠廃止

テンプレート:出典の明記 1993年にスタートしたテレビ朝日製作のガンダムシリーズ枠はその当初から視聴率において低迷が続き、スポンサー離れが進行していた。そのため本作では視聴率の改善が最優先課題に挙げられたが、前作『ガンダムW』で急遽代役監督として登板した高松が継続して担当することになった事情から本作の企画開始は余裕のない状況で行われた。そのため、高松と川崎の2人によってストーリープロットが決められていき、またキャラクターデザインもその仕事の速さを高松が頼って西村誠芳が起用された[6]

こうして厳しい船出を強いられた本作は、初回こそ6.2%を記録したものの、その後視聴率改善の兆しもなく、プラモデルの売上も前作『ガンダムW』に対して2割減となり、10月改編に際して放送期間の1クール短縮と放送時間の変更が決定された。10月よりテレビ朝日のみ土曜日朝6時に移動し、地方ネット局は元の時間帯のまま裏送りでの先行放送となった。また、元々ローカル番組『新・部長刑事 アーバンポリス24』との兼ね合いで金曜16時30分からの先行時差ネットだった大阪のABCも同様の対応のまま最終回を迎えた。関東をカバーするテレビ朝日が早朝に移動したことで、平均視聴率がそれまでの3.5%から1.2%に下がった[7]

ただし放送期間短縮を受けて唐突に物語が打ち切られたわけではない。当初の脚本が4週で一つのストーリーを完結させるという形を取っていたため、そのディテールを省くことで、半年で展開する予定だった物語を駆け足ではあるが3か月分にまとめて完結させている。例えば、エアマスターレオパルドのバージョンアップはそれまでの物語描写に比べてあっさり行われ、Gファルコンの特殊機能について提示されただけに留まり、最終回ではD.O.M.E.というデウス・エクス・マキナを登場させている。高松はDVD-BOXのインタビューで「ガンダムDXが出たあたりでは短縮は決まっていたが、後半も構想から省略した要素は1つもない」とコメントしている。

本作を以ってテレビ朝日製作のガンダムシリーズ枠が終了。2013年現在、テレビ朝日系で放送された最後のTVシリーズ作品である。また、TVシリーズの中で最も話数の少ない作品でもあり、『SDガンダムフォース』(こちらは最多の52話)と並んで年を越せていない。

SDガンダムを除くTVシリーズの中で2013年現在、唯一小説化されていない作品でもある。また、高価値付加系のプラモデルやフィギュアでも本作の登場機体はあまり商品化されておらず、2007年1月にGUNDAM FIX FIGURATIONでガンダムXが発売されたに留まっており、TVシリーズ作品では唯一マスターグレードでのキット化がされていなかったが、2010年4月になってHGAW(ハイグレード・アフターウォー)というカテゴリーで ガンダムXが、初の宇宙世紀以外のMSとして発売され、さらに同年12月にはパーツ及び成形色替えとしてHGAWガンダムXディバイダーが発売、2013年には7月にROBOT魂で、10月にはHGAWでガンダムダブルエックスが発売されたりと、徐々に商品化がされ始め、2013年10月に幕張メッセにて行われた第53回全日本模型ホビーショーにて、ガンダムXマスターグレードで発売されることが発表され、2014年1月に発売された。

本作の漫画版が連載されていた『コミックボンボン』のアンケートでは上位に入っていた。

DVD化は2005年1月、DVD-BOXおよび単品が発売された。またDVD-BOX化に伴うタイアップ企画として、本編終了後の9年後のアフターストーリーを描く『機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜』がガンダムエース誌上で連載された。

物語

テンプレート:不十分なあらすじ

アフターウォー(A.W.)15年。人類と地球に壊滅的な打撃を与えた勝者無き大戦争、第7次宇宙戦争後の荒廃した地球が舞台。

戦争で孤児となった少年ガロード・ランは、ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として逞しく生きていた。そこにある依頼が来る。内容はバルチャー艦「フリーデン」に誘拐されたティファ・アディールという少女を取り戻してほしいというものだった。しかしティファに一目ぼれしたガロードは、依頼者を見て激しくおびえたティファを連れて逃走。

そしてティファに導かれたガロードは、幻のモビルスーツ「ガンダムX」を発見する。紆余曲折を経て2人は、フリーデン艦長ジャミル・ニートと共に、「ニュータイプ」と呼ばれる人々を探す旅に出る。

登場人物

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登場兵器

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用語

世界観・組織

A.W.(アフターウォー)
第7次宇宙戦争以降の年号。本編はA.W.0015の物語。0015年時期の地球人口は約9,800万人。なおコロニー側(宇宙革命軍)人口は1,200万人で双方を合わせた地球圏人口でようやく1億人を越える程度であり、15年前の第7次宇宙戦争時には100億人を誇った地球圏人口の1/100ほどでしかない。
アルタネイティヴ社
戦後の北米に割拠した軍需コングロマリット。戦後産業界のトップに踊り出るべくティファを狙う。ラボの総責任者はフォン・アルタネイティヴ。
宇宙革命軍
ザイデル・ラッソ総統以下、ニュータイプ主義を掲げ、クラウド9のコロニー群を故郷とする宇宙軍事政権。第7次宇宙戦争の宇宙革命軍(旧宇宙革命軍)の生き残りであるが、その存在は地球においては公表されていなかった。旧宇宙革命軍と区別して「新宇宙革命軍」または「新革命軍」と呼ばれる事もある。
エスタルド人民共和国
南アジアの戦後独立国家群の一つ。豊かな海洋資源を経済基盤に終戦直後から復興。近隣のノーザンベルやガスタールと同盟を結んでいたが、ガスタールとは民族紛争の歴史があった。国家主席はウイリス・アラミス。
コロニー落とし作戦
第7次宇宙戦争末期、旧宇宙革命軍が用意した作戦。旧革命軍と意見を違えていたコロニー数十基を占拠した上で大質量兵器として地球に落下させるというもの。本件を盾に旧連邦に降伏を迫ったが、対して旧連邦軍はニュータイプ部隊とガンダム・タイプを導入したコロニー迎撃作戦を決行しサテライトキャノンの威力を見せ付けられた結果、旧宇宙革命軍の焦りを招き決行された。
サテリコン
パーラ・シスが所属していた宇宙革命軍およびニュータイプ主義に反抗する反政府組織。旧宇宙革命軍に故郷のコロニーを占拠・破壊された難民達が結成した。小惑星資源帯にアジトを持つ。目的はダリア作戦の阻止にあった。総司令官はロイザー司令。ガロードとガンダムダブルエックスを味方に加えた直後、革命軍の攻撃を受けて壊滅してしまった。
政府再建委員会
戦後の地球統一を目指し旧連邦の政府関係者、軍上層部、産業界のリーダー達によって発足した組織。後にフィクス・ブラッドマン総司令官によって新連邦政府として樹立した。欧州に本拠地をおく。
第7次宇宙戦争
15年前に一つの宇宙コロニーの独立運動に端を発した地球・南米大陸を本拠地とする旧地球連邦とコロニー群・クラウド9を本拠地とする旧宇宙革命軍との全面的な大戦争。コロニー落としにより世界規模で地球環境は破壊され、一方の旧革命軍側も本拠地以外のコロニー及び軍事力が壊滅。100億を誇った人口のほとんどが失われ、勝者無きまま、なし崩し的に終戦を迎えた。しかし、旧連邦及び旧革命軍ともに首脳陣及び組織は戦後も生き残り、両者は休戦状態に過ぎなかった。
地球統合連邦政府
アフターウォー以前(第7次宇宙戦争前)に地球を統治していた政体。南米大陸に中枢を構えていた。第7次宇宙戦争によって壊滅的な打撃を受けるも、軍や政府の上層部は生き残り、再建の準備を進めていた。劇中では地球連邦と略称され、後継組織である新連邦と区別するため、主に旧連邦と呼称される。
バルチャー
地上戦艦等で各地を移動、旧連邦の施設跡などで収穫した兵器や電子部品を売りさばく者たち。そのため、死肉を漁る禿鷹にちなんで「バルチャー」と呼ばれるようになった。荒廃した世界において、各々が武装し、時に協力し、あるいは敵対しながら、活動している。その性格上、交易業や傭兵業などもこなすが、私略などの無法に走る者も数多い。海洋では同様の稼業に付く者の内、比較的穏健なサルベージ・交易業中心の者をシーバルチャー、私略等過激行動を採る者をオルクと区別して呼ぶ。彼等は陸での同業者を対比として(おか)バルチャーと呼ぶ。
バルチャー・サイン
MS乗りやバルチャーがその意思を伝えるために使用する特殊な信号弾。色で差別化され複数を組み合わせる例もある。
例 - オレンジ「我が方攻撃の意思無し。全面降伏する」、レッド「協力要請」。

兵器類

ガンダム・タイプ
第1次宇宙戦争に投入された試作一号機がそのパイロットをニュータイプへ覚醒させた(このパイロットが後のD.O.M.E.である)ことから一種のステイタス的に扱われるようになった旧連邦軍のフラッシュシステム搭載型MSに与えられた名称。戦後世界、特に市居のバルチャー・MS乗りの間では情報の伝播力が弱いことから単なる破格の高性能なMSという認識である。
コロニーレーザー
第7次宇宙大戦で旧宇宙革命軍が開発半ばで放棄されていたコロニー1つを丸ごと使った巨大レーザー砲。新宇宙革命軍が国家の命運をかけた地球侵攻作戦ダリア作戦の切り札として完成させた。コロニーレーザーを地球に発射し、その後で地球攻撃部隊の突入という形で奇襲をかけるというものだったが、ダブルエックスによって阻止された。
サテライトキャノン
月面の太陽発電基地で発生させたスーパーマイクロウェーブを背中のリフレクターでエネルギーに集積変換し専用のビーム砲で発射、一瞬にして広範囲を攻撃する非常に破壊力の高いビーム兵器。照準レーザー到達後リフレクターでマイクロウェーブを受理するまで4.03秒かかる[8]。発射の衝撃をブースター変わりにした変則的な使用法もある。一部資料によると、本来は大型で単体の浮遊砲台的な仕様で開発されていたが、途中でMSに搭載可能な規模の仕様に変更され、最大出力こそ低下したものの、運用の柔軟性等総合的には初期の仕様より性能は上回ったと記されている。
Gコントロール・ユニット(Gコントローラー)
ガンダムX用の携帯式コントロールユニット。作中では略したGコンと呼ばれるケースが多い。ガンダムXのコクピットに接続後は右操縦桿となり、サテライトキャノンの発射トリガーも兼ね(実際にGコン無しの有線でサテライトシステムを起動したシーンではサテライトキャノンは撃てないと台詞で説明されている)、その起動の際には親指でスイッチを入れると各部が変形・展開し専用の管制画面が現れる。ジャミルがフリーデンの金庫に保管していたが、ライクからティファ救出の依頼を受けたガロードがフリーデンに忍び込んだ際に盗み出した。ガロードはGコンの使い方を知らず「手ぶらよりはマシ」という考えで所持するが、そのおかげでガンダムXを起動することに成功し、その後ジャミルに認められ正式に所有することになった。ガンダムXの後継機のガンダムダブルエックスには赤い色で形状も異なる専用Gコンが用意されていたが、所有者のアイムザット共に行方知れずとなり、またダブルエックス自体はGX用Gコンでも運用可能だったこともあったため、ガロードはGX用Gコンをそのまま使用した。
地上戦艦
陸上戦艦とも表記。AW世界で使用される艦船型のホバーキャリア。なお艦船クラスには地球の山岳地形が使用されている。また基本的には大きさ(全長)のみでクラスは判別される為同一クラス名でも全く違う外見の艦が存在する。
フラッシュシステム
旧連邦軍が開発したニュータイプオンリーの戦闘システム。ビットMSのコントロールやサテライトシステムへの機体登録に使用される。基本的にガンダムタイプかそれらに順ずる機体にしか搭載されていない。旧宇宙革命軍もフラッシュシステムを使用していた。
モビルアーマー
人型のモビルスーツに対し純粋な機動兵器としての機体(非人型機動兵器)を指す。
モビルスーツ(MS)
人型の機動兵器。第7次宇宙戦争の終戦後は武器としてまた商品としても扱われる。フラッシュシステムによって自在に動く無人モビルスーツは「ビットモビルスーツ」と呼ばれる。
ルナチタニウム合金
主に旧連邦製ガンダムに使用されている装甲材。余談になるがその他のモビルスーツの装甲材はほとんどの資料では未設定(不明と記述されているものを除く)だがムック『GUNDAM X THE 3D』ではチタン・セラミック複合材と記されている。

ニュータイプ及びそれに付随する用語

オールドタイプ
旧人類、またはニュータイプでもなければ特異能力の無いものを指す。後述の革命軍のニュータイプ観の関係でコロニーの住人であるスペースノイド以外に対して指す場合もある。
カテゴリーF
連邦及びニュータイプ研究所がニュータイプの素養がある人間を探求・研究する過程で発見された。ニュータイプ的な特異な能力を持ちながら、フラッシュシステムに対応しなかった(と判定された)者のこと。FはFake(偽物、紛い物)の頭文字からである。
人工ニュータイプ
自然発生したニュータイプとは違い普通の人間を人工的な処置によってニュータイプ化した存在。旧革命軍が開発した技術をドーラット博士が進歩させた。ただし激痛を伴う「シナップスシンドローム」という副作用を背負う。
ツインズ・シンクロニティ
フロスト兄弟のみが持つ兄弟のみの間で精神を同調させる能力。だがフラッシュシステムに対応しないため兄弟は「カテゴリーF」に分類される。
ニュータイプ
人の革新と呼ばれる力で、その力をもつ者を指す言葉。旧および新連邦(及びニュータイプ研究所)ではフラッシュシステムへの適応の可否であり、宇宙革命軍の唱えるニュータイプ主義とはスペースノイドこそがニュータイプであり、能力者は力が早くに発露した存在とする考え方である。劇中最終話において、ファーストニュータイプにより前述のニュータイプという概念がもたらした幻想が否定される。
D.O.M.E.(ドーム)
月のマイクロウェーブ送信施設内にあるドーム状の空間を有する施設。旧連邦によって遺伝子レベルにまで解体されたファーストニュータイプが保管されている。この存在こそ旧連邦時代からの新連邦の最重要機密であった。

スタッフ

シリーズスタッフ

33話以降、オープニング映像の「テレビ朝日」のクレジットは、『機動戦士Vガンダム』以来、長らく局ロゴではなく普通のテロップとなっていたが、本作の末期は(1996年11月から2003年9月まで使われた)系列ネットワークシンボル導入に伴い、局ロゴが使用された。

主題歌

オープニングテーマ

DREAMS」(1話 - 26話)
作詞・作曲・編曲 - RO-M / 唄 - ROMANTIC MODE
Resolution」(27話 - 39話)
作詞 - 西脇唯 / 作曲 - ジョー・リノイエ / 編曲 - ジョー・リノイエ、鈴川真樹 / 唄 - ROMANTIC MODE

エンディングテーマ

前述のとおり、エンディングと次回予告の映像は同時に進行する演出がなされている。

「HUMAN TOUCH」(1話 - 13話、39話)
作詞 - Susanne Marie Edgren / 作曲・編曲 - Tom Keane / 唄 - ウォーレン・ウィービー
「HUMAN TOUCH(日本語版)」(14話 - 26話)
作詞 - Susanne Marie Edgren / 日本語詞 - 許瑛子 / 作曲 - Tom Keane / 編曲 - 須藤賢一 / 唄 - re-kiss
「銀色Horizon」(27話 - 38話)
作詞 - 小室みつ子 / 作曲 - 濱田金吾 / 編曲 - TOM KEAN / 唄 - 中瀬聡美

各話リスト

各話タイトルは、その話でのキャラクターの台詞から採られている。以下では、サブタイトルとなる台詞を口にしたキャラクターも併記する。なお、脚本は全話を川崎ヒロユキが担当したので、ここでは割愛する。放送日はテレビ朝日の放送日を記述する。

話数 放送日 サブタイトル キャラクター コンテ 演出 作画監督
第1話 1996年
4月5日
月は出ているか? ジャミル・ニート 高松信司 森邦宏 西村誠芳
第2話 4月12日 あなたに、力を… ティファ・アディール 渡邊哲哉 佐久間信一
藁谷均
第3話 4月19日 私の愛馬は凶暴です シャギア・フロスト 湊屋夢吉 原田奈奈 西村誠芳
第4話 4月26日 作戦は一刻を争う! ジャミル・ニート 吉本毅 佐久間信一
藁谷均
第5話 5月3日 銃爪(ひきがね)はお前が引け 高松信司 森邦宏 西村誠芳
第6話 5月10日 不愉快だわ… サラ・タイレル 西森章 南康宏 藁谷均
佐久間信一
第7話 5月17日 ガンダム、売るよ! ガロード・ラン 日高政光 原田奈奈 西村誠芳
第8話 5月24日 あの子、許さない! エニル・エル 西森章 吉本毅 佐久間信一
藁谷均
第9話 5月31日 巷に雨の降るごとく テクス・ファーゼンバーグ 湊屋夢吉 森邦宏 西村誠芳
第10話 6月7日 僕がニュータイプだ カリス・ノーティラス 日高政光 渡邊哲哉 佐久間信一
藁谷均
第11話 6月14日 何も考えずに走れ! ジャミル・ニート 千明孝一 原田奈奈 西村誠芳
第12話 6月21日 私の最高傑作です ノモア・ロング 西澤晋 南康宏 佐久間信一
藁谷均
第13話 6月28日 愚かな僕を撃て カリス・ノーティラス 森邦宏 西村誠芳
第14話 7月5日 俺の声が聞こえるか! ガロード・ラン 高松信司 渡邊哲哉 佐久間信一
藁谷均
第15話 7月12日 天国なんてあるのかな ロアビィ・ロイ 西森章 原田奈奈 筱雅律
第16話 7月19日 私も人間(ひと)だから ティファ・アディール 日高政光 南康宏 西村誠芳
第17話 7月26日 あなた自身が確かめて 西森章 森邦宏 佐久間信一
藁谷均
第18話 8月2日 Lorelei(ローレライ)の海 オルバ・フロスト 谷口悟朗 西村誠芳
第19話 8月9日 まるで夢を見てるみたい ルチル・リリアント[9] 日高政光 筱雅律
第20話 8月16日 …また逢えたわね エニル・エル 渡邊哲哉 佐久間信一
藁谷均
第21話 8月23日 死んだ女房の口癖だ カトック・アルザミール 西森章 南康宏 西村誠芳
第22話 8月30日 15年目の亡霊 森邦宏 佐久間信一
藁谷均
第23話 9月6日 私の夢は現実です ティファ・アディール 湊屋夢吉 原田奈奈 西村誠芳
第24話 9月13日 ダブルエックス起動! ガロード・ラン 高松信司 渡邊哲哉 筱雅律
第25話 9月20日 君達は希望の星だ リー・ジャクソン 南康宏 佐久間信一
藁谷均
第26話 9月27日 何も喋るな ウィッツ・スー[10] 西森章 岡本英樹 西村誠芳
第27話 10月5日 おさらばで御座います リー・ジャクソン 東海林真一 森邦宏 佐久間信一
藁谷均
第28話 10月12日 撃つしかないのか! ガロード・ラン 湊屋夢吉 越智浩仁 西村誠芳
第29話 10月19日 私を見て ティファ・アディール 西森章 渡邊哲哉 佐久間信一
藁谷均
第30話 10月26日 もう逢えない気がして 東海林真一 原田奈奈 西村誠芳
第31話 11月2日 飛べ、ガロード! ジャミル・ニート 西森章 南康宏 佐久間信一
藁谷均
第32話 11月9日 あれはGファルコン! ランスロー・ダーウェル 日高政光 岡本英樹 西村誠芳
第33話 11月16日 どうして俺を知っている!? ガロード・ラン 越智浩仁 藁谷均
第34話 11月23日 月が見えた! 森邦宏 西村誠芳
第35話 11月30日 希望の灯は消さない カリス・ノーティラス 渡邊哲哉 佐久間信一
藁谷均
第36話 12月7日 僕らが求めた戦争だ オルバ・フロスト 高松信司 南康宏 西村誠芳
第37話 12月14日 フリーデン発進せよ ジャミル・ニート 東海林真一 原田奈奈 佐久間信一
藁谷均
第38話 12月21日 私はD.O.M.E…かつてニュータイプと呼ばれた者 D.O.M.E. 越智浩仁 西村誠芳
第39話 12月28日 月はいつもそこにある ナレーター 高松信司 森邦宏 西村誠芳
佐久間信一
藁谷均

関連作品

ゲーム

ロボットアニメのクロスオーバー作品に本作の機体やキャラクターが登場し、本作の物語も再現されている。

そのほか『リアルロボッツファイナルアタック』や、『Gジェネレーション』シリーズにも登場している。

放送局

放送当時

金曜17時00分-17時30分

時差ネット

朝日放送はテレビ朝日で土曜17時から放送されていた勇者シリーズを金曜17時から先行放送していたため、当枠は金曜16時半からの先行放送となった。
放送終了後に放送
テレビ朝日系列局外

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備考

  • 川崎ヒロユキは「これを見てもらえればどういう気持ちで『ガンダムX』に参加していたかがわかる」と冗談めかした発言で、自身の脚本による『機動戦艦ナデシコ』第17話における本作のパロディを紹介した。その内容は、本作とそれをとりまく状況への批判、そして無自覚に本作と関わる川崎自身への断罪という代物であった。[11]
    高松に擬せられた登場人物・ムネタケ・サダアキが一方的に責任を取らされそうになり錯乱し、使えない大砲を備えた欠陥試作機Xエステバリス(エステバX)で発進する。機体は欠陥により爆発し、ムネタケは錯乱したまま脱出しようともせず死亡した。一方で川崎本人に擬せられた人物・ウリバタケ・セイヤはフィクションと現実の差を痛感する。
  • 富野由悠季は『それがVガンダムだ』(ISBN 978-4-87777-054-9)で、本作の画面(メカデザイン)を「とっ散らかった品揃え」と評している。また、別のインタビューでは『ガンダムX』が短命に終わったのは、MSのデザインにしろリリース上の戦略にしろ、スタッフ側が「ガンダムしか知らない」からだ、とコメントした[12]
  • 番組の流れはアバンタイトル(最初にブラックバックに白抜きで「GUNDAM-X」と表示された後に入る)→オープニング→提供・CM→Aパート→CM→Bパート→エンディング→提供・エンドカードの順だった。上記の通り次回予告はエンディングに内包されており、ブラックバックに白抜きで「PREVIEW NEXT EPISODE」と表示された後に次回放送分の映像がナレーションと共に流れ、曲の最後でサブタイトルとなった台詞を言うシーンが流れた後、次回のサブタイトルが出るというものであった。

参考文献

  • 猪俣謙次『ガンダム神話Z』(ダイヤモンド社、1997年)
  • 機動新世紀ガンダムX TVアニメ完全ビジュアルブック(メディアワークス、1996年)
  • 機動新世紀ガンダムX モビルスーツコレクション(ケイブンシャ、1997年)
  • データコレクション 機動新世紀ガンダムX(メディアワークス、2000年)
  • 機動新世紀ガンダムX 公式MSカタログ(講談社、1997年)

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. 機動戦士ガンダム』のオマージュ。
  2. なお、『機動戦士Vガンダム』から前作『ガンダムW』の本放送は放送局への納品がフィルムであったためモノラル放送だったが、ビデオ発売時はステレオ音声で制作されている。
  3. マーチャンダイジングライツレポート1996年4月号
  4. LD版の付属冊子より
  5. 電撃ホビーマガジン2010年6月号のインタビューより
  6. DVD-BOX小冊子での高松のコメント
  7. http://home-aki.cool.ne.jp/anime-list01.htm
  8. 地上で使用した場合のみ。月から地上までの約38万kmをマイクロウェーブが移動するのに4.03秒かかるため。つまり月に近ければ近いほどチャージ時間も短くなる。
  9. 画面上でこの台詞を発したのは、ルチルの意識が憑依したティファである。
  10. 第26話で流れた予告では、該当するシーンに台詞の音声は入っていない。
  11. ただしこれはあくまで「当時(ナデシコに携わっていた時期)の見解」でありこれ以降の発言ではやや肯定的な発言も見られる様になっている。
  12. スーパーロボットマガジン』Vol.8

外部リンク

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