エイリアン2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox Filmエイリアン2』(Aliens)は、1986年アメリカ映画。『エイリアン』シリーズの第2作。監督はジェームズ・キャメロン

概要

SFホラーの古典となった前作『エイリアン』から一変し、当時『ターミネーター』で一躍名を馳せたキャメロンを脚本・監督に迎え、原題通り無数に繁殖したエイリアンと未来兵器に身を固めた兵士との戦いを描くアクション映画として製作された。

1986年のアカデミー賞では視覚効果賞、音響効果編集賞を受賞。

キャッチコピーは「This time it's war.(今度は戦争だ)」。

ストーリー

ノストロモ号の惨劇発生から57年、唯一の生存者リプリーはハイパースリープで宇宙空間を彷徨い続けた末にようやく救助される。リプリーは覚醒後、当時11歳になろうとしていた娘が自分より先に老いて亡くなっていたという事実を聞かされる。その上、エイリアンの事件についても精神を病んだ妄想であると決め付けられ、宇宙船も勝手に爆破したと判断され、ショックで寝込んでしまう。

そんな中、ノストロモ号の惨劇においてエイリアンを発見することとなった惑星LV-426が、現在は植民地として開拓されていることを知る。エイリアンの危険性をなおも訴えるリプリーを会社の上層部は軽くあしらうが、それからほどなくして惑星を開拓していた住民157人が消息を絶った。リプリーは己のトラウマと向き合うため、住民救助を任された植民地海兵隊のアドバイザーとして参加。宇宙船スラコ号に同乗し再び惑星LV-426に赴く。そこで海兵隊が見たものは、奇妙に破壊された施設や標本として保存されたフェイスハガー、絶望的に追い詰められた開拓団の残した痕跡、そしてただ1人生き残った少女ニュートだった。

強力な火器で重武装した海兵隊は、生存者と思われる反応を追って惑星大気を改造する巨大な環境システム施設内部に突入する。しかし、そこはすでにエイリアンの巣窟と化していた。生存者は残らずエイリアンの繭にされており、襲い来るエイリアンとの戦闘で海兵隊は大きな損害を受ける。そこで核爆弾の投下による殲滅を決定するものの、着陸中の惑星降下船にまでもエイリアンの魔手が及んでおり、呼び寄せる途中に目の前で墜落してしまう。これによって宇宙船への帰還手段を失い、またほとんどの武器や装備も失った。生き残っていた者はとりあえずコロニー内に籠城し救援を待とうとするが、降下船の墜落によって施設の電気系統に障害が発生し、施設の核融合炉の冷却システムがダウン。4時間後に30メガトン水爆として大爆発することが発覚する。そこで、スラコ号から予備の惑星降下船を遠隔操作で呼び寄せて、脱出することを決意する。タイムリミットが迫る中、人間とエイリアンの生死を賭けた戦いが始まる。

登場人物・キャスト

民間人

エレン・リプリー
演 - シガニー・ウィーバー
ノストロモ号唯一の生存者。前作終盤でコールド・スリープに入り、睡眠中に地球を通り過ぎてしまったことも原因で57年という長い間眠り続けてしまったために、娘とも再会できないまま娘とは死別となってしまった。また前作の惨劇がトラウマとなり、毎晩のようにチェストバスターで胸を食い破られる悪夢に苛まされるようになる。その後、ノストロモ号爆破の罪でウェイランド社の査問会に掛けられ、自身の述べた真実を受け入れられないまま精神異常と判断されて宇宙航海士としての資格を剥奪されてしまう。資格剥奪後はパワー・ローダーの資格を取得し物資搬送業で生計を立てていたが、バークからLV426の植民地との連絡が付かなくなったとこを知り、自身のトラウマと向き合うために再びエイリアンとの戦いに身を投じることになる。
ニュート(レベッカ・ジョーダン)
演 - キャリー・ヘン
開拓者団最後の生き残りの少女。ニュートとはイモリを意味するあだ名で、本名のレベッカは兄だけしか使わない。通風管の中を逃げ回っていたところを、海兵隊の動体探知機が反応して発見される。リプリーとは交流を通じて親子のような情で結ばれる。劇中では最後まで生存する。
ビショップ
演 - ランス・ヘンリクセン
医療従事用アンドロイド。装甲車の運転も担当しさらに降下艇の操縦資格も持つ。当初は前作におけるアッシュの件もありリプリーに嫌悪される。リプリーに対しては暴走したアンドロイドは古い型の不具合であり自身は問題ないと説明する。人間ではないが恐怖心はあると語っている。生存者中では唯一操縦資格を持つということでスラコ号に残っていた降下艇を操作するために一人でパイプの中をほふく前進で移動し、降下艇を遠隔操作で呼び戻す。その後エイリアンクイーンに胴体を真っ二つに引き裂かれるが、劇中では最後まで生存する。ナイフを使った曲芸(広げた手の指の間を高速で突き立てていくもの)が得意で、劇中でハドソンの手に自分の手を重ねて人間離れした速さで行っていた。
ラス・ジョーダン
演 - ジェイ・ベネディクト
ニュートの父。完全版のみ登場。一家で辺境の墜落した異星人の宇宙船を捜索中にエイリアンの幼虫に寄生されてしまい、娘のニュートを除く同惑星の住民全員が死亡する引き金を作る。
アン・ジョーダン
演 - ホリー・デ・ジョン
ニュートの母。完全版のみ登場。夫のラスと共に宇宙船を捜索し、夫がエイリアンに寄生されたため救援を求める。その後直接の描写はないが、エイリアンの手により死亡。
ティモシー・ジョーダン
演 - クリストファー・ヘン
ニュートの兄。完全版のみ登場。両親共々エイリアンにより死亡した。

植民地海兵隊

ドウェイン・ヒックス
演 - マイケル・ビーン
階級は伍長。小隊では第二分隊の分隊長(メンバーはドレイクとフロストとディートリック)であったが、小隊が壊滅し部隊長であったアポーンがエイリアンにさらわれた後、小隊指揮官のゴーマン中尉が気絶したため指揮を引き継ぐこととなる。危険な戦地に赴く降下艇の中で眠りこけたり、(この時代から見れば)時代錯誤なモデルのショットガンに愛着を持っているなど、一見稚拙な性格に見えるが仲間からの信頼は厚く、指揮を委任された後は強いリーダーシップを見せ、リプリーら生存者達に頼られる存在になる。リプリーとは絆が芽生えたようで、パルスライフルの使い方を教えたり、互いにファーストネームで呼び合ったりするようになる。エイリアンから逃亡する際に酸の血液を浴びて負傷するが、劇中では最後まで生存する。
ウィリアム・ハドソン
演 - ビル・パクストン
階級は上等兵。メカニック担当。部隊内の盛り上げ役だがお調子者で、ゴーマンに対しても皮肉を言う。出撃前はエイリアンの存在も信じていなかったせいか常に余裕で威勢もよかったが、エイリアンの大群に襲われてからは勝てるわけがないと悲観的になり、リプリーに叱咤される。その後は落ち着きを取り戻し、基地内のコンピュータを操作して地図を呼び出すなど活躍。バリケードを突破してエイリアンの大群が押し寄せてきた際には、バスクエスに劣らぬ勇猛さを見せてエイリアンに立ち向かうが、床下ダクトから現れたエイリアンに引きずり込まれ、その後の生死は不明。ノベライズではエイリアンの繭にされるよりはマシだと判断したヒックスが床下ダクトめがけて射撃するも、こちらも生死不明。
ジェニット・バスクエス(デジタルリマスター版:ジェニット・バスケス)
演 - ジェニット・ゴールドスタイン
階級は上等兵。狙撃が得意で、女性ながら大型武器の扱いを任されている。勝気な性格だが、仲間を思う気持ちは強い。ドレイクとは仲がよいが、ゴーマンのことを良く思っていない。
核融合炉に近い場所のためにゴーマン中尉から重火器の発砲を禁止されるが、ドレイクと共に造反してスマートガンでエイリアンと戦う。死角からエイリアンに襲われそうになったドレイクを助けるためにスマートガンで倒すが、その返り血の酸でドレイクは死亡。装甲車でエイリアンの巣から逃れた際には海兵隊壊滅の一因となったゴーマンを責め、彼を殺そうとするも、ヒックスに制止される。
その後も死んだドレイクや仲間の仇を討つべく殿を務め、エイリアンと戦うが返り血の酸で自身も負傷し、身動きができなくなる。そこへ助けに来たゴーマンと共に手を取り合いながら手榴弾で自爆する。
ウィリアム・ゴーマン
演 - ウィリアム・ホープ
階級は中尉。実戦経験に乏しいが、多くの部下が犠牲となったことに心を痛めるなど人間性は悪くない。降下艇での降下経験はわずか1回である。輸送車に留まり無線で指示を送っていたが、現場の状況をほとんど把握できずうろたえるばかりだった。エイリアンから逃走する際の衝撃で頭を打って気絶する(ノベライズではエイリアンの尻尾に刺され、麻痺毒を注入されたため意識はあるが行動不能となる)。その後は自身の指揮の未熟さが最悪の結果を招いたことに反省し、指揮権をリプリー達に委ね、自身も銃を取ってエイリアン達に立ち向かう。負傷したバスクエスを救助に向かうが、弾丸がなくなりバスクエスと共に手を取り合い、手榴弾で自爆する。
上記のバスクエスとの自爆はいささか唐突だが、ノベライズでは彼女と「まだ俺を殺したいか?」「殺す価値もない」と言い合う場面など2人の接点が多い。劇場版でもリプリーと入れ替わりで医務室に入ってゴーマンと会話しようとする姿が一瞬映るなどしている。
マーク・ドレイク
演 - マーク・ロルストン
機関銃手。階級は二等兵。自身と仲がよいバスクエスほどではないがゴーマンのことを良く思っていない。原子炉に近い場所のためにゴーマン中尉から重火器の発砲を禁止されるが、バスクエスと共に造反してスマートガンでエイリアンと戦う。死角からエイリアンが現れたところをバスクエスが撃って助けるが、飛び散った血液の酸を浴びて死亡する。
アル・エイポーン(VHS・DVD版、アルティメット・エディション版:アル・アポーン、TBS版:アル・アポーネ)
演 - アル・マシューズ
下士官。階級は軍曹(デジタルリマスター版では曹長)。前線部隊の部隊長であると同時に第一分隊の分隊長を担当(メンバーはハドソン、バスクエス、ウィズボウスキー、クロウ)。部隊内の問題児達に手を焼いている。エイリアンとの遭遇において、指揮官のゴーマンに指示を求めていた際に襲われ、死亡したかに思えたがその後ディートリックと共に生存反応はあった。しかしエイリアンの繭にされたであろうというリプリーの考えもあり、救助活動はされなかった。
リコ・フロスト
演 - リッコ・ロス
階級は二等兵。ゴーマンのことを良く思っていない。住民救助のために惑星大気改造プラント核融合炉付近へ向かう際は、ビショップに替わり装甲車の運転を務める。核融合炉近くでの戦いでは実弾使用を禁止された他のメンバー達の弾薬を預かっていたが、エイリアンに捕らえられたディートリックが放った火炎放射器の炎を全身に浴び焼死。そして預かっていた弾薬に炎が引火したため爆発、その際ウィズボウスキーが負傷、クロウが犠牲となった。
シンシア・ディートリック
演 - シンシア・デイル・スコット
衛生兵。階級は伍長。海兵隊のメンバーで最初にエイリアンに襲われ、さらわれてしまう。その後、エイポーン同様に生体反応はあったものの、やはりエイリアンの繭にされたと推測したリプリーによってエイポーン共々見殺しにされることとなった。エイリアンにさらわれる際に火炎放射器を暴発させてしまうが、これがウィズボウスキーの負傷、フロストとクロウの死の原因となった。
トレヴァー・ウィズボウスキー
演 - トレヴァー・スティードマン
階級は二等兵。海兵隊員の中で唯一セリフというセリフがない登場人物である。核融合炉付近での戦いで、フロストが預かっていた弾薬に引火して起こった爆発に巻き込まれ負傷し、身動きがとれなくなったところをエイリアンに襲われる。その際には断末魔しか聞こえないが、カメラの映像からして、アポーンとディートリック同様エイリアンにさらわれたか、もしくはその場でエイリアンに殺されたと思われる(その後のシーンでは、生命反応があるのはアポーンとディートリックのみだったので後者の可能性が高い)。
ティム・クロウ
演 - ティップ・ティッピング
階級は二等兵。劇中でもほとんど彼の姿は映らないが、Lv426に向かっている最中に装甲車内でフロストと会話しているのが彼である(その際画面には彼の顔は映らず、声しか聞こえない)。核融合炉付近での戦いで、フロストが預かっていた弾薬に引火して起こった爆発に巻き込まれ、死亡。
コレット・フェッロ
演 - コレット・ヒラー
階級は伍長。ドロップシップの操縦士。ヒックスからの撤収命令を受け、回収に向かうがすでにドロップシップ機内に潜り込んでいたエイリアンに背後より襲われ、死亡。制御を失ったドロップシップは墜落した。
ダニエル・スパンクマイヤー
演 - ダニエル・カッシュ
階級は二等兵。ドロップシップの副操縦士。パワー・ローダーを使ってミサイルをドロップシップに積み込む作業も行った。ドロップシップ機内の異変に気付くも手遅れで、離陸後エイリアンに殺害された(直接描写はなし)。

ウェイランド社

カーター・J・バーク
演 - ポール・ライザー
ウェイランド社社員。救助されたリプリーのお目付け役。エイリアンを持ち帰るよう社の極秘指令を受けており、自身も大金を得られるためにその野心を持っている。リプリーとニュートにエイリアンの幼生を寄生させ会社に持ち帰ろうと画策するが失敗、正体を見破られ皆に糾弾される。経済的利益のためにリプリー、ニュート、そして海兵隊員の命をも使い捨てにする外道な企みが発覚し、バークはヒックス伍長の手で処刑されそうになるが、リプリーが伍長を静止したことにより一時は命拾いする。そこへ大量のエイリアンが現れ、皆の気が取られているうちに逃げ出し、そのうえ他の者が後に続いて逃げてこられないようにわざわざ扉をロックするが、逃げ出した先にもエイリアンが現れ、襲われるという自業自得の最期を遂げる。ブルーレイ版にはこの後のシーンが特典として収録されている。そこではにされており、ニュートを探していたリプリーに助けを求めるも無視されている。ノベライズでは寄生された彼はリプリーから手榴弾をもらっており、それで自決する。
ヴァン・リューエン
演 - ポール・マクスウェル
ウェイランド社部長。リプリーを査問会にかけた。リプリーの証言を信じず、エイリアンの存在を否定していた。

日本語吹替

役名 VHS・DVD DVD
アルティメット
・エディション
TBS
新春特別
ロードショー
日曜洋画劇場 日曜洋画劇場
特別編
日曜洋画劇場
デジタルリマスター
リプリー 幸田直子 鈴木弘子 戸田恵子 弥永和子 山像かおり
ヒックス 大塚明夫 森川智之 屋良有作 田中秀幸 田中秀幸 小山力也
牛山茂[1]
ニュート 山田妙子 久野美咲 滝沢久美子 玉川紗己子 津村まこと
ビショップ 麦人 古川登志夫 千田光男 中田浩二 城達也 小川真司
バーク 荒川太郎 古澤徹 小川真司 富山敬 江原正士
ゴーマン 大塚芳忠 岡野浩介 堀勝之祐 池田秀一 石丸博也 牛山茂
バスクエス 高乃麗 朴璐美 山田栄子 小宮和枝 唐沢潤
ハドソン 江原正士 神奈延年 野島昭生 田中亮一 牛山茂 田中正彦
森川智之[2]
ドレイク 秋元羊介 咲野俊介 江原正士 大塚明夫 大友龍三郎 小室正幸
エイポーン 玄田哲章 土師孝也 朝戸鉄也 麦人 石塚運昇 宝亀克寿
フロスト 星野充昭 楠大典 郷里大輔 幹本雄之 天田益男
フェッロ 火野カチコ 深水由美 高島雅羅 深見梨加
スパンクマイヤー 稲葉実 上田燿司 喜多川拓郎 鈴置洋孝 松本保典
ディートリッヒ 堀越真己 棚田恵美子 磯辺万沙子 佐々木優子
ウィズボウスキー 増岡弘[3]
クロウ 荒川太郎 阪脩 なし[4]
リューエン 塚田正昭 石川ひろあき 増岡弘
ラス 河野智之 上田燿司 - - - -
アン 稀代桜子 加藤沙織 - - - -
ティモシー 黒田弥生 小林由美子 - - - -
役不明又はその他 酒井敬幸
小野大輔
火野カチコ
長島涼子
竹口安芸子
火野カチコ
河村理恵子
小山田詩乃
横尾博之
白山修
古閑俊行
古川千晶
翻訳 石原千麻 宇津木道子 たかしまちせこ 石原千麻
演出 藤山房伸 神尾千春 田島荘三 福永莞爾 松川陸
調整 近藤勝之 金谷和美 山田太平 長井利親
制作 千代田
プロダクション
ACクリエイト コスモ
プロモーション
ムービーテレビジョン
初放送年日 - - 1988年1月2日 1989年10月29日 1993年10月3日 2004年2月4日
  • 地上波放送バージョンは全て宇宙植民地の住民が登場するシーンはカットされた劇場公開版(特別編も一部シーンが追加してあるが同様)に近いので、当然ニュートの家族やその他の人々のセリフはない。
  • テレビ朝日2004年版は放送時間の制約により夥しいカットが行われ、オリジナルには無いモノローグが付けられた場面もある。
  • 1993年に日曜洋画劇場で放映された特別編は主に「リプリーがバークから自身の娘についての詳細を聞かされる場面」と「セントリーガンでエイリアンを撃退する場面」が追加されているが、1989年に同番組で放映された通常のバージョンでは存在した場面が特別編では一部カットされており、また吹き替え音声もキャストは一部共通しているが特別編用に新たに録り直している。
  • 水曜プレミアシネマ(TBS 2013年1月23日放送)でのキャスティングはVHS・DVD版に準拠。

メカニック

M41Aパルスライフル
植民地海兵隊の制式小銃。10ミリ口径ケースレス弾100発を装填可能で残弾数がデジタル表示で示される機能があり、外観は樹脂部品を多用しているらしく一体形成部品のフレーム構造である。下部にポンプアクション式の30ミリグレネードランチャーを内蔵しており、全体的にコンパクトに収められている。リプリーはヒックスから使用法を教わったが、最初に実戦使用した時は薬室に初弾を手動で送るコッキング操作を忘れていたために狼狽することになってしまった。プロップM1トンプソンレミントンM870ショットガンを組み合わせ、外観の一部にフランキ・スパス12の部品を流用して製作されている。
M56スマートガン
植民地海兵隊の制式支援用重火器。10ミリ口径ケースレス弾300発を装填可能。射手の身体とは可動式アームで接続され、照準コンピュータにより自動で目標を追尾・発砲する。かなり重量があるため、射手には並はずれた筋力が要求される。プロップはMG42に映画撮影用のステディカムを組み合わせたもので、銃身の装飾やアームと銃身の接合部分、引き金のグリップ部分などの細かい箇所ではカワサキ製のバイクの部品を使用している。
劇中ではバスクエスとドレイクが使用。大気製造プラント地下で発砲を禁じられた際は照準コンピュータの電池パックを没収されたが、隠し持っていた予備のパックを接続しており、エイリアン出現時に命令無視して発砲した。
M240A1火炎放射器
大気製造プラント地下での戦闘で、実弾使用を禁じられた海兵隊員たちが使用した。ノベライズではこの武器によるエイリアンの殺傷が描かれているが、映画ではその描写は全くない(ただし、発射したことによってエイリアンをひるませるような描写はある。だが、そのさいエイリアンにダメージを与えたかは不明)。さらに暴発などが原因で逆に人間側へ被害を出すことになった。
チェストバスターやエイリアンの卵などには実弾よりも有効であり、大気製造プラント地下での戦闘前にアポーンが捕らわれた民間人女性の胸から飛び出したチェストバスターを民間人もろとも焼き払い(彼女自身は自分の運命を悟っており、チェストバスターが飛び出す前に「殺して」と言っていた)、後にリプリーがニュート救出に向かう際には、パルスライフルにテープで括り付けたものを使用してエイリアンの卵を焼き払った。
燃料タンクが本体に直付になっており、そのタンク容量からは想像のつかない大きな火炎流を発生させる。先端部には燃料着火用の小型バーナーを備える。プロップM16をベースにしている。このスタイルの火炎放射器は、多くのテレビゲーム作品(例:『バイオハザードシリーズ』)でも見られるようになる。
動体探知機(モーショントラッカー)
動いている物体の存在を感知し、距離と方位を表示する装置で小型の対人レーダーのような装備。動作原理は不明だが、前作では動体センサーとして空気密度を遠隔測定して音の高低で示す装置が登場しており、これの発展型と見なされる。探知したものを小型スクリーンに表示するが、探知機からの相対距離を水平方向の距離に換算して表示するため、三次元的な探知は不可能という致命的な欠点があり、床下や天井裏に対象がいる場合は錯誤しやすく、天井裏を這って侵入してきたエイリアンたちに気づけなかった。また、あくまでも動いている物体が対象なので、劇中ではエイリアンがすぐ近くにいるにもかかわらず、動き始めてから感知する場面もあった。
グレネード
植民地海兵隊の制式手榴弾。手榴弾といっても形状は弾丸(散弾の形状)に酷似しており、劇中ではM41Aパルスライフルのポンプアクション式グレネードランチャーから発射するのが一般的だった。そのまま使用する際、弾体の起爆スイッチを押せば数秒後に爆発する。劇中においてゴーマンとバスクエスがエイリアンに囲まれ脱出不可能になった際、繭にされるよりマシとして自決用に使用されたほか、リプリーもベルトに大量に括り付けた状態で燃え広がるエイリアンの巣に投げ込み、大爆発を起こさせている。
拳銃(H&K VP70
植民地海兵隊の制式拳銃。あくまでもバックアップ用の武器でしかなく、威力は小さいが、それでも至近距離から発砲すれば、エイリアンの硬い表皮でも数発で撃ち抜くことができる。
すでに製造されていない代物だが、未来的なフォルムに合致したため、改造されない状態で使用された。
劇中ではフロストとゴーマンが使用(フェッロもエイリアンに襲われた際にホルスターからこれを取り出そうとしていた)。バスクエスは私物と思われるS&W M39を使用している。
ショットガン(イサカM37
ヒックスがパルスライフルとは別に、背中に隠し持っていた劇中の時代においては時代錯誤なポンプアクション式の散弾銃で、大気製造プラント地下での戦闘で使用した。
ヒックス自身は「接近戦ではこれが一番」と言っており、実際にエイリアンの口の中に銃口を押し込んだ状態で発砲した際、頭部を一撃で撃ち抜いている。だがその際に、エイリアンの強酸血液によって銃身が溶けて使用不能となり、返り血でハドソンが左腕を負傷してしまう。
なお、ノベライズでは型式不明の二連銃身のショットガンである。
ヘルメット
植民地海兵隊の制式ヘルメット。小型カメラとマイクおよび単眼式の赤外線ゴーグルが装着されている。カメラとマイクが捉えた映像や音声はAPCでモニターされている。ちなみに、バスクエスとドレイクはかぶっていない代わりにカメラとマイク・赤外線ゴーグルを常備しているほか、操縦士であるフェッロとスパンクマイヤーはパイロット用のヘルメットをかぶっている。
小型発信機
ヒックスがリプリーに手渡した発信機。専用の探知機で信号を拾い、居場所を調べられる優れものだが、リプリーはこれをニュートに渡し、物語後半で重大な役割を担うことになった。
セントリーガン
ノベライズと完全版にのみ登場した自動制御の機関銃。耐火ケースに入っていたため、降下艇の墜落やAPCの炎上にも生き残った。リプリーたちの籠城したエリア周辺に設置され、内蔵の動体探知機により接近するエイリアンを自動迎撃した。弾薬箱とセットで設置されるが、連射性能が高い半面弾薬に限りがあり、急速に減っていく遠隔アウトプットされた残弾数の表示が静かな緊迫感を演出した。
ドロップシップ(降下艇)
APC1台を搭載可能。スラコ号には3機が搭載され、1号機は飛行中に操縦していたフェッロがエイリアンに殺されたために墜落し、APCと激突して爆発炎上した。その後、ビショップの遠隔操作により2号機を無人で降下させて脱出に使用した。一方、3号機はLV-426突入前のメンテナンス中に原因不明の異常が発見されたため、使用されることはなかった。大気圏内でホバリングできるほか、左右に展開するロケットポッドを備える。単独で大気圏突入から惑星軌道に脱出する飛行能力を備える。
メイキング映像では、実物大として作られたドロップシップの部品は全てイギリス空軍で解体処理された爆撃機と廃車になったキャンピングトレーラーの部品を調達して作られたことを、当時製作に携わったスタッフが語っている。
APC(Armored Personnel Carrier)装甲兵員輸送車
海兵隊員たちを現場に運ぶ輸送車両。車高は低く抑えられ、砲塔も後部に収納可能。巨大なタイヤを備え不整地走破性能はかなりのものだが、悪路での乗り心地はお世辞にも良いとは言えず、中で放り出されないようシートバーで乗員を固定する必要がある。
車内と車外のシーンは別々で撮られており、メイキングにおいて実際にボーイング747を牽引していた廃車予定の牽引車を調達し、外装を改造して使用したことが語られている。しかし、廃車予定だったということもあって、暴走して定点設置されたカメラを破壊したりスタッフが轢かれそうになったことや、ドロップシップの降下シーンにおけるAPC内の映像を撮影する際に天井の鉄板が抜け落ちてゴーマン役のホープを直撃したり、車内の火災シーンでは火と塗装の化学反応で発生した有害ガスで出演者たちが窒息しかけるなどのアクシデントが絶えなかった。
スラコ号
リプリーと海兵隊員たちがLV-426に向かう際に使用した宇宙戦艦。長期宇宙航行用の冷凍睡眠装置を備えている。名前はジョセフ・コンラッドの小説「ノストロモ(1作目の舞台となった大型宇宙船の名はここから)」の舞台となった港町からとられている。
パワーローダー
パワードスーツの一種。リプリーは地球へ帰還した後に2級免許を所得して貨物倉庫で働いており、スラコ号でも装備の積み込みを手伝った。溶接機が備えられていたり、スラコ号のエアロック開閉の遠隔操作もできるなど、多機能である。作中では、リプリー以外にもスパンクマイヤーがドロップシップのミサイルポッドにミサイルを装填させる際に使用したほか、終盤でリプリーがスラコ号に侵入したクイーンと格闘戦を演じた。
ナルキッサス
前作に引き続いて登場したノストロモ号の脱出艇。回収されないまま太陽系を通過してしまい、リプリーとジョーンズは57年間冷凍睡眠のまま漂流していた。

スタッフ

作品解説

映像面では、一部わざと低解像度のビデオ画像を使用することで、リアリティを演出している。当時コダックのフィルムの過渡期であり、フィルム面積がアナモルフィック・レンズ撮影に比べて約半分になってしまうヴィスタ・サイズでの撮影で、想像以上に粒子が粗くなってしまったと監督が語っている。次回作の『アビス』以降撮像面積が最大限に確保出来る「スーパー35」を採用し、画質を向上しながら複数の画面アスペクト比にも対応した。

撮影は英国で行われたが、撮影現場ではスタッフやキャストの間で人間関係でのトラブルが度々発生しており、このために撮影が中断されて制作が遅れてしまったことがあり、英国スタッフたちが仕事の合間に行っていたお茶の時間を巡って監督と対立し、スタッフ側が抗議のストライキを起こしたとメイキング映像で明かされている。

また、小ネタではあるがバスクエスがダクト内でエイリアンの頭をハンドガンで撃ち抜くシーンを演じたのはバスクエス役のジェニットではなく、バスクエスの姿に扮したプロデューサーのゲイル・アン・ハードである。これは実弾を使っての撮影だったが、肝心のジェニットが一度も実弾の銃を使用した事が無かった[5]為に急遽代役を使う事になり、スタッフと監督が話し合いを行った結果、監督が実弾の銃を使った経験を持つ、当時監督の妻だったゲイルに白羽の矢を立て、ゲイル本人も渋々承諾し撮影を行ったという経緯がある。また、撮影現場では常にスーツ姿だったゲイルが髪を切ってバスクエスの姿でやってきた際はあまりの変わり様にスタッフや出演者を大変驚かせたという[6]

ディレクターズ・カット

公開当時にカットされた場面を復刻した「完全版」が1991年末にリリースされた。劇場公開版はVHS、LD、VHDで発売されたが、DVDでは完全版のみのリリースだった。2004年に発売されたDVDアルティメット・コレクションの北米盤では劇場公開版と完全版を選択できたが、日本盤では完全版のみの収録となった。2008年11月に発売されたUMDは劇場公開版。2010年11月に発売されたブルーレイでは劇場公開版と完全版を選択できる。完全版で復活した主な場面は次の通り。

  • リプリーがバークから娘の消息を聞かされる場面。なおここで使用された年老いたリプリーの娘の顔写真はウィーバーの母親の物である。
  • ニュートの一家が異星の宇宙船を調査して父親がエイリアンに寄生される場面。
  • セントリーガンに関する描写。
  • リプリーがニュート救出に向かう前にヒックスとファーストネームを教え合う場面。

ブルーレイ

クイーンが船外に飛ばされたシーンの後、切断されたビショップがニュートを助けるところで、下半身を入れている穴が見えてしまっている。ブルーレイでは修正されて見えなくなっている。

ゲーム

1990年にはコナミからこの映画を題材にしたアーケードゲーム『Aliens』を発売している[7]。またスクウェアからはMSXパソコン用ソフトとしてアクションゲームが発売された。

備考

  • エンドロールが全て流れ終わった後、フェイスハガーが歩きまわるような音が流れ、ここで物語が終わりではないことを示唆している。
  • リプリーがクイーンの前で火炎放射器を使った際、クイーンが激しく吼えるシーンがあるが、この際クイーンの内部の骨組みが見えてしまっている。
  • パワーローダーの下敷きになったクイーンの尻尾の先がなくなっている。
  • シガニー・ウィーバーが銃規制法の賛同者であることから本作でリプリーが銃器を使用する点に関して「とても難しい決断だった」と本人は語っている。
  • エイリアンシリーズのコミックとノベル小説で『Aliens: Earth Hive』とその続編『Aliens: Nightmare Asylum』と『Aliens: The Female War』がある。両方の作品に登場する植民地海兵隊のウィルクス伍長とコロニー唯一の生き残りの少女ビリーは元々本作のヒックス伍長とニュートを意図し、アンドロイドのブレーラーはビショップを意識している。その為、『Aliens: Nightmare Asylum』と『Aliens: The Female War』ではリプリーが再び惑星LV-426に行き、ウィルクスとビリーと出会って一緒に地球で活躍するなど、エイリアン2の続編的な内容にもなっている。エイリアン3が制作される前に書かれたこの作品は当初ウィルクスとビリーはヒックスとニュートの設定であった。しかし、エイリアン3ではヒックスとニュートは最初から死亡しており、舞台も惑星LV-426と地球とは関係ない流刑惑星と言う設定にされた為、この混乱を避ける為に、ヒックスとニュートとビショップはウィルクスとビリーとブレーラーの名前に取り替えるなど変更がなされた。

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:エイリアン&プレデター テンプレート:ジェームズ・キャメロン監督作品テンプレート:Link GA テンプレート:Link GA

  1. 車に無理矢理入ろうとしたエイリアンにショットガンで発砲するシーンの「これでも食らえ!!」というセリフでハドソンと間違えられて吹き替えられた。
  2. マガジンを取り上げられるシーンで「何だって?正気かよ!!」と異議を唱えるセリフをヒックスと間違われて吹き替えられている。
  3. 死に際の悲鳴のみ担当。
  4. セリフを発するシーンはカットされた。
  5. 劇中スマートガンとパルスライフルを撃つ場面があるが、こちらは空気銃だった為ジェニットも使用できた。
  6. DVD版「エイリアン2(完全版)」の音声解説より。
  7. KLOV(Aliens)