プラント (ガンダムシリーズ)
プラント(P.L.A.N.T.)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空のスペースコロニー群であり国家。本項目ではプラントの武装組織であるザフトの解説も記述する。
目次
概要
プラント(P.L.A.N.T.:Productive Location Ally on Nexus Technology プロダクティブ・ロケーション・アレイ・オン・ネクサス・テクノロジー)は、コーディネイターが中心となって作り上げた砂時計型をした新世代コロニーの総称。プラント1基を1区、10区で1市とカウントしており、C.E.71年時点で全12市・計92基[1]が存在していた。
神話で語られる楽園=ユートピアをイメージしており、太陽粒子・宇宙放射線遮断フィールド発生システムを外壁側に有する円錐状構造物の底面に位置する直径10キロ相当の面積が居住区であり、その約7割は水源(湖)で占められている。ゆえに充分な居住地帯を確保するにはサイズそのものを巨大化させる必要があり、その景観はL5宙域にあるにもかかわらず地球上から肉眼で視認できるほどのものとなった。支点となるセンターハブを軸に回転する事で擬似重力を生み出し、地球上とほとんど変わらない環境を確立。側面は多層超弾性偏光&自己修復ガラスで覆われており、その強度は高出力ビームの砲火数発にも耐えてみせたほど。気候は亜熱帯に設定。太陽光発電の変換効率が80パーセント強の世界ゆえに、中央のくびれ部分から伸びるシャフト先端の第1次ミラーで太陽光を受け、支点側の2次ミラーへ反射させて電力を蓄える事で全てのエネルギーをまかなっている。行程60キロにもおよぶ両端への移動は内部中心にそびえ立つシャフトタワー内のエレベーターが用いられ、その中間が宇宙港などの施設地帯となっている。
本来、資金を提供した宗主国が作る「プラント運営会議」の支配下にあったが、コーディネイターはプラント開発に従事する者が多く、かつ宇宙生活者が大半だったため、プラントはコーディネイターという同胞意識を共有する人々にとって祖国のようなものとなっていた。しかしプラント理事国を含む地球各国側は「プラント=主権国家」とは認めていなかったため、度重なる強圧に耐えかねたプラント議会はC.E.70年2月18日に黒衣の独立宣言と徹底抗戦を明言し奪取、「プラントは我等コーディネイターの国である」とする強硬手段をとった。
その後、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦が終わりユニウス条約の前身となったナイロビ講和会議が開催されると、政治的独立と引き換えに武力放棄を迫った連合国(地球連合軍)に対し、スカンジナビア王国のリンデマン外相が提案した条件(通称リンデマン・プラン)をプラント(ザフト)が了承した事で、残る唯一の障碍だった「大西洋連邦との合意」を得て名実共に完全な自主権を獲得し「国家プラント」となる。それに伴い名称を Peoples Liberation Acting Nation of Technology ピープルズ・リベレーション・アクチング・ネイション・オブ・テクノロジー(科学技術に立脚した民族解放国家)へと改名し、その景観を模してデザインした国旗[2]も制定。C.E.73年代ではアーモリーワンなどを合わせた120基前後まで拡大したが、ユニウス戦役の終盤で大量破壊兵器のレクイエムによる砲火をうけ、ヤヌアリウス・ワンからフォーの4基と、ディセンベル・セブンとエイトの2基が壊滅した。
各プラント
- アプリリウス
- アプリリウス市に所属する首都(首基)。
- 『SEED』では、アスラン・ザラとシーゲル・クラインの会話の中にアプリリウスの名称が出ている。
- 『SEED DESTINY』では、C.E.72年3月10日に、地球連合軍の月面兵器レクイエムの攻撃目標となるが、ジュール隊の奮闘により直撃を免れた。
- ユニウスセブン
- ユニウス市の農業用プラント。C.E.70年に血のバレンタイン事件と呼ばれる核攻撃事件が起こり、プラントと地球連合の全面戦争が、地球圏全土へと拡大していくきっかけになった。この戦争の停戦条約はユニウスセブン跡で結ばれ、ユニウス条約と呼ばれている。
- 砂時計が真ん中から折れて上下が別々に存在し、片方は壁面が失われた大地だけの状態で、地球を取り巻くデブリベルトへと移動し、後に『SEED』本編や停戦条約、ブレイク・ザ・ワールドの舞台となっている。もう片方はほぼ完全に原形をとどめたまま(壁面・大地とも残っている)、地球を周る一定の周回軌道に乗っており、一時プラントへ衝突コースを取ったのでジャンク屋ギルドによって軌道修正される。この際突発的な事故の修正のため、真っ二つに切断された。
- 『SEED MSV』では、条約締結が行われた日、ザフト脱走兵達のテロ組織が偽装した武装の式典用MSによる奇襲攻撃をかけようとしたが、サーペントテールやジャン・キャリーによって阻止されている。
- C.E.73年、サトーら旧パトリック・ザラ派のテロリストによってユニウスセブンは地球への落下軌道に乗せられる。それを阻止しようとジュール隊とミネルバがユニウスセブンの破壊作戦を敢行。「メテオブレイカー」とミネルバの艦首砲「タンホイザー」によって破壊は成功したが、その破片が地球の各地に落下し、甚大な被害が出てしまう。この事件は後に、ユニウスセブン落下テロ事件と呼ばれている。
- アーモリーワン
- アーモリー市(アーモリーワン - テンから成る)を構成するプラントの1つで、アーモリー (Armory) とはArmsとFactoryの合成語で「兵器工廠」の意。人工の海と港がある。
- 『SEED DESTINY』において、C.E.73年、アーモリーワンには、進宙式を控えていたミネルバが停泊していた他、インパルス、カオス、ガイア、アビスのセカンドステージシリーズをはじめ、ユニウス条約締結後に開発されたザクウォーリア、ザクファントムといったMSが製造されていた。しかし、潜入していたスティング・オークレー、ステラ・ルーシェ、アウル・ニーダの3人によってカオス、ガイア、アビスを奪取され、また彼らの攻撃で大きな被害を受けてしまう。
- 小説版では、大戦後に建設された工業用プラントとされている。
- ヤヌアリウスワン - フォー
- ヤヌアリウス市を形成する内の4基。C.E.74年に地球連合軍ダイダロス基地の軌道間全方位戦略砲レクイエムの攻撃で崩壊した。
- 名は古代キリスト教の聖人「ヤヌアリウス」から。
- ディセンベルセブン - エイト
- ディセンベル市を形成する内の2基。同上の経緯で破壊されたヤヌアリウスフォーが衝突し崩壊した。
プラント最高評議会
プラント最高評議会(P.L.A.N.T. Supreme Council)は、プラントの最高意思決定機関であり、アプリリウス市に政治拠点を持つ。
政治体制は事実上の共和制[3]になっているが、プラント政府はザフト(自由条約黄道同盟)の一党独裁であるため、党内人事と評議員選出は実質同一である。
評議会の構成員は、互選制と呼ばれる政治に適性のある成人(15歳以上)から選ばれる制度で決まり、12の市から1人ずつ選ばれている。即ち、民主主義の原則である選挙では選ばれていない。
C.E.71年時点の代表は以下になっている。
- アプリリウス市
- 天文学、宇宙物理学、宇宙論、宇宙惑星学、宇宙生命学
- 代表:シーゲル・クライン
- マイウス市
- 応用機械工学、基礎冶金学、応用冶金学、応用材料工学、ロボット工学
- 代表:ユーリ・アマルフィ
- ユニウス市
- 基礎農林水産学、応用農水工学、社会工学
- 代表:ルイーズ・ライトナー
- クィンティリス市
- 基礎化学、応用化学
- 代表:ジェレミー・マクスウェル
- セクスティリス市
- 基礎物理学、理論物理学、素粒子物理学、高次元物理学、数学
- 代表:オーソン・ホワイト
- セプテンベル市
- 電子工学、情報工学、人工知能工学、総合情報学
- 代表:アイリーン・カナーバ
- オクトーベル市
- 人文科学総合
- 代表:ヘルマン・グールド
- ノウェンベル市
- 多目的実用生産工学
- 代表:パーネル・ジェセック
- ディセンベル市
- 初等教育全般
- 代表:パトリック・ザラ
- ヤヌアリウス市
- 基礎微細工学、応用微細工学
- 代表:アリー・カシム
- フェブラリウス市
- 基礎医学、臨床医学、生化学、分子生物学、応用生体工学
- 代表:タッド・エルスマン
- マティウス市
- 航空宇宙工学、造船工学
- 代表:エザリア・ジュール
ザフト
ザフト(Z.A.F.T:Zodiac Alliance of Freedom Treaty=自由条約黄道同盟)は、プラントで一党独裁の政権与党の立場にある政治結社であるが、事実上の国軍として機能する武装組織でもある。
ザフトの前身は「黄道同盟」と呼ばれる、パトリック・ザラ、シーゲル・クラインをはじめとするプラントのL5コロニー建設従事者が有志となって、自分たちの諸権利獲得を目的に結成した政治結社である。党勢拡大に伴い、C.E.65年に「自由条約黄道同盟」と改称したが、モビルスーツを主力とする本格的軍備と国防委員会を手に入れ、現在のような組織体裁となったのは、同年にパトリック・ザラによる組織再編が行われてからである[4]。
ゆえにザフトは国家の正規軍ではなく「義勇軍」である。このため、ザフトに属する者も、最高評議会のメンバーも、平時にはそれぞれの本職に就いており[5]、職業軍人である地球連合軍やオーブ国防軍とは異なる。しかし、それらは建前にすぎないとして「ザフト軍」と読み書きされもするが、『SEED ASTRAY B』を書籍化した後年の単行本ではおおむね“軍”の記述を取り除く修正が見られたりもした[6]。全ての登場人物の職業が明かされてはいないものの、アンドリュー・バルトフェルドの学者(広告心理学・振動工学)、ニコル・アマルフィのピアニスト、イザーク・ジュールの最高評議会文官(下位)議員[7]、ミハイル・コーストの医師、シホ・ハーネンフースのエネルギー研究技術者などが判明している。
ザフトには「下士官、士官(尉官、佐官、将官)」といった階級制は存在しない。肩書きは配属された兵科、職種及びその戦術単位の責任者名、管理職名で呼ばれる。一方ではFAITHと呼ばれるプラント国防委員会直属の特務隊が存在している。アスラン・ザラ達の世代ではザフトへの入隊は志願制になっており、士官学校を経て着任している。
そんなザフト兵が士気を鼓舞する際に叫ぶ「ザフトのために!」は、ザフトへの忠誠の自己目的化では無く、政治的同志意識の確認の意味合いが強いといえる。
地球上においては、C.E.70年以降、地球への侵攻により制圧したカーペンタリア基地やジブラルタル基地に軍事拠点を設けている。
総人口が地球の500分の1に過ぎず、遺伝子レベルの生殖異常が判明し第3世代コーディネイターの出生率低下が大きな社会問題になっているプラントでは人的資源の数が圧倒的劣位にあり、いかに人材を温存し、かつ有効活用するかが恒常的な命題となっている。
新兵器ニュートロンジャマーやモビルスーツを造り出すことで、ヤキンドゥーエ戦役では国力において数十倍から数百倍上回る地球軍を相手に善戦した。ただその一方、人型兵器としての接近機動戦闘以外の、偵察機、威力偵察車両、通信車両等の役割も全てモビルスーツに担わせようとする「根強いモビルスーツ偏重主義」に陥っている[8]。
物語の途中で、いわゆる武断派のザラ派、穏健派のクライン派に分裂し、更に『SEED DESTINY』後期には「対ロゴス ザフト・義勇同盟」(主プラント&元〈脱〉地球連合)vs「オーブ軍・クライン派同盟」(主オーブ&非正規集団)の対立形式を描く展開を見せた。
代表的部隊
- クルーゼ隊
- ラウ・ル・クルーゼが隊長を務め、ナスカ級戦艦のヴェサリウスを旗艦としローラシア級MSフリゲートのガモフを従える。最高評議会に属する要人の子弟を集めたエリート部隊であり、アスラン・ザラ、イザーク・ジュール、ニコル・アマルフィ、ディアッカ・エルスマン、ラスティ・マッケンジー、ミゲル・アイマンなどの実力者を有し、5機のG強奪作戦によって因縁が深まったアークエンジェル隊との追撃戦に従事した。
- 途中、ローラシア級のツィーグラーを含むラコーニ隊とポルト隊が指揮下に入ったが、ほどなくして低軌道会戦でゼルマンが指揮していたガモフが轟沈し、交戦が地球上へと移行するとアスランが指揮するザラ隊が分隊として結成され、ボズゴロフ級1番艦ボズゴロフが配備される。イザークを残してほぼ全員がMIAとなってからは合流したクルーゼによってオペレーション・スピットブレイクなどを転戦した後、主戦場が宇宙に戻るとホイジンガーとヘルダーリンのナスカ級2隻と共にシホ・ハーネンフースやアイザック・マウなどが補充される。
- 新体制で再びアークエンジェル隊の前に立ち塞がったが、その戦闘でヴェサリウスが轟沈。それからほどなくしてパトリック・ザラ肝いりの組織体制が整うと関係の深かったクルーゼが直属の特務隊へ異動したため、後述のジュール隊へと引き継がれる形で隊は解散した。
- バルトフェルド隊
- 「砂漠の虎」を異名に持つアンドリュー・バルトフェルドを隊長とし、陸上戦艦であるレセップスを旗艦とする地上部隊。主にアフリカ方面において陸上戦を中心に活躍し、陸上用モビルスーツであるバクゥ、ラゴゥを主力とする。
- 第二次ビクトリア攻防戦後、地上に降下して来た連合側の戦艦アークエンジェルと交戦し、隊長のバルトフェルドが敵の所属モビルスーツであるストライクに敗れた事で、部隊はほぼ壊滅した。
- ジュール隊
- 元クルーゼ隊所属のエースパイロットであるイザーク・ジュールを隊長とする部隊。『SEED』では第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦時に結成され、シホ・ハーネンフースやアイザック・マウといったパイロットが所属し、プラント本国の防衛にあたった。
- 『SEED DESTINY』ではナスカ級のボルテールを旗艦とし、旧知のディアッカやシホと共にユニウスセブン破砕作業作戦や小規模の宇宙戦に従事。後期には元ハイネ隊と思しき隊員達も配属され、目立った戦死者や被害のない状態で終戦まで奮戦した。
- グラディス隊(ミネルバ隊)
- ユニウス条約後の新生ザフトを象徴する部隊として、当時のギルバート・デュランダル最高評議会議長によるあらゆる恩恵を受けて組織された。タリア・グラディスが艦長を務める惑星強襲上陸艦LHM-BB01ミネルバと、ZGMF-Xセカンドステージシリーズ、ニューミレニアムシリーズといった最新鋭のMSを艦載し、シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク、アスラン・ザラ、ハイネ・ヴェステンフルスといったエースパイロットが所属。
- ロゴスが暗躍する地球軍・特にファントムペインのロアノーク隊と、ユウナ・ロマ・セイラン指揮下のオーブ軍艦隊などと各地で転戦を繰り広げながら、オペレーション・ラグナロクではデュランダル議長が乗船する旗艦を務めるなどザフトの中心的存在となって活躍したが、ハイネの戦死、アスランの脱走、シンとレイの特務隊への異動などを経て、最終的には反デュランダルを掲げたオーブ・クライン派同盟との交戦で艦は大破。副長のアーサー・トラインに権限を委譲したタリアの退艦によって隊は解散した。
制服
ザフトでは士官学校の成績等級または兵科によって制服の色が決まっている。
- 緑服
- 士官学校の卒業成績上位10位(資料によっては20)未満の者。ジャケットの裾が他よりも短い。
- 赤服
- 士官学校の卒業成績が緑服以上の者。通称「ザフトレッド」「赤服」「アカ」。ただし、上記の緑服との違いは「学校卒業時点での成績差」でしかなく、基本的に両者は対等である。
- 黒服
- 副官級(フレドリック・アデス、アーサー・トライン、『SEED DESTINY』終了前後のディアッカ・エルスマンなど)。
- 白服
- 隊長ないし艦長級(ラウ・ル・クルーゼ、タリア・グラディス、『SEED DESTINY』におけるイザーク・ジュールなど)。
- 紫服
- 国防委員会に属する武官(パトリック・ザラ、ユーリ・アマルフィ、『SEED DESTINY』時代の国防委員長タカオ・シュライバーなど)。
- 青緑服
- 文官の議員。唯一デザインが異なっており、同色のロングコートとスラックス(ロングスカート)からなる制服(シーゲル・クライン、アイリーン・カナーバ、『SEED』終了後から停戦期間のイザーク・ジュール、『SEED DESTINY』終了前後の最高評議会議長ルイーズ・ライトナーなど)。
- その他
- 第4代議長のギルバート・デュランダルは、白を基調にしたロングコートとインナーからなるオーダーメイドと思しき施政服を着用していた。また、ユニウス戦役後に最高評議会からの招致を受けたラクス・クラインも、黒を基調にした陣羽織とフォーマルドレスをかけ合わせたオーダーメイドと思しき施政服を着用していた。
設計局
MSをはじめとするザフトの兵器の多くは旧ソビエト連邦と同じく党行政機関の一部である設計局で開発されている。設定のモデルはソ連[9]。
- ハインライン設計局(開発機:シグー、ディンなど)
- アジモフ設計局(開発機:バクゥ、ラゴゥなど)
- クラーク設計局(開発機:グーン、ゾノ、ザウート、ガズウートなど)
- ヴェルヌ設計局(開発機:共同開発でミーティアなど)
- ウェルズ設計局(開発機:共同開発でミーティアなど)
国防事務局
文字通り、国防に関する事務処理を行う部局である。また、ザフトの組織図に記載されていない「直轄特殊部隊」という非公然部隊を独自に保有し、極秘裏に要人の誘拐、暗殺、後方攪乱といった非正規作戦をおこなっているともいわれる。これは真実だとする意見と、プラントの広告代理店が地球連合側を混乱させるために流した噂だとする意見が、人々の間でも分かれている[10]。
広報局
ザフトの広報、プロパガンダ活動を担当する部局。わかりやすい「胡散臭い」組織として設定されたもので[9]、劇中デスティニープランの解説、啓蒙のためのアニメを制作して放送した[9]のもこの広報局である。
司法局
パトリック・ザラがクライン派議員の拘束に際して言及している部局[11]。
軍備
- 軍事施設
- 詳細は『コズミック・イラの軍事施設』を参照。
- 艦艇
- 詳細は『ガンダムシリーズの登場艦船及びその他の兵器一覧』を参照。
- MS
- 詳細は『ガンダムシリーズの登場機動兵器一覧』を参照。
開発した兵器
- 戦前より開発されたMS
- 戦時中に開発されたMS
- ニュートロンジャマーキャンセラー搭載MS
- ニューミレニアムシリーズ
- セカンドステージシリーズ
勲章制度
- ネビュラ勲章
- 在来他国軍の2階級特進に相当するような大きな武勲を立てた将兵に授与される。
FAITH
フェイス(FAITH:Fast Acting Integrate Tactical Headquarters=戦術統合即応本部)は、プラント国防委員会直属の指揮下に置かれる特務隊であり、国防委員会及び評議会議長に戦績・人格ともに優れていると認められた者が任命される。ザフトのトップエリートと言うべき存在であり、左の襟元に部隊の徽章を付けることで所属を示す。
「隊」といっても隊員同士が戦術単位として集団行動をとることは無く、個々において行動の自由を持ち、その権限は通常の部隊指揮官より上位で作戦の立案及び実行の命令権限までも有している。このため、1つの戦術部隊に複数のFAITHが着任していると意思統一に齟齬を来す懸念(=二重指揮問題)もあり、ハイネ・ヴェステンフルスもミネルバ1艦にFAITHが3人乗り組むことを「まずいんじゃない?」と述べている。
フェイスは、「信頼」「信念」の意味。
- 主な所属人員
クライン派
クライン派とは『SEED』の物語中では、プラント最高評議会において、シーゲル・クラインをその領袖として地球連合との早期講和とナチュラルとコーディネイターの融和を目標に穏健路線をとるようになった派閥のことだった。しかしシーゲルが暗殺された後、クライン派は軍艦エターナルを奪取して第3極の立場となり、地球連合とプラント間の紛争を武力により終息させようとする「ラクス・クラインの支持者」という意味あいが強くなる。このため本来の意味(政治家の一派)でのクライン派は表舞台から姿を消すこととなった。ラクス・クラインに賛同・協力する者たちの中には、シーゲルを中心に設立されたレジスタンス組織「ターミナル」や「ファクトリー」のように、機密情報や機体の横流し、情報操作、隠蔽工作などを行うことで、ラクスを支援しているものも多数存在する。これらはザフトに敵対する行為である事から、ザフト内には敵視している者もいる。
なお、シーゲルは、遺伝子操作によって生命を人造することに批判的であり、ナチュラルとの雑交によってコーディネイターという存在を段階的解消に向かわせることをも考えていた。実娘であり当派閥の新たな領袖であるラクスが父親のこの考えをどの程度理解していたか不明だが、逃亡中に発した声明で「婚姻統制を行ってもコーディネイターに未来は無い」と言った趣旨の発言をしていた。
『SEED DESTINY』の劇中ではエターナルの隠匿、支援組織の「ターミナル」や「ファクトリー」によるストライクフリーダムやインフィニットジャスティス、ドムトルーパーなどモビルスーツの製造、ミネルバが地球軍から奪還したガイアの横流しを行っている。また、ヒルダ、マーズ、ヘルベルトの3人組のように、ラクスの唱える理念に賛同し、それを実現すべくパイロットとして加わる軍人も登場し、「ラクス様の為に!」を合言葉とするなどラクスへの忠誠を窺わせる。
これらクライン派の詳しい設定はアニメ雑誌や設定資料集、外伝作品でしか描かれておらず[12]、テレビシリーズではラクス・クラインに協力する謎の組織として描かれている。
余談
- ムルタ・アズラエルは、プラントの形状を揶揄して「あの忌々しい砂時計」と罵った。
- ガンダムSEEDは「宗教が衰退した世界」とされているが、艦船名、武装の名称、プラント名などは神話や宗教の聖者から取られている。
- ザフトは歴史上存在した様々な軍隊の要素を併せ持っている。
- アメリカ海兵隊:限定的ながら一部隊が陸海空宇宙すべての戦闘に対応できる[13]。
- ソビエト連邦のボリシェヴィキ人民軍(初期)/赤軍:兵士は別の職業を持つ者が義勇兵(同志)として参加していて階級が無く、構成員は配属先の兵科、役職に基づく肩書きのみで呼ばれる。政治将校 (FAITH) が存在する。一党独裁の政権与党が持つ武力と国軍が同一であるため、戦闘部隊が直接評議会の指揮下に置かれている。兵器の開発は一部を除くと企業ではなく、国家の「設計局」が行う[14]。
- ナチス・ドイツ陸軍の戦闘団(カンプフグルッペ):各部隊は指揮官の名前で呼ばれる(例えばラウ・ル・クルーゼ隊長のクルーゼ隊、アンドリュー・バルトフェルド隊長のバルトフェルド隊など)。ただしこのザフトの例の場合、部隊の大きさは中隊(MS中隊)規模であり、各隊長は実質的には中隊長ということになる。
- 大日本帝国海軍:肘を張り出さず脇を締め、指先から前腕をほぼ垂直に立てることで狭い船内でも行える独特の敬礼様式。また、機関銃のことを「機銃」と呼んでいる。
- イスラエル国防軍:クルーゼ隊やバルトフェルド隊など、部隊名を指揮官名から取る設定は中東戦争時に同軍が部隊の規模を誤魔化す為に行っていた所からきている。[15]。
- 『SEED DESTINY』の小説版では、ザフトに階級が存在しない理由を、各隊員の知的レベルの高さに基づく判断力を生かし柔軟に戦うためと記述されている。
- 階級が無い、ということは、自ずと「兵」「下士官」「士官」の区別も無いことになるが、なぜか「士官学校」は存在しており、この矛盾に関する説明は劇中、関連メディアを問わず全くされていない。
- 各設計局の名は全て有名なSF作家の名字からとられている。
- ハインライン設計局(ロバート・A・ハインライン)
- アシモフ設計局(アイザック・アシモフ)
- クラーク設計局(アーサー・C・クラーク)
- ヴェルヌ設計局(ジュール・ヴェルヌ)
- ウェルズ設計局(ハーバート・ジョージ・ウェルズ)
脚注
- ↑ 『公式ガイドブック 機動戦士ガンダムSEED -運命の再会-』 角川書店。
- ↑ 「PHASE-11 選びし道」、「スペシャルエディション 自由の代償」(FINAL PLUS 選ばれた未来)など。
- ↑ 最高評議会議長が国政の長と国家元首の役割を果たしている。
- ↑ 公式年表の記述による。これ以前は党と武装組織が別になっており、新しいザフトはプラントの警察・保安部隊が旧ザフトと合併されて組織された。初のモビルスーツYMF-01が完成したのもこの時であり、その開発はそれ以前から進められていた。
- ↑ 種のウエポノリー 第4回「虎は9ミリ・パラベラムの夢を見るか?」、千葉智宏 『SEED DESTINY ASTRAY』 第2巻、70頁、『決定版 機動戦士ガンダムSEED超百科』 講談社、5頁など。
- ↑ とはいえ、本に限らずあらゆる関連メディアでも双方の用法は相変わらず続いている。
- ↑ 「SEED DVD最終巻 映像特典 『AFTER-PHASE 星のはざまで』」(レンタル版未収録)。
- ↑ 「DESTINY MSV 『Vol.5 ZGM-1000/R4 戦域通信指揮統制型モビルスーツ “コマンドザクCCI”』」。
- ↑ 9.0 9.1 9.2 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』 竹書房、森田繁コメントより。
- ↑ 「SEED MSV 『Vol.6 TMF/TR-2 バクゥ・戦術偵察タイプ』」。
- ↑ 「PHASE-36 正義の名のもとに」より
- ↑ 月刊アニメージュ、機動戦士ガンダムSEED ASTRAYシリーズ、「『機動戦士ガンダムSEED DESTINY OFFICIAL FILE』 シリーズ」 講談社、後藤リウ 『機動戦士ガンダムSEED』『〃 SEED DESTINY』 角川スニーカー文庫など。
- ↑ 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED上巻』 メディアワークス。
- ↑ 『パーフェクトアーカイブス機動戦士ガンダムSEED DESTINY』 竹書房。
- ↑ 「グレートメカニックDX20」(双葉社)の記述。ただこれは制作者側の提供した設定ではなく、同誌で扱われる様々なSF作品考察記事と同様、ライターの個人的考察である。