ATR (航空機メーカー)
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ATR(Avions de Transport Régional )は2つの航空機メーカー、フランスのアエロスパシアル(現エアバス・グループ)とイタリアのアエリタリア(現アレーニア・アエロナウティカ)が1982年に興したコンソーシアム(共同事業体)である。
概要
アエロスパシアルが2000年よりEADSに統合され、EADSが2014年よりエアバス・グループに名称変更したので、現在はエアバス・グループとアレーニア・アエロナウティカがそれぞれ半数の株式を所有する子会社である。
ATRはターボプロップ機のみの生産に限定しているため、リージョナル航空会社や大手航空会社の近距離便で使われることが多い。カリビアン航空、 アズールブラジル航空、トランスアジア航空、LOTポーランド航空、チェコ航空などが顧客である。
機体リスト
- ATR 42 - 最初の共同開発機である双発ターボプロップ近距離用旅客機。約50人乗り。1984年8月16日に初飛行した。
- ATR 72 - ATR 42のサイズアップ機。約70人乗り。1985年のパリ航空ショーで発表された。
いずれも最新型は-600型である。
日本での動き
- 2007年4月にATR社副社長が来日し、日本エアコミューターや全日本空輸などの航空会社や北海道、沖縄県などの地方公共団体を訪問しATR機の商品特性について説明した。同年6月にはさらに、アレーニア・アエロナウティカの親会社であるフィンメッカニカ社の社長兼CEOが来日し、ATR社の日本の小型旅客機市場への参入を表明した[1]。
- 2012年10月10日、スターフライヤーの設立支援を受けた地域航空会社リンクが、日本で初めてATR 72-600型機を導入すると公式発表した[2][3]。国土交通省はATR 72-600の型式証明書を2013年10月28日付けで交付[4][5]、同年11月に初号機が納入される予定だったが、リンクがその前に自己破産したため、実際に受領は行われなかった。
- 2012年12月12日、天草エアラインは、使用しているデ・ハビランド・カナダ DHC-8-Q100型機が、2014年ごろには整備費が大幅に増加する時期を迎えるため、機材更新の検討に入り、その候補としてATR 42を挙げた[6]。その後の2014年7月22日、天草エアラインはノルディック・アビエーション・キャピタル社との間でATR 42-600のリース契約を締結し、2015年第4四半期に引き渡される予定。これにより、天草エアラインが日本で初めてATR機を運航する航空会社となる[7]。
- 2013年12月11日、オリエンタルエアブリッジが、保有している2機のDHC-8-Q200型機が2019年と2020年に構造寿命を迎えるため、2016年には更新機材の方針を決定するにあたり、同型機の製造は既に終了していることから、更新機材の有力候補としてATR 42の導入検討を進めている事が報じられた[8]。