百式 (ガンダムシリーズ)

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百式(ひゃくしき)は、アニメ機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』などに登場する架空の兵器

エゥーゴの試作モビルスーツ (MS)。

当記事では、そのバリエーション機についても記述する。

百式

機体解説

テンプレート:機動兵器 エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社による共同開発計画「Ζ計画」で開発されたアナハイム製ガンダムの1機。

型式番号
型式番号は リック・ディアス(MSA-099 もしくは RMS-099)の次なので100が予定されており、名称もそれに併せ、開発主任のM.ナガノ博士により「百年使えるMS」という願いを込めて百式と名付けられた。しかし結局、型式番号は博士にとっての最初のプロジェクトのためにMSN-001とするべきという意見もあったため、博士の主張によりMSN-00100と付けられた。MSNのNはM.ナガノ博士のイニシャルであり、00100はMSA-100とMSN-001のダブルミーニングということになった。
しかし、5桁の型式番号は扱いにくく、本来の予定や機体名の影響からMSN-100と呼ばれることが多かった。本機は何度か設計変更が行われているため、型式番号については諸説あり、判然としない。「γガンダム」とも呼ばれるリック・ディアスの次に開発されたため、開発コードδが与えられ、百式にδガンダム(デルタガンダム)の名称が当てられるようになった[1]。機体名称に伴い両肩に漢字の「百」がマーキングされた。
対ビーム兵器
グリプス戦役時においてビーム兵器は既に標準装備であったため、ビームコーティングの施されていない通常の装甲では防御が困難な状況にあった。そこで百式には機体の軽量化に加え、機動性および運動性の向上によってビームを回避(対応)する、という案が採用された。
回避行動、機体の軽量化においてシールドは不要になったため装備されていない。劇場版第三部『機動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-』では、戦闘中に拾得した戦艦の装甲片をシールド代わりに使用していたり、ティターンズの量産型「ハイザック」が装備しているシールドを代用している。
また、機体の基礎案からしてみれば必要ではないが、実験機という側面も持っていたため、耐ビーム・コーティングも採用されている。耐ビーム・コーティング機体の使用においては、ビームを受けた後に傾いた機体を安定させるバランス制御能力が重要であり、そのために可変機として完成が可能であったにもかかわらず設計を改めた経緯がある。また、それに長けた人物がパイロットを務める必要があり、これがクワトロ大尉が選ばれた一因とも言われている。
金色の外装
この機体の最も特徴的なものとして金色の外装があげられる。これは耐ビーム・コーティングとしての効果を持つエマルジョン塗装の一種とされ、書籍『ガンダムMSグラフィカ』によると資源衛星で偶然発見された特殊材料を調合し生成された皮膜材が用いられているという。ただし、放送当時の1/100、1/144スケールで発売された本機のプラモ解説書には、プラスチック・カラーコーティングと記述されている。劇中でも対ビーム用塗装が明言されているフルアーマーΖΖガンダムや、大気圏に突入するといった特性から入念に耐熱処理がされているΖガンダムと比べて特にビームや熱に強い演出はされていない。しかし、小説版『機動戦士Zガンダム』では「超強化プラスチック」の装甲と記載されている。またHGUC説明書などでは、耐ビーム機能があるが、その効果は一般の塗装と大差ないともされている。
そのカラーリングから戦場であまりにも目立つこと、そして施工する際のコストや技術的な理由など複数の要因から百式と系列の量産機以外には採用されなかった。ティターンズのパイロットからはその機体色がため「金色」とも呼ばれた。
高い運動性能
リック・ディアスよりも高度なムーバブルフレームと12基の姿勢制御バーニアに加え、バックパックのウイング・バインダーによるAMBACの向上により高い運動性を誇る。このバインダーはΖプラスシリーズにも継承されている。百式のバックパックは任意に着脱が可能であり、『機動戦士ガンダムΖΖ』第39話では、バインダーごとバックパックを敵機に向けて射出し、相手の意表をついたこともある。
デュアルアイ
ガンダムタイプのMSではあるが、デュアルカメラアイを持たないと記載される資料もある。曰く、代わりにImage Directive Encode (IDE) システム(画像管理型符号化装置)と呼ばれるセンサーを採用しており、精密照準時などには赤く発光する走査パターンが見られる、というものである。しかし、テレビ版『機動戦士Ζガンダム』のキュベレイによってカメラシールドが破損させられた場面や、劇場版第一部『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』などにはデュアルアイが描かれた場面が存在する。
ピーキーな調整
百式はクワトロ専用機として配備されることを前提としていたため、彼の技量に合わせたピーキーな調整が施され、機体性能を100%引き出すには極めて繊細な操縦技術が必要とされた。『ガンダムMSグラフィカ』では、同一機体であってもクワトロ大尉が搭乗した仕様と第一次ネオ・ジオン抗争に投入された仕様が存在したとされている。後者は開発主任M・ナガノ博士が後者の仕様に関わっていないこともあり、対ビーム・コーティングの皮膜剤の性能低下やピーキーな操縦性の見直しなど、幾分デチューンされ性能が落ちたとの記述もある。
派手な金色のビームコーティングに関しては、ナガノ博士の強い要望にパイロットであるクワトロ本人が理解を示したことで実施されたという。百式はグリプス戦役終盤に大破するものの、第一次ネオ・ジオン抗争時に再配備され、ガンダム・チームの一角を担っている。

開発経緯

当初は可変MS「デルタガンダム」として設計されていたが、HGUCデルタガンダムの説明書によると、変形時のバインダーの耐久性と駆動部のストレス、ムーバブルフレームの強度の問題が解決できず[2]、可変機としての開発は一度断念された。その際の型式番号はMSN-001X1である。その後ガンダムMk-IIのムーバブルフレームのデータを受けて開発が再度進んだものの[3]、可変より先述の姿勢制御能力を優先したために設計を造り直し、最終的に非変形の攻撃型MS百式として完成している。可変機として完成させることも可能であったという。可変機として設計された名残として、バックパックにフレキシブル・バインダーが装備されている。これはリック・ディアスのランダム・バインダーを改良したものであり、それ自体が可動肢として作動することで、機体の運動性を向上させている。後に開発されたΖプラスA1型にも同様のウイング・バインダーが採用され、その有用性が伺える。当初の目標であったデルタガンダムは、0090年代にデルタプラスとして再設計、また設計データを流用し百式系列唯一の可変機として開発に成功している。

武装

固定武装として頭部に60mmバルカン砲を2門、腰部にビームサーベル(出力0.4MW)を2基装備している。携行武装としては主にビームライフル(標準出力2.8MW)や300mmクレイバズーカを用いた。これらの武装はエゥーゴのMSで統一されており、リック・ディアスやネモディジェなどと共通の規格である。

メガ・バズーカ・ランチャー
百式の特徴的な武装としてメガ・バズーカ・ランチャーがある。これは機体とほぼ同じ全長のメガ粒子砲であり、それ自体にもスラスターが設置されている。
クワトロの要請などにより必要に応じてアーガマのカタパルトデッキから巡航形態で射出され、射撃の際には砲身と左足を掛けるステップアームが伸び、左右の手を掛ける部分が開き、百式本体に固定されて射撃形態をとる。
劇中では、百式の発進後にこのメガ・バズーカ・ランチャーが射出されると百式がステップアーム部分に手を掛け、発射時までこれを担ぐようにして戦いに赴くシーンが多かった。小説版ではこのランチャーの推力と百式の推力を合わせることでΖガンダムの推力と同等になるとされる。一撃で艦船や巨大建造物を消滅させる程の圧倒的な出力を誇る反面、発射に必要なエネルギーをチャージするのに時間がかかる上、莫大なエネルギーを必要とし随伴機(レストアされたゲルググ)による再チャージを用いても連射が不可能という極端に扱いが難しい兵器だった。ただし劇場版ではメタスと連結させることで数回発射している。
最終決戦ではアクシズ軍先陣のガザC部隊を一撃で全滅に追い込んだ。この攻撃でジオン熟練将兵を壊滅状態にしたことが、第一次ネオ・ジオン抗争でのネオ・ジオンの活動に多大な影響を与えた。しかし、ガザC部隊を全滅させた直後に、本兵装はハマーン・カーンによって破壊された。第一次ネオ・ジオン抗争では再び百式が実戦投入されたものの、本兵装の登場はなかった。
OVA版『機動戦士ガンダムUC』にも登場。銃架が取り付けられており、ネェル・アーガマの甲板でコンロイ・ハーゲンセン搭乗のジェガン(エコーズ仕様機)がこれを使用した。
なお、本兵装は作中宇宙空間でのみ使用され、大気圏内・地上での登場シーンはない。

劇中での活躍

『機動戦士Ζガンダム』第9話から、クワトロ・バジーナ大尉の新しい乗機として登場。クワトロ(=シャア・アズナブル)専用機中唯一のガンダムタイプMSでもある。

機体の高い能力と、エース級の腕を持つクワトロの操縦センスもあり、アーガマの主力として活躍する。ギャプランアッシマーなど、次々と投入されるティターンズの新型機に押されることもあったが、同じくエゥーゴのエースであるカミーユ・ビダンの操縦するガンダムMk-IIやΖガンダムなどと連携してこれらを退け、グリプス戦役を戦い抜く。最終決戦では、メールシュトローム作戦の際にメガ・バズーカ・ランチャーでキュベレイに追従していたアクシズのガザC部隊を殲滅後、パプテマス・シロッコジ・Oやハマーン・カーンのニュータイプ専用機キュベレイと交戦する。機体性能で圧倒的に上回る両機を相手にしながらも粘り強い戦いで、コロニーレーザーの防衛に成功する。最終的にはキュベレイとの戦闘中に機体が大破してしまうものの、周囲へ展開されたファンネルによる至近距離からの攻撃をすべて回避するなどの離れ業を見せ、その基本性能の高さを示すこととなった。テレビ版のラストシーンでは大破した百式がコクピットのハッチを開いた状態で宇宙を漂流しているカットが映し出され、その最後を飾る。

『機動戦士ガンダムΖΖ』では、戦力不足のアーガマへ再び配備された。この機体は後のネェル・アーガマ艦長代理ビーチャ・オーレグがメインパイロットを務め、ガンダム・チームの一翼を担って第一次ネオ・ジオン抗争を戦い抜いた。すでに型落ちの機体ではあったが、ジュドー・アーシタが搭乗した際にはオウギュスト・ギダンの率いるドライセン部隊を退けるなど、ネオ・ジオンの新型MSとも互角に戦う。最終決戦時にはネェル・アーガマの防衛に就き、無傷で終戦を迎えている。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の小説版『ハイ・ストリーマー』では、第一次ネオ・ジオン抗争終戦後に地球連邦政府が他のガンダムシリーズと共にどこかへ秘匿したと設定されている。そのため、アムロ・レイブライト・ノアへΖガンダムや百式をロンド・ベルの主力装備として望むも入手できないことを嘆く描写があり、このことがアムロ専用機νガンダムの建造へ至る遠因となる。

デザイン

もともと藤田一巳ネモをベースとした百式を考えていたが、監督の富野由悠季が「これをクリンナップして使ってくれ」と永野護の描いたラフを手渡したため、永野のデザインを基にした現在の百式となった。永野によると「完成した百式のデザインは100%藤田君のもの」とのこと[4]。しかしながら「M・ナガノ博士」の設定にも見られるように永野がデザインにかかわった事がクローズアップされる傾向にある。「M・ナガノ博士」の設定は当時永野の描いた漫画を売り込みたかった角川書店の創作で、角川書店の出版物から使われ始めた。実際に永野が描いたのは百式の基になったMSのラフ(新ガンダム案)だけで、百式という名称も金色のボディカラーも富野によるアイデアである。永野のラフは「月刊アニメック1985年10月号」に掲載されている。学研ムック「機動戦士ゼータガンダム完全収録」にもよく似たMSのラフが載っているがこちらは背中のバインダーが無く、シールドを装備していたりで、多少印象が異なる。

肩の漢字については元のデザイン画にはなかったが、スポンサーとの打ち合わせの際、口頭で説明しながら富野が描き入れたものである[5]

全身金色の機体というコンセプトは、当時サンライズで赤の塗料が大量に余っていたためガルバルディβマラサイといった敵側の量産型MSが赤系に設定され、またリック・ディアスの色彩をすべてクワトロ機と同じにすることになったことで、赤の優越性が薄らいだため、赤よりも目立つ色を、ということで設定されたものである。

なお、講談社刊小説版『Ζ』単行本第2巻の表紙には、永野デザインによる別の百式が描かれている(ジオン軍風の角があり、カラフルな色彩に彩られるほか、肩には「100」のアラビア数字が書かれている)ほか、『月刊ニュータイプ』誌1993年12月号にも「タイプ100」として全く別の機体が永野によって描き下ろされている(大日本帝国海軍の艦上戦闘機、「零戦21型」を模した明灰白色と黄橙色に彩られ、メガ粒子砲とプルトンドライブ・エンジンを搭載したジオン軍連隊長機との設定)。

ゲーム『機動戦士ガンダム エゥーゴVSティターンズ』『機動戦士ガンダム ガンダムVSΖガンダム』におけるティターンズ(ジオン・アクシズ)カラーやゲーム『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における2Pカラーの百式はシャア専用を髣髴とさせる赤色となっている。また、ゲーム『サンライズ英雄譚2』では赤色に塗装したシャア・アズナブル専用機が登場した。

バリエーション

デルタガンダム

デルタガンダムと呼ばれる機体は資料によって様々なものが存在する。

  1. アニメ作品『機動戦士Ζガンダム』の企画段階でガンダムMk-IIの競作機として考案され、不採用となったもの
  2. 書籍『ガンダム・センチネル』73頁など本項の主題である百式そのものをデルタガンダムとする説
  3. 『ガンダムUC』の連載開始より少し前に発刊された書籍『ガンダムMSグラフィカ』に登場する機体

ここでは3について解説する。

書籍『ガンダムMSグラフィカ』に登場し、現在は『UC-MSV』に分類されている可変MS。ゲーム『機動戦士ガンダムUC』などに登場する(型式番号:MSN-001)。

百式が開発当初のプランのまま、可変MSとして完成した姿。シミュレーション上の存在であり、実機の生産記録は存在せず、詳細なスペックも公開されていない。変形時のフレーム強度に問題があったため、プランは変形機構をオミットされ、百式となった。

デルタプラスのコクピットの戦闘シミュレーターに、このデルタガンダムのデータがインストールされている[6]

デザイン
デザインはカトキハジメ。
頭部前面と、サブユニットを兼ねたシールドはプロトΖガンダムのそれに酷似している。その他は百式として完成した物とほぼ共通の外観を持ちながら、Ζプラスに似るウェイブライダー形態への変形が可能となっている。ビームライフルはガンダムMk-IIIのものと同型。
デルタプラスと変形機構はほぼ同一だが、バックパックの有無とリアスカートの構造が違うため、スラスターの位置が少し変化している。
作品ごとの設定
初出である『ガンダムMSグラフィカ』作中ではアナハイム社のアーカイブにその姿は無く、兵器マニアのファンサイトで検索された画像として登場。画像の時期は不明。
後にデルタプラスが設定され、原型であるデルタガンダムの設定も確かなものとなっていく。ただし、黄金色の機体の目撃情報があるとの資料が見られるものの[7]、実機の存在を明示する設定は存在しない。
ゲーム『機動戦士ガンダムUC』ではシミュレーション上のデータとして登場する。
漫画『機動戦士ガンダムUC テスタメント』では、百式開発以前のシミュレーション中に登場。仮想の地球上でハイザック、ジムIIの部隊と戦闘するが、変形時にムーバブルフレームの破損が生じている。外観は現在のものと同一である[8]

デルタプラス

テンプレート:機動兵器

機動戦士ガンダムUC』に登場。

非変形タイプの百式改系列の量産機とは異なり、設計をδ(デルタ)計画案本来の可変タイプ(デルタガンダム)まで差し戻し、Ζ系MSの技術も反映し、量産を前提に再設計した試作機である。完成は宇宙世紀0090年[9]

デルタガンダムと同様に巡航形態(ウェイブライダー)への変形が可能となっている。この巡航形態では単独での大気圏突入と1G重力下での飛行が可能。武装は標準的なビームライフルやビームサーベルを持つ。グレネードランチャーがシールドに装備されておりビームサーベルもシールドに収納できる。またシールドの先端にはシールドビームガンが付属している。シールドに収納した2つのビームサーベルからビームサーベルを展開したり、シールドの先端の中央部分にあるシールドビームガンからビームサーベルを展開している画像も中にはある。

量産を前提としたものだが、現時点では試作段階に過ぎず、宇宙世紀0096年、ネオ・ジオンとの交戦により消耗したロンド・ベル隊のネェル・アーガマに戦力補填として実戦配備されているといった状況である。メインスラスターが背中にないMSとしては珍しい設計である、未だ試作品ゆえに編成の組み込みづらい規格外の機体として、同様に規格外のため単艦運用されるケースの多いネェル・アーガマに回されたというのが実情のようである。なおロンド・ベル配備時はEパックの規格問題からすでに配備済みであるリゼルのビームライフルを流用し使用している。アニメ版ではエピソード4でユニコーンガンダムから奪い取る形でビーム・マグナムも使用した(しかし射撃の際の負荷で携持した右腕部を損傷している)。

カメラアイについては、劇中にて百式同様カメラシールドに走査ラインが発光し、その下のデュアルアイが赤く浮かび上がる演出がある。その際カメラシールドに隠れたデュアルアイの構造を確認できる。

なお、アニメ化以降の複数の資料で、開発意図は定かでないがバイオセンサーが搭載されているとの記述が追加されている[10]。こうした資料では、本機が量産を想定したものである旨の記述がなくなっているものもある。

デザイン
デザインはデルタガンダムと同様にカトキハジメ。原作の設定画では手持ち武装がフルアーマー百式改と同じロングメガバスターだが、これはクリンナップの際にとりあえず持たせたものであるとカトキがコメントしている。
機体カラーはグレー。これは同じくカトキがデザインを行ったΖプラス(戦闘機を意識したグレー)を意識してのものであるという。なお同じグレーでもメディアによりバラつきがある。原作では緑がかったグレーだが、ガンプラの「HGUC」は紫系統のグレーであり、『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』では青みがかったものとなっている。
劇中での活躍
リディ・マーセナスの第2の専用機として登場、パラオ攻防戦やダカール防衛戦に参加する。またリディの移動手段としても活用され、大気圏突入も行っている。リディがバンシィに乗り換えて以降の消息は不明。
アニメ版においては基本的に原作に沿った流れではあるが、原作の話を短縮、変更した影響で本機の戦闘シーンが大幅にカットされてしまっている。またガルダ攻防戦において、バンシィからの攻撃を受けた際の顛末が異なり、原作では自力飛行可能な中破程度の損傷だったものが、アニメ版ではアームド・アーマーVNでの攻撃により袈裟懸けに切られた上、片足を踏み潰されるなど、最終的に大破させられている。その後の詳細は不明。
『UCバンデシネ』ではダカールでバンシィからの攻撃で中破し、リディはバイアラン・カスタム2号機に乗り換えている。


ガンダムデルタカイ

テンプレート:機動兵器 ゲーム『機動戦士ガンダムUC』、漫画『機動戦士ガンダムUC アクロス ザ スカイ』に登場するMS。

ペーパープランに過ぎなかったデルタガンダムのデータと、デルタプラスの開発データをフィードバックして完成した、デルタ系最終機である。

人為的に強化人間を作り出しニュータイプ能力を付与するとされるサイコミュシステム「ナイトロ」を搭載した試作可変型MS。搭乗者が強化人間化していくプロセスにおいて、機体各部の駆動部から青い閃光が噴き出す。シールドにオプション兵装のメガマシンキャノン、ハイメガキャノン、炸裂ボルトの中から1つだけ装備することができる。

本機体におけるシールドは防御装備としては機能しておらず、各種武装の収納スペースやウェイブライダー形態の機首としての役割しかなく、名義上シールドという表記がされているに過ぎない。またハイメガキャノンはΖΖガンダムの頭部ハイメガキャノンのデータを参考にして作られており、出力は46%程度に抑えられているものの、ΖΖガンダムのものと違い連射ができるようになっている[11]

ゲームに登場したのは0094年のテスト運用時のもの。

『アクロス ザ スカイ』では、地上マリアナ基地にて大気圏内装備の本機が確認されている。

百式改

テンプレート:機動兵器

メカニックデザイン企画『Ζ-MSV』において設定されたエゥーゴの試作MS。百式の改良型。

百式において不明だったカメラアイは、『B-CLUB』3号において、目はペイントのダミーであるとされていたが、『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』では、バイザーの下をツインアイとして描かれている[12]。また背面のウイング・バインダーは高機動デバイスに変更された。肩には「百改」と書かれている。

固定武装として頭部にパルスレーザー、肩部にビームガンおよびガトリングガンを新たに装備し、火力・オプション兵装ともに充実している。近年では肩部にパルスレーザー、携行武器としてビームガトリングガンを持つとする設定も多い。また、各種ゲームに登場する際は百式の物と同型のメガ・バズーカ・ランチャーも使用する。

型式番号は当初MSR-100S (MSR-00100S) とされていたが、一部にMSR-100MSN-100Sとする表記も見受けられた。元々量産型百式改と変わらない番号だったため、近年ではMSR-100とする表記が増えている。「百一式」という名称で『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する予定だったとする話もある。なお、MSRナンバーはナガノ博士が外れた後のチームによるものであるという説もある[13]

劇中での活躍
ゲームブック『機動戦士ガンダム シャアの帰還』では、宇宙世紀0090年の段階で連邦地上軍と編成されて間もない頃のロンド・ベルにそれぞれ配備されている。この時点でのロンド・ベル旗艦はエゥーゴから引き継がれたネェル・アーガマが就役していたが、そこに1機が搭載されていた。ストーリーの進行次第ではシャアがこの機体を奪取し搭乗する展開が用意されている。
アニメ『機動戦士Ζガンダム』のアナザーストーリーである近藤和久の漫画『サイドストーリー・オブ・ガンダム・ゼータ』では、ティターンズにて中隊長を務めるシャアがこの機体を駆ってジオン残党狩りを行なっている。


フルアーマー百式改

テンプレート:機動兵器

メカニックデザイン企画『M-MSV』(大河原邦男コレクション)に登場するMS。百式改に増加装甲を装備した機体。

火力は高いが運動性がやや低下している。固定武装として新たにメガ粒子砲、炸裂ボルトを装備。肩に増加装甲がついたため、胸部から肩に向けてついている放熱板に「百改」と書かれている。

劇中での活躍
漫画『シークレットフォーミュラ フルアーマー百式改』(雑誌『SDクラブ』に連載)では、月面の工業都市イプシロンのアナハイム第38工場にて調整され、同じくイプシロンで建造されていたアイリッシュ級戦艦クークスタウンの竣工に合わせて配備される予定だった。情報漏洩により宇宙世紀0087年11月22日に予定されていた就役が20日に前倒しになるが、同日、イプシロン内の別工場で調整されていたティターンズ特務部隊所属の量産型サイコガンダムによって第38工場が襲撃に遭い、クークスタウンから派遣されたリック・ディアスと共に損傷してしまう。その後、応急処置が施され、別の場所で量産型サイコガンダムに襲撃されていたクークスタウンを救援に向かい、辛くも撃破した。パイロットはクークスタウン所属のクリフ・フレミング中尉。
漫画『機動戦士ガンダム 悪夢の戦場』(雑誌『SDクラブ』に連載)では、宇宙世紀0088年に月の裏側でテストを行っていた姿が描かれている。同機は飛行中に行方不明となるが、その後所属不明のプロトタイプサイコガンダムによる無人コントロール下に置かれ姿を現し、同様にテスト飛行を行っていたプロトタイプΖΖガンダムと交戦した。なお、前述の作品に登場する機体と同一機かは不明。


量産型百式改

テンプレート:機動兵器

メカニックデザイン企画『Ζ-MSV』に分類されるMS。

百式改の量産型。固定武装とウイング・バインダーは廃止され、武装も標準的なものに変更された。頭部と肩部は百式改、それ以外は百式と同一形状になっている。テンプレート:要出典範囲

陸戦用百式改

テンプレート:機動兵器

メカニックデザイン企画『M-MSV』(大河原邦男コレクション)に登場するMS。一部資料には、「陸戦型百式改」と表記している場合がある。

カラバ所属のMSで、百式改を陸戦用に換装したもの。各所に防塵、防湿処理がなされ、森林や市街地などの他に短時間であれば水中でも運用が可能だったという。なお、金色ではなくグリーン系の塗装が施されている。

劇中での活躍
漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』では、宇宙世紀0088年8月、ネオ・ジオンによる地球侵攻作戦において北米ニューヤーク基地防衛に使用された。なお、この機体はオプション武装の3連ミサイルポッドとビームキャノンを装備した重装型タイプである。パイロットはスパルナ・キャリバン大尉。


零式

零式(ぜろしき)は、漫画『機動戦士Ζガンダム Define』に登場するMS。クワトロ・バジーナの搭乗機で、『Ζガンダム』本編での百式に相当する機体。型式番号はMSZ-000。

シャア専用機を意識して真紅に塗装された全身のうち、左足付け根のアーマー部分には「零」の文字が塗装されている。また、肩アーマーや背中のバインダーはリック・ディアスに近く、胴体や腰フロントアーマーは百式に近い、いわばリック・ディアスと百式の中間的な形状であり、頭部フロントマスクは後に開発されるΖガンダムに似た意匠となっている。これは、『Define』の作者である北爪宏幸が、アナハイムが開発したはずの百式にティターンズが開発したガンダムMk-IIとの共通点が存在することに、以前から違和感を持っていたためである[14]

2012年末掲載の作者インタビューでは、何度か改装を繰り返すことで進化する構想が明かされており、第3段階目で金色のコーティングを施した「百式」となる予定[15]

エプシィガンダム

月刊モデルグラフィックス別冊『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』に登場するMS。(型式番号不詳)

百式同様の可変試作機のフレームを新型推進システム開発用の素体として転用したMS。ロールアウトは百式と前後し、ε(エプシロン)ガンダムとして承認され、やはり非可変の機体として調整されている。外観的特徴に百式との共通点が多く、いわば兄弟機とも言える機体である。装甲材にガンダリウムεを採用している。詳細はεガンダムを参照。

忍者百式

テンプレート:機動兵器SD戦国伝』シリーズとは別に、宇宙世紀の世界観上で展開された雑誌『コミックボンボン』のオリジナルストーリー『プロジェクトMUSHA』(1989年6月号掲載)に登場するMS。

木星の宇宙海賊掃討を目的として始動した連邦軍の「プロジェクトMUSHA」の機体群(武者νガンダム、武者ΖΖガンダム)に対抗すべく、宇宙海賊側がアナハイムのデータをもとに百式改を母体にして開発した機体である。偵察や破壊活動を専門に行う隠密行動用の機体である。超小型ジェネレーターを内蔵したダミーを6基装備し、ミノフスキー粒子の散布と併用することで「分身の術」を行う。この他、ハンブラビの装備「海ヘビ」を改良した鎖鎌状の装備「フウマ」などを武器として使用。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

  • アカツキ - 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するMS。耐ビーム特性を持つ金色の塗装や機体に描かれた漢字など、本機との共通点が多い。
  • 模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG - 劇中に百式のプラモデルを白く塗装した「白式(びゃくしき)」が登場。
  • ドラえもん のび太と鉄人兵団 - 藤子不二雄の漫画作品。作中、百式に酷似したロボット「ザンダクロス」が登場する。デザインしたたかや健二は、藤子不二雄ファンクラブ「Neo Utopia」の会報40号のインタビューで本機を元にしたことを語っている。
  • 100s - 中村一義が在籍する日本のロックバンド。本機を名前の由来とし結成当時は「百式」の表記だったが、のちに読みはそのままに現在の表記に改名。
  • 2丁拳銃 - 吉本興業所属の漫才師。彼らの単独公演「百式」は「100分間ノンストップ漫才ライブ」の意味と、本機に肖ったものである事を公言している。
テンプレート:宇宙世紀
  1. 大日本絵画『ガンダムウォーズII MISSION ΖΖ』18頁。
  2. 『アナハイムジャーナル』など。『アナハイムジャーナル』では、Ζガンダムの開発時にはジェネレーターの位置を脚部に変更することで問題を解決したとしている。
  3. HGUC説明書ほか。異説もあり、『アナハイムジャーナル』の記述ではガンダムMk-IIの奪取が百式の完成とほぼ同時期であり、百式にデータは反映されていない。
  4. 月刊アニメック1985年10月号。
  5. 学研ムック『機動戦士Ζガンダム 完全収録』87頁。
  6. HGUC デルタガンダム説明書など。
  7. プラモデル『HGUC デルタプラス』取扱説明書より。
  8. ただし、このエピソードはデルタガンダム自身による回想のような体裁となっており、設定上どのような作品か不明瞭。
  9. プラモデル『MG デルタプラス』取扱説明書など。
  10. プラモデル『MG デルタプラス』取扱説明書、デアゴスティーニ・ジャパン『週刊ガンダムパーフェクト・ファイル031』デルタプラス/リディ・マーセナス 他
  11. プラモデル『HGUC ガンダムデルタカイ』取扱説明書より。
  12. 『ガンダムエース2013年12月号』613頁。
  13. 『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編II]』21頁。
  14. 『ガンダムエース』2013年2月号32頁。
  15. 『ガンダムエース』2013年1月号66頁。