京都市営地下鉄
京都市営地下鉄(きょうとしえいちかてつ)は、京都市交通局が運営する地下鉄。烏丸線・東西線の2つの路線があり、西京区を除く京都市内10区と宇治市を通っている。条例上は「京都市高速鉄道」と呼ばれている。
路線
色 | 記号 | 路線名 | 区間 |
---|---|---|---|
K | 烏丸線 | 国際会館駅 - 竹田駅 *1 | |
T | 東西線 | 六地蔵駅 - 太秦天神川駅 *2 |
- 竹田駅から近鉄京都線と相互直通運転。普通列車は新田辺駅、急行は近鉄奈良駅まで運転。
- 京阪京津線の電車が浜大津駅から御陵駅を経て太秦天神川駅まで直通運転(京都市役所前駅で折り返す列車もある)。京都市営地下鉄の電車は京津線への直通運転を行わない(車両連結両数が違うことや、車両装備の関係で京津線への直通運転は不可能)。
歴史
1968年に市が設置した諮問機関である交通対策協議会がその年の11月に出した答申が、京都における地下鉄建設計画の始まりである。その後、1972年に事業免許を取得し、1974年に工事を始め、1981年に開業した。開業当時の京都地下鉄の特色は主要4駅にエレベーターを備えたことで、当時の日本の地下鉄では先進的であった。バリアフリーなる用語が広まる前の1972年頃から車椅子常用者、障害者支援団体などが運動をおこして市に請願し、京都市会と舩橋求己市長を動かした成果である。市は、そのために当初相対式で設計されていた駅を急遽島式に変更し、将来は全駅にエレベーターを設置することにした[1]。
- 1981年(昭和56年)5月29日 烏丸線北大路 - 京都間が開業。
- 1988年(昭和63年)6月11日 烏丸線京都 - 竹田間が開業。
- 1988年(昭和63年)8月28日 烏丸線近鉄京都線と相互直通運転開始・新田辺まで。
- 1990年(平成2年)10月24日 烏丸線北山 - 北大路間が開業。
- 1993年(平成5年)7月1日 トラフィカ京カードが利用可能に。
- 1997年(平成9年)5月22日 御池駅が烏丸御池駅に改称。
- 1997年(平成9年)6月3日 烏丸線国際会館 - 北山間が開業。
- 1997年(平成9年)10月12日 東西線醍醐 - 二条間が開業。京阪京津線が御陵から京都市役所前まで乗り入れ開始。
- 1998年(平成10年)12月31日 大晦日から元旦の終夜運転開始。
- 2000年(平成12年)3月1日 スルッとKANSAI対応カードが利用可能に。
- 2000年(平成12年)3月15日 烏丸線国際会館 - 近鉄奈良間直通の急行を運転開始。
- 2004年(平成16年)11月26日 東西線六地蔵 - 醍醐間が開業。京都市外の宇治市に初めて地下鉄駅が開業。駅ナンバリング導入。
- 2007年(平成19年)4月1日 PiTaPa導入(乗り入れしている近畿日本鉄道、京阪電気鉄道大津線も同時導入)。
- 2008年(平成20年)1月16日 東西線二条 - 太秦天神川間が開業。京阪京津線の乗り入れ区間を太秦天神川まで延長。
- 2010年(平成22年)3月19日 同日実施の近鉄全線でのダイヤ変更に伴い、烏丸線・東西線ともに21・22時台の増発や、烏丸御池駅での乗り継ぎ時間の均等化などのダイヤ改正を実施[2]。また、東西線に直通運転する京阪京津線もダイヤが一部変更される。
- 2013年(平成25年)3月23日 地下鉄全線で交通系ICカードの全国相互利用を開始[3]。
- 2013年(平成25年)9月16日 台風18号の豪雨により東西線御陵駅が冠水、営業を停止した。[4]
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定。
2006年1月7日実施の運賃改定で政令指定都市における地下鉄の初乗り運賃が埼玉高速鉄道と同様に最高額となった。
区数 | 運賃(円) |
---|---|
1区(1 - 3km) | 210 |
2区(4 - 7km) | 260 |
3区(8 - 11km) | 290 |
4区(12 - 15km) | 320 |
5区(16km以上) | 350 |
回数券などその他の乗車券類
切符だけでなく、回数券・昼間割引回数券・団体券・市営地下鉄1Dayフリーチケットそして、身体障がい者向けの特定割引乗車券・特定割引回数券も発売されている。
車両
三菱電機製制御装置と東芝製モーターの組み合わせが一貫して守られているが、台車は10系が住友金属工業、50系が日立製作所と分けられている。
10系・50系ともに、基本的には近畿車輛で製造されているが、10系の一部には日立製のものがある。
- Kyoto City 10 series EMU early type 001.JPG
10系(1次車)
- Kyoto City 10 series EMU late type 002.JPG
10系(6次車)
- Kyoto Municipal Subway 50 Series 5614.jpg
50系
- Kyoto City 50 series interior.jpg
50系車内
経営状況
2013年度会計では、経常損失が40億5,500万円あり、約253億円の営業収益に対し営業外費用が約90億円と3分の1以上が支払利息などに充てられている。経営努力により2005年度以降、収支は毎年改善し現金収支は2009年度から黒字化しているが[5]、経常損益は赤字が続き、累積欠損金は年々拡大し約3,468億円に上る[6]。
この経営の厳しさの一因には、地下鉄建設の計画時の予算に比べ、実際の建設費が大幅に増大したことが挙げられる[7]。また、烏丸・東西の両線とも古都と言う土地柄ゆえに、開削工法を採用した工区の多くで文化財保護法に基づく工事着工前の埋蔵文化財(遺跡)発掘調査が義務づけられ、そのための経費と期間が必要となった。埋蔵文化財の存在するような浅い地層に手をつけないことが可能なトンネル工法であれば発掘調査は不要だったが、開削工法に比べて格段の費用がかかるため、埋蔵文化財が存在する場所の多くで開削工法が採られている。
このような問題に対して京都市交通局では、駅業務の一部民間委託[8]や高金利企業債の借換え、京都高速鉄道の直営化などによる各種コストの削減を進めている。また、駅ナカビジネスの展開などによる収益増にも取り組んでいる。なお、この一環で2010年4月より駅に掲示している駅名標付近に「駅名表示板下広告」の掲示を開始した[9][10]。
営業路線の概要
路線名 | 烏丸線 | 東西線 | |
---|---|---|---|
ラインカラー | 緑色 | 朱色 | |
路線記号 | K | T | |
起点 | 国際会館駅(京都市左京区) | 六地蔵駅(京都府宇治市) | |
終点 | 竹田駅(京都市伏見区) | 太秦天神川駅(京都市右京区) | |
キロ程(営業キロ) | 13.7km | 17.5km | |
駅数 | 15駅 | 17駅 | |
開業年月日 | 1981年5月29日 (北大路 - 京都間6.5km) |
1997年10月12日 (二条 - 醍醐間12.7km) | |
全線開業年月日 | 1997年6月3日 | 2008年1月16日 | |
複線区間 | 全線 | 全線 | |
直通運転 | 相手路線名 | 近鉄京都線 | 京阪京津線 |
方式 | 相互直通 | 京阪からの片乗り入れ | |
区間 | 竹田(京都市伏見区) - 近鉄奈良(奈良県奈良市)間 |
御陵(京都市山科区) - 浜大津(滋賀県大津市)間 | |
キロ程 | 35.4km | 7.5km | |
標準所要時間 | 26分30秒 | 30分00秒 | |
標準運転間隔時間 | ピーク時 | 3分30秒 - 5分00秒 | 5分00秒 - 8分00秒 |
オフピーク時 | 6分00秒 - 7分30秒 | 7分30秒 | |
最大車両編成数 | 6両編成 | 6両編成 | |
使用車両 | 10系 | 50系 | |
所有車両数 | 120両 | 102両 | |
最高速度 | 75km/h | 75km/h | |
表定速度 | 31.0km | 31.8km | |
軌間 | 1435mm | 1435mm | |
電気方式 | 直流1500V | 直流1500V | |
集電方式 | 架空線方式 | 架空線方式 | |
電化区間 | 全線 | 全線 | |
閉塞方式 | 車内信号式 | 車内信号式 | |
信号保安装置 | ATC・CTC | ATC・CTC・ATO | |
1日当たり輸送人員(2004年度) | 22万6000人 | 11万8000人 | |
キロ当たりの建設費用 | 213億円 | 330億円 | |
ホームドアの設置状況 | 未設置 | 開業当初から全駅に設置済み |
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:Sister テンプレート:Multimedia
テンプレート:日本の地下鉄- ↑ 森田久男「障害者運動と福祉政策 京都市地下鉄をめぐって」、『佛教大学学報』、第31号、1981年。
- ↑ この作戦を交通局では公式に「シンデレラクロス」と名付けている。
- ↑ 交通系ICカードの全国相互利用サービスについて - PiTaPa.com、2012年12月18日。
- ↑ 東西線は9月20日に運転を再開。京阪京津線は追分駅 - 上栄町駅の土砂災害が甚大だったために9月29日から運行再開し、9月30日から通常運転に戻る。
- ↑ テンプレート:PDFlink
- ↑ 京都市交通局が公表している財政状況(決算は2002年度~2013年度までのものが公表されている。)
- ↑ 一例として、京都高速鉄道(解散)が建設した東西線の三条京阪~御陵間の建設費は、事業免許を取得した時点での建設費が610億円と想定されていたのに対し、実際の建設費は1,544億円となった。当該区間は工事時期がバブル景気と重なったことも建設費高騰の原因とされるが、同時期に計画・建設された片福連絡線(JR東西線)の建設費は計画時点での2,800億円に対し実際には3,200億円程度と京都市営地下鉄ほどの極端な増加は見られない。
- ↑ 2007年4月から順次委託が開始されており、2010年4月現在、17駅での出札業務・案内業務がジェイアール西日本メンテックと京阪ステーションマネジメントに委託されている。
- ↑ 平成22年度 交通局運営方針 p.16 - 京都市交通局(2010年6月9日付、2014年2月28日閲覧)
- ↑ 駅別名?実は広告です 京都市地下鉄、増収へ23駅導入 - 京都新聞(2013年2月6日付、同日閲覧) ※インターネット・アーカイブ(2014年2月28日閲覧)