ナイスパス (遠州鉄道)
ナイスパス(Nice Pass)は、遠州鉄道の電車・バス双方で共通に使える、非接触ICカード "FeliCa" を媒体とした乗車カードである。名称は、New Intelligence Card of Entetsu Personal And Smart Systemに由来する[1]。システム構築は遠鉄システムサービスが担当[2]。
鉄道・バス共通の本格的なIC乗車カードとしては日本国内で初めてとなった。
目次
概要
※太字はEG1CARDの時代から実施されているもの。
- 乗降車の際に、バス乗降口や駅改札口のICカードリーダにタッチして運賃の精算を行う。
- タッチすると音やランプで知らせるが、乗車時と降車時、カードの種類によって音が異なるため、係員にも分かりやすくなっている。残額不足やエラー発生時にも音声やブザーで知らせる。
- 残額が少なくなっても、バス車内の運賃箱・駅などにある券売機や入金機で入金できる。入金は一回につき千円から1万円まで千円単位。入金時に10%程度のプレミアムがつく(ETカードと同率)。
- バス車内での入金の際は運賃箱の「入金ボタン」を押すことによりセルフで入金できる。詳細は遠鉄バス#運賃箱を参照。
- 遠鉄の電車・一般路線バス全線と、遠鉄へ完全委託している自治体バス(例:天竜区の阿多古線、中区のく・る・る)などで利用できる。空港リムジンバス「e-wing」や高速バス「e-LineR」、定期観光バス、上記以外の自治体バスは利用できない。
- バスでは残高0円であっても乗降処理が可能だが、電車では初乗りの100円(小人カードなどは50円)に満たない場合は入場することが出来ない。また、電車では入場駅から最遠の運賃よりも残高が少ない場合は「カード残額が少なくなってきました。」とアナウンスされる。
- カードの使い捨てを防止する観点から、購入時には500円のデポジット(預かり保証金)が必要。当初、住所・氏名を登録する場合には不要だったが、2007年2月1日以降に新規発行・再発行の場合は記名・無記名を問わずデポジットが必要となった。なお、全てのカードにおいて、デポジットが徴収されている場合には「デポジット500円」(半角カタカナ)と表記される。
- 購入時に住所・氏名を登録していれば、カード紛失時には紛失したカードの残額・有効期限を引き継いで再発行される[4](再発行手数料は新たなカードのデポジットとは別に500円必要である[5])。
- カード表面には、氏名・性別(以上、記名式の場合)・デポジット有無[6]・発行日(カードによっては有効期限も)が記載される。
- リサイクルカードを利用したものは無デポジットの扱いとなっている。リサイクルカードは、政府エコポイント(サービスを終了したナイスパスのポイントサービス「エコポイント」ではない)の交換対象商品になっている[7]。このほか、学校販売(出張販売)の学生ナイスパス[8]や、後述する記念カードもリサイクルカードである。
- 最初の購入時には任意の金額で作ることが出来る。入金額(1000円~10000円)+デポジット500円(要デポジットの場合のみ)を支払い、入金額+プレミアが残高となる。バス車内販売では入金額が2000円固定の無記名一般カードでの発売となり、2500円支払って2200円の残高での発売となる[9]。
- 一般的なIC乗車カードでは作動音に「ピピ」などの発振音が設定されていることが殆どだが、遠鉄では一切採用されていない[10]。
特徴
EG1CARD
EG1CARDは、ナイスパスの前身である。
- 初期のナイスパス同様、デポジットはかからなかった。
- 2002年3月1日 - 同年12月に鉄道線の新浜松⇔助信と対応ステッカー付きのバス車輛にて運用される51泉高丘線にて試験運用し、2003年4月1日よりバスのみ本格運用。
- ロゴのEG1CARDの1Cの部分はICを意識したロゴとなっていた。
- リライトカードではなかったが、住所・氏名・電話番号の登録が必須だった。
- そのため、購入時に登録されたデータが記載された発行証明と、券面に貼付できるシール(3種類から1枚を選択)が配布された。
- IC定期券は販売されなかった。
- 裏面は、発行元(遠州鉄道株式会社の連絡先)、及び、右下にカード番号が記載されているのみで、白面無地だった。
- カード番号はナイスパスとは違い、左上が無い他、桁数が違い、「ET」を含めて14桁であった[11]。
- ナイスパス導入に伴い、2004年12月31日を以て利用終了。
- 現在も遠鉄社内にて社員証等の一部(担当乗務員をセットする乗務員ICカード等)に使われている。
- カード番号の桁数、非リライトカードなど、仕様は異なるが、ナイスパスとシステムは同一である[12]。
ナイスパス
- 2004年8月に鉄道線と共通のカードとして導入。
- 記名式のナイスパスには、ストアードフェア利用金額(定期券は購入金額)の1%がえんてつポイントとしてえんてつカードに付与される制度[13]がある。前身は、ポイントがナイスパスに蓄積され1000ポイントたまると商品券に引き替えできるエコポイント制度[14]である[15]。
- 入金時に付与されるプレミア額はETカードと同率であるが、ナイスパスはポイントサービスと並行であるため、ポイントも含めて考えるとETカードより得である。
- カードには、券面に印字された文字のリライト(書き換え)機能が付いており、カード種別の変更、有効期限の更新や定期券機能の付加が瞬時にできるほか、不要になったナイスパスをクリーニングして再使用することも容易で、資源の有効利用を図っている。
- 記名式の場合、原則として記名人以外使用できないが、全線定期である通勤ワイドフリー定期券に限っては持参人方式のため記名人以外も使用できる。(後述)
- 遠鉄電車では入場後すぐであれば乗車駅降車が可能であり、残高の引き去りはなされない[16]。そのため、ナイスパスの裏面には「入場券としては利用できない」旨の表示はなされていない[17]。
- 同一名義のえんてつカード〈ポイント&クレジットカード〉を持っていれば、オートチャージサービスを受けられる。(後述)
- 2010年7月末時点で発行枚数419,802枚を達成している[18]。
沿革
- 2002年3月1日 - EG1CARD(イージーワンカード)としてモニターを対象に9月まで実証実験を開始(サイバネ規格。当初、鉄道線は新浜松⇔助信、バスは対応ステッカー付きの車輛にて運用される51泉高丘線のみ)
- 2002年12月 - EG1CARD、モニター対象の実証実験終了。
- 2003年4月1日 - EG1CARD、バスにて本格運用開始(車輛毎に順次対応)
- 2004年8月20日 - 鉄道線と共通のナイスパス、バス電車全線で運用開始(ほぼ全車両[19]にナイスパス対応運賃箱が設置された[20]。)
- 2004年9月21日 - 利用者1万人突破
- 2004年11月25日 - 利用者2万人突破
- 2004年12月31日 - EG1CARD利用終了
- 2005年1月? - ナイスパスエコポイントサービス開始。
- 2005年1月20日 - ナイスパス定期券の発行開始。以後、発売される定期券はすべてナイスパスへ移行
- 2005年1月31日 - 利用者3万人突破
- 2005年3月14日 - 利用者4万人突破
- 2005年4月1日 - ナイスパスによる浜松市の高齢者・身障者用電車・バス利用カード発行開始(浜松市ナイスパス)
- 2005年4月7日 - 利用者5万人突破
- 2005年5月1日 - 利用者6万人突破
- 2005年7月6日 - 利用者10万人突破
- 2006年3月8日 - 利用者15万人突破
- 2006年5月31日 - ETカード発売終了
- 2006年6月1日 - バス車内での販売を開始(無記名式。後に中断後、再開)[21]
- 2006年7月18日 - 利用者20万人突破
- 2007年2月1日 - 記名式ナイスパスの発行時デポジット徴収開始。
- 2007年4月24日 - 利用者25万人突破
- 2008年7月22日 - ナイスパスのオートチャージができるクレジットカード「えんてつカード〈ポイント&クレジットカード〉」の会員募集、発行を開始
- 2008年9月1日 - ナイスパスの利用で1%のポイントが貯まる「えんてつカード〈ポイント専用カード〉」の会員募集、発行を開始。同時にオートチャージサービスがスタート
- 2008年12月31日 - ナイスパスエコポイントサービス終了
- 2009年2月1日 - オートチャージサービス拡大
- 2010年2月1日 - ナイスパス初の記念カード、「合格祈願ナイスパス」販売開始[22]
- 2010年3月1日 - オートチャージ登録キャンペーンを開始
- 2010年4月15日 - ETカードの電車での利用終了
- 2010年5月31日 - オートチャージ登録キャンペーンを終了
- 2010年9月11日 - ジュビロバージョン販売開始[23]
- 2010年12月11日 - ジュビロ磐田優勝記念ナイスパス販売開始[24]
- 2011年1月4日 - ご祈願ナイスパス販売開始[25]
券種
一般カードを除き、すべて記名式である。
- 一般カード
- 大人用として通常発行されるタイプで、従来のETカードを置き換えるものである。無記名式と記名式があり、無記名式はバス車内でも購入できる。無記名式は遠鉄の窓口で記名式に変更することができる。
- 小児カード
- 小児運賃で精算される。
- 学生カード
- 入金時のプレミアムが、ほかのカードより高く設定されている。高校卒業に値する、満18歳までは進学有無に関わらず自動的にこのカードとなる。スイングメイト同様、購入には制服着用または学生証の提示が必要[26]なほか、満18歳以上は年度ごとに進学や進級を示す更新の手続きが必要。
- 身障者カード
- 障害者割引で精算される。購入には障害者手帳の提示が必要なほか、定期的な更新手続きが必要。
浜松市ナイスパス
身障者・高齢者カードには浜松市発行のタイプもあり、券面のデザインが遠鉄発行のものと異なる[27]ほか、所定の金額がストアードフェアで毎年度交付される。これは従来、磁気カード(ETカードと同じ方式)で交付されていた高齢者・身障者用の電車・バス利用カードを代替するもので、「浜松市ナイスパス」と呼ばれる。
なお、交付されたSF金額は、年度末(翌年3月末日)まで有効である[28]。
SF
遠州鉄道では、SF残高を増やすことを入金・積増(積み増し)・チャージと呼ぶ[29]。
以下に一回に入金できる入金額一覧とプレミアを示す。なお、一般は一般カード・身障者カードを、学生は学生カード・小児カードを示す。
- 1,000円 - 一般・学生:1,100円(※1)
- 2,000円 - 一般・学生:2,200円(※1)
- 3,000円 - 一般:3,300円、学生:3,500円(※2)
- 4,000円 - 一般:4,400円、学生:4,700円
- 5,000円 - 一般:5,500円、学生:6,000円(※3)
- 6,000円 - 一般:6,600円、学生:7,300円
- 7,000円 - 一般:7,700円、学生:8,600円
- 8,000円 - 一般:9,000円、学生:10,100円(※3)
- 9,000円 - 一般:10,150円、学生:11,400円
- 10,000円 - 一般:11,300円、学生:12,700円
- ※1 : ETカードでも販売されていた[30]。
- ※2 : ETカードでも販売されていた。一般用・学生用「スイングメイト」とも販売されていた。
- ※3 : ETカードでも販売されていた。一般用・学生用「スイングメイト」とも販売されていたが、スイングメイトはナイスパス入金額より500円少ない利用可能額で販売され、500円のおまけカードが付いていた[31]。
なお、ナイスパスの券面には入金可能額の上限は記載されていないが、4回分までの入金が可能である[32]。
入金・履歴
入金は前述の通りだが、バスの運賃箱にて乗務員への申告なしに入金できる[33]。鉄道線は現在は有人駅・無人駅とも全駅にナイスパス対応自動券売機が1台以上設置されているため、そちらでの入金が可能である。
以前より全駅に自動券売機は設置されていたものの、当初はナイスパス非対応券売機のみだったため、無人駅を含む全駅に入金機が設置されていた。
この他、バスターミナル設置の入金機、車掌や臨時バス係員などが携帯する端末、遠州鉄道各窓口などでも入金できる。
履歴確認は窓口の他に、上記のうち運賃箱[34]・券売機にて可能。印字は窓口の他に、上記のうち券売機・入金機・時刻表印刷端末にて可能。
利用履歴
オフラインで履歴を確認する場合には、最後の20件分が確認できる。
また、一般のICカード乗車券では定期券区間・期間内の利用では履歴が出ないことが多いが、それも表示・印字される点が特筆できる。
駅バスターミナルでの印字
「日付・(おおよその)時刻 車輛ナンバー 乗車バス停 降車バス停 精算額 残高」が印字される。
バス停は全角で5.5文字まで印字され、例えば「浜名湖パルパル」は「浜名湖パル」と「パの左半分」と表示される。
- 乗車未処理など、運賃箱の手動操作による精算の場合は「乗務員精算 ~降りたバス停」(例:乗務員精算 ~ごんげんや など)。
- 「ハンディ」と表示される、乗務員などが所持する携帯カードリーダーでは車輛ナンバーが「0000」となる。
- 「く・る・る」では乗車バス停が空欄、降車バス停のみの表示(例: ~浜松駅 など)。
駅の自動券売機での印字
「日付・おおよその時刻(10分単位) 乗車駅 運賃 降車駅 残額」の順で印字される。
オートチャージ
2009年9月1日、Suica・PASMO・nimocaに続き、日本の鉄道用ICカードで4番目にオートチャージサービスを開始した。また、2010年現在、日本のバスに於いては唯一のオートチャージサービスである[35]。
- 当初は、実行判定額・入金額が共に2,000円(実際の入金額はプレミアが付いて2,200円)に固定。この時は一般カードのみ対象で、暫定処置としてオートチャージされるたびにえんてつポイントが100ポイントが加算された。
- 2009年2月1日以降は判定額(1,000円 - 5,000円)と実行額(1,000円 - 10,000円[実際には別途プレミアが付く])が1,000円単位で選べるようになった。また、学生用ナイスパスは2009年2月1日より高校生以下は保護者名義のえんてつカードで、大学生以上は本人名義のえんてつカードでオートチャージ登録ができるようになった[36]。これに伴い、暫定処置であったオートチャージ時のえんてつポイント100ポイントが廃止された。
- オートチャージがなされるタイミングは、鉄道線の駅の入場時(乗車時)・鉄道線の駅の出場時(降車時)・バスの降車時(運賃箱)の3種類である。それ以外ではオートチャージなされない。
- 2010年3月1日 - 5月31日までオートチャージ登録キャンペーンを実施していた。当該キャンペーン中はオートチャージ登録で300ポイント、オートチャージ利用で200ポイントがそれぞれえんてつカードに付与される。ただしこの特典は1枚のナイスパスにつきそれぞれ1回ずつとなる[37]。
記念カード
記念カードはデポジットはかからない。また定期券を付加したり記名式にしたりすることは出来ない。
- 合格祈願ナイスパス
- 2010年2月1日、ナイスパス初の記念カード、「合格祈願ナイスパス」の販売が開始された。詳細は、「合格祈願ナイスパス」公式サイトを参照されたい。
- カード自体は通常のナイスパスにリライト印字で特別な印字がされており、虚空蔵寺にて祈祷をしてある。
- 発行金額は通常のナイスパスと同様、1,000円〜10,000円の任意の金額を入金しての発行である。
- ジュビロバージョン
- 2010年9月11日、ナイスパス初の提携(タイアップ)型記念カード[18]、「ジュビロバージョン」の販売が開始された。詳細は、「ナイスパス(ジュビロバージョン)」公式サイトを参照されたい。
- 遠鉄グループ大感謝祭の一環で販売された。ジュビロ磐田とタイアップしている。
- このカードは券面自体が通常のナイスパスとは異なる。また発行金額が2,000円(利用可能額2,200円)固定である。
- ジュビロ磐田優勝記念ナイスパス
- 2010年12月11日、「ジュビロ磐田優勝記念ナイスパス」の販売が開始された。詳細は「ジュビロ磐田優勝記念ナイスパス」公式サイトを参照されたい。
- このカードは券面自体が通常のナイスパスとは異なる。また発行金額が3,000円(利用可能額3,300円)固定である。
- ご祈願ナイスパス
- 2011年1月4日、「ご祈願ナイスパス」の販売が開始された。詳細は「ご祈願ナイスパス」公式サイトを参照されたい。
- 一般(大人)用の「大願成就」と学生用の「合格祈願」が存在する。
- 合格祈願ナイスパス同様、カード自体は通常のナイスパスにリライト印字で特別な印字がされており、虚空蔵寺にて祈祷をしてある。
- リライト印字による記念カードとしては初めて一般(大人)用も販売された。
- 発行金額は1,000円(利用可能額1,100円)固定である。
- ナイスパスの記念カードとしては初めて台紙が付いた[38]他、大願成就・合格祈願とも記念きっぷの「合格きっぷ」[39]が同梱されている。また、購入時にキットカット(カード1枚につき1つ)が貰える。
ナイスパスエコポイントサービス
ナイスパスエコポイントサービスはかつて遠州鉄道が実施していたICカードのポイントサービスである。
政府エコポイントが登場した末期は区別するためにナイスパスエコポイント(サービス)とも呼称していたが、基本的にエコポイント(サービス)と呼称していた。
2005年1月?にサービス開始。当初は以下のサービスであった。
- 記名式ナイスパスのSF利用時に1%のポイント(10円=0.1ポイント)を付与。
- 1000ポイントで遠鉄グループの商品券(1000円分)に交換。
- ポイントの有効期限は取得から3年後の12月末[40]の予定だった。
なお、公式サイトにてカード番号の入力によりエコポイント残高を確認出来るが、その際にはCO2削減量が案内される[41]。
その後、2008年9月1日より遠鉄グループ各社のポイントサービスが統合され、えんてつポイントに移行されることとなり、エコポイントもえんてつポイントへ移行した。
手続きは2008年9月1日からの受付で、ナイスパスとえんてつカードを共に遠州鉄道の窓口に提出することによりナイスパスによるえんてつポイントサービスを受けることが出来る。また、オートチャージも同時に設定が出来る。この操作によりエコポイントはえんてつポイントに自動的に引き継がれる。
なお、えんてつポイントは1ポイント単位のため、積算時には1ポイント単位となっているが、計算上は従来通り0.1ポイント単位で行われており、100円未満の端数も累計額が100円に達した時点で1ポイントとなる。
えんてつポイントサービス開始に伴いエコポイントサービスは2008年12月31日を以て終了となった[42]。えんてつポイントに移行しなかった場合の2009年1月1日以降の取り扱いは以下の通り。
- 1000ポイント未満の端数は消滅。
- 当初予定されていた3年間の有効期限[40]までは1000ポイント単位で保持。
- エコポイントの新たな蓄積は行わない。
ちなみに、サービスが終了した2008年取得のエコポイントが2011年末で消滅するため、これにより名実共にサービスが終了する。また、現在はウェブサイト上やバスターミナルの端末にてエコポイントが確認出来るが、2012年以降に変動が起こることが予測される。
定期券
ここでは、「ナイスパス定期券」および前身の紙製の定期券の時代も含む遠州鉄道(電車・バス)の定期券全般について解説する。
券面
駅や停留所名の印字は、4文字までのため5文字以上のバス停や駅については略称で印字される。 定期券の場合は、年齢、名前、性別、生年月日、使用期限が印字される。
区分
種類
通学定期に限りオプションで下記の2種類を選択でき、下記の両者とも組み合わせることが出来る[45]。
- 平日定期(通学ウィークデー定期):5/7の値段で、休日ダイヤ運行日や祝日等に関わらず平日(月~金)に利用できる。
- 学期定期(終了日指定定期):例えば4月7日 - 7月20日と言ったように、任意の日数を選べる[46]。左記の例では、3ヶ月14日間の定期券の扱いとなり、3ヶ月分の定期代+14日分の定期代(日割)で3ヶ月定期の割引率となる。なお、学期と名が付くものの学期と関係なく開始日・終了日を指定することも出来る[47]。
特殊な定期
全線定期
1999年2月1日(シルバーワイドフリーのみ2000年9月)に販売を開始した。 定期券の上限運賃と銘打って導入したこともあり、ワイドフリー定期券より高額となる定期券は自動的にワイドフリー定期券となる。
- 通勤ワイドフリー定期:全線利用できる。前述の通り持参人方式である。なお、記名式ナイスパスによるナイスパス定期の場合は、券面に「定期券は持参人一名様が利用可能」と表記される[48]。
- 通学ワイドフリー定期:全線利用できる。こちらは持参人方式ではない。
- シルバーワイドフリー定期:満65歳以上と自動車運転免許証を返納した満60歳以上が購入できる、廉価な全線定期[49]。
連絡定期
1971年4月1日に発売を開始した、遠鉄電車と遠鉄バスを乗り継ぐ定期券である。 当初は無割引だったが、1979年12月21日より遠鉄電車分と遠鉄バス分ともに相互に5%引きとなっている。
循環定期
鶴見富塚じゅんかんなど、循環路線を一周する定期である。浜松駅経由で他の路線のバス停を発着にすることも出来る[50]。
券面は、(乗車バス停)⇔●●・循と表示される[51]。
ナイスパス定期券
SFのみで使用しているナイスパスであってもカードを交換することなしに定期券機能を付加することができる。2005年1月20日のナイスパス定期券発行開始以降、遠鉄では電車・バスとも定期券をナイスパスに統一しており、紙製の定期券は姿を消している。
取り扱い
バスについては、定期券区間内を結ぶ全ての路線の途中バス停で途中下車が出来る[52]。また、経路変更やバス停分割により別のバス停となったバス停は同じバス停として計算される。 以下に例を示す
- 浜松駅⇔アクトの定期券は、元々アクトシティ経由は新町経由だった影響で、広小路や新町も利用できる。
- 常楽寺と常楽寺入口は直接ののりかえは出来ないが、同一のバス停として計算される。
- 市役所前と市役所南は元々両方とも市役所前だった影響で同一のバス停として計算される。
- 浜松駅⇔浜商前の定期券は、浜松駅⇔浜商前を常盤町経由も結んでいるほか、浜松駅⇔浜松北高をゆりの木通り経由などいくつかの経路で結んでいるため、それらの全てのバス停で途中下車できる。
- 浜松駅⇔富塚の定期券は、舘山寺線や医療センターまわりは同じ運賃のためどちらの途中バス停も利用できるが、せいれいまわりは運賃が高くなるため例え浜松駅 - 富塚であっても市役所前 - 富塚の分が乗り越し扱いとなる。
- 浜松駅⇔かじ町の定期券は、元々同じバス停だったザザシティ前も利用できる。
- 浜松駅⇔富塚・循の定期券は、運賃が同じ、或いは安くなる鹿谷町 - 浜商前 - 富塚や、かじ町 - 鴨江 - 医療センターなどいろいろな経路が利用できる。
- なお、浜松駅を含む定期券は「く・る・る」を利用できる。
発行・更新
定期券は、遠州鉄道各窓口で発行することが出来、鉄道駅でバスのみの定期券を発行することや、バスの窓口で鉄道線のみの定期券を発行することも出来る。
定期券の更新は、従来は遠州鉄道各窓口のみであったが、バスのみの定期券を含め2009年頃より一部鉄道駅の自動券売機でも出来るようになった。 通常は、自動券売機で更新できる場合でも通勤定期のみの扱いとなり通学定期は窓口となるが、通学定期でもその学生ナイスパスの有効期限内であれば券売機で更新できることが特筆できる。
自動券売機による定期更新の際には、使用開始日・期間(学期定期含む)・種類(平日定期または全日定期)を選択(変更)することが出来る。ただし、区間の変更や個人情報の変更は出来ないため、その場合は窓口となる。
相互利用・電子マネー
裏面には「当社が別に定めた他社でもご利用いただけます。」との文言があるが、他社のICカード乗車券との相互利用の計画はない。
また現段階では、グループの遠鉄百貨店・遠鉄ストアなどとの相互利用や電子マネー化の予定はないが、そもそも現状では不可能である。これは前払式証票の規制等に関する法律に定める申請などの手続きをとっておらず、あくまで乗車券という位置づけとしているためである[53]。なお、現行のナイスパスの裏面に店舗などで利用可能な旨の文言はない。
なおナイスパスへの入金時にはプレミアムが上乗せされるため、仮に他社局との相互利用や電子マネー化を行う場合はプレミアムのない電子マネーやICカード乗車券との調整が必要である[54]。
応用サービス
- 浜松駅バスターミナルのサービス端末では任意のバス停の時刻表を印刷することができるが、ナイスパスをタッチすると、記憶された最近の乗車履歴を元に利用頻度の高いバス停をすぐに抽出できる。
- ナイスパスを媒体としたイベント企画として、漫画『タッチ』の実写版映画試写会の抽選招待やルーレットゲームなどが行われた。
脚注
- ↑ 国土交通省ホームページより。
- ↑ 同社のシステム構築例のページより。
- ↑ 遠州鉄道では自動改札機は設置されていないが、タッチアンドゴーの動き自体は同じである。
- ↑ この場合住所・氏名をもとに紛失券の特定を行うが、あらかじめ裏面にある「ET - 」から始まる券番を控えておくと、カードの特定が容易になる。
- ↑ 再発行後(手続き完了後から未受取も含む)に前のカードが見つかった場合、前のカードのデポジットは返却される(「デポジット500円」表記のカードのみ)が、再発行手数料は返却されない。
- ↑ 有る場合のみ「デポジット500円」(カタカナ・数字共に半角)、無い場合は空欄となる。
- ↑ こちらは一般記名カードのみであるが、記名人氏名の「○○ △△様」が「○○ △△(エコ)様」となっている。詳細は特設ページを参照。
- ↑ こちらは政府エコポイントのバージョンと違い、記名人氏名は通常と同一で、2007年1月までに発行されたナイスパスと券面が全く同じである。
- ↑ ETカードの時代は5000円(5500円)・8000円(9000円)の一般カードも車内で販売していた。
- ↑ 入金機などのごく一部では「ピ」と鳴るが発振音とは異なる。
- ↑ ナイスパスは一般的なICカードと同様に、左上12桁、右下17桁である。
- ↑ システム構築もナイスパス同様、遠鉄システムサービスが担当。
- ↑ 詳細はえんてつポイント / ナイスパス・定期券についてやえんてつポイントのご案内(pdf)を参照。
- ↑ 詳細はエコポイント / ナイスパス・定期券についてを参照。
- ↑ なお、エコポイントはえんてつポイント制度導入に伴い2008年12月31日をもって終了となり、それまでに貯まったポイントは、えんてつカードに移行しない場合消滅した。
- ↑ 履歴は残る。ただし、10分単位のおよそ時刻が同じ間に2回以上連続で同じ駅で乗車駅降車をした場合はその分は履歴には1回しか表示されない。
- ↑ ちなみに鉄道線では初乗りを150円から100円に下げた際(当該記事参照)に入場券の販売を取りやめている。
- ↑ 18.0 18.1 詳細はニュースリリースを参照。
- ↑ く・る・る代走用のエアロミディ2141号車[現在は廃車]以外。
- ↑ 尚、2141号車やリエッセ等貸切車で定期路線[く・る・る含む]を運行している場合でナイスパスを使用したい場合、乗務員に申し出れば携帯型の精算機[履歴ではハンディと表示]で精算可能である為、事実上当初より全車両で使用可能。
- ↑ 公式案内(タイトルなし・pdf)を参照。
- ↑ 「合格祈願ナイスパス」限定発売を参照。
- ↑ ナイスパス(ジュビロバージョン)限定発売!を参照。
- ↑ ジュビロ磐田優勝記念「ナイスパス」発売決定!を参照。
- ↑ 「ご祈願ナイスパス」発売のお知らせ [ 遠鉄バス ]を参照。
- ↑ ただし明らかに学生である場合は免除される場合もある。
- ↑ ピンク色で、「浜松市」とカードに書いてある。
- ↑ 但し浜松市ナイスパスであっても利用者が自分で入金したストアードフェアは有効期限がない。
- ↑ 当初は主に入金・積増(積み増し)と呼んでおり、チャージはオートチャージサービスの開始前後に使われ始めた。
- ↑ 学生用「スイングメイト」の販売は無い。
- ↑ 詳細は、ETカードを参照。
- ↑ 例えば、一般用記名式カードで10000円(11300円)→1000円(1100円)→8000円(9000円)→3000円(3300円)の順で入金し、3000円使用した場合、あと8300円以上使用しないと入金が出来ない。一方、3000円(3300円)→10000円(11300円)→8000円(9000円)→1000円(1100円)の順で入金し、3000円使用した場合、あと300円以上の使用で入金が可能となる。逆に、1000円(1100円)→10000円(11300円)→8000円(9000円)→3000円(3300円)の順で入金し、3000円使用した場合、(1100円使用した時点で既に最初の一回分が済んでいるため)即座に入金が可能である。
- ↑ 詳細は遠鉄バス#運賃箱を参照。
- ↑ 乗務員に申告して操作してもらう必要がある。
- ↑ PiTaPaへのオートチャージサービスを取り扱うバス社局および車載機も存在するが、PiTaPa自体はポストペイ交通乗車および非接触クレジット決済を提供するICカードであり、充当の本旨、またチャージ額の使用先は、PiTaPa交通利用エリアとは別個のプリペイドIC交通乗車利用サービスである。
- ↑ 詳細はオートチャージ / ナイスパス・定期券についてを参照。なお、2010年1月頃までは、オートチャージの案内ページなのになぜかページタイトルが「エコポイント / ナイスパス・定期券について」となっていた。
- ↑ 詳細は、オートチャージ登録キャンペーン | えんてつカードを参照。
- ↑ ETカードの記念カードでは台紙付もあった。
- ↑ 乗車券としての効力は無し。
- ↑ 40.0 40.1 2005年取得分は2008年末、2006年取得分は2009年末、2007年取得分は2010年末、2008年取得分は2011年末。
- ↑ 詳細はエコポイント / ナイスパス・定期券について [ 遠鉄バス ]やNicePass(ナイスパス) ポイント照会ページを参照。
- ↑ サービス終了までに3年間の有効期限により消滅したエコポイントは、サービス自体が3年目に終了したため存在しない。
- ↑ これらはナイスパスの場合は自動的に学生カードとなる。
- ↑ 通常は通学定期は通学用途に限られ、区間も自宅⇔学校のみとなり、それ以外は通勤定期となる。
- ↑ 平日定期かつ学期定期など。
- ↑ 最低でも1ヶ月以上。
- ↑ 例えば5月6日 - 10月10日など。
- ↑ 定期券のご購入 / ナイスパス・定期券について [ 遠鉄バス ]または定期券について / 遠鉄電車を参照。
- ↑ 詳細は、定期乗車券#老齢者向け定期券類を参照。
- ↑ 例:貝まぐり⇔(浜松駅経由)⇔富塚じゅんかん(一周)
- ↑ 上記例の場合、「貝まぐり⇔富塚・循」となる。
- ↑ 但し、定期券として利用する区間より高い経路は乗降バス停が一致していても使用出来ない。
- ↑ 但し、この様な場合でもSuicaの様に後に電子マネーに対応した例はある。
- ↑ PiTaPaと自社系ICカードを並行導入してこの問題をクリアした事業者はPiTaPa導入事業者に多く存在するが、並行導入によるカード券種の複雑化が避けられない上、PiTaPaのポストペイというサービスが現在ナイスパスで実施されているオートチャージサービスと被るため現段階では予定は無い。