米粉
米粉(べいこ、べいふん、こめこ)は、米を製粉したもの。穀粉(こくこ)ともいう。団子、餅、煎餅、麺類、米粉パンなどの原料となる。近年では特に、小麦粉の代用として粒子を平均数十マイクロメートル以下まで細かくした微細粉米粉のことを指す場合も多い[1]。日本では、国産米(地元産米)の消費拡大につながる新たな需要が期待されている。
目次
[非表示]原料
うるち米は、従来は2mm弱の網目をもったふるいで選別した「網下米」「くず米」などと呼ばれる粒食に適さないものを原料として使用してきたが、近年では、粒食として使用できる(そのまま炊いても食べられるほどの)米を米粉にするケースもでてきた[3]。
くず米以外の米粉原料米としては、加工用米、ミニマムアクセス米(MA米)、現物弁済米がある。加工用米は主にJAが取り扱っており、粒食用の米を加工用とすることで減反に含めることができる。原料米としては価格がやや高いが、粒食用米と同等の品質がある。MA米は、WTOの取り決めにより海外から輸入された米である。年間約80万トン輸入されている。現物弁済米は、米穀機構が取り扱っている米で、用途は限られるが比較的安価である。これらの米は、粒食に転用されないように砕いて(変形加工)から売却されている。
米粉は原料の違いに加えて、加工法によって上新粉、白玉粉などの種類に分かれる[2]。
なお、上述のうるち米の「網下米」は、加工用米として「特定米穀」と呼ばれ、品質管理などの仕組みが存在しなかった。粒食用のうるち米は食糧法などで管理されていたことと比べると管理が甘い状況にあり、そのため2008年に露呈した事故米不正転売事件で、事故米の流通先の一つとして米粉に流れたとの指摘がある[3]。
さらに、グルテンフリー食品や、セリアック病の認知度が高まり、米粉食品が見直されている。
沿革
日本では米の消費が1963年度の年間1341万トンから近年は900万トン台まで落ち込んでおり、一人あたりの消費量は1962年度の118.3kgから2005年度には61.4kgと激減している。
このような状況のもと、行政や関係団体は消費拡大を目指した取り組みを行ってきた。従来からある、煎餅、団子、落雁、大福餅、さくら餅などの和菓子製品だけでは消費拡大を期待することは難しく、小麦粉グルテンを添加してパンや麺などを量産する技術が確立されたことによって米の消費拡大への期待が高まっていたが、10年以上普及しなかった理由は米と小麦の価格差によるものであった。一部には米粉製品を学校給食に取り入れる自治体もあるが、技術的問題により品質にばらつきがあるなど急激に普及するまでには至っていない。
しかし近年、麦の国際相場が「中国やインド等での食糧需要の増大」「世界的なバイオ燃料の原料としての穀物等の需要増大」「地球規模の気候変動の影響」、といった構造的な要因に加え、輸出国における輸出規制に伴い大幅に上昇しており、小麦粉代替品としての日本国産の米粉が脚光を浴びることとなった。小麦価格高騰を受け、農林水産省は代替原料として米粉の増産支援に乗り出すこととなり、2009年4月に米穀の新用途への利用の促進に関する法律が成立した。
米粉の種類
もち米のもの
うるち米のもの
米粉用イネ品種
用途
- 主にもち米粉を用いる物
- 主にうるち米粉を用いる物
- 主にうるち米粉の利用を図っている物
ほか
製粉技術
- 胴搗製粉方法(石臼杵搗き)
- ロール製粉方法
- 気流粉砕製法(ジェットミル)
- 水びき
- 高速粉砕機(ピンミール)
このほか、名称のついていない製法や特許製法、企業秘密など様々ある。用途によって使い分けがされている。
米粉の利用拡大に取り組む主な自治体
- 新潟県(県全域) - 小麦消費量の10%を米粉に置き換えることを目的として、「R10プロジェクト」という名称で食料自給率向上を進めている[4]。
- 北海道美唄市
- 北海道上川管内東川町
- 北海道空知管内栗山町4Hクラブ
- 青森県十和田市
- 秋田県大潟村
- 愛知県長久手市
- 岡山県 FOOD ACTION 美作[5]
脚注
参考文献
- 福盛幸一、『福盛式シトギ 米粉パンの教科書』、2009年、農山漁村文化協会、ISBN 978-4540083112
外部リンク
関連項目
- 新潟製粉 - 米粉生産企業、第3セクター。