アルザス地域圏

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フランス > アルザス地域圏 テンプレート:フランス地域圏概要


アルザス地域圏アルザス語Elsàssアレマン語Elsäß、標準ドイツ語Elsassフランス語英語Alsace)は、フランス北東部に存在する地域圏。西側の大部分をロレーヌ地域圏と接し、残りはフランシュ=コンテ地域圏と接している。東はドイツスイスに接する。地域圏内にはバ=ラン県オー=ラン県二つの県を含む。

アルザスの名前はドイツ語のEll-sassから取られている。地域圏最大の都市であるストラスブール(シュトラースブルク)を首府とする。アルザスはかつては神聖ローマ帝国の領地であり、17世紀から19世紀にかけて何度もフランスとドイツを行き来してきた。

概要

アルザスの住民の大部分はドイツ系アレマン人一派であるアルザス人で、人口130万人の住民がドイツ語の方言であるアルザス語を言語としており、アルザスはドイツ文化において重要な役割を果たしてきた。

王制時代は「ブルボン家に仕えるドイツ人」と呼ばれていた。首府はストラスブール(独:シュトラースブルク)。域内面積は日本の兵庫県(約8,394平方キロメートル)と同じぐらい、人口は鹿児島県(約177万人)とほぼ同程度。南北に細長く展開し、北部がバ=ラン県(「ライン川下流」の意味)、南部がオー=ラン県(「ライン川上流」の意味)にそれぞれ分かれる。

鉄鉱石や石炭を豊富に産出し、ライン川の水運を利用して古くから工業が盛んに行われていたことや、交通の要衝だったことも手伝って長くドイツとフランスの間で領土の獲得競争が繰り広げられてきた。エルザス人(アルザス人)は明らかな異文化であるフランスとは同化せず、一方でドイツにあってはツァーベルン事件に代表されるように一等国民として扱わなかったために、独自のアイデンティティを保ち続けることとなった。

1870年普仏戦争第二次世界大戦における1940年のフランス降伏に伴ってドイツに占領されたが、戦後はフランスが再占領し現在に至っている。この間、強引な同化政策が行われたことで、多くの住民はフランス語とアルザス語のバイリンガルであり、若年層ほどフランス語を多用する。近年になってフランス政府は同化政策を改めたが、フランス語しか話せない若者も少なくなく、今後の教育方針をめぐる議論は続いている。ヨーロッパ有数の経済地域であるドイツ・ライン川中流域との結びつきを深めており、生活水準はフランスの中でも高い方に属する。

行政区画

ファイル:Carte Alsace.svg
上:バ=ラン県、
下:オー=ラン県

テンプレート:地域区分表

行政と市町村

ファイル:Alsace4.jpg
アルザスの伝統的な衣装

歴史

  • 1648年 - 三十年戦争の結果、神聖ローマ帝国(ドイツ)からフランスに割譲される。
  • 1870年 - 普仏戦争において、フランス敗北により隣接するロレーヌと併せてドイツに占領される。
  • 1919年 - ヴェルサイユ条約によりフランスが占領する。
  • 1940年 - 第二次世界大戦のフランス降伏により再びドイツに占領される。
  • 1945年 - ドイツの降伏によりフランスに再度占領。以後フランス領土として現在に至る。

文化

ファイル:Little world, Aichi prefecture - Farmhouse of Alsace in France.jpg
アルザス地方の農家(リトルワールド・愛知県犬山市)

家屋の形を見ると、ドイツと同様の木骨造(木骨組み、漆喰固め; Fachwerk(haus)(独))のものが多い。

また食文化においても、シュークルートザウアークラウト(Sauerkraut))やベッコフ(Bäckeoffe)が名物であるほか、ワインではゲヴュルツトラミナー(Gewürztraminer)をはじめとして、赤よりも白が多く製造されているなどドイツ的である。宗教面でも、フランス全土はカトリックが圧倒的に多い(約90%)のに対してアルザス地方はプロテスタントの信者も多く、ストラスブール市内には両派の教会や関連施設が多数存在する。

経済

2002年の域内GDPは443億ユーロ(約5兆円、鹿児島県と同程度)、一人当たりGDPは24,804ユーロ(約390万円)にのぼる。一人当たりGDPはフランス国内の22地域圏中イル・ド・フランスに次いで第2位に達し、労働者の68%がサービス業に、25%が工業に従事している。現在、アルザスはフランスで最も工業化された地域圏となっている。

参考文献

香川大学法学会『香川法学』第16巻 第3・4号 No.52 1997年3月 ISSN 0286-9705 吉川弘人教授退官記念号 p1~p48
香川大学法学会『香川法学』第14巻 第3・4号 No.45 1995年1月 ISSN 0286-9705 高野真澄教授・守屋正通教授退官記念号 p149~p194
人文書院 2002年3月 ISBN 9784409510506
  • ロレーヌ(宇京頼三訳)『フランスのなかのドイツ人―アルザス・ロレーヌにおけるナチスのフランス壊滅作戦 』
未来社 1989年2月 ISBN 9784624111120
  • リグロ(宇京頼三訳)『戦時下のアルザス・ロレーヌ(文庫クセジュ819) 』
白水社 1999年9月 ISBN 9784560058190
  • フィリップス(宇京頼三訳)『アルザスの言語戦争』
白水社 2010年5月 ISBN 9784560080771

関連項目

バ=ラン県
オー=ラン県
アロンディスマン arrondisement、パリ市の場合はと訳
カントン canton = 小郡
コミューヌ commune = 自治体、コミューン

脚注


外部リンク

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