「蒼き流星SPTレイズナー」の版間の差分
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2014年8月19日 (火) 17:45時点における最新版
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『蒼き流星SPTレイズナー』(あおきりゅうせい エスピーティー レイズナー)は、1985年(昭和60年)10月3日から1986年(昭和61年)6月26日まで日本テレビほかで木曜 17:30 - 18:00に全38話が放送された、日本サンライズ(現・サンライズ)製作のSFアニメ(ロボットアニメ)である。完結編は1986年10月21日にOVAで発売された。主題歌のサビ部分に入る前に本編のハイライトシーンが挿入されるという放送当時は斬新な演出が行われた。
目次
概要
多くのロボットアニメを手がけてきた高橋良輔にとって、仕事の一区切りがついた作品である。そのため締めくくりとして、同ジャンルの原点というべき『鉄腕アトム』の要素である意思と人格のあるロボットの登場が試みられている。とはいえリアルな作風に合わせて、はじめから主人公の相棒となるロボットが出てくることは避けられており、序盤では主人公「エイジ」の乗るロボット「レイズナー」に搭載されたコンピュータ「レイ」は機械的な応答しかしない。中盤でレイの背後に潜んでいたシステム「フォロン」が現れ、人命よりも使命を優先させる非情さを露にしたとき、怒ったエイジはフォロンと対峙する。最終的にエイジに説き伏せられたフォロンはレイズナーのすべてを彼にゆだねることを決めて退き、再び表に出てきたレイがエイジの指令に軽快に答える。こうした過程でエイジの相棒キャラクターとしてのレイの存在が確立するようになっている[1]。
ストーリー
1996年、人類は地球を飛び出し火星へ進出したが、アメリカとソ連の冷戦もまた火星にまで拡大していた。同年10月3日、国連主催のコズミック・カルチャー・クラブ(宇宙体験教室)に選ばれた少年少女達は、火星に到着して間もなく、突如現われた謎の機動兵器・SPTによる攻撃に晒される。窮地に陥った彼らを救ったのは、蒼いSPTレイズナーを駆る少年アルバトロ・ナル・エイジ・アスカだった。彼はグラドス星によって地球が狙われていること、そして自分が地球とグラドスの混血であることを告げる。コズミック・カルチャー・クラブの少年少女達は、エイジに不信の眼差しを向けながらも、戦いの中で徐々に絆を深めていく。そして共に地球へ帰るため、彼らは火星を脱出し苦しい旅に出発した。
そして三年後の1999年、地球はグラドス軍に占領支配され、自然も都市も、そして文化までもがいいように破壊され続けていた。その中で少年少女たちは敵味方に分かれて戦い続けるが、そこへ死んだと思われていたエイジがレイズナーとともに帰ってきた。
登場人物
地球制圧以前と以後では、世界設定やキャラクターデザインにかなりの差異が生じている(制圧以後は、当時人気だった『北斗の拳』の影響が極めて強い)。
主人公と仲間たち
- アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ
- 声 - 井上和彦
- 本作の主人公。アポロ計画以前のアポロX-0計画により月で遭難し、グラドス人の調査隊に救助された地球人宇宙飛行士である父ケン・アスカと、グラドス人である母アルバトロ・ミル・アイラ・アスカとの間に生まれた混血児。グラドスによって地球が狙われている事を知らせるため、グラドスの艦隊に密航して父が造り上げたSPTレイズナーと共に、火星にやってきた。そこで生き残ったコズミック・カルチャー・クラブの生徒達を連れ、はじめは異星人ということでの敵視から衝突もあったものの、その旅の中で次第に彼等と絆を結んでいく。人を殺す事を好まない。
- 地球に到着後、グラドスの総攻撃に単身立ち向かい行方不明になったが、地球制圧後再びその姿を現し、レジスタンスを側面から支援した。物語後半ではトンファーを用いた我流拳法を使うようになる。物語前半は「僕」という一人称を用いていたが、物語後半では主に「俺」を用いるようになった。
- 混血児であるエイジの存在が、地球人とグラドス人が同じ血を分けた種族であることの証でもある。本質的には戦いを好まず、SPTに乗っての初期戦闘時、どんな相手であっても、どのような好機であっても、動力部やコクピットへの直撃は避けていた。
- 小説『蒼き流星の行方』では、刻印発動後グラドスに渡り、グラドス創生と地球侵攻の真相を知った後、グラドスと地球の関係を調整する組織の代表となった。
- アンナ・ステファニー
- 声 - 江森浩子
- コズミック・カルチャー・クラブの最年少の少女。本作のヒロインにして語り部役も務める。仲間の中で最初にエイジに信頼を寄せ、後に愛するようになる。制圧後の地球では、地球文化の保護に努めた。
- 気弱な外見だが芯が強く行動的であり、正面からル・カインの主張に反駁したこともある。レジスタンスの象徴的リーダーとなり、クスコの聖女となったジュリアと共に地球人の希望の対象ともなったが、その為に死鬼隊に狙われたこともある。年齢は、グラドス軍が地球侵攻作戦を開始した当時14歳。成長後は縛っていた髪を下ろした。
- デビッド・ラザフォード
- 声 - 梅津秀行
- コズミック・カルチャー・クラブの生き残り。生き残りメンバーの中では、アーサーに次いで年長。直情径行の行動派。親友がグラドスの襲撃で死んだこともあり、最初はエイジに憎しみを抱いていたが、共に危機を乗り越えやがて親友となる。地球へ帰る中で生き延びるためにSPTベイブルに搭乗、エイジをサポートする。制圧後の地球では、レジスタンスの実質的リーダーとして最前線で活躍し、シモーヌとは戦火の中で心を通わせていく。地球製SPTドールにも搭乗。アメリカ人。
- シモーヌ・ルフラン
- 声 - 平野文
- コズミック・カルチャー・クラブの生き残りメンバーの1人。ルフラン侯爵令嬢。地球制圧後は、その立場を利用して社交界でグラドスの情報を収集していたが、正体が露見し、デビッドと共にレジスタンスに身を投じた。物語終盤には、地球製SPTドールに搭乗し、SPT戦もこなした。当初はエイジに対して思いを寄せていたが、最終的にはデビッドに好意を抱いている様子が見られた。後半はプロポーションも良くなった他に髪を切り、気合いを入れる時には頭に長布を巻くようになった。
- ロアン・デミトリッヒ
- 声 - 鳥海勝美
- コズミック・カルチャー・クラブの一員で、冷静で根気強い知性派。地球帰還の旅の中でエイジとデビッドを助ける形でSPTバルディに搭乗する。地球制圧後はグラドスにその能力を認められ、ル・カイン直属の部下として表向きは忠実に働く一方、アーサーにそれとなく機密情報が伝わるよう仕向け、間接的にレジスタンスを支援していた。最終的にグラドス軍の地球駐留軍の司令にまで上り詰める。これはTVでは詳細が明かされなかったが、地球人とグラドス人が同祖だと知ったル・カインが、自分が優秀と認めた地球人を抜擢した結果であることが後のOVAで判明している。クスコの戦いにてル・カインから指揮権委譲後に反旗を翻しグラドス軍を撤退させ、グラドスタワーにレジスタンスを進攻させる。
- アーサー・カミングスJr.
- 声 - 鹿股裕司
- コズミック・カルチャー・クラブの最年長。頼りないタイプで、地球帰還の戦いでもSPTの操縦が出来ず、専らトライポッドキャリアーの留守を守っていた。制圧後の地球では、グラドス側の役人として服従する態度を示しつつ、レジスタンスに情報を流したり連絡役を務めていた。物語当初からシモーヌに想いを寄せるが、叶うことはなかった。仲間達がSPTでアストロホークIIの援護に向かった後、敵味方の識別が無く、「地球軍から攻撃されるのではないか」と意見するなど、冷静な視点も持つ。ロアンと仲が良く、あまりにグラドスの忠実な下僕と化した彼の姿に迷いつつも、心の底では生死を共にしたロアンが裏切るはずはないと信頼していた。イギリス人。
- エリザベス・クレブリー
- 声 - 戸田恵子
- コズミック・カルチャー・クラブの引率者で、大人の中で唯一の生き残り。医師。平和主義者だったが、地球制圧後は地球解放戦線の中心人物の1人として地球製SPT開発等で活躍するものの、絶望的なグラドスとの戦いに疲れて精神を病んだこともある。
- アニメージュ文庫の小説『蒼き流星SPTレイズナー -刻印2000-』では、空白の3年間の間に、廃人同様だったエイジを甦らせるために、肉体関係を持ったとされている。大人の女性らしく色気担当でもあったのか、着ているスペーススーツなどを胸元を大きく開けていることが多かった。また、宇宙へ進出した地球人の宇宙対応への人体実験を受けており、その副作用によって子供を産めなくなったことをアンナに漏らしていた。
- マッシュ
- 声 - 伊倉一恵
- レジスタンスと行動をともにする勇気ある少年。愛犬ガウと共に、「アンナのボディガード」を自称し、そばにいることが多い。レジスタンスの連絡係を務めることもしばしばあった。
- レイ
- 声 - 原えりこ
- レイズナーに搭載されたコンピューターSAI2000・インターフェース(OS)。フォロンと共にV-MAX制御を前提に開発された高速処理型コンピューターである。パイロット(エイジ)からの指示は主に自然言語によって行われる。エイジから指示を受ける際、了解の意味として「レディ」と言葉を発する。最終的にV-MAXをフォロンから受け取り、統合された一つのOSとなる。「レイ」の名はエイジがレイズナーを専有化するために付けた名前で、これによってレイズナーの使用はログインネーム「エイジ」に限定されている。
- フォロン
- 声 - 原えりこ
- レイズナーに搭載されている第2のOSで、グラドス創世の秘密の伝承と保護を使命とする。神聖マザーコンピューターの一部で、エイジの父ケン・アスカが密かに搭載させていた。普段はレイの陰に隠れて表に出てこないが、レイズナーが危機にさらされるとレイの制御とパイロットの操作を強制的に遮断し、レイズナーの保護を最優先にした行動を取るようになる。フォロンがコントロールする際はレイズナーの目が紫色に発光する。V-MAXも当初は自身の判断でのみ使用できるようにしていたが、エイジとの対話の末その存在と重要性を認め、自身は元のようにレイの陰に引っ込み、エイジの意思でV-MAXを使用できるようレイに回線をつないだ。
- 第17話で初登場して以降しばらく現れることは無く、第二部では打ち切りの都合上一切登場しない。OVA『刻印2000』の冒頭にて再登場し、自身への勝手な入力をするなら自爆するといった宣言をするなど、レイズナーの実質的な支配者であることを改めて示した。
- 前述のように機体保護を最優先しパイロットの意思や周囲の被害を顧みないシステムであるため、対人インターフェース処理の優先度が低く、レイの1/4しか処理能力を割いていない。このためレイに比べて発声の音程が低く、ゆっくりしたしゃべり方をする。
- エドワーズ基地にてレイズナーの機能を完全に掌握した際にエイジに指示を求めたことや、エイジとの対話を行いコントロール権限を譲ったことから、レイと同様ある程度柔軟な判断が可能なサポートコンピューターとしての機能も備えていることがうかがえる。
- アメリカ軍の機体スキャンでブラックボックス化されたハードウェア内に存在することが確認されたが、後に新型レイズナーと機体をケーブル接続し、新機体に「移った」ことから、その実態はソフトウェアである模様。
地球人
- ジョン・ギルバート
- 声 - 藤城裕士
- 国連宇宙本部の科学者で、コズミック・カルチャー・クラブの責任者。「アポロX-0計画」で共に働いたエイジの父、ケン・アスカとは旧知の仲。エリザベス同様平和主義者で、第一部終盤でエイジたちがグラドス軍との戦いに向かった際、その効果を疑問視するカブスに対して、エイジたちは彼ら権力者の愚行を命をもって償いに行ったと痛烈に批判している。制圧後の地球では、地球解放戦線の中心人物として活躍し、地球製SPTの開発も手がけた。
- カークス・ダニー
- 声 - 郷里大輔
- 米軍の宇宙輸送艦アストロホークIIの艦長で階級は少佐。火星への定期補給任務でエイジ達に遭遇し事件に巻き込まれる。当初はエイジを激しく敵視するのみならず、同じ人間として扱ってもいなかったが、最終的には信頼関係を築いた。ソ連軍の巡洋艦からエイジ達に地球の行く末を託して彼らを脱出させるべく奮闘したが、エイジ達が脱出した直後にソ連兵によって射殺される。
- ロジャー
- 声 - 速水奨
- 米軍の宇宙輸送艦アストロホークIIの副長で階級は大尉。テンガロンハットがトレードマークの気さくな軍人で、ダニーとともにアストロホークIIで火星へ向かい事件に巻き込まれる。乗組員の中ではダニーに次いで階級が高く、彼が不在の場合はロジャーが艦の指揮を執る。レイズナーの横槍があったためとはいえ手動でミサイルを誘導してドトールを撃破するなど優秀な軍人だったが、カルラ隊との二度目の戦闘で死亡。
- クレイトン
- 声 - 平野正人
- 米軍月面基地航空隊所属のパイロットで、かつてはエリザベスと恋仲だったが、平和主義者のエリザベスと違い、生粋の軍人であり、主義や考えの相違と、互いの必要とする時の行き違いから別れていた過去を持つ。グラドス軍襲撃の際に出撃しようとするものの、目をやられてしまい、それでも生き残った8人の子供達に自分の目の代わりになるようにして救援を待っていたが、子供達と共に地球へ向かうエイジ達のシャトルに収容される。グラドスとの戦いで生き延びた数少ない地球軍人だったが、地球帰還後に目の治療を兼ねてエリザベスに付き添われるものの、第二部では登場しておらず、エリザベスとの関係は修復しなかったと思われる。
- マース
- 声 - 戸谷公次
- 米国国防長官。地球へ脱出してきたエイジ達を分析し、彼らの警告そっちのけでSPTを「国際社会で主導権を握るためには必要なこと」として分析させ自分達の戦力とすることを画策した。大統領にも直接助言が出来る立場にあるらしく、23 - 24話ではホワイトハウスで大統領の補佐を担当する。政治的な駆け引きには熱心だが、万策尽き果てると冷遇したエイジ達を戦力としてぶつけることを即座に提案するなど、いささか良識に欠ける発言が多い。
- カブス
- 声 - 屋良有作
- 米軍エドワーズ基地司令官。マースの部下にあたる人物で19 - 20話では彼に助言をしていた。彼と同じくエイジ達の警告を聞き入れようとせず、大国のプライドと行動理念に基づいて動く人物として描かれているが、暴走したレイズナーの制止をエイジに頼んだり、もはや自分達だけが地球の最後の希望だということをデビッドに伝えるなど損な役回りが多い。最終決戦をギルバートとともに見守りデビッドら子供達に地球の未来を託すことを「馬鹿げている」と評した。
- デリンジャー
- 声 - 藤城裕士
- 米合衆国大統領。おおまかに言えばマースやカブスの上司であるが、汚染が少ない宇宙空間で異星人であるグラドスに対し核を使用することにためらいを見せたり、デビッド達に真剣に語りかけるなど、彼らとは対照的に誠実な人物である。
グラドス人
- アーマス・ゲイル
- 声 - 堀秀行
- グラドス軍中尉。ジュリアの婚約者であり、エイジとは幼少の頃から交流があるよき先輩である。グラドスに反旗を翻したエイジを連れ戻すため、追撃隊を率い、SPTグライムカイザルを駆ってエイジと交戦。その作戦時にゴステロの逆恨みから来る妨害を受けたり、カルラの独走や失敗に手を焼かされるなど、なかなかエイジと雌雄を決することは出来なかった。最後までエイジとジュリアの事を気にかけており、第14話でのエイジとの対面時にはグラドスに戻ることを勧めたり、第15話での対決の前には肌身離さず持っていたジュリアの写真入りペンダントを壊し、「弟の血に濡れた手で君を抱くことは許されない」と訣別の意志を見せていた。そして対決時、遂にエイジを撃墜寸前まで追い詰めるも、フォロンの発動させたV-MAXに撃墜され、宇宙に消える。この時の最後の言葉が、物語の重要な鍵を握ることになる。
- アスカ家
- グラドス星でのエイジの家族で、地球人の父ケンと、グラドス人の母アイラに、姉ジュリアとの4人で構成されており、そしてグラドス地球侵攻に伴って始まった、グラドスと地球の混血である2人の姉弟のそれぞれの戦いが、地球の命運を左右するようになっていく。
- アルバトロ・ミル・ジュリア・アスカ
- 声 - 横尾まり
- エイジの姉。グラドスが地球侵攻を決めた際、故郷地球にグラドスの脅威を伝えようとする父の意志に反し、婚約者ゲイルとの愛を選んで実家を飛び出していた過去がある。その後エイジを説得する目的で地球へ向かう艦隊に呼び寄せられたが、ゲイルの仇討ちとしてエイジ抹殺の任務を帯び、SPTブラッディカイザルに乗り込むものの、エイジとの地球での対決では敗北して海中に落下。
- 当初はグラドス軍人としてグラドスに忠誠を尽くしていたが、地球制圧後は、グラドス創世の秘密に触れて己のなすべきことを知り、グラドス人と地球人の共存を訴えて非暴力による運動を展開。「クスコの聖女」として民衆の支持を集め、その行動は地球、グラドス両方の人々を変えていくこととなる。グレスコの死後、理想に暴走したル・カインと、戦いによって心身共に疲弊していく地球人達の姿を見て戦いを止めるため、刻印の発動によるグラドス星と地球の空間の閉鎖を決意、実行する。その後の彼女の生死は不明。彼女を慕って集まった女性たちはクスコの聖女隊と呼ばれた。
- ケン・アスカ
- エイジとジュリアの父で地球人科学者。アポロX-0計画の中でグラドス探査隊と接触し、収容されて行方不明となっていたが、その後グラドスで生きることとなり、妻であるアイラとの間にジュリアとエイジの二児をもうける。そして家族4人で暮らしていたが、グラドスが地球の宇宙進出に警戒を抱き、攻撃の手を伸ばそうとしていたことを知り、家族と共に地球へ移り、グラドスの脅威を伝えようとするものの、ジュリアがゲイルの元へ駆け落ちしたために一家での移住をあきらめ、残ったエイジに地球行きを託すこととなる。
- 最強SPTたるレイズナーを設計した他、AIレイ(フォロン)とV-MAX搭載も彼によるものである。第22話でのジュリアの回想シーンにのみ登場。
- アルバトロ・ミル・アイラ・アスカ
- ケン・アスカの妻で、エイジとジュリアの母であるグラドス人女性。地球人であるケンと愛し合い、ジュリア、エイジの2人の姉弟を産む。グラドス地球侵攻を知った後、一家で地球移住を行うことには反対していなかったようだが、ジュリアの駆け落ちによって目論見は挫折し、エイジに後を託す。
- 息子が反逆者となったために、その後グラドス本星では夫と共に抑圧されていることが、ギウラの口からジュリアに伝えられた。夫と同じく第22話の回想シーン時のみ出演。
- エジール・カルラ
- 声 - 佐々木るん
- グラドス軍少尉。宇宙用高速SPTディマージュの優秀なパイロットで、ゲイルの部下。ゲイルを愛するあまり、ジュリアを一方的に恋敵として憎み、エイジを仇として付け狙っているものの、思いこみが強すぎて独走してしまい、更に詰めの甘さから失敗を繰り返し、結局エイジを倒すことは出来なかった。ジュリアの搭乗するグライムカイザルの同型機であるブラッディカイザルは自分にこそ相応しいと言い張っており、ジュリアに自分がゲイルと関係を持っているかのような嘘まで言っているが、逆にゲイルを信じ続けるジュリアによって自らの言葉がゲイルへの侮辱であるとなじられる。地球制圧後は、クスコでの遺跡発掘の任務に当たっていたが、ル・カインがグレスコを射殺する現場に居合わせてしまい、瀕死のグレスコによって機密保持のために射殺される。
- ゴステロ
- 声 - 広瀬正志
- グラドス軍大尉。性格は残忍極まりなく、己の目的のためなら味方や民間人であっても嬉々として手にかける上に、人殺しが大好きであると公言してはばからない危険人物。火星でのレイズナーとの交戦で死亡したと思われたが、兵士としての優秀さを惜しんだグレスコが彼を回収し、治療・改造を施した。地球制圧後にサイボーグとなって復活し、死鬼隊のリーダーとなり、専用MFダルジャンを与えられる。サイボーグとなって以降は、その異常性がよりエスカレートしていく。
- ジュリアに横恋慕し、そのためゲイルを激しく敵視している。『マイアニメ』昭和61年7月号別冊付録の書き下ろし小説「死神にキスを」によると、ジュリアと知り合い会話する機会を得るが、敵を殺すことがいかに快感であるかなどの話題しかなかったために避けられ、のち強姦(未遂)におよぶもゲイルに金的蹴りを喰らい、悶絶する屈辱を受けたとのこと。更にエイジ(正確にはフォロン)が原因でサイボーグにされたことや、クスコの聖女のジュリアをいたぶりながらも、そのジュリアから逆に助けられたことで屈辱を覚え、アスカ姉弟に対してと逆恨みの感情を抱くようになる。
- その破綻した人格故に周りの死鬼隊メンバーからは軽んじられ、遂にはル・カインからも愛想を尽かされ、「グラドス人の面汚し」[2]と罵倒されるまでに落ちぶれていった。そしてまたしても戦死したと思われたがしぶとく生き延び、第33話でレイズナーと死鬼隊との戦闘に生身で乱入。結果として死鬼隊を妨害してレイズナーを助ける形となり、自ら撃破したMFダンコフに押しつぶされてへしゃげた消し炭と化し、やっと本当に死亡した。
- 放映当時、その主役陣を喰うほどのキャラクターの立ちぶりから、一部ファンから「ゴステロ様」と評されて妙な人気を得た。
- 死鬼隊
- ル・カインの親衛隊。全員が普段からホッケーマスクのような仮面を被っており、体格も筋肉質で身体能力も敏捷であり、兵士としての力は研ぎ澄まされているものの、メンバーはリーダーのゴステロを筆頭に、破壊や殺戮を好む異常人格者ばかりである。敵をいたぶる時のみ多少の協調性を見せるが、それ以外では極めて仲が悪い。
- マンジェロ
- 声 - 塩屋浩三
- 死鬼隊の一員で、MFガッシュランのパイロット。長髪の美形で、ナルシシスト。手斧を振るって相手を切り刻むが、顔に傷をつけられると激昂する。背があまり高くないことに極度のコンプレックスを持っている。ただし背が小さく小柄に見えるのは、極端な猫背であり、常に猿のようにしゃがんでいるか、もしくは中腰になって行動するところによるものが大きい。実際のところ彼を「チビ」呼ばわりしたゲティとの直立時の身長差は、設定資料上4cmしかない(ちなみにゲティもやや猫背気味)。
- 数字に強い頭脳派で、ゴステロの失脚後は打倒レイズナーのために限定空間での浮遊機雷使用によるV-MAX封じを考案するなど、死鬼隊のリーダー格としてレイズナーを苦しめた。最後はDr.ニゾンにより外装型V-MAXを搭載されたガッシュランを使い、レイズナーに挑む。しかし、V-MAX戦は初めてのマンジェロに勝算はなく、それを見越したニゾンが機体に細工したこともあり、敗北する。
- ボーン
- 声 - 橋本晃一
- 死鬼隊の一員で、MFエルダールのパイロット。細身で背が高い。死鬼隊の中では比較的冷静で協調性があるものの、弱者をいたぶることが何よりの楽しみで、鎖で相手を締めあげる他、口を開けば嫌みか悪態が飛び出すなどお世辞にも好人物とは言い難い。第33話でV-MAXを発動したレイズナーによってガッシュランをエルダールにぶつけられて戦死する。
- ゲティ
- 声 - 稲葉実(第31話)、笹岡繁蔵(第32話)、佐藤正治(第33話 - 第34話)
- 死鬼隊の一員で、MFダンコフのパイロット。相手を怪力で絞め殺すのが趣味の筋骨隆々の大男。第33話で3人がかりでレイズナーに挑むが、ゴステロの横槍により撹乱されて戦闘を放棄、打倒レイズナー作戦の失敗の原因を作り、ダンコフをも失ってしまう。その責任を問われ、ル・カインの命によってマンジェロとボーンに処刑される。
- ギウラ
- 声 - 三ツ矢雄二
- グラドス軍大尉。地球侵攻時はSPTパイロットだったが、地球占領後はル・カインの下で文化矯正隊隊長として地球人の取り締まりに当たり、また薄化粧をするようになっていた。そのせいかどうかは不明だが、占領前は一重まぶたでそこそこ端正な顔立ちだったのに対し、占領後は二重まぶたでいかにも悪人といった面構えになっている。エイジたちに連戦連敗の挙句、レジスタンス討伐の任務を死鬼隊に奪われ、以後の消息は不明。
- ズール
- 声 - 青森伸
- グレスコの副官で参謀。地球侵攻艦隊に参加していたが、グレスコがグラドス創世の秘密を口にした近くに居合わせてそれを立ち聞きしたことから、グレスコによって絞殺された。
- グレスコ秘書
- グレスコの傍らに控え、情報の整理を担当する女性。普段は能面のごとく無表情に任務をこなしているが、大量殺戮兵器が使用される際には憂い顔をグレスコに向けていた。
- Dr.ニゾン
- 声 - 徳丸完
- グラドス星の科学者で、V-MAX研究・開発の権威。ガッシュランに外装型V-MAXを追加装備させ、ザカールのV-MAXの封印を解き、レッドパワー強化剤を導入した。ル・カインがガッシュランのV-MAX戦を急がせ過ぎたので、真っ向勝負ではレイズナーに勝てないと判断し共倒れするように仕掛ける等、冷酷な面を持つ。
- グレスコ
- 声 - 渡部猛
- グラドス軍地球侵攻艦隊司令で、階級は准将。地球占領後は最高責任者としてグラドス軍を統括していたが、地球の文化に感化された面が多々見られ、グラドス本星や息子であるル・カインからはしきりに「地球病」と揶揄されていたものの、一方でグラドス創世の秘密を知る数少ない人物の1人のため、それを知ろうとした、または知った者を容赦なく抹殺する冷酷さも見られた。終盤にその真実をル・カインに伝えるも、自らの理念を受け入れられず、錯乱したル・カインによって射殺される。自分がル・カインに撃たれた事実を隠すため、現場に同席していたカルラを射殺し「秘密を守れ」と言い残すなど、最後までル・カインの身を案じていた。
- ル・カイン
- 声 - 塩沢兼人
- グレスコの息子。グラドス地球占領軍の司令官として地球に赴任した。グラドス至上主義者であり、地球の文化撲滅に力を注ぐ。天才的なパイロット技術も持ち合わせており、SPTザカールを駆って死鬼隊を従え、前線で指揮を執ることもある。
- グレスコから帝王学を幼少時から叩き込まれており、自らを「最高のグラドス人」と称するほど。そのため性格は非常にプライドが高く自信家だが、反面精神的にやや幼い部分があり、そのプライドを傷つけられると激昂する。司令官でありながらエイジに対しては自身が見下す地球人との混血児であることから「血のけがれた者」と侮蔑しながらも[3]、自ら前線で挑むといった行動を取り、その姉ジュリアに対しても屈折した愛情を抱く。さらにグラドスと戦った経験を持つ地球人でありながら、ロアンを重用する常識的では無いところがある。グレスコと支配方針が対立した際、地球人とグラドス人の因縁の真相を聞かされ、グラドス至上主義の根幹を揺らがされる事実を受け入れられず錯乱する。司令官解任を言い渡されたため、呆然のうちにグレスコを射殺してしまう。
- OVAでは、真相を知り根拠を失ってしまったグラドス至上主義から能力至上主義に転じ、ロアンら自分が優秀と認めた地球人を抜擢する。しかし一連の行為がグラドスに対する離反と解釈され、グラドス本星より艦隊派遣を招く結果となる。最後はレジスタンスの攻撃と信頼しきっていたロアンが起こしたクーデターで支配体制が瓦解する中、対等と認めた相手であるエイジとの対決を求め、グラドスの刻印を守るレイズナーに襲いかかる。2機は刻印に取り込まれ戦闘を中止、刻印に残った彼はジュリアの元で安らぎを得た。
- 長髪はカツラである。その事は地球側にも周知の事実であるようで、地球のレジスタンスがそれとは知らず影武者を襲撃して殺した際も、遺体からカツラを剥ぎ取ってル・カインを討ち取った証拠として掲げていた。
- 小説『蒼き流星の行方』では、クラドスの地球侵攻の真相をエイジたちに告げたあと、レイズナーMk.IIとの一騎打ちを展開、終始圧倒したものの、自機のV-MAXのリミッターを切っていたため機体が限界を超え熱暴走して果てた。
登場メカニック
末尾のアルファベットのXは試作機、Uは特殊機、Cは量産機を表す。
SPT
本作に登場する人間が搭乗する人型ロボットは、SPT(Super Powered Tracer / スーパー・パワード・トレーサー)と呼ばれている。頭部にコックピットがあるのが外見的な特徴で、透明かそれに類するハッチ・カバーを持つため、有視界戦闘も可能。異星の調査や開発用に作られた装甲強化服から発展した兵器で、その由来ゆえ用途を選ばない高い汎用性とを持つ。劇中に登場する機体群の中ではもっとも旧式で低スペックとされるブレイバーですら特殊な装備無しで大気圏に突入し、その後機体に支障をきたすこともなく戦闘を継続、あまつさえそのまま単独で大気圏を離脱する事が可能という強靭さ・推力・機動性を併せ持っている。登場するSPTはほとんどがグラドス製だが、終盤では地球製のSPTも登場する。
宇宙空間でのSPTは方向転換時に頭部を中心にして胴部・脚部を高速で回転させる機動を行う。胸部の装甲は概して厚く、レイズナーは10両前後の戦車に一斉に至近距離で砲撃されてもほぼ無傷である。ただしブレイバークラスの頭部、つまりキャノピー部の装甲はさほどのものではなく、グラドス軍標準装備の肩撃ち式ロケットランチャーならば一発で小破、米軍の宇宙用ミサイルならば同じく大破させることが出来る(最新型であるレイズナーでは傷一つつかない)。
SPTは元来汎用性を持つ兵器であるが、状況に応じて様々な武器やバックパック等を装備して任務ごとに性能を特化することが出来る。バックパックは規格が保たれており、別機種間でも使いまわすことが可能。戦闘用の装備としては主に、自由電子レーザー砲「レーザード・ライフル」と、拳に備え付けられている電磁破砕装置「ナックル・ショット」を用いる。動力源は燃料電池。電力は胸部バッテリーから供給され、機体駆動時には脚部パワージェネレーターより充電される。燃料タンクは脚部にあり、燃料の注入は踵部から行う。またバックパックにも予備タンクがある。しかし、劇中では「少年少女たちが、孤立したまま敵と戦いながら逃避行を続ける」というストーリーの都合上、本来孤立していては難しい補給や修理はあまり描写されなかった。
SPTの操縦管制は、統合型コンピューターによって行われる。高性能センサーと状況分析能力を有しており、音声での状況伝達から注意の喚起、場合によっては戦術の提案まで行う。また、音声入力による機体の操作も可能であるため、初心者でも簡単にSPTを動かすことができる。
大河原邦男のデザイン画では、身長10メートル弱のSPTの頭部に人間の乗るコクピットを収めているため胴体に比べて頭部が巨大なアンバランスな体型となっているが、実際の作画では頭が小さい通常の体型で描かれることが多かった。
- SPT-LZ-00X レイズナー
- 第二世代SPTの試作として開発され汎用性向上に重点を置いたSPT。試験的にV-MAXシステム(後述)が搭載されている。主人公エイジが搭乗する機体で、開発にはエイジの父、ケン・アスカが関わっている。出力8.5MWの速射型レーザード・ライフル(型式番号:LDR-00R)とナックル・ショットの他、ふくらはぎの部分に「カーフ・ミサイル」と呼ばれる小型ミサイルを装備している。さまざまな専用バックパックが存在していたが、火星脱出の際に600mmグレネードランチャー装備型、火炎放射器装備型、大気圏用飛行型が放棄され、一つしか残らなかった。
- 機体管制は「レイ」と呼ばれるV-MAX対応コンピュータSAI2000系が行っているが、その裏にもう1機「フォロン」と呼ばれるコンピュータ人格が隠されている。フォロンは「グラドス創生の秘密」の伝承と、緊急時のレイズナー機体保持を目的として作られており、レイズナーに危機が迫った時はV-MAXを発動させ、周囲の脅威対象を無差別に殲滅する。地球解放戦線機構の実戦データ収集機としても活躍し、SPT開発の参考にされた。物語終盤、ル・カインの駆るザカールのV-MAXレッドパワーに敗北し大破。
- なお、コンピュータ「レイ」には「レイの使用はアルバトロ・ナル・エイジ・アスカに限定する」という命令が与えられており、エイジ以外の使用ができないようになっている。「レイ」という名前はパイロットのロックを簡易的に行う手段の一環としてエイジが名付けたものである。他のSPTの搭載コンピュータに「レイ」のような固体名称が存在しないのはそのためである。全高9.52m。
- なお、名称確定前は「グレイダス」という名前でメディアに発表された。
- E-SPT-LZ-00X-B V-MAX強化型レイズナー
- 地球解放戦線機構がザカールとの戦いで大破したレイズナーから、それまでの戦闘データを分析して複製・強化した開発機体にレイ(フォロン)を移植した物。作中では「ニューレイズナー」とも呼称されている。OSのレイとフォロン、そしてグラドス創世の秘密データは旧機体からこちらに移された。
- アポジモーターを14基から20基に増設しスラスターも強化しV-MAXの出力を23%強化した。胸部装甲を120mmから145mmに増厚、エンジン出力を217puから248puに強化、ナックルショットも強化し、レッドパワーと互角に渡り合える様に強化された。クスコの戦いでは地上戦でも多数のドトール相手に奮戦、通常稼働でも強力なパワーを発揮し、空中戦でも一機でソロムコ隊を撃破するなど桁外れの戦闘能力を見せた。
- 『刻印2000』の作中では詳しく語られていないが、小説版(アニメージュ文庫)で、当初旧レイズナーが大破し、本機に機能移植される際、フォロンはそれを拒んで自爆しようとしていたが、エイジから生みの親ケンの理想である地球とグラドスの二つが融和する象徴となるのだと説得され、思いとどまったことが描かれた。『B-CLUB』(1986年7月号)での高橋良輔インタビューによると、本機は放映短縮による打ち切りが無ければ、後述するレイズナーMk.IIへのつなぎにされる予定だった。
- SPT-BB-02U ベイブル
- エイジがレイズナーと共に宇宙船に積んできた3体の特殊型SPTの1体。パーツの多くがレイズナーと共通する兄弟機だが、格闘戦を想定されていたことから出力240puと強化され胸部装甲は135mmとやや厚くなっている。主にデビッド・ラザフォードが搭乗し、宇宙用バックパックSP-02D型を常備している。格闘戦に特化した機体のためキャノピーが狭いのが特徴。地球到着後、レイズナー同様に米軍に分析されたが、そのデータは3年後のドール開発に活かされる。第一部終了後、バルディと共にグラドス側に接収され、第30話でル・カインの策略により時限爆弾を仕掛けられた上でデビッドとシモーヌに故意に奪取させ、爆破された。元はレイズナーのデザイン案のひとつ。全高9.74m。
- SPT-BD-03U バルディ
- レイズナー、ベイブルと共にエイジが宇宙船に積んできた3体の特殊型SPTの一つ。後方支援用に開発された機体で、パーツの多くがレイズナーと共通する兄弟機だが、胸部装甲105mmとやや薄くなっている。第一部でロアン・デミトリッヒが搭乗、連射型レーザード・マシンガンを装備しているが、出力5.5MWと低いので右肩には高密度エネルギー砲が備え付けられており、ゴステロ搭乗のブルグレンを大破させた。また、広範囲の視界を得られるようドーム型のキャノピーを有しており、射撃や砲撃に特化した仕様の機体となっている。地球到着後、機体データはベイブル同様、後のドール開発の参考にされた。第一部終了後、ベイブルと共にグラドス側に接収され、第二部では活躍しなかった。ベイブルと同じく、元はレイズナーの没デザインのひとつ。全高9.36m。
- E-SPT-DL-X ロードテイラー(ドール)
- ギルバートらが中心になり、グラドス製SPTドトールをモデルに製作した初の地球製SPT。物語終盤に登場し、デビッドやシモーヌの他、レジスタンスのメンバーが搭乗する。バックパックには地上走行時に用いる大型の砲架を持ち、ローラーで移動する形態から、それを背中に廻して飛行する他、敵に格闘戦を挑む際には強制排除も可。出力8.5MWの連装砲座形式のレーザードライフルのほか、折りたたみ式の大型シールドと一体化したナックルショットを装備。地上での最高速度は時速250kmで、ドトールの230kmを上回る。科学力で劣る地球製の機体故に性能的にはグラドス正規SPTに見劣りするが、量産化され、地上戦ではドトールと互角の戦闘能力を持つ他、デビッド機やシモーヌ機のようにパイロットの力量によっては、グラドス軍標準SPTと同等以上に渡り合える能力を発揮した。 TV版の名称はドールとして雑誌に紹介されていたが、ビデオ版『刻印2000』時にロードテイラーに改名したとアナウンスされた。全高10.88m。
- SPT-GK-10U グライムカイザル
- アーマス・ゲイルが搭乗する上級士官用SPT。大気圏外での戦闘を得意とし、宇宙作戦行動にて非常に高い性能を誇る。出力12.6MWの連装式拡散型レーザードガンを装備し、命中率は高い。運動性能はレイズナーを上回り、地球艦隊を壊滅させるほどの力を見せたが、V-MAXにより暴走するレイズナーに撃墜された。全高9.56m。
- SPT-BK-10U ブラッディカイザル
- エイジの姉、ジュリアが搭乗する。グライムカイザルを赤くペイントした同型機。恋人ゲイルの仇討ちを誓う復讐の色にその身を染めている。レイズナーとの乱戦中、ギウラ隊の集中攻撃に巻き込まれ海中に墜落した。全高9.56m。
- SPT-BG-91U ブルグレン
- 基本性能でグライムカイザルを凌ぐ性能を有するSPT。前期、ゴステロが搭乗していた。胸部装甲厚165mm、出力248puのハイパワータイプで、重力下での対地攻撃を得意とする。滑空可能なバックパックAR-90T型を装備し空中での運動性は第一世代SPT中トップクラス。
- オープニングでレイズナーに破壊される敵SPTは本機であるが、第6話での退却、退場以降姿を見せていない。つまりオープニングとは違い、作中では破壊されていない。全高9.78m。
- SPT-BV-15C ブレイバー
- グラドス軍の標準タイプとも言える一般兵士用量産型SPT。安定性が高く、熟練度の低い兵士にも扱いやすい。その分飛び抜けた性能ではないが、地球の従来型航空宇宙兵器では歯が立たない力を持つ。地球占領後に何機かが地球解放戦線に鹵獲され、ドールの開発研究材料に使われた。全高9.61m。
- SPT-DM-20C ディマージュ
- 高性能センサーを持ち索敵能力の優れたSPT。そのため集束率の高い出力8.8MWの遠距離型レーザードライフルを装備する。アポジモーターが24基と最も多く現用SPT随一の高速を誇る。宇宙空間での機動性は特に高い。特にバックパックは優秀で、ゲイルもグライムカイザルの専用バックパックを破損後に換装させた。カルラやギウラなど、主に士官が搭乗。全高9.98m。
- SPT-DT-25C ドトール
- グラドスの地上戦用SPT。車輪を備えた地上用バックパックを常備し、踵部のローラーとあわせ地上を高速走行をする。最高走行速度は時速230km。バックパックを宇宙戦用に換装すれば宇宙戦もこなせるが元々地上用に特化された機体なので能力は劣る。第30話では駐機していた本機の通信機を用いてアーサーがル・カインの策略を急報し、デビッドとシモーヌは九死に一生を得た。地球解放戦線に何機かが虜獲され、一部がル・カイン暗殺へのテロ攻撃に使われ(結局失敗)、さらに一部がブレイバーと共にドールへの研究開発へと用いられた。全高9.19m。
- SPT-ZK-53U ザカール
- レイズナーを元に開発されたグラドス製最新鋭の第二世代SPT。ル・カイン専用機。ゴールド・メタリックに輝くボディカラーが特徴。ナックルショットは無いものの、代わりに左腕にホーン・オン・アームを装備し格闘戦にも長けている。V-MAXを標準装備している。レイズナーをも上回る基本性能に加え、新型コンピューターSAI2100系を搭載し、のちにV-MAXに特殊な強化剤を加えることで従来より15%以上出力を増した「V-MAX・スーパーチャージ(別称レッドパワー)」を発動しレイズナーを大破させた。だがル・カインがグラドスと地球の秘密にこだわった結果レイズナーを取り逃がし、地球側に戦闘データを分析されニューレイズナー誕生による反撃を受けることになる。全高11.82m。
MF
SPTから汎用性を省き、用途を特化して造られた機体をマルチ・フォーム(Multi Form)と呼ぶ。地球侵攻にも、局地専用にカスタマイズされた機体が投入されていた。バックパックシステムを廃しており、可変型の機体もある。
- MF-SL-52C ソロムコ
- 大気圏内戦闘用MF。航空機に手足が生えた様な外見をしておりそれを畳むことによりSPT以上の大気圏内機動力を持つ航空機形態を取ることが出来る。胴体に連装式機関砲を装備し、航空機変形時には下部に設置する携帯型レーザードガンLDG-29Nを持つが、ナックルショットを持たないので、格闘戦には不向き。全高9.35m。
- MF-GS-54C ガンステイド
- 物語の終盤に登場した重MF。外部にハードポイントを多く持ち、その外装(アーマー)に多大なミサイルポッド、超重粒子ビームによる砲撃システムや、フレイムスローワー(火炎放射機)を搭載している。これによる絶大な火力によってグラドスに抵抗するレジスタンス達や、地球の歴史や文化を収蔵した貴重な建造物に書物、美術品を尽く焼き尽くしていった。外装を強制排除すると白兵戦もこなせるが、反面で火器重視に特化したために防御力は弱く、SPTの火器のみならず、バズーカ砲の一撃で撃破されるシーンもあった。シモーヌ曰く「グラドスの着せ替え人形」。全高9.68m。
- MF-DJ-91U ダルジャン
- 死鬼隊のメンバーとして復活したゴステロの専用MF。左腕シールドにメタルクロー(設定では「ブロークン・ネイル」)、ニードルショット、左肩にレーザード・バズソー(レイズナーとの「飛び道具は使わない」決闘で不意討ちに用いられた)等の格闘兵装を多数装備した機体。マンジェロの分析によると、通常時のレイズナーの運動性を8%上回る性能を有していた。失態を繰り返し、逃亡した咎により、他の死鬼隊のMFによって破壊される。全高11.55m。
- 設定の準備稿ではニードルショットは左右にあるが、決定稿では左のみになっている。しかし、劇中では左右に装備・使用されている作画も多く、第28話「クスコの聖女」でもレイが「両腕にニードルショット装備」と言っている。
- MF-MC-73U ガッシュラン
- 死鬼隊の一員、マンジェロ専用のMF。機動性が非常に高い。両足のかぎ爪で敵SPTの肩にしがみつき、右肘のハード・コーン(ドリル)と左腕のスクイーズ・アーム(万力)を用いて頭部コクピットを破壊し、パイロットを直接惨殺するという非人道的戦法に特化された機体である。胸部には固定武装のバルカンを2門有する。なお、搭乗者のマンジェロに似て猫背でガニ股の機体でもある。
- 失敗の穴埋めにと、ル・カインから最後のチャンスとして外装型V-MAXを与えられ善戦するも、レイズナーとの相討ちを狙うDr.ニゾンの奸計に陥れられ、振りほどかれた直後に自爆する。その際、レイズナーに取り付いた両足とV-MAXの一部が残って地球側に渡り、ニューレイズナー開発の貴重な参考にされた。全高8.51m。
- MF-ED-52U エルダール
- 死鬼隊の一員、ボーン専用のMF。両掌から変幻自在の触手・スネークドリルを射出する。外装オプションとして火炎放射器を装備した。なお、搭乗者のボーンに似て長身痩躯の機体である。最後は、レイズナーのV-MAXにより制御を失ったガッシュランのハード・コーンに貫かれて爆発する。全高11.52m。
- MF-DK-61U ダンコフ
- 死鬼隊の一員、ゲティ専用のMF。搭乗者のゲティに似て肩幅の広い大型機であり、全SPT中最大のパワーを誇る。両肩の大型キャノン・オーバーレイアーティラリーと、腿の部分に収納したパワーナックルを主武装にする。レイズナーのV-MAXを封じるために背部に装着した浮遊機雷散布バックパックを用いてエイジを苦しめた。しかしゴステロの介入により脚部関節を破壊され歩行不能に陥り、そこをエイジにつけ込まれエルダールのスネーク・ドリルに巻き込まれ、同士討ちにされて破壊された。皮肉にもそのゴステロ自身も、コントロール不能に陥ったダンコフに踏み潰され、あえない最期を遂げる。全高10.43m。
- E-MF-LZ-00X-2 レイズナーMk.II
- 作中未登場。アニメ雑誌等では、飛行機(戦闘機)形態に変形できる後継機のデザインも公開されていた。ドール部隊の指揮官機として設計された高性能機をベースにレイとフォロンを移植することを想定して仕様変更された機体という設定。丸みのある旧レイズナーより全体的に角張ったフォルムを持つ。
- 1996年に発売されたゲーム『新スーパーロボット大戦』に本作が出演した際に登場。その後レイズナーは何作かのスーパーロボット大戦シリーズに出演しているが、その場合はレイズナーの後継機として、強化型とMk.IIのどちらかを選択できることが多い。
- Mk.IIのV-MAX機能は「V-MAXIMUM」と名を変えられている。なお、『B-CLUB』の高橋へのインタビューでは、飛行機形態でその強力V-MAXを発動させる予定だったといわれるが、ゲームではこういった設定は受け継がれていない。そのかわりに飛行機形態でV-MAXIMUMを発動させると、1ターンでマップの端から端まで移動できるほどの移動力を持つ。また、大破した旧レイズナーを地球人の手でMk.IIに改造し、レイとフォロンを強化型から本機へ移植し、さらに地球とグラドスの融和的シンボルにするという案があった。
- 企画段階でのカラーリングは白だが、後に描かれたデザイン画ではレイズナーと同じく紺と白のツートンカラーメインになる。『Another Century's Episode 2』でも登場。
TS
無人機。テラー・ストライカー(Terror Striker)の略称。
- TS-SG-50C スカルガンナー
- ようやく月まで逃げてきたエイジたちが廃墟と化した月面基地で遭遇したTS。熱重粒子弾を両腕に装備、頭部に対生物用サーマルビームを装備する。基本的に対人用で周囲の人間を全て抹殺するようにプログラムされているが、対SPT戦能力も低くは無く、レイズナー、ベイブル、バルディを苦戦させている。パイロットの能力に依存せず負担を考慮する必要もないため、機動性ではSPTを遙かに凌ぎ、機体の一部を破壊されても戦闘を継続する。また頭部だけになった機体のセンサーが敵をキャッチし、センサーを失った他機体を遠隔操作して攻撃するなど、複数機体のリンク機能も装備している。ただし無人機であるためか、周囲の状況の変化に対して臨機応変に対応することが出来ない。デザインは企画のみで終わった高橋のアニメ『ステルスワイズ』用に大河原邦男がデザインした主役メカがベースになっている。そこではコンバットアーマーに近い有人機の陸戦兵器だったのが、印象的な頭部はそのままに、本作では細身のシルエットに変更されている。全高9.76m。
- TS-TP-50D ターミネーターポリス
- 占領後の地球で治安維持に使用されるTS。第二部では地球各地に降下して反抗勢力を抹殺していき、『刻印2000』ではガンステイドと共に、地球文化浄化作戦を敢行した。両腕が伸縮する機能がある。各部の仕様は異なるものの基本構造はスカルガンナーと同じで、対象を識別する機能を付加しているが、識別そのものに手間取ることがあるため、スカルガンナーほどには手強くない。
その他
- GTC-DN-03 グラドス・トライポッド・キャリア
- エイジが乗ってきた宇宙船。その名の通り3本脚の構造を持つ。宇宙空間航行時は足を畳んで飛び、大気圏内航行時や着陸時は足を開く。この脚部に1機ずつSPTを搭載することが可能で、バックパック換装機能等を持ち、一通りの整備が出来る。シャトルとしても使用される。大気圏突入・離脱能力は持っているが、星系内航行能力しかもっておらず、超光速航法は行えない。SPTへのエネルギーチャージも行え、緊急時には搭載した各SPTのエネルギーを動力源に回すことも可能。
- グラドス軍宇宙母艦
- グレスコが指揮する地球侵略軍の艦艇。巨大なアイロンのような形をしており、突起部が少ない形状をしている。超光速航法が可能。搭載火器が多く、多数のSPTを搭載する母艦としての機能も持つ。
- 地球側宇宙艦
- 米ソ両国がそれぞれ保有。ビーム砲を搭載しているが、SPTの前には無力だった。ソ連軍は3面の航空甲板を持ちつつ、そこそこの戦闘力をも持つ航空巡洋艦タイプの宇宙巡洋艦。2連レーザー砲7門、ミサイルランチャー9台、カタパルトを3面持ち艦載機数9機。この艦3隻で一艦隊を編成する。対空ビームでドトール1機のバックパックを破壊する戦果を挙げた。これに対し、アメリカ軍は4面の航空甲板を持ち艦載機数12機、2連レーザー砲8門、他にミサイルも装備する宇宙空母ポンディック1隻と、それを護衛する大型2連レーザー砲4門、レーザー砲6門、地球の大型宇宙艦の中で最速を誇る宇宙巡洋艦2隻の計3隻で一艦隊を編成する。航空専門艦とその護衛艦からなる編成は、アメリカ軍の編成思想に沿ったものである。なお、搭載する戦闘機も冷戦当時の米ソ各軍の機体の面影を色濃く残している。
- 地球側大気圏内戦闘機
- 放映当時はF-117やMiG-29といった新型機の存在は軍事機密として公開されておらず、当時に既に公開されている戦闘機を元に、90年代の未来型戦闘機を想像するしかなかった。そのためアメリカ戦闘機はF-20をベースにした通常タイプの戦闘機及びX-29を参考にした前進翼機、ソ連機はMIG-23を参考にした可変後退翼機としてデザインされている。27話では米軍とソ連軍がそれぞれ二十数機(レーダーの画像から推測して)を投入しそのうち九割が撃墜されるという大損害と引き換えにソロムコ1機を中破に追い込んでいる。このほかの戦力としてはAH-64 やAC-130も登場している。
- 戦略ゲラン衛星
- グラドスがネメイン星制圧作戦で用いた巨大な人工衛星型破壊兵器。オゾン層破壊ビームを照射し、あらゆる生物に有害な太陽からの紫外線を地表に降り注がせるのが目的。ネメイン星の作戦では惑星のオゾン層を全て破壊し、地表の生態系を根こそぎ滅ぼしてしまったために、「グラドス歴史上最大の汚点」とまで呼ばれている。破壊するには内部作業用エリアに侵入し、中枢部を直接狙うしかないものの、多数のビーム砲塔で武装しており、SPTでも侵入するのは不可能に近い。グレスコが地球の大都市に向けて使用、これによって地球は総人口の1/3が失われるまでになった。
- ピックアップトラック
- 第二部でデビッドがレジスタンス活動の足として利用するトラック。地球のどこにでもある車輌で、デビッドだけでなくエイジも運転する場合がある。普通のトラック故に第34話ではタイヤがパンクしてしまい、その時のタイヤ交換に時間を取られたために、死鬼隊に察知されたアンナの身が危うくなってしまったこともあった。
- バイク
- 第二部でエイジが愛用するオートバイで、新オープニングにも登場する。エイジがしばらくの間、デビッド達レジスタンスと、エリザベスらの地下組織との連絡用に使用。第34話ではエイジに代わってシモーヌが乗り、トラック修理に時間を取られたエイジ達にアンナ暗殺の危機を伝えた他、一足先にアンナの元へ行き着いて死鬼隊から辛くも守り抜いた。
- グラドスの刻印
- クスコの地下に眠っていた巨大な円筒形のメカで、古代に地球を訪れたグラドス人が異文明衝突による破滅の危機を回避するために残した安全装置。ジュリアが胸に下げているペンダントが刻印の始動キーとなっており、これを発動させることによって宇宙空間を歪曲させ地球とグラドスの間の航行を遮断させることができる[4]。グラドス太古の未知のテクノロジーの集合体のようで、巨大物体にも関わらずに宇宙へと難なく浮かび上がり、外観は緑一色の壁だけで、出入り口のようなものが確認されていないにも関わらず、レイズナーとザカールをその内部に取り込んだり、SPTの攻撃を無効化し、コントロールまで停止させてしまう他、始動させた者の指示でSPTや、指定された人物を退出可能という原理不明な力が働くのが見られた。
V-MAX
V-MAX(ブイマックス)とは、第2世代SPTより付与された特殊自己防衛プログラム及びそれに伴う非常時高速戦闘システムの名称である。元々は、戦域から緊急離脱し、自機の安全を確保することを第一の目的に開発された特殊機能だった。発動時には全身のスラスターのアフターバーナーが点火し推進力が最大値まで引き上げられるため、通常機動の3.57倍の速度になり機体の出力が格段に跳ね上がる。レーザード・ガンを至近距離で撃たれてから避けるなど瞬間移動のような急加速や、レイズナーが発射したカーフ・ミサイルを自ら追い抜き、手前のスカルガンナーを頭部へのキックで排除した後、奥のスカルガンナーにミサイルを命中させるといった、離れ業とも言える高機動戦闘も可能となる。また、胸部のマグネチック・フィールド・ジェネレーターが始動し機体周囲に強力な電磁界を形成し、そのフィールド内にLCMパウダーを散布するため、半径1km以内(レンジ1)に展開する敵機のセンサーを無効化させる。また自由電子式レーザー兵器はフィールドに阻まれ直撃弾を回避することができるため、それを生かした体当たり攻撃などを行うことも出来た。作中の描写では、原理は不明であるがフィールド内に取り込んだ人間を優しく支えたり、激しい機動を伴わない空中浮遊も行なっている。
驚異的な機体性能を発揮する反面、莫大なエネルギーを使用するため発熱量が非常に高く、機体に過剰な負荷を強いるため、オーバーロードによる機体の破壊を防ぐために発動時間を制限するリミッターが設けられている。また、発動終了後、機体は強制的に放熱体勢に入るため、約10分間は全く身動きが取れない。そのため敵機が残存すると回避運動も取れず危険であり、大気圏内上空では失速して墜落という場合も考えられる。
物語当初は実験段階であり、一部の次期発展型の試作機に試験的に搭載されており、レイズナーがその搭載第1号機である。常識を超えた機動にパイロットが対応できずシミュレーションや搭乗訓練段階での死亡あるいは負傷事故が続出したため、その機構は凍結され、レイにもその存在を認識されていなかった。だが、ゴステロやゲイルの攻撃から自機を守るため、フォロンの手により閉鎖回路が解除され強制的に発動。その際パイロットのエイジは加速と機動に耐え切れず失神してしまった。その後、真相を知ったエイジがフォロンと対決・和解した後、フォロンからレイに機能が委ねられ、エイジの自由意志で発動させることが可能となった。
V-MAXは推進系に特殊な強化剤を加えることにより、従来より15%以上出力を向上させ機動性能の向上を図ることが可能である。これはスーパーチャージ(レッドパワー)と呼ばれ、ル・カインがザカールで運用している。ただし、その分パイロットと機体への負担も増大するのでノーマルのV-MAXより限界発動時間は短くなっている。劇中未登場のレイズナーMk.IIのV-MAX機能「V-MAXIMUM」も同じく強化型V-MAXではあるが性格は大きく異なり、こちらは強電磁界の磁束密度を上げることで対弾性の向上を実現したもので、速度ではレッドパワーが勝り、攻撃&防御力ではV-MAXIMUMが上であると設定されていた。
V-MAXには機体内蔵型とバックパックタイプがある。ル・カインは当初からバックパック方式に疑問を持っていた。バックパックタイプはいかなる機種にも後付けできる利点はあるものの内蔵型と比較して本体との追随性が悪く、本来その欠点を補う調整ユニットの追加装備を必要とする。しかし、MFガッシュランへの装備を命じられたDr.ニゾンは調整とパイロットの訓練のために最低2日を要求したが容れられず、調整ユニット未装着・訓練抜きで出撃させた。結果、初のV-MAX搭載機同士の戦闘となったレイズナーとガッシュランの戦闘ではパワーでは若干勝るもののレスポンスに問題を残し、パイロットも訓練されていないためにバックパックタイプを搭載するガッシュランが内蔵型のレイズナーとV-MAX運用のベテランであるエイジに苦戦を余儀なくされた。Dr.ニゾンは訓練抜き・調整ユニットなしではレイズナーには勝てないことを予期しており、ガッシュランにレイズナーに取り付いた後足のかぎ爪のロックを解除不能にして、自爆するよう細工を施していたが、レイズナーが最大出力による高加速で爆弾が搭載された上半身を引きちぎって脱出してしまったため無駄に終わった。
以後(放映短縮もあり)、バックパックタイプV-MAXは登場していない。また、高橋は『B-CLUB』インタビューで「ロボットものに常に新要素を入れなければならないと思っていたものの、そういうネタが無くなり、V-MAXはもう末期症状のようなもの。」と応えている。
スタッフ
- 原案 - 矢立肇
- 原作 - 伊東恒久、高橋良輔
- 監督 - 高橋良輔
- キャラクターデザイン - 谷口守泰
- メカニカルデザイン - 大河原邦男
- メカニカル作監 - 吉田徹、沖浦啓之
- 音楽 - 乾裕樹
- 音響監督 - 浦上靖夫
- 美術監督 - 本田修、荒井和浩
- 撮影監督 - 三浦豊作(第1話 - 第25話)、古林一太(第26話 - 第38話)
- 制作進行 - 渡辺努、小林真一郎、南雅彦、井出安軌、渡辺信一郎
- 演出助手 - 江上潔
- 設定制作 - 播本昌志
- 文芸 - 外池省二
- 制作デスク - 望月真人
- プロデューサー - 銀谷精一(日本テレビ)、木本隆彦(読売広告社)、植田益朗(サンライズ)
- 製作 - 日本テレビ、読売広告社、サンライズ
主題歌
主題歌は放送当時、全てキングレコードからリリースされていた。
- オープニングテーマ
- 「メロスのように -LONELY WAY-」(第1話 - 第38話、OVA:ACT-I・II・III)
- 作詞 - 秋元康 / 作曲 - 中崎英也 / 編曲 - 若草恵 / 歌 - AIRMAIL from NAGASAKI
- オープニングとして使用されたものには途中にボーカルの入らない箇所が設けられ、そこに物語本編のハイライトシーンが台詞付きで流れる特徴がある。
- リミックスアルバム「ウルトラアニメユーロビートシリーズ メカMAX」にて小野訓史が、『アイドルマスター XENOGLOSSIA』のキャラクターソングアルバム『熱唱! 巨大ロボットアニメソング・嵐』にて萩原雪歩(声 - 堀江由衣)が、それぞれカバーしている。後者のボーナストラックとして収録されたTVサイズ版では、元ネタ同様間奏に台詞が挿入されていた。
- エンディングテーマ
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1985年 10月3日 |
あかい星にて | 星山博之 | 谷田部勝義 | 谷口守泰 | |
第2話 | 10月10日 | 彼の名はエイジ | 五武冬史 | 網野哲郎 | 八幡正 | |
第3話 | 10月17日 | その瞳を信じて | 平野靖士 | 川手浩次 | 加瀬充子 | 伊東誠 |
第4話 | 10月24日 | 心のこしての脱出 | 星山博之 | 網野哲郎 | 今西隆志 | 谷口守泰 |
第5話 | 10月31日 | まもられても,なお… | 五武冬史 | 谷田部勝義 | 八幡正 | |
第6話 | 11月7日 | とり残されて | 平野靖士 | 川手浩次 | 加瀬充子 | 谷口守泰 |
第7話 | 11月14日 | 血はあかかった | 伊東恒久 | 網野哲郎 | 村中博美 | |
第8話 | 11月21日 | 彼の叫びに応えて | 五武冬史 | 網野哲郎 | 今西隆志 | 谷口守泰 |
第9話 | 11月28日 | 生きる道を求めて | 星山博之 | 谷田部勝義 | 桜井美知代 | |
第10話 | 12月5日 | エイジ!?と呼んだ | 平野靖士 | 川手浩次 | 加瀬充子 江上潔 |
八幡正 |
第11話 | 12月12日 | 地球の |
伊東恒久 | 網野哲郎 | 貴志夫美子 | |
第12話 | 12月19日 | さよならの赤い星 | 五武冬史 | 滝沢敏文 | 今西隆志 | 谷口守泰 |
第13話 | 12月26日 | 星山博之 | 谷田部勝義 | 八幡正 | ||
第14話 | 1986年 1月9日 |
異星人に囚われて | 平野靖士 | 網野哲郎 | 村中博美 | |
第15話 | 1月16日 | 蒼き流星となって | 伊東恒久 | 川手浩次 | 今西隆志 | 本橋秀之 佐藤千春 |
第16話 | 1月23日 | 月よ!こたえて | 星山博之 | 網野哲郎 | 江上潔 | 谷口守泰 |
第17話 | 1月30日 | 群がる |
五武冬史 | 滝沢敏文 | 加瀬充子 | 貴志夫美子 |
第18話 | 2月6日 | そして地球へ | 平野靖士 | 網野哲郎 | 八幡正 | |
第19話 | 2月13日 | とどかぬ想い | 伊東恒久 | 谷田部勝義 | 村中博美 | |
第20話 | 2月20日 | レイズナーの怒り | 星山博之 | 川手浩次 | 今西隆志 | 谷口守泰 |
第21話 | 2月27日 | 我が名はフォロン | 五武冬史 | 加瀬充子 | 貴志夫美子 | |
第22話 | 3月6日 | フォロンとの対決 | 平野靖士 | 網野哲郎 | 江上潔 | 八幡正 |
第23話 | 3月13日 | 奇跡を求めて | 伊東恒久 | 川手浩次 | 谷田部勝義 | 中村悟 |
第24話 | 3月20日 | 光になったエイジ | 網野哲郎 | 村中博美 | ||
第25話 | 3月27日 | 駆けぬけた |
伊東恒久 五武冬史 星山博之 平野靖士 |
高橋良輔 | 谷口守泰 村中博美 八幡正 貴志夫美子 | |
第26話 | 4月3日 | 時は流れた! | 星山博之 | 加瀬充子 | 谷口守泰 | |
第27話 | 4月10日 | 華麗なるル・カイン | 五武冬史 | 谷田部勝義 | 江上潔 | 八幡正 |
第28話 | 4月17日 | クスコの聖女 | 星山博之 | 今西隆志 | 貴志夫美子 | |
第29話 | 4月24日 | 再会・謎の招待状 | 平野靖士 | 網野哲郎 | 村中博美 | |
第30話 | 5月1日 | ベイブル奪回 |
伊東恒久 | 網野哲郎 | 藤本義孝 | 谷口守泰 |
第31話 | 5月8日 | 仕組まれた聖戦 | 五武冬史 | 谷田部勝義 | 八幡正 | |
第32話 | 5月15日 | ああ、ゴステロ | 星山博之 | 加瀬充子 | 沢田正人 | |
第33話 | 5月22日 | 死鬼隊の挑戦 | 伊東恒久 | 網野哲郎 | 江上潔 | 谷口守泰 |
第34話 | 5月29日 | 狙われたアンナ | 平野靖士 | 知吹愛弓 | 今西隆志 | 貴志夫美子 |
第35話 | 6月5日 | グラドスの刻印 | 遠藤明吾 | 川手浩次 | 藤本義孝 | 八幡正 |
第36話 | 6月12日 | 敵V-MAX発動 | 星山博之 | 網野哲郎 | 加瀬充子 | 村中博美 |
第37話 | 6月19日 | エイジ対ル・カイン | 平野靖士 | 谷田部勝義 | 谷口守泰 | |
第38話 | 6月26日 | 歪む |
高橋良輔 | 江上潔 |
- 関東地区本放送第8話ではレコードプレゼントの告知がされたため、次回予告が放送されなかった。
- OVA
- 東芝映像ソフトからの発売。
- 第25話から第38話を収録。1996年10月2日発売。
- DVD
- 蒼き流星SPTレイズナー DVD PERFECT BOX-01
- 第1話から第24話を収録。2001年9月5日発売。
- 蒼き流星SPTレイズナー DVD PERFECT BOX-01
- 第25話から第38話とOVA全3話を収録。2001年9月5日発売。
放送局
- 日本テレビ(製作局):(木曜 17:30 - 18:00)
- よみうりテレビ:(木曜 17:30 - 18:00)
- 中京テレビ:(木曜 17:00 - 17:30)
- 福岡放送:(金曜 17:00 - 17:30)
- 札幌テレビ:(月曜 17:00 - 17:30→土曜 7:00 - 7:30)
- ミヤギテレビ:(金曜 17:30 - 18:00)
- 西日本放送:(金曜 17:30 - 18:00)
- 静岡第一テレビ:(金曜 17:00 - 17:30)
- 広島テレビ:(金曜 17:30 - 18:00)(15日遅れ)
- テレビ新潟:(火曜 17:30 - 18:00)
- くまもと県民テレビ:(月曜 17:00 - 17:30)
- 福島中央テレビ:(木曜 17:00 - 17:30)
番組終了とその後
テンプレート:出典の明記 10%前後という高い平均視聴率を記録していた。しかし、1985年末から1986年初頭にかけて発覚したサンヨー石油ファンヒーター一酸化炭素中毒事故により、2クールをもって三洋電機(現・パナソニック)がスポンサーを降板。さらにタイアップのプラモデルの売れ行きが不振だったことも重なり、メインスポンサーのバンダイの意向で、第38話で急遽打ち切りとなった。公式には「元々2クールで完了の予定を4クールに延長したが、最終的には3クールまでの延長となった。従って打ち切りではない」と説明されている。なお、遅れネットした系列局では番組販売扱いで三洋電機・バンダイともスポンサーに就かなかった局もあった。
放送上の最終回である第38話は、途中の回を省略していきなり最終回に話が飛んだような内容で制作された。そのため直前の37話と話の内容がつながらず、第37話で大破したはずのレイズナーは修復・改造強化されザカールと互角の戦闘を繰り広げ、開発途上だった地球側SPTも既に量産されてグラドス軍と戦闘するなどしている。
放映終了後、東芝映像ソフト(現・ショウゲート)からOVA全3巻が発売された。1巻は第1・第2クール、2巻は第3クール(第37話まで)のテレビ放映分の総集編であるが、第3巻ではテレビで放送されなかった第37話と第38話の間を埋める部分(大破したレイズナーに代わる強化型レイズナーの登場、など)が映像化されており、「打ち切りがなされなかった場合における、第4クールの総集編」といった体裁になっている。高橋良輔、植田益朗は、打ち切り直後にラジオ番組「スターチャイルド」にゲスト出演し、「重労働が終わって楽にはなったけど、マラソンと同じで完走したかったですね」と無念を語っていた。
また高橋は、放映終了後のインタビューで、放送での最終回以降の、本来予定していた最終回までの展開の構想を語っている。その内容は、刻印発動後の地球でのグラドス人差別を憂慮したエイジが、レイズナーMk.IIを駆ってグラドス本星に戻り、グラドス人と地球人のルーツが同じであるという確かな証拠を求めて奔走、同時にその証拠をもってグラドス本星政府の支配体制から市民を解放するというものだった。このストーリーは、本作のLD-BOXが発売された際、高橋監修の下で竹田裕一郎が『蒼き流星の行方』というタイトルで小説に書きおろしている。
小説版
文章:伊東恒久、挿絵:谷口守泰による、OVA版のACT-III「刻印2000」のノベライズ版が、徳間書店よりアニメージュ文庫として出版された。
- 小説 青き流星SPTレイズナー ―刻印2000―(1987年1月30日初版、ISBN 4-1966-9560-4)
ゲーム
コンピューターゲーム
- スーパーロボット大戦シリーズ
- サンライズ英雄譚シリーズ
- サンライズ英雄譚
- サンライズ英雄譚R
- サンライズ英雄譚2
- S.W.W.(サンライズ・ワールド・ウォー)
- バトルオブサンライズ
- Another Century's Episodeシリーズ
- Another Century's Episode
- Another Century's Episode2
- Another Century's Episode Portable
『サンライズ英雄譚』及び『A.C.E』シリーズでは、ル・カイン役の塩沢兼人が亡くなっているため、加瀬康之がル・カイン役を務めている。『スーパーロボット大戦』シリーズでは、塩沢が生前に『新スーパーロボット大戦』で音声を収録していたため、『スーパーロボット大戦GC(XO)』ではその音声が久々に再使用された。
また、2005年11月ごろ、秋葉原のゲームショップにて、「レイズナーのゲームが出たら買いますか?」等のアンケートをバンダイが取っており、『レイズナー』のTVゲーム化が企画されていたようである[7]。
ボードゲーム
ボードウォー・シミュレーションゲーム(ツクダホビー製)
- 『SPT』 - 戦闘級
- 『V-MAX』 - 戦闘級
トレーディングカードゲーム
- 『サンライズクルセイド』(バンダイ)
プラモデルなどの立体物
放映当時、バンダイから1/72、1/100スケールで発売され、接着剤を用いない「スナップフィット」の採用や透明パーツの使用など、バンダイの技術の蓄積も披露された。
放映直後の86年からムサシヤ、WAVEから1/72スケールで各種ガレージキットが発売された。後にコトブキヤからも1/72スケールで発売されている。
2006年になってバンダイから「リアルロボットレボリューション」(通称 R3)のシリーズ第1弾として1/48スケールの新作キットが発売され、続けてニューレイズナーもキット化された。BEE-CRAFTによって現代風にプロポーションがアップデートされ、ギミックと可動範囲が増え、V-MAX発動後のハッチオープン(強制冷却)モードの再現など、ガンプラで培った同社の最新技術が注ぎ込まれている。
同年2006年からはメガハウスからパームアクションシリーズが発売開始。その第1弾としてレイズナーとザカールがラインナップされた。全長が90ミリほどの小さなモデルであるが、各関節可動、バックパックの交換が可能で、キャノピーの開閉などのギミックを備えている。その後も死鬼隊のMFやグライムカイザルなどが発売され、順調にラインナップを増やしていた。
続いて2007年2月下旬にはバンダイから魂SPECシリーズでレイズナーが発売された。このモデルはノーマルのレイズナーとニューレイズナーを装甲の換装によって再現している。また、レイズナーのコンピュータである「レイ」の新たに収録された音声や効果音などが収録されたコンソール風のスタンドが付属。同年にはサンライズロボットセレクションでパームアクションと同サイズのレイズナーが登場。計5種類[8]の中で2バージョン出て、それぞれに劇中未登場のオプション(フライトユニットかフレイムスローワー)も付属している。
その他、同時期にコトブキヤからも塗装済み可動フィギュアが発売された。こちらは、約130ミリの大きさで、オプションとして、グレネードランチャーと劇中未登場のフライトユニットが付属している。
2013年8月31日 - 9月1日に幕張メッセで開催された「キャラホビ C3×HOBBY」で「サンライズ80'sロボ商品化プロジェクト」の一環としてバンダイからダイキャスト製可動アクションフィギュア「魂SPECシリーズ」のラインアップでレイズナーMk.IIが商品化(立体化)されることが決定した(商品名「XS14 レイズナーMk-II」、ノンスケール)[9][10]なお、この可動アクションフィギュアは基本形となる人型形態のほか、設定通りパーツの差し替えなしで戦闘機形態に変形させる事が可能となっている。プレミアムバンダイ(魂ウェブ商店)限定で2014年9月発売予定。
関連項目
- 加藤レイズナ - 筆名は本作に由来。
- えびてん 公立海老栖川高校天悶部 - アニメにおいてエイジという当作の主人公をモデルとしたキャラクターが登場する(声優も同じく井上和彦)。また、全長版(テレビ放送やソフト用に尺を追加した版)第4話では、「メロスのように」がエンディングテーマとしてカバーされている。
- 北斗の拳 - 一部の設定が本作のモデルになっている。
脚注
外部リンク
- ↑ 高橋良輔「メカとの付合い」、『電撃ホビーマガジン』2014年3月号、KADOKAWA アスキーメディアワークス、pp.260 - 261
- ↑ 第8話でエイジからも同じように言われている。
- ↑ グラドス至上主義のプライドはグレスコの死後も完全には抜けきっていなかったようで、刻印の中でのエイジとの乱闘でもこの言葉が出た。
- ↑ 発動シーン時には、前番組『機甲界ガリアン』のアイキャッチに用いられた背景を使用。
- ↑ オープニングアニメのテロップには制作側の表示ミスで「川村栄司」とクレジットされていた。
- ↑ 同日にテレビシリーズのみ、OVAのみの商品も発売。
- ↑ バンダイ、企画進行中の「蒼き流星 SPTレイズナー」アンケート実施
- ↑ 他にはザンボット3、ダイターン3、スコープドッグ、ダンバイン
- ↑ キャラホビ2013 - 「蒼き流星SPTレイズナー」公式コラム サンライズ 2013年9月2日閲覧。
- ↑ 【受付終了】サンライズ80'sロボ商品化プロジェクト 続々報!! 「魂SPEC レイズナーMk-2」修正案、レディ! - 魂ウェブ バンダイ 2013年10月7日閲覧。