Routing Information Protocol
テンプレート:Infobox Routing Information Protocol (ルーティング・インフォメーション・プロトコル、略称:RIP) とはUDP/IP上で動作するルーティング・プロトコルである。
RIPは、経由する可能性のあるルータをホップ数という値で数値化し、テンプレート:仮リンク (Distance Vector Algorithm)というアルゴリズムで隣接ホストとの経路を動的に交換する事で、パケットが目的のネットワークアドレスにたどり着くまでの最短経路を決定する。 また、有効経路を2つまで採用し、固定メトリック値を与えることで、同一ホップ数の経路がある場合に優先する経路を制御することが可能である。
目的ネットワークアドレス、次のホップ先IPアドレス、目的ネットワークまでのホップ数などの情報は、ルーター内のルーティング・データベースに記録され、ルータ間で定期的に情報交換が行われる。 その中から有効な経路を抽出したテーブルが、ルーティング・テーブルと呼ばれる。
目次
RIPのバージョンと互換性
2007年現在、主に使われているのはRIP V2である。小さなネットワークで使用する前提で、簡易的に実装しているルーターなどは、いまだにRIP V1が多い。バージョン互換性が高く、ベンダ独自の仕様も少ないが、RIP V2ネットワークで詳細なオプションが指定されている場合は、互換性は低いものとなる。
RIPのホップ数と固定メトリック
RIPが実装されているホストは、基本的に自己に接続されるネットワークについて、同一ネットワーク内に存在するであろう他のホストに対してブロードキャスト(V1)する。V2では、宛先224.0.0.9のマルチキャストで送信する。 オリジナルの経路情報(ホップ0)を他のホストで受信した場合、これに経路ホップ数を1追加していく。このホップ数が15を越えると、有効経路として採用されなくなる。
RIPのメリット
- プロトコルが簡素であるため、ルータにかかる負荷が少ない。そのため、性能の低いルータにも実装が可能。
- 使い方が容易で、少しのコマンドを覚えるだけで簡単に設定が行える。テンプレート:Sfn
RIPのデメリット
- 前述の通り、ホップ数15の経路は有効経路として採用されないため、ルータを複数個使用するような大規模ネットワークには不向きである。
- 他のルータと情報交換を行う際、ブロードキャストを用いてルーティングテーブルを転送するため、トラフィックを圧迫しやすい。
- ホップ数が同じルートが複数該当する場合、ルータはラウンドロビン方式で交互にパケットの転送を行うが、片方のルートがもう一方に比べて著しく帯域幅が狭い場合、輻輳が発生する恐れがある。テンプレート:Sfn
- バージョン1ではサブネットマスクをルート情報に含めることができない(クラスフルなルーティングプロトコル)ため、VLSM・CIDRをサポートしない。このため、正しくネットワーク・IPアドレス空間の設計を行わないと、他のネットワークに分断されたり(不連続ネットワーク)、サブネットマスクが異なるネットワークへのパケット転送ができない。この問題はバージョン2では解消されている。テンプレート:Sfn
バージョン2で追加された機能
- Multicast アドレスによるRIPパケット送出 - この場合に利用されるMulticast アドレスは、224.0.0.9である。
- PlainTextによる認証機能(追ってRFC 2082でMD5認証、RFC 4822でSHA-1認証がサポートされた)
- Netmask(CIDR)のサポート - ゆえに、RIPバージョン2はクラスレスなルーティングプロトコルである。
- 不連続サブネットにも対応可能
- Nexthopアドレスのサポート
バージョン
RIP には3つのバージョンがある。RIPv1はRFC 1058で、RIPv2はRFC 2453で、RIPngはRFC 2080で定義される。
関連規約
- RFC 1058 - Routing Information Protocol
- RFC 2453 - RIP Version 2
- RFC 2082 - RIP-2 MD5 Authentication
- RFC 4822 - RIPv2 Cryptographic Authentication
- RFC 2080 - RIPng for IPv6