POV-Ray
POV-Ray(ポヴレイ、Persistence of Vision Raytracer)は、多くのコンピュータプラットフォームで利用できるレイトレーシングソフトウェア。
プログラムのソースコードが一般に公開されているオープンソースの3Dレンダリングエンジン(レンダラー)の一つで、独自のC言語風の構造化ドキュメントによりデータを入力し、マクロ関数による半自動配置ができるので、シミュレータとしての利用も可能である。
拡張版を自由に作成、配布できるという性格から、学術的な新技法の試験実装にもよく用いられる。公式版(2013年11月現在3.7.0)の他に、v3.5に対応する複数の独自拡張版が公開されている[1]。v3.7からはライセンスがAGPLv3に変更された。
歴史
1980年代、David Kirk Buckは自身のAmigaにUnixのレイトレーシングソフトのソースコードをダウンロードし、しばらく検証した上で、独自のレイトレーシングソフトを作ることを決意した。 名前は彼自身のイニシャルを取ってDKBTraceと名づけ、需要を見込んで掲示板に投稿した。 1987年にAaron A. CollinsがDKBTraceをダウンロードし、x86用の開発を開始。David Buck本人と協力して他の機能の追加も行った。ソフトウェアが次第に評価を得て需要と期待が増える中、 彼らだけでは開発が存続できなくなったため、1991年7月にプログラマを集めてチームが結成された。同時にDavidはソフトウェアに自身のイニシャルを含めるのは適切でないと感じ、名前を変更することにした。 「STAR」(Software Taskforce on Animation and Rendering)という候補もあったが、結局「Persistence of Vision Raytracer」(省略形:POV-Ray)に決定した[2]。
機能
POV-Rayの機能は開発当初から充実していたが、近年のバージョンでは以下の機能を搭載している。
- マクロとループを搭載したチューリング完全のSDL (scene description language)[3]
- 背景、テクスチャ、オブジェクトのライブラリ
- 多くの幾何プリミティブとConstructive Solid Geometryのサポート
- 多種の光源
- 霧などの大気エフェクトや媒体(煙、雲)
- フォトンマッピングによる反射やコースティクス(集光模様)
- バンプマッピングによるしわ、いぼ、波などの模様
- ラジオシティ
- TGA、PNG、JPEGなどのテクスチャや出力画像のフォーマットサポート(JPEGは入力のみ)
- 豊富なドキュメント
POV-Rayにはサードパーティによるサポートが多いのが魅力である。多くのツール、テクスチャ、モデル、背景、チュートリアルがWeb上から使用可能である。
脚注
参考文献
- POV-Rayではじめるレイトレ-シング 改訂2版, 小室日出樹, 1999年, ISBN 4-7561-3098-4
- POV-Rayで学ぶ実習コンピュ-タグラフィックス -CG検定カリキュラム対応-,小室日出樹, 2000年,ISBN 4-7561-3367-3
- Pov-Ray for Windows入門, 石本浩司, 1998年, ISBN 4-88337-081-X
- メタセコイアとPOV-Rayではじめる3DCG, 古俣信行, 1999年, ISBN 4-87193-720-8
- POV-Rayによる3次元CG製作--モデリングからアニメーションまで-, 鈴木広隆,倉田和夫,佐藤尚, 2008年, ISBN 978-4-903474-19-9
- 3DCGをはじめよう POV‐Ray入門, 齊藤 剛, 田代 裕子, 年森 敦子, 2009年, ISBN 978-4-274207-33-4
関連項目
外部リンク
- POV-Rayテンプレート:En icon - 公式サイト