KNOPPIX

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テンプレート:Infobox OS KNOPPIX(クノーピクス[1]、ノピックス)とは、CD-ROMまたはDVD-ROMから起動することが可能なDebianベースのLinuxディストリビューション

概要

元々はドイツのKlaus KnopperがDebianパッケージを元に開発している。日本語版は独立行政法人産業技術総合研究所が日本語化をはじめとする、日本の国情にあわせたローカライゼーションや、様々な機能を追加して配布を行っている、1枚のCD-ROMやDVD-ROMから起動することができるLinuxディストリビューションである。

当初はCD版のみの提供だったが収録希望のアプリケーションの数が増えるに伴いCD-ROMの容量では不足するため、4.0版以前に2回DVD-ROM版を提供した。4.0からは本家のKlaus KnopperがDVD-ROM版とCD-ROM版をほぼ同時に提供することを決定した。CD-ROM版が"light"(軽量版)なのに対してDVD-ROM版は"maxi"(大容量版)と位置付けられ、数多くのアプリケーションが利用可能となっている。4.0版(DVD版)は2005年6月22日にLinuxTagで配布された。 CDまたはDVDから起動するため、ハードディスクにOSをインストールする必要がない。また、デフォルトではハードディスクに変更を加えず[2]Linuxを稼働させて、さまざまなコマンドやアプリケーションを使うことができる。つまり、Windowsなど他のOSしかインストールされていないパソコンであっても、CD-ROMなどから起動するだけでLinuxが利用できることが最大の特徴である。また、パソコンに接続されたハードウエアを数多くサポートし、自動的に認識する能力に優れていることも特徴の1つで、例えばユーザーはビデオ・カードの種類などを指定する必要がなく、直ちにGUIを利用可能となる。ネットワークについてもDHCP環境にあれば、LANにつながっているだけで自動的に接続設定がおこなわれる。

基本的に1CD/1DVDブータブルオペレーティングシステムであるが、LibreOfficeなどのアプリケーションソフトが付属している。CD/DVDから起動するため、デフォルトでは書き込み(データの変更)を行うことができるユーザのホーム・ディレクトリなどがRAMディスク上に置かれており、パソコンの再起動シャットダウンで保存したデータは消えてしまう。しかし、それらをフロッピーディスク、可搬式のハードディスクUSBメモリなどに保存することもできる。そのため国外の旅行先でも、CD-ROMから起動できるパソコンを借りることによって、自国語環境の元で簡単な仕事を行うこともできる。また、日本語版ではInstall2WinというWindowsパソコンにKNOPPIXをインストールしてマルチブート環境を構築することによってハードディスクからKNOPPIXが起動できるようにする機能が搭載されている。ただしこの機能は、下で述べるインストール機能よりインストールされるOSの操作は、LiveCDのOSに近い。だが、下で述べている機能ではKNOPPIXではなくDebianがインストールされる。

データの書き換えができないCD/DVDに、起動に必要な要素がすべて格納されているため、起動中にどのような状態になっても再起動すれば元に戻る、という特徴がある。この特徴を生かし、不特定多数がパソコンを共有する、公共の場に置かれるキオスク端末や、学校教育などでの使用が考えられている。 そのため、日本語版では教育ソフトを収録した、KNOPPIX Eduが開発されている。

また、最近OSで流行している3Dデスクトップの搭載に対応するため、5.1から、3Dデスクトップ環境Beryl、5.3.1からはその後継のCompiz Fusionが搭載された。

KNOPPIXの特徴

CDやDVDから起動できることが、最大の特徴であるKNOPPIXだが、バージョンごとに新たな技術的試みが取り込まれていることも、KNOPPIXの特徴となっている。

unionfs

KNOPPIX3.8.1からは、UnionFSというファイルシステムが採用されており、本来書き込むことができないはずのCD-ROMに対し、仮想的にファイルを書き込むことができるようになった。

これにより、一時的にではあるが、それまで不可能だったパッケージの追加などがおこなえるようになった。 KNOPPIX5.1からは安定性向上のため、unionfsに替わり、aufs(another unionfs)が採用されている。

各種エミュレータの搭載

KNOPPIXには各種エミュレーション用ソフトウエア(エミュレータ)が搭載されており、最もエミュレータが利用しやすいOSのひとつとなっている。QEMUはKNOPPIX上、もしくはWindows上でKNOPPIXを起動でき、Cooperative LinuxをWindowsにインストールすることで、Windows上の一ウインドウとしてKNOPPIXが動作する。Xenと組み合わせた版であるXenoppixでは、KNOPPIX上でPlan 9NetBSDが利用できる。

CD/DVD以外からの起動

KNOPPIXはCD/DVDから起動させるのが一般的であるが、多彩な起動方法が選択できることも特徴のひとつで、CD/DVDに格納されたイメージをハードディスクにインストールしてしまい、通常のLinuxディストリビューションの様にハードディスクから起動することも可能である。

KNOPPIX5.1以降には、KNOPPIXをUSBフラッシュメモリから起動させるためのスクリプト、mkbootdevが追加されており、1GBのUSBフラッシュメモリを使用すればCD版のすべての機能を利用することができるようになっている。 また、公式対応以前にも、USBフラッシュメモリ起動の試みは、USB-KNOPPIXなど、各所でおこなわれていた。

そのほかコンパクトフラッシュからの起動や、サーバを用意して、ネットワークからのPXEブート、またHTTPポートを使用して必要なイメージをネットワークから取得して起動する方法も選択できるようになっている(HTTP-FUSE-KNOPPIX)。

日本語版のみの独自機能

バージョン6からLCAT(Live CD Acceleration Tool kit)と呼ばれる機能が追加された。 これは、Live CDから起動する際に読み込まれるデータの配置を最適化することによりCDのピックアップの移動を抑えて起動時間を短縮する機能である。

バージョン

Knoppixバージョン リリース日
3.1 2003年1月19日
3.2 2003年7月26日
3.3 2004年2月16日
3.4 2004年5月17日
3.6 2004年8月16日
3.7 2004年12月9日
3.8.2 2005年5月12日
3.9 2005年6月1日
4.0 2005年6月22日
4.0 updated 2005年8月16日
4.0.2 2005年9月23日
5.0 2006年2月25日
5.0.1 2006年6月2日
5.1.0 2006年12月30日
5.1.1 2007年1月4日
5.3.1 2008年3月26日
6.0 2009年1月27日
6.0.1 2009年2月8日
6.2 2009年11月18日
6.4.3 2010年12月20日
6.4.4 2011年2月1日
6.7.1 2011年9月21日
7.0.1 2012年6月15日
7.0.4 2012年10月27日
7.0.5 2012年12月21日
7.2.0 2013年6月26日
7.3.0 2014年3月14日
7.4.0 2014年8月7日

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

公式サイト

テンプレート:Linux-distro
  1. 日本語版を配布している産業技術総合研究所による表記。
  2. ハードディスクが無いPCでも使用可能。或いは、ハードディスクに障害が発生している場合にもCDやDVDからLinuxを起動して、ハードディスクの診断やデータのサルベージができる。