CentOS
CentOS(セントオーエス[1][2], [注釈 1])は、Red Hat Enterprise Linux(以下「RHEL」と呼ぶ)との完全互換を目指したフリーのLinuxディストリビューションである。
目次
概要
レッドハットは、RHELに含まれているソフトウェアを オープンソースライセンスに基づき そのソースコードを無償公開している。CentOSは、このソースコードを用いることにより、同社の商標、商用パッケージ等を含まない形でリビルドされている。CentOSは、White Box Enterprise Linux、Scientific Linux等を含めて、一般に「RHELクローン」と呼ばれることもある。
RHELクローンとしてはWhite Box Enterprise Linux が先にリリースされている[注釈 2]。これが広く人気を得たことを契機に、CentOSのプロジェクトは有志のボランティアにより立ち上げられた。CentOS という呼び名は、「コミュニティベースで開発された、エンタープライズクラスのオペレーティングシステム (Community ENTerprise Operating System) 」に由来する。
CentOSの主要なターゲットはRHELと同様、企業のサーバ構築としており、レッドハットのサポートが不要な企業向けとしている。同時に CentOSは、The Document Foundationの公式サイトにて公開されているLibreOfficeのRPMパッケージ及び後述するサードパーティのリポジトリを用いてオフィススイートやGPUドライバ、マルチメディアツール等をインストールすることにより、デスクトップOSとして用いることも可能である。
開発当初、レッドハットはCentOSの配布・開発に関与してこなかったが、2014年1月にレッドハットはCentOSプロジェクトを支援していくことを表明し、プロジェクトの中心メンバーをレッドハットの社員として迎え入れて、RHELとは別にCentOSの開発に専念することとなった[3]。
入手方法
CentOS公式サーバ及びミラーサーバからは、CDおよびDVDのISOイメージがHTTPとFTPを用いてダウンロードできる。なお、大多数のミラーサーバではDVDのISOイメージをBitTorrentを用いてダウンロードするためのトレントファイルのみが公開されている。
パッケージ管理
パッケージ管理ツール
CentOSはRed Hat Linuxを源流とするRPM系Linuxに属しており、パッケージ管理システムとしてYumを採用している。RHELがRed Hat Networkサーバをデフォルトにしているのに対し、 CentOS Mirror Networkが用意されている。
リポジトリ
CentOSにデフォルトで含まれるリポジトリ (Base, Updates, Addons, Extras, CentOS Plus) に加えて、Fedoraプロジェクト提供のepel (Extra Packages for Enterprise Linux) やサードパーティーのRPM Fusion[4], ELRepo[5], Les RPM de Remi[6], RPMForge[7], JPackage[8]などがよく使われている。なお、CentOS Plusはデフォルトで無効化されており、RPMForge及びRemiについてもインストール後はオリジナルのCentOSパッケージを上書きしてしまう可能性があるとしてOFFにして運用することが一般的である。
基本的に同バージョンのRHELのリポジトリをインストールして用いることが出来ると言われている。
バージョンおよびサポート期限
バージョン番号の付与規則
CentOS 6以前のバージョンは、メジャーバージョンとマイナーバージョンの二つより構成される。メジャーバージョンはベースとしたRHELに対応しており、マイナーバージョンはそのRHELのバージョンアップに対応する。例えば、CentOS 4.3はRHEL 4 update 3のソースコードよりビルドされており、これとの互換が目標となっている。
CentOS 7以降は、メジャーバージョンとマイナーバージョンに加えて、タイムスタンプ(年、月)が追加された。例えばCentOS 7.0-1406はRHEL7.0をベースにしており、2014年6月にリリースされたソースコードを基にしていることを示している。[9]
各バージョンのリリース日とサポート期限
サーバ用途を考慮したRHELのクローンであるため、メンテナンス更新期限はRHELと同じく約10年(CentOS 4以前は約7年)程度[10]と非常に長くなっている。完全更新とは新たな機能の追加とセキュリティパッチ配布を意味し、年2~4回が予定されている。その後のメンテナンス更新とは必要不可欠なセキュリティパッチ配布のみを想定している。
バージョン | アーキテクチャ[11] | カーネル | リリース日 | ベースとなった RHELのリリース日 |
遅延 | 完全更新期限 Full Updates |
メンテナンス更新期限 Maintenance Updates | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2 | 2.1(最終) | i386 | 2.4.9 | 2004年テンプレート:05月14日 | 2002年テンプレート:05月17日 | 728日 | 2005年テンプレート:05月31日 | 2009年テンプレート:05月31日 |
3 | 3.1 | i386, x86-64, IA-64, s390, s390x | 2.4.21-15 | 2004年テンプレート:03月19日 | 2003年10月23日 | 148日 | 2006年10月31日 | 2010年10月31日 |
3.9(最終) | i386, x86-64, IA-64, s390, s390x | 2.4.21-50 | 2007年テンプレート:07月26日 | 2007年テンプレート:06月15日 | 41日 | |||
4 | 4.0 | i386, x86-64, PowerPC(ベータ版) | 2.6.9-5 | 2005年テンプレート:03月テンプレート:09日 | 2005年テンプレート:02月14日 | 23日 | 2008年テンプレート:02月29日 | 2012年テンプレート:02月29日 |
4.9(最終) | i386, x86-64 | 2.6.9-100 | 2011年テンプレート:03月テンプレート:02日 | 2011年テンプレート:02月16日 | 14日 | |||
5 | 5.0 | i386, x86-64 | 2.6.18-8 | 2007年テンプレート:04月12日 | 2007年テンプレート:03月14日 | 28日 | 2012年テンプレート:09月30日 | 2017年テンプレート:03月31日 |
5.1 | i386, x86-64 | 2.6.18-53 | 2007年12月テンプレート:02日 | 2007年11月テンプレート:07日 | 25日 | |||
5.2 | i386, x86-64 | 2.6.18-92 | 2008年テンプレート:06月24日 | 2008年テンプレート:05月21日 | 34日 | |||
5.3 | i386, x86-64 | 2.6.18-128 | 2009年テンプレート:03月31日 | 2009年テンプレート:01月20日 | 69日 | |||
5.4 | i386, x86-64 | 2.6.18-164 | 2009年10月21日 | 2009年テンプレート:09月テンプレート:02日 | 49日 | |||
5.5 | i386, x86-64 | 2.6.18-194 | 2010年テンプレート:05月14日 | 2010年テンプレート:03月31日 | 44日 | |||
5.6 | i386, x86-64 | 2.6.18-238 | 2011年テンプレート:04月テンプレート:08日 | 2011年テンプレート:01月13日 | 85日 | |||
5.7 | i386, x86-64 | 2.6.18-274 | 2011年テンプレート:09月13日 | 2011年テンプレート:07月21日 | 54日 | |||
5.8 | i386, x86-64 | 2.6.18-308 | 2012年テンプレート:03月テンプレート:07日 | 2012年テンプレート:02月21日 | 15日 | |||
5.9 | i386, x86-64 | 2.6.18-348 | 2013年テンプレート:01月17日 | 2013年テンプレート:01月テンプレート:08日 | 10日 | |||
5.10(最新) | i386, x86-64 | 2.6.18-371 | 2013年10月19日 | 2013年テンプレート:09月30日 | 19日 | |||
6 | 6.0 | i386, x86-64 | 2.6.32-71 | 2011年テンプレート:07月テンプレート:09日 | 2010年11月10日 | 242日 | 2015年テンプレート:05月31日 | 2020年11月30日 |
6.1 | i386, x86-64 | 2.6.32-131 | 2011年12月テンプレート:09日 | 2011年テンプレート:05月19日 | 204日 | |||
6.2 | i386, x86-64 | 2.6.32-220 | 2011年12月20日 | 2011年12月テンプレート:06日 | 14日 | |||
6.3 | i386, x86-64 | 2.6.32-279 | 2012年テンプレート:07月テンプレート:09日 | 2012年テンプレート:06月21日 | 18日 | |||
6.4 | i386, x86-64 | 2.6.32-358 | 2013年テンプレート:03月テンプレート:09日 | 2013年テンプレート:02月21日 | 15日 | |||
6.5(最新) | i386, x86-64 | 2.6.32-431 | 2013年12月テンプレート:01日 | 2013年11月21日 | 10日 | |||
7 | 7.0-1406(最新) | x86-64 | 3.10.0-123 | 2014年テンプレート:07月テンプレート:07日 | 2014年テンプレート:06月10日 | 27日 | 2019年12月31日 | 2024年テンプレート:06月30日 |
アドオンのリリース
Software Collections (SCL) は基本的なCentOSのシステムに含まれるものより新しいバージョンや基本的なCentOSのシステムには含まれていない動的プログラミング言語やデータベースサーバ、それらに関連した様々なパッケージを提供するレポジトリである[12]。
SCLで入手できるパッケージはCentOSのシステムにおいて標準的に提供される物を置き換えない。その代わり、/opt
ディレクトリに並行してインストールされ、提供されるscl
ユーティリティによってアプリケーションごとに選択的に有効化できる。例えば、PerlやMySQLの標準のバージョンはCentOSの基本的なインストールのままである[12]。
アドオン名 | アーキテクチャ[11] | ベースとなるCentOSのバージョン | CentOSにおけるリリース日 | RHELにおけるリリース日 | 遅延(日) |
---|---|---|---|---|---|
Software Collections (SCL) 1.0[13] | x86-64 | 6.4 | 2014-02-19[14] | 2013-09-12[13] | 160 |
Developer Toolset 2.0[15] | i386, x86-64 | 6.4 | テンプレート:N/a[16] | 2013-09-12[15] | テンプレート:N/a |
サポートするアーキテクチャ
CentOSはx86-64アーキテクチャしかサポートしていない。ただし、IA-32をサポートしたCentOS5,6は依然サポートの対象内である:[17]
- x86-64 (64ビット)
以下のアーキテクチャは現在、CentOSでサポートされていない:
- x86 (32ビット) (CentOS 7以降ではサポート外)
- i586
- 物理アドレス拡張のないx86 (CentOS 6以降ではサポート外)
- IA-64 (Intel Itanium, 64ビット) (CentOS 3、4にてサポート)
- PowerPC/32 (G3またはG4のPowerPCプロセッサを搭載したApple MacintoshとPowerMac) (CentOS 4にてベータでのサポート)
- IBM メインフレーム (eServer、zSeriesおよびS/390) (CentOS 5以降ではサポート外)
- Alpha (CentOS 4のみでサポート)
- SPARC (CentOS 4のみでサポート)
CentOSをベースにしたLinux ディストリビューション
- NuOnce Networks CentOS / BlueQuartz CD
- BlueOnyx
- Openfiler
- Rocks Cluster Distribution, for computer clusters, is now based on CentOS
- SME Server
- Trixbox, a PBX solution
- XenEnterprise
- PBX in a Flash
関連項目
脚注
出典・関連リンク
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Configuration - RPM Fusion
- ↑ ELRepo - HomePage
- ↑ Les RPM de Remi
- ↑ AdditionalResources/Repositories/RPMForge - CentOS Wiki
- ↑ JPackage Project
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Download - CentOS Wiki
- ↑ 11.0 11.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 12.0 12.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 13.0 13.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 15.0 15.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
注釈
- ↑ 公式フォーラム等を中心に sent-oss(セントス)と発音する例も。
- ↑ White Box Enterprise Linux 本家サイトニュースとCentOS本家サイトヒストリーを参照--2009-8-22閲覧
外部リンク
- CentOS プロジェクト・ホームページテンプレート:En icon
- プロジェクト公式Wikiテンプレート:En icon
- CentOS FAQ(公式FAQの翻訳)
- CentOS - Free books
- DistroWatch (収録パッケージのバージョン詳細)