CANDU炉
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CANDU炉(英語:CANDU reactor)とは、中性子の減速及び燃料の冷却に、共に重水を使用することを特徴とする原子炉のことである。減速材に重水を使用することから重水炉に分類される。CANDUとは Canadian deuterium uranium の略である。1960年代にカナダ政府と民間企業との合弁企業によって設計された。
沿革
- 1944年 チョークリバー研究所(ディープリバー)に重水炉建設プロジェクト発足。
- 1962年 原型炉NPD(Nuclear Power Demonstration)完成。
- 1968年 ダグラスポイント発電所にて営業運転開始。
- 1983年 大韓民国・月城原子力発電所にて営業運転開始。
- 2002年 中華人民共和国・秦山原子力発電所にて営業運転開始。
特徴
- この点は、ウラン資源が豊富なカナダにおいては、特に利点となる
- ウランがない場合はトリウムから資源を得る事ができる
- 天然ウランから効率的にプルトニウムを生産できる
- そのため原爆用プルトニウムの生産に使われたこともある(1974年のインドの核実験)
問題
- 重水を使用している為、トリチウムができてしまう。
- 大量の重水を使用するため、その調達にかかるコストが高い。
兄弟炉
稼働中の炉
- 2002年1月現在、世界の32炉/438炉がCANDU炉
ダグラスポイント
ダグラスポイント発電所はCANDU炉仕様の原型炉一基を運転していたがすでに閉鎖された。
- 炉型式:重水減速加圧重水冷却炉(圧力管型)
- 熱出力:70.1万kW(701MW)
- 電気出力:22.0万kW(220MW)
- 燃料の種類:二酸化ウラン
- 燃料温度(被覆材・燃料):301℃・1,930℃
- 冷却材圧力:87気圧
ピカリング
ピカリング発電所はCANDU炉仕様の商用炉4基を1ユニットとしAとBの二つのユニットを運転していた。2002年現在、ピカリング(A)は停止中である。
- 炉型式:重水減速重水冷却炉(圧力管型)
- 熱出力:174.4万kW(1.744GW)
- 電気出力:54.0万kW(540MW)
- 燃料の種類:二酸化ウラン
- 燃料温度(被覆材・燃料):304℃・2,000℃
- 冷却材圧力:88.5気圧