雨戸
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雨戸(あまど)は、防風・防犯・遮光・目隠しといった目的のために建物の開口部に設置する建具[1]。窓や庭へ出る戸などの外側に立てる建具。
寝殿造の時代には無く、書院造以後しだいに用いられるようになった。日本の住宅では一般的だが、海外の住宅ではあまり見られない地域も多い。
欧米の家屋の窓には、錠が内蔵されていない装飾用の雨戸がついている場合もある。
役割
- 台風などの強風で、窓ガラスや障子が破損するのを防ぐ。ほぼ同じ条件の家が並んでいるところに竜巻が襲来し、雨戸を閉めていなかった家ではある方角に面した窓ガラスがすべて割れてしまったが、雨戸を閉めていた家は雨戸に傷が付いただけで済んだ、といった事例が報告されている。
- 構造的に丈夫で、なおかつ内側からしか開錠できないため、防犯の効果がある。
- 近年では防火の役割も兼ねている為、金属製の物が大多数を占める。
- 雨天時の寒さや日中の直射日光による室温の変化を防ぐ効果がある。
形状
- 引き戸
- 窓や戸の枠に戸外側から雨戸、網戸、ガラス戸の順番でレールが付いており、枠の端にある戸袋から引き出して使用する場合が多い。木の板や軽量の鉄板、アルミ板などで作られているものが多い。
- 木製の場合、スギ、ヒノキなどで、アメリカ杉、北海杉なども。横約90cm、縦約175cmの枠組に横桟を3 - 4本渡し、片面に四分板を釘止として張り、板張側を屋外に向けて建て込む。板の矧目(はぎめ)は内側に目板を打って隙間をおおう。建てた時に雨戸どうしを突合せにする場合は、一方の竪框(たてがまち)に溝を掘り、他方の竪框に突出を設けて隙間無く閉鎖できるようにする。戸締まりは、敷居と鴨居とは「サル」で固定し、左右の雨戸どうしは「ヨコサル」で締りとする。閉めてから戸外をのぞき見るために無双窓を切り、あるいは雨戸の一部に潜戸を付けて出入りできるようにしたものもあった。
- シャッター(鎧戸<よろいど>)
- 店舗などで用いられている物と同様に、上から引き下ろして閉める。庇に収められている。電動式で、わざわざ外に出ずとも閉める事が出来る物もある。