鏡文字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鏡文字(かがみもじ)とは、上下はそのままで左右を反転させた文字である。鏡文字で文章を綴る際には文字の進行方向も言語本来の進行方向に対して左右逆になる。鏡に写すと正常な文字・文章が現れる。鏡像文字ともいう。
左利きの場合自然と鏡文字を書くことや、5~6歳までの子供が無意識に鏡文字を書く事例が知られているが、原因はよく分かっていない。左利きの人を矯正した時に突然鏡文字になる場合もある。学習障害、脳卒中、パーキンソン病、頭部外傷等の脳の障害によって鏡文字を書く事例も存在する。
救急車などの緊急車両には、緊急車両前方の車両の運転手がバックミラーやサイドミラーで緊急車両だと判別し易い様、車体前面に鏡文字で「AMBULANCE(救急車)」等と書かれている場合も多い。
古代ギリシャ文字やヒエログリフでは文字の進行方向や改行方向が右か左かに限定されておらず、文字や改行の進行方向に合わせて文字の向きも逐一左右反転していた。
似た言葉に逆さ文字があるが、そちらは上下を反転させた文字を指す。
鏡文字を使用した人物
- レオナルド・ダ・ヴィンチ - 15世紀末イタリアの万能人。13,000ページに及ぶノートが全て鏡文字で書かれている。生涯を通して左利きだった。
- ルイス・キャロル - 19世紀イギリスの数学者、小説家。普段右利きであったが、左利きだった時期があるといわれている。多数の手紙などが鏡像文字で書かれている。
- ウーピー・ゴールドバーグ - 幼少時のみ。
- 東山天皇 - 東山天皇筆の「南無天満大自在天神」と書かれた御神号が、北野天満宮に残っている。この「自在天神」の部分が左右逆転の鏡文字になっている。何らかの意図はあるとされるが、他に類例がなく不明である[1]。