酸ヶ湯
テンプレート:日本の温泉地 酸ヶ湯(すかゆ)は青森県青森市(旧国陸奥国)南部にある八甲田山系の火山起源の温泉。湯はその名の通り強い酸性を示す。元の温泉名は鹿湯(しかゆ)で、すかゆは読みの“しかゆ”が変化したもの。
泉質
- 酸性硫黄泉(含石膏、酸性硫化水素泉)
温泉宿・施設
八甲田山中の一軒宿で登山帰りに立ち寄る登山客も多いが、豊富な湯量と各種効能から温泉目的の宿泊客がシーズン期には多数訪れることもあり、宿の規模は大きい。またその効能から湯治客も多く、一般客向け以外に湯治用宿泊棟が設けられている。
名物は「千人風呂」。総ヒバ造りの体育館のような巨大な建物で、大きな浴槽2つ(「熱の湯」、「四分六分の湯」)と打たせ湯(湯滝)がある。「熱の湯」と「四分六分の湯」は隣同士であるが泉源が異なる。また名前から受ける印象と実際の湯の温度が異なっている。「熱の湯」は源泉の湯をそのまま使っているが、ややぬるめ(名前の由来は、熱の湯の方が体の芯から温まるから、あるいは源泉の湯をそのまま使っているから)。一方、「四分六分の湯」は源泉の湯に水を混ぜているが、もともとの源泉の湯が高温であるため、熱の湯より高温である(名前の由来は「熱の湯にくらべて体の芯から温まらないから」あるいは「湯と水の混合比による」とされている)。
脱衣所は男女別だが中は混浴となっている。ただしまったくの混浴というわけではなく、大浴槽は中央半分に目印があり、そこで男女が区切られている。また過去には飲用の猪口等が設置されていて、四分六分の湯の飲用(レモン水のような味がする)が可能であった。
温泉浴場として千人風呂の他に、こじんまりとしており男女別の「玉の湯」がある。千人風呂に洗い場はないが、玉の湯には設置してあり体を洗うことが出来る。
入浴
立ち寄り入浴も可能で、温泉に入る際には建物に入ってすぐの券売機で以下の券を購入する必要がある。
- 入浴料金(券の種類)
「千人風呂」と「玉の湯」の片方のみ入浴する場合と両方入浴する場合とで料金が以下のように変わってくる。千人風呂のみの場合は600円で入浴できる。
- 「どちらか片方のみ入浴可」:大人600円(小学生以下300円)
- 「両方入浴可(広間の休憩所利用付き)」:大人1000円(小学生以下500円)
- 利用時間[1]
- 立ち寄り入浴:午前7時〜午後5時半
- 千人風呂の女性専用時間帯:午前8時〜9時、午後8時~9時
- 広間(休憩所):午前8時〜午後3時
歴史
江戸時代前期の1684年(貞享元年)の開湯と伝承される。非常な山奥にもかかわらず、古くから湯治場として訪れる者が多かった。
大正時代、この温泉宿を経営していた郡場直世の妻・フミは、近辺の高山植物を採集してその標本を各地の研究機関に寄贈した。彼女の功績によって早くから八甲田山の植生が研究されており、そのため酸ヶ湯温泉の付近に東北帝国大学の研究施設(東北帝国大学八甲田山植物実験所、現在の東北大学植物園八甲田分園)が作られた。また彼女の息子・郡場寛は植物学者でもある。
1954年(昭和29年)、四万温泉、日光湯元温泉と共に国民保養温泉地第1号に指定されている。
一軒宿は前述の混浴の千人風呂が有名であるが、混浴マナーの低下から、女性客の苦情が多くなり、2004年(平成16年)6月には目印の辺りに間仕切りが設置された。しかし今度は間仕切りに対する苦情が増え、同年10月に撤去。その後、2005年(平成17年)4月に常連客が中心となって「混浴を守る会」が発足、三浦敬三が男性側の代表に、中村哲子が女性側の代表に就任した。一軒宿の中に看板を設置するなど、混浴マナーの維持活動が行われている。後に三浦の逝去に伴い男性代表は浅井慎平となった。
気候
世界随一の豪雪地帯で年間降雪量は約1760cm、最深積雪は約2370cm。日本の中では最も気温の上がりにくい場所の一つで、標高890mにも関わらずアメダスが設置されている。積雪の多い年は、6月上旬 - 中旬頃まで雪が残ることがある。
2013年(平成25年)2月21日には、気象庁の現在も観測が行われているアメダス全観測地点史上最高の積雪量512cmを記録し[2]、2月26日午前4時には566cmを記録した[3][4]。
アクセス
周辺
八甲田山山中にある当温泉の近辺は、秋には奥入瀬から続く紅葉の名所である。
脚注
外部リンク
テンプレート:Asbox- ↑ 湯治のしおり(国民保養温泉 酸ヶ湯)
- ↑ 5m超!青森・酸ヶ湯で観測史上1位の積雪 - テレ朝ニュース、2013年2月21日
- ↑ 青森・酸ヶ湯で積雪566cm…また記録更新2013年2月26日20時31分 読売新聞
- ↑ 積雪は従来からレーザー光線を使い、630cmまで計測可能。酸ヶ湯の観測機器 大雪で埋没NHK 2013年2月26日 21時28分