貸本漫画
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テンプレート:Sidebar with collapsible lists 貸本漫画(かしほんまんが)とは、貸本専用に制作された日本の漫画作品の総称。
概要
太平洋戦争後の昭和23年に神戸市開業の「ろまん文庫」が始めた貸本業が当たり、戦後型の新しい貸本屋が全国に広がる。昭和28年頃から貸本漫画が出始め、物価上昇の影響などから赤本漫画から貸本漫画へ需要が移るようになる。それまでの赤本などとは比較にならないほど豪華な装丁で、初期は上製本のB6判とA5判のものが主流で、後にA5判並製本のものへと代わっていった。貸本漫画の作者は、戦前からのベテラン作家、赤本や紙芝居からの転身、貸本からデビューした者など様々である。
多くの作家が多ジャンルの作品を描いた貸本漫画は劇画の台頭などもあり隆盛を迎えるが、1959年に『週刊少年サンデー』・『週刊少年マガジン』などの週刊漫画雑誌が相次いで創刊されると徐々にシェアを奪われ、1969年末が貸本出版としては事実上の終焉。
貸本漫画や貸本漫画家という形態は衰退したが、漫画雑誌やコミックスが大量に流通するようになってからは、ブックオフなどの新古書店チェーン店や漫画喫茶、電子書籍による電子貸本などの新しい形態に推移した[1]。
『ゲゲゲの女房』のおかげで、注目されるようになって、復刻が相次いだ[2]。
貸本漫画を扱った主な出版社
- 葵出版社
- あかしや書房
- 曙出版(文華書房)
- 朝日漫画社 - 所在地が日の丸文庫と同じ。江川進が関わった出版社。
- あたみ社(あずま社・裕文社)
- エンゼル文庫(大宝出版社・宝漫画文庫・やなぎ書房)
- 暁星書房
- 金園社(金龍出版社・オリオン出版社)
- きんらん社
- くぎプロ
- 宏文堂(秀文社・カナリヤ文庫)
- 寿書房
- コメット書房
- さいとうプロ
- 佐藤プロ
- 三共図書
- 昌和漫画出版
- 鈴木出版
- すずらん出版社(現在もある「高橋書店」の漫画部門。)
- 青林堂 - 前身は三洋社
- セントラル文庫(やなぎプロ) - 前身は中部出版社(名古屋市中区)
- 全漫プロダクション(尼崎市)
- 泰光堂
- 太平洋文庫
- 東京トップ社 - 前身は島村出版社
- 兎月書房(いずみ出版)
- 東考社
- 東光堂
- 東京漫画出版社(東京ロマン社)
- 東邦図書出版社(王冠漫画社・東江堂・東邦漫画)
- 東洋漫画出版社(小出書房系列)
- 巴出版
- トモブック社
- 日昭館書店
- 日本漫画社
- はるみ書房
- 日の出出版
- 日の丸文庫(光伸書房) - 前身は東洋出版社(南海出版社)
- ひばり書房(つばめ出版)
- ヒロ書房(第一プロ・第一文庫)
- ホープ書房(セントラル文庫から独立した杉浦氏が設立)
- 中村書店
- 文洋社(研文社・一晃社)
- ます美書房
- 緑書房
- 三島書房 - 後に「わかば書房」と「公楽出版社」に分裂する。
- めばえ書房(あずま社)
- 横山プロ(横山まさみちプロ)
- 若木書房
ほか
代表的な貸本漫画家
- ありかわ栄一(園田光慶)
- 池上遼一
- いばら美喜
- 楳図かずお
- 遠藤政治 (貸本漫画衰退後はアニメーターに転身。アニメ「あらいぐまラスカル」の監督などを担当。つげ義春の親友としても有名)
- 岡田晟
- 古賀新一(古賀しんさく)
- 小島剛夕
- さいとう・たかを
- 佐藤まさあき
- 下元克己
- 社領系明
- 白土三平
- 杉本五郎(つゆきサブロー)
- 鈴原研一郎
- 滝田ゆう
- 竹内寛行
- 辰巳ヨシヒロ
- つげ義春
- つりたくにこ(はざまくに子)
- 永島慎二
- 浜慎二
- 平田弘史
- 藤木てるみ
- 松本正彦
- 水木しげる
- 望月あきら
- モンキー・パンチ(加東一彦)
- 水島新司
- 山上たつひこ
- 横山まさみち
- 横山光輝
- 赤松セツ子
- 星城朗二
- 巴里夫
- 矢代まさこ
- 好美のぼる
他
脚注
参考資料
- 梶井純『戦後の貸本文化』東考社、1977
- 貸本マンガ史研究会『貸本マンガreturns』ポプラ社, 2006.3
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