蕎麦粉
蕎麦粉(そばこ)は、タデ科の一年草ソバの種(実)を挽いた粉。一番粉(更科粉)、二番粉、三番粉、末粉、ひきぐるみなどの種類がある。
製法 (製粉工程)
- 脱穀
- 磨き - 磨き機で玄ソバ(殻の付いたそばの実)に混ざった藁(わら)やゴミや汚れを取り玄ソバを磨く
- 石抜き - 玄ソバに混ざった石を抜く
- 篩い(ふるい) - 粒の大きさを揃える(脱皮時の丸抜きの歩留まりを高める)多いときは8段階に分ける
- 脱皮(丸抜き) - 脱皮機でそばの皮(殻)を剥く(ヌキと呼ばれる淡い緑色のそばの実になる。そば米や東欧のカーシャの原料。)
- 殻取り - 唐箕(とうみ)で混ざった殻を取る(ヌキ完成)
なお、そばの実を引くと、柔らかい中心部分の胚乳のさらに中心から先に細かくなって挽き出てくる。外側の胚芽(子葉)や甘皮(種皮)はやや硬いため、すぐに細かくは挽けない。従って先に出る粉(一番粉)ほど内層の粉で、後に出る粉ほど表層の粉である。
一番粉・二番粉・三番粉・末粉などを分けて分別しないで挽いて篩う場合もある。
種類
蕎麦粉は製粉、篩分けの度合いにより「一番粉」・「二番粉」・「三番粉」他に分けられる。
- 一番粉 内層粉、そばの実の中心部分の胚乳のさらに中心部が主体、白色でほのかな甘みがある最上級粉だがそば独特の香りや風味に欠ける。成分は主に炭水化物(でんぷん)と水分。更科粉(さらしなこ)とも呼ばれることがあるが、本来の更科粉は製法が異なる。
- 二番粉 中層粉、胚乳と子葉(胚芽)の一部が主体、うす緑黄色で香りが高く風味に優れる。ちゅうそう粉と表記されることも多い。
- 三番粉 表層粉、胚乳の一部と子葉(胚芽)と種皮(甘皮)の一部、やや暗い青緑色で香りが強く栄養価が高いが味と食感に劣る。
- 末粉 表層粉、子葉(胚芽)と種皮(甘皮)が主体、黒っぽくホシ(甘皮や蕎麦殻の破片)が多い。風味は非常に強いが食感は最も劣る。栄養価は最も高い。蕎麦がきや蕎麦菓子、冷凍麺、ゆで麺、乾麺の色づけなどに使用。四番粉、五番粉とも。特に繊維や殻の破片が多いものはさな粉(さなご)とも呼ばれる。
ひきぐるみは、抜き実もしくは玄そばを直接ひいた粉を篩で調製したものである。つまり、一番粉、二番粉等に分けたものをあわせた粉ではない。
更科粉は、厳密には玄そばを挽き抜きした際に大きめに割れた「上割れ」だけを用いた粉であるが、俗に一番粉を主体とした白っぽい内層粉もしくは一番粉のみで作った粉を指すこともある。御膳粉とも。更科蕎麦は、更科粉主体で打った白い色のごく高級な蕎麦麺である。
蛋白質がほとんど含まれない更科粉の10割蕎麦は、つながりづらく長い麺が打てないどころか名人でないとボロボロとして麺に打つことすら困難である。
成分・利用
蕎麦粉の基礎成分として、蛋白質が10~13%、脂質が2~3%、粗繊維が1.2~2.0%、灰分が0.7~1.5%程度含まれる。ルチンは、10~25mg/100g含まれる。
製粉した蕎麦粉を練った塊状のものを蕎麦がきやガレットにしたり、練った蕎麦粉を麺状にしたそば麺(日本のそば切りの他、中国、ブータンなどには押し出しで作るものもある)にしたり、小麦粉とブレンドして、二八蕎麦、そば饅頭、そばボーロ、かりんとうなど多種多様な食品として食用とされる。
食品衛生法によるアレルゲンの特定原材料7品目の一つとして表示が義務付けられている。
外部リンク
- 蕎麦粉・蕎麦の実・手打ち蕎麦 全国蕎麦製粉協同組合のホームページ