蒸気船ウィリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Portal ディズニー テンプレート:Infobox Film蒸気船ウィリー』(じょうきせんウィリー、原題:Steamboat Willie)は、1928年11月18日アメリカ合衆国で公開されたディズニー制作の音入り(トーキー)短編アニメーション作品である。

ミッキーマウスの短編映画シリーズとして最初に公開された作品である。

概要

世界初のトーキー・アニメーション、つまり音声つきのアニメーション作品であるという評価がなされることが多いが、正確にはこれは間違いである。この作品以前にフライシャーの『なつかしのケンタッキーの家(Old Kentucky Home)』(1924年)、『おお、メイベル(Oh Mabel)』(1924年)、ポール・テリーの『ディナー・タイム(Dinner Time)』などが既に音声つきアニメーションとして制作されている。『蒸気船ウィリー』の価値は、サウンドトラック方式を採用し、映像と音楽を完全にシンクロさせたというところにある[1]

一般的には、この作品がミッキーマウスミニーマウスのデビュー作とされているため、公開日の11月18日はミッキーとミニーの誕生日、もしくはスクリーンデビューの日となっている。厳密には本作の前に作られた『プレーン・クレイジー』と『ギャロッピン・ガウチョ』に出演しているが、公開は本作が最初だった。

ウォルト・ディズニーは『オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット』の版権をユニバーサル映画に奪われてから、信頼するアニメーターであったアブ・アイワークスと共に新たなキャラクター、ミッキーマウスを考案した。当時の主流はサイレント映画であり、ミッキーを主役にしたサイレント映画を数本作ったが、配給会社には受け入れられなかった。しかし1927年に世界初のトーキー映画である『ジャズ・シンガー』が公開され、トーキーがこれからの主流になっていくと確信したウォルトはアニメでもトーキーを利用できないかと考え、当時サイレント映画用に作っていた『蒸気船ウィリー』をトーキー映画として作り直す。ニューヨークのコロニー・シアター(現ブロードウェイ・シアター)で公開された本作はまさに大成功を喫し、その後のディズニーの基盤となった。ミッキーは裸足で素手だったものが、この映画の中で靴を履いている。

配給業者さがしに難航した本作であるが、封切られてからはプレスや観客の評判を呼び、映像と音声を完璧にシンクロさせた画期的・独創的な手法が評価された。

劇中のミッキーやミニー、ピートなど全ての声をウォルト自身が演じている。タイトルと内容は喜劇俳優バスター・キートンの『キートンの蒸気船』(Steamboat Bill Jr.)のパロディである。

2009年公開の長編作品『プリンセスと魔法のキス』以降、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズ制作のアニメーション作品のオープニングロゴタイトルとして、本作の1カットを使ったものが新たに製作、使用されている。

あらすじ

とある蒸気船。ねずみのミッキーはご機嫌に船を操縦していたが、船長のピートに断りなく勝手に操縦していた為怒られてしまう。港に着いた船は牛や七面鳥と言った家畜を積み込み再び出港する。だがミッキーのガールフレンド・ミニーマウスが置いてきぼりを食ってしまう。ミッキーはクレーンを操作して何とか彼女を救い上げるが、その際彼女が持っていた楽譜や楽器が床に散らばり全てやぎに食べられてしまう。ところが不思議なことに楽譜や楽器を食べたやぎはオルゴールに変身。そこでミニーが尻尾を回すと楽しげな音楽が流れだす。楽しくなって来たミッキーはバケツやスプーン、果ては猫や七面鳥、牛まで楽器代わりに大騒ぎ!だが調子に乗り過ぎてまたまたピート船長のお叱りを食らい、罰としてジャガイモ切りをやる羽目となり、そんな無様な様子を見てオウムがミッキーをからかうが、オウムにからかわれたミッキーはジャガイモをオウムに投げつけ、海に突き落とされたオウムの声を聴いて笑うミッキーだった。

スタッフ

著作権

製作されたアメリカ合衆国ではタイトルカードに著作権標記が入り、著作権登録とリニューが行われたこと、また、著作権延長法によって保護期間が何度も延長されたことから、2024年(公開後95年)まで著作権が保持されているが、日本国内の著作権法では公開後50年と戦時加算10年を含めても60年以上が経過しているため、パブリックドメインとなっている。ただしミッキーマウス自体は商標で保護されているため、商用目的として自由に使えるわけではない。

日本での公開

収録

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:ミッキーマウス・シリーズ
  1. 有馬哲夫著『ディズニーとライバルたち アメリカのカートゥーン・メディア史』(2004年 フィルムアート社)