緑藻
概要
緑藻(りょくそう)とは、伝統的には、藻類全体を褐藻、紅藻、緑藻等に分けた場合のひとつを意味していたが、現在では、緑色植物亜界緑藻植物門緑藻綱のタクソンを意味することも多い。すなわち、広義と狭義があり注意を要する。狭義緑藻以外の緑色植物亜界の藻類は、緑色藻類などと言って言い分ける場合もある。
広義には光合成色素としてクロロフィルaとbを含んでいる藻類を指す。海藻として出現するものもあれば、単細胞生物となっているものもある。また、淡水産のものも多く、陸上生活のものもある。大きいものではミルのように 1メートルにも達する樹状のもの、アオサのように葉状のもの、アオミドロのような糸状のもの、ミカヅキモのような単細胞のものまでがある。また、体制としてもアオサは平面的な多細胞体、アオミドロは糸状の細胞列からなり、ミカヅキモのような単細胞体、クンショウモのような細胞群体、ミルやカサノリのような多核体までを含む。車軸藻類も含めれば、立体的な多細胞体までが含まれることになる。光合成色素の他に、遊走細胞が鞭状鞭毛を複数持つことが特徴としてあげられる。
近年の研究では、種子植物を始めとする陸上植物は、緑藻と共通の祖先を持つか、或いは緑藻の直系の子孫にあたる、とする説が有力になっている。これにより、コケ植物や維管束植物と単系統を構成することから、これらを合わせて植物界に含めることも多いが、高校生物などでよく知られるマーグリスの五界説にて、緑藻を原生生物界に所属させることもある。
下位分類群
以下は狭義緑藻の下位分類について記載する。広義緑藻に関しては、緑藻植物門等を参照のこと。
鞭毛基部の構造をはじめとする微細構造および分子系統学から、緑藻綱は5群に分類されることが分かっている。すなわち、サヤミドロ目、ヨコワミドロ目、カエトフォラ目、カエトペルチス目、およびその他の緑藻類である。
- 緑藻類(狭義)
- クラミドモナス目 Chlamydomonadales :クラミドモナス
- オオヒゲマワリ目 Volvocales :オオヒゲマワリ(ボルボックス)
- クロロコックム目 Chlorococcales
- ミクロスポラ目 Microsporales
- シリンドロカプサ目 Cylindrocapsales
- ヨコワミドロ目 Sphaeropleales :アミミドロ・クンショウモ・イカダモ(セネデスムス)
- カエトフォラ目 Chaetophorales
- カエトペルチス目 Chaetopeltidales
- サヤミドロ目 Oedogoniales
上記下方4目以外の、クロロコックム目などのいくつかの目は、クラミドモナス目(もしくはオオヒゲマワリ目)として、ひとつの目にまとめるよう提言がなされている。