綿菓子
綿菓子(わたがし)とは、溶融した砂糖をごく細い糸状にしたものを集め、綿状にした菓子である。綿菓子は西日本の呼び方で、東日本では綿飴(わたあめ)と呼ばれることが多い。安価な甘い菓子なので子どもに人気がある。
製造時に独特の甘く芳ばしい香りが漂うことから、よく縁日や街頭、祭りなどで屋台で売られている。目の前で作られる様子を見るのも客の大きな楽しみだが、屋台ではディスプレイとして、あらかじめ作ったものも、パンパンに膨らませた袋に入れて飾り売られている。近年では人気キャラクターの印刷された袋がよく使われる。
ふわふわとした食感が魅力だが、輸送時の振動などにより固まってしまうことが多いため、作ってすぐに食べることがほとんどである。
近年ではスーパーマーケットやゲームセンターなどの店頭に、アーケードゲームの一種として、綿菓子が作ることができる機械(自動販売機)が置いてあるところもある。また、家庭用の機械も市販されている。
歴史
1897年に世界最初の電動綿菓子製造機を製作したのは、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルの菓子製造業者である、ウィリアム・モリソン(William Morrison) とジョン・C・ウォートン(John C. Wharton)である。1904年のセントルイス世界博覧会において、"Fairy Floss"の名で出展されたこの商品は、一箱25セントで68,655箱も売れたという[1]。
アメリカ合衆国では12月7日を「綿菓子の日」(National Cotton Candy Day)としている。
製法
綿菓子は、綿菓子機と呼ばれる専用の機械によって作られる。綿菓子機は加熱機構を持った回転釜と、その周囲を取り囲む受け皿から構成されている。加熱は電気によるものが多い。回転釜の周囲には非常に小さな穴がいくつか開けられている。回転釜を加熱しながら高速で回転させて溶融した砂糖を遠心力で吹き飛ばし、すぐに空気中で冷えて糸状に固まった砂糖を割り箸などを用いて回収する。回収した綿菓子はその場で食べるか、空気で膨らませたポリエチレン袋に入れて販売される。
回転釜の中に入れる砂糖としては、ザラメを用いることが多い。その理由は、穴の目詰まりを起こしにくい、融点が低い、加熱しても炭化しにくいためである。本来白いものだが、砕いた飴などを入れてピンク色などに着色し、屋台等では2色売られることも一般的になった。専用の色付ザラメも市販されている。
綿菓子機の自作
近年盛んに行われている科学実験において、綿菓子機の自作が人気テーマの一つとなっている。穴をあけた缶をモーターで回転させ、下部からアルコールランプなどで加熱する。
ただし、火を使うため操作は慎重に行うべきである。受け皿にアルコールの蒸気が充満し、引火した事例が報告されている。また、加熱により缶の内側のコーティングが焼け、有害物質を出すのではないかとする指摘もある。ただし、缶の内側のコーティングをはがすには濃硫酸を必要とし、作業には危険が伴う。また、コーティングは1マイクロメートル以下の厚さであり有害物質が出たとしても極々微量しか出ないのでわざわざ落とす必要性はないともいわれる。
参照
外部リンク
- 有限会社 ハルナ貿易 - 綿菓子作り機のメーカー。
関連項目
- 中双糖
- バーバパパ - フランスでは綿菓子はバルバパパと呼ばれている。
- 的屋
- 杏林大病院割りばし死事件
- シロ(クレヨンしんちゃん) - 特技の1つ
- トニートニー・チョッパー(ONE PIECE) - 「わたあめ大好き チョッパー」の異名を持ち、好物の1つ
- ヴァタ、ヴァタ・ツクロヴァ (wata cukrowa)- ポーランドの綿菓子。「わた(綿)」をポーランド語でヴァタ(wata)と呼び、日本語の「わた」のローマ字綴り(wata)と偶然にもまったく同じ。なおヴァタ・ツクロヴァは綿の菓子という意味。