篠房六郎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(空断師から転送)
テンプレート:Sidebar with collapsible lists 篠房 六郎(しのふさ ろくろう)は、日本の男性漫画家。東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業。
大学在学中は漫画研究会に所属。当時のペンネームは下総洋平。1998年に卒業制作でもある『やさしいこどものつくりかた』で、アフタヌーン四季賞春のコンテストにおいて四季大賞を受賞[1]。自画像を女性として描くこともあるが、男性である。
作品
- 長編作品
- オンラインゲームの中に作られたカウンセリングのためのグループで現実世界を巻き込んだ事件が発生し、世間の好奇の目にさらされる。グループが消えるまでの3週間、彼等を守るために一人の廃人プレイヤーキラーが雇われた。
- 『百舌谷さん逆上する』 講談社〈アフタヌーンKC〉全10巻
- いわゆる「ツンデレ」という概念を「他者への好意を、自己の感情に反した攻撃的な言動で表現してしまう人格障害」と定義し、ツンデレ主人公の悩める日常を描く。
- 短編集
- 篠房六郎 『家政婦が黙殺 篠房六郎短編集』 ビブロス〈カラフルコミックスKids〉全1巻 ※出版元倒産により絶版
- 2002年6月5日初版発行 ISBN 4-8352-1352-1
- 篠房六郎 『新装版 家政婦が黙殺 篠房六郎短編集』 講談社〈KCDX〉全1巻 ※上記の新装版
- 2010年2月23日初版発行 ISBN 978-4-06-375883-2
- 篠房六郎 『篠房六郎短編集 こども生物兵器』 講談社〈アフタヌーンKC〉全1巻
- 2002年10月23日初版発行 ISBN 4-06-314305-8
- アフタヌーン四季賞受賞作を含む短編集。収録作品は以下の3作品。
- やさしいこどものつくりかた:1998年春の四季賞受賞作。『月刊アフタヌーン』1998年6月号に掲載。商業誌デビュー作品。
- 生物兵器鈴木さん:1997年夏の四季賞受賞作。雑誌未掲載作品。
- 空談師:同名の長編作品とは別の短編作品(前後編)。『月刊アフタヌーン』1999年11月号および12月号に掲載。
- 挿絵/イラスト
- ドラグネット・ミラージュ 2006年1月20日 ISBN 4-8124-2505-0
- ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人 2007年3月1日 ISBN 4-8124-3011-9
- アンソロジー
- PCエンタテイメント書籍編集部(編) 『朱 -Aka- アンソロジーコミック』 エンターブレイン〈マジキューコミックス〉2003年8月発行 ISBN 978-4-75-771554-7
- PCエンタテイメント書籍編集部(編) 『痕-きずあと- アンソロジーコミック』 エンターブレイン〈マジキューコミックス〉2003年1月発行 ISBN 978-4-75-771294-2
- 木尾士目 『げんしけん』 第9巻特装版付録同人誌 『PROJECT G2』
- げんしけん 第9巻特装版 2006年12月22日初版発行 ISBN 978-4-06-364674-0
作品中のゲーム
『空談師』シリーズおよび、『ナツノクモ』に共通の要素として「リネン」という架空の会社が作ったオンラインゲームが登場する。ただし、これらが全て同一のゲーム、同一のバージョンとは限らない。
- 形式:3DMMORPG。アクション性が高く、白兵戦においては操作者の技量次第で精緻な回避や攻撃の相殺を可能とし、たいがいの攻撃をノーダメージで切り抜けられる模様。
- 名称:ゲームの固有名称について明確な言及はない。「ボードゲーム」と呼ばれる事もあるが、下記のボードに由来する一般名称の可能性が高い。
- ボード:ゲームの舞台となる仮想空間。多くの場合サーバと同義。リネンが運営する公式ボードの他にリネンと契約したGMが管理する私設ボードが存在する。私設ボードには個人管理・会員制の閉鎖型ボードと開放型ボードがあり、後者は外部から自由に接続できるオープンサーバの事だと思われる。個人ボードのチェックとランク付けをリネンのGMが行なっている
- インタフェース:プレイヤーのリアクションからは全感覚没入型バーチャルリアリティを想像させるが、作中の描写ではフルフェイスのヘッドマウントディスプレイとデータグローブのみ。ディスプレイにはマイクとスピーカーが内蔵されている。ダメージを受けたときや触覚の表現として、指先と首筋に刺激が与えられる。
- 感情表現:表情への追従はコマンド式とは考えにくく、これもハードウェアで表情を読み取っている可能性がある。『ナツノクモ』では瞳から殺気のようなものを感じ取ることもできた。鼻血や涙を流す場合さえあり、漫画的表現と言ってしまえばそれまでだが、実際にゲーム中で行なわれているとすれば相当高度な検出と判断が行なわれていることになる。
- 規制:短編『空談師』では血糊などは数秒で消える設定となっており、規制で揉めている。また「ゲーム中では規制のため、殺人はできても強姦は無理」というような台詞も語られている。
- PC:プレイヤーのこと。一人のPCは複数の外装(後述)を切り替えて使うことができる。
- 外装:ゲームの中で使用するプレイヤーキャラクターを指す用語、およびその外見上のデザイン。『ナツノクモ』では、動物園の住人の外装を高名なデザイナーが担当するなど、外観についてはカスタマイズの自由度が高い。『空談師』では、違法改造された外装がダメージを受けるとその部位が欠損し、場所によっては「本物の内臓からスキャンした海外製」という触れ込みの、写実的にテクスチャマッピングされた内臓が飛び出すエフェクトを使用していた例もある。
- 体力:ヒットポイント制。0になると死亡し、死亡状態から蘇生スキルを使用せずにその場で復活すると能力値が25%減少する。違法改造された外装では最大で9999。
- 切断と消滅:外装が生きている状態で通信を切断すると、外装はボードからログアウトする。外装が死亡状態のまま切断すると、2分後に外装のデータが全て消滅(ロスト)し、その場合は一切復旧できない。この条件以外でも、カバキなどの違法プレイヤーがつかったウィルスで外装のデータが変質させられた場合、ロストする可能性がある。
- 拷問:上記のように、死亡状態からはステータス低下と引き換えに何度でも復活できる。従って消滅させるためには攻撃を続けて、復活するそばから死亡させ、復活する気力を相手プレイヤーから奪う必要がある。この行為を「拷問」と呼ぶ。
- 隠れ能力:外装には生まれ持った特殊能力がある。ただし一度でも死亡して復活すると、その時点で隠れ能力は失われる。
- スキル:作品中の描写からゲームシステムの中心はスキル制であることがうかがわれる。
- 泥棒行為:所有権の概念は薄いようで、死亡したり行動不能になった外装からは持ち物を自由に奪える。盗賊のスキルがあれば戦闘中の相手からも略奪が可能である。
- アイテム作成:生産に関しては外装同様自由度が高く、機能やデザインを高度にカスタマイズできる。
- ボックス:PCに与えられた個室のような空間。個々のPCの好みによって内部を様々にカスタマイズできる。入室するにはパスワードかボックスの持ち主の許可が必要。
脚注
- ↑ 受賞時の名義は篠房六郎。
- ↑ 小学館ガガガ文庫にて『コップクラフト DRAGNET MIRAGE RELOADED』と改題して再版されている。小学館版では挿絵の担当が村田蓮爾に変更されている。作品に関する詳細は該当項目を参照。