浮草 (映画)
テンプレート:Infobox Film 『浮草』(ウキクサ)は、1959年の大映製作の日本映画。
概要
1934年に松竹蒲田撮影所で製作した『浮草物語』を監督自らがリメイクした作品。宮川一夫撮影によるアグファのカラー映像が旅役者の世界の情緒を際立たせる佳作である。本作は、小津が第二の故郷である地元三重県でロケーション撮影した唯一の映画でもある。三重県志摩郡浜島町、大王町、阿児町、東京都あきる野市の五日市駅、神奈川県茅ヶ崎市の茅ヶ崎海岸等で撮影された。
『浮草物語』から『浮草』の制作は25年経過後のリメイクである。『浮草物語」に「信吉」役で三井秀男(後の三井弘次)が出演しており、『浮草』で川口浩が演ずる「本間清」に当たる役を、旧作では三井が演じていた。2作ともに出演したのは三井だけである。[1]本作は1958年に『大根役者』として松竹で撮影するはずで、主要キャストは進藤英太郎・淡島千景・有馬稲子・山田五十鈴が予定されていた。佐渡や新潟にロケハンまで済ませたが、この年の雪が少なく、撮影を断念した。翌1959年、『彼岸花』の制作で大映の女優山本富士子を借りた見返りに、大映で撮影することになった。[2]戦前作品では坂本武が主演だったが、本作ではすでに歌舞伎俳優として完成した芸風と貫禄のある風格を発揮していた中村鴈治郎であり、京や若尾ら女優陣に脇役も杉村春子たちの名優に囲まれて、前作と本作では、自ずと作品の完成度や受ける印象が異なる。
あらすじ
旅回りの駒十郎一座の乗った船が港に着いた。駒十郎は一膳飯屋にお芳を訪ね、その昔二人がもうけた清も今では郵便局に勤めていると知って安心する。清には駒十郎はお芳の兄ということになっていた。駒十郎の連れ合いのすみ子は、清のことを不審に思い加代に清を誘惑してくれるよう頼む。加代と清は恋仲になり、それを知った駒十郎は加代とすみ子を激しく叱りつける。客入りの悪くなった一座は解散することになり、駒十郎と清は加代を巡って対立する。お芳は清に駒十郎が実の父親だと打ち明けるが、清は許さず、駒十郎は気が抜けたように立ち去る。駅に行くとすみ子が待っていて、二人は車中の人となるのだった。
スタッフ
- 監督:小津安二郎
- 脚本:野田高梧、小津安二郎
- 製作:永田雅一
- 撮影:宮川一夫
- 美術:下河原友雄
- 編集:鈴木東陽
- 録音:須田武雄
- 照明:伊藤幸夫
- 色彩技術:田中省三
- 舞踊振付:花柳寿恵幸
- 音楽:斎藤高順
キャスト
- 嵐駒十郎…中村鴈治郎 (2代目)
- すみ子…京マチ子
- 加代…若尾文子
- 本間清…川口浩
- 清の母お芳…杉村春子
- 小川軒のあい子…野添ひとみ
- 吉之助…三井弘次
- 矢太蔵…田中春男
- 仙太郎…潮万太郎
- 座員しげ…浦辺粂子
- 扇升…伊達正
- その孫正夫…島津雅彦
- 杉山…入江洋佑
- 木村…星ひかる
- 古道具屋… 菅原通済
- あい子の母…高橋とよ
- 梅廼家のおかつ…桜むつ子
- 梅廼家の八重…賀原夏子
- 相生座の旦那…笠智衆
作品データ
- 製作 : 大映東京撮影所
- フォーマット : カラー スタンダードサイズ(1.37:1) モノラル
- 初回興行 :
- 同時上映 :