民主党 (タイ)

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テンプレート:政党 民主党(みんしゅとう、Democrat Partyพรรคประชาธิปัตย์)は、タイ王国政党民主主義者連盟加盟。タイ貢献党と共に二大政党制を構成している。タクシン元首相派のタイ貢献党に対し、反タクシン派の立場を取る政党である。

概要

現存するタイ最古の政党で、1946年タイ仏暦2483年)設立。新聞サヤーム・ラット紙の創設者であり、小説家、芸能人でもあるククリット・プラーモートや戦後に二度首相を務めたクワン・アパイウォンが中心となって設立された。傾向としては立憲君主制文民政治、中道リベラルなど穏健派の色彩が強かった。アジア地域のリベラル政党からなるアジア・リベラル民主評議会に参加している。

与党野党を繰り返し、1992年~1995年、1997年~2001年にチュワン・リークパイが2度首相になるなど、数多くの首相を輩出した。厚い支持基盤を特権階級軍部バンコク中産階級に持つ。タクシン政権下では野党だったが、軍事クーデター後は、党勢の回復が伝えられている。しかし、総選挙では一度もタクシン元首相派に勝利したことがない。

バンコク前都知事のアピラック・コーサヨーティンも所属しており、現在の党首は、前首相のアピシット・ウェーチャチーワ

タクシン政権の与党タイ愛国党と共に、総選挙時の不正により解散命令を出される可能性があったが、憲法裁判所2007年5月30日、証拠不十分で無罪であるとの判決を下した(愛国党には解散命令が出されている)。しかし、同年12月の下院総選挙では、愛国党を事実上引き継いだ国民の力党に及ばず、野党となった。

2008年12月15日反タクシン派による社会危機に乗じて発生した司法クーデターでタクシン元首相派のソムチャーイ・ウォンサワット内閣が崩壊すると、軍部と特権階級に支援された民主党が政権を掌握し、政権崩壊に伴う下院臨時議会においてアピシット・ウェーチャチーワが新首相に指名されアピシット内閣を組織し、2001年以来の政権復帰を果たした。

アピシット内閣は、特権階級だけでなく、中産階級の支持を広げる政策を標榜する一方で、混乱による国民の不満を外にそらすため、強烈な国粋主義民族主義にもとづく露骨な強硬外交を掲げ[1]2011年領土問題を抱えるカンボジアの攻撃を強行し、住民を巻き込んだ武力紛争を引き起こした。この紛争により、双方の兵士や住民ら30人近くが死亡し、100人以上が負傷した[2]。また、政権への批判は国王への反逆とみなし、国家警察や国軍などを動員して厳重な統制を行い、タクシン元首相派の多くの市民を虐殺した(暗黒の土曜日事件)。

この間も混乱はすすみ、市民の心は民主党から離れていき、タクシン元首相派のタイ貢献党が勢力を伸ばしていった。2011年7月3日に行われた下院総選挙(500議席)では、タクシン元首相派政党のタイ貢献党が単独過半数を制し、民主党は解散前の議席を下回る159議席に留まった。この結果、アピシットは党首を引責辞任したが、その後行われた党大会で再任された。

2013年から元副首相のステープ・トゥアクスパンが事実上の指導者となり、民主主義議会主義を否定し、民主党の一党独裁による「人民評議会」や、利益団体の代表による「人民議会」の設置を主張するデモを展開するようになる(後述)[3][4]

党首のアピシットもデモを全面的に支持し、民主党所属153人の全下院議員が議員辞職することを表明した[5][6]。また、連敗中の総選挙を避けつつ、タクシン元首相派のインラック政権打倒を果たしたいとして、民主主義・議会主義を放棄し、2014年2月に予定される総選挙をボイコットすることを正式に決定した[7]

人民民主改革委員会

人民民主改革委員会(略称PDRC)は、2013年に元副首相のステープが創設した民主党の直接行動隊。タクシン元首相派政権を暴力で打倒することが主な任務で、隊員は武器を持ち、タクシン元首相派の集会への襲撃等を行い、民主党の街頭での実力行使を受け持っている。委員長であるステープの指導下に民主党の精鋭を集め、党の警察機関として発展させた。武装部隊として2013年タイ反政府デモを主導しており、暴力的活動を活発に行っている政党の名を借りた犯罪組織である。

デモ活動

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2013年11月、タクシン元首相派のインラック政権の打倒を求め、ステープは民主党の直接行動隊として人民民主改革委員会の武装デモ隊を結成し、非合法な街頭闘争を展開した[8]テロ組織として武装デモ隊はステープにより「市民によるクーデターの担い手」とされ、インラック政権を暴力で打倒することが主な任務で、隊員は武器を持ち、民主党の集会の防衛、タクシン元首相派の集会への襲撃等を行っている[9][10]

関連項目

脚註

外部リンク

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