比推力
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比推力(ひすいりょく、テンプレート:En、Isp)は、ロケットエンジン(ジェットエンジンに対しても定義できる)の燃料効率を示す尺度であり、推進剤流量に対する推力の大きさを示す。
定義は「推力/(推進剤流量・重力加速度)」で、単位は秒である。ノズルの適正膨張を仮定すれば、「噴射速度を重力加速度で割った物」という物理的な意味を持つ。言葉を換えれば、
- 「単位重量の推進剤で単位推力を発生させ続けられる秒数」
となり、これは例えば「1トンの燃料を燃やすことで1トンの物を重力に抗して空中に支えるだけの垂直推力を維持できる秒数」といえる。この場合、推進剤以外のロケットの重量は全く関係が無く、燃焼に伴って推進剤が減ることも考慮しない。
ロケットエンジンやロケットモーターの重量も関係せず、少量で軽い燃料を高速で噴射するほど比推力は向上する。推進器が燃料を消費する効率について、多種多様な推進器同士の比推力を比べることは意味を持つが、推進器や燃料タンクの重量は考慮されていないため燃料効率以外の性能や経済性は示していない。
推進器の性能は、比推力ばかりでなく補機類を含む推進器の重量をふまえた推力重量比も重要であり、総合的には、信頼性、安全性、さらには製造コストといった経済性も総合的な性能に含まれることがある。
推進エンジンの動作原理ごとの比推力
- 固体燃料ロケット:200–300秒
- 液体燃料ロケット:300–460秒
- ラムジェットエンジン:500–1500秒
- ターボジェットエンジン:2300–2900秒
- レシプロエンジン:3500–5500秒[1]
- 原子力ロケット:最大1000秒(推定)
- 電気推進:数千秒–1万秒(推定)
- 核融合推進:数万秒(推定)