構造主義文法

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構造主義文法(こうぞうしゅぎぶんぽう)は、伝統文法の枠組みでは捉えられないネイティブ・アメリカン言語研究していくなかで生まれた文法である。「構造主義」と銘打たれるが、ソシュールに端を発するヨーロッパ構造主義とは別のアメリカ構造主義の枠組みに属する。

概説

文字すら存在しない全く未知の言語を記述するには、音の採取から始め、形態の整理、統語の記述、意味の記述という段階を経るのが一般的である。構造主義文法はこの段階を遵守するため、始めに音韻論ありきで、音韻論が一通り整備された段階で形態論、次に統語論とステップアップしていく分析手法を取る。しかし、実際は統語情報が無いと形態論がうまく記述できないなど、ステップは必ずしも一方向的なものではないことが次第に明らかとなった。その結果、ついには形態論の段階から先へはなかなか進展できない事態が生じることとなった。

後に興った生成文法は、構造主義文法のこうした積み上げ式手法の問題点をとりあげ、言語における統語の自律性を論じることで問題の打破を試みた。

現在、構造主義文法は文法研究の主流にはないが、音韻論、形態論においては言語学に一定の功績を残している。

関連項目