木星帝国
テンプレート:Pathnav 木星帝国(ジュピター・エンパイア)は、漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場する木星圏を支配する架空の国家。
概要
宇宙世紀世界では核融合炉を主なエネルギー源としているが、核融合に必要なヘリウム3は主に木星で採集されていた。そのため、木星圏のスペースコロニーに移住した人々によってヘリウムが採集され、「ヘリウム船団」と呼ばれる宇宙貨物船団が地球圏と木星圏を往復することによって地球圏の経済は成立していた。
木星コロニーは地球連邦の一組織である「木星公社」の管理下にあるというのが建前であったが、地球連邦の目が届かず、あらゆる資源に限りのある過酷な環境である木星では、いつしか住みやすい環境である地球への羨望意識と指導者であるクラックス・ドゥガチの命令を絶対のものとする独裁体制が成立。自分たちを辺境の地に追いやった地球圏の人々から地球を取り戻すという目的の下、軍事国家となっていた。
かなり厳しい階級制がとられているらしく、軍人、工作員は手の甲にナンバーが刻印されていて、その階級差、権限は絶対である。一般市民であっても水や空気の割り当てが決まっていて、たとえ瀕死の病人であったとしても割り当てを超えた消費は許されず、他者に譲り渡す事も禁止されている。また軍規を犯した者の銃殺刑を映像で公開したり、捕虜となったトビア・アロナクスの処刑を政治ショーにするなど、恐怖政治によって市民を統制する手法は後のザンスカール帝国を彷彿させる面がある(ちなみにザンスカール帝国宰相で帝国の事実上の支配者だったフォンセ・カガチは木星にいた過去がある)。ただし、帝国に潜入したトビア・アロナクスやキンケドゥ・ナウを匿った人達がいた事や、少数ではあるがレジスタンスが存在していた事からも、表向きは忠誠を誓っていても木星圏の市民すべてがドゥガチを支持している訳では無い。
生活スタイルは無重力状態を基本とするもので、重力の存在する時間は長くない。そのため地球の重力について理解していない人物が多く、地上用として製作されていながら重力に関する欠点がある機体も見受けられる。
木星戦役
武力を伴った戦闘こそ無かったが、木星帝国は地球侵攻の準備を宇宙世紀0120年代には開始しており、コスモ・バビロニア建国戦争の裏でも暗躍していた。0130年代に入ると、帝国の野望を察知した宇宙海賊クロスボーン・バンガードが海賊行為に偽装したレジスタンス活動を開始。木星圏で小規模の紛争が相次いだ。
宇宙世紀0133年、地球親善訪問を謳ったジュピトリス9の地球圏到着を以って、帝国は地球連邦政府へ宣戦布告。デス・ゲイルズによる奇襲等で戦局を優位に進め、地球上の主要拠点を占領下に収める。地球侵攻の総仕上げとして、クラックス・ドゥガチは地球全土への全面核攻撃を実行に移すが、宇宙海賊クロスボーン・バンガードと一部の連邦軍部隊を中心とした抵抗勢力の反撃に遭う。更に、各スペース・コロニー軍の予想よりも遥かに早い軍事介入により計画は失敗(木星帝国側は、地球連邦滅亡までコロニーは動かないと踏んでいた)。総統ドゥガチや重鎮カラスといった中心人物が戦死した事により、戦闘は終結した。その後、地球連邦の査察が木星コロニーに入り、帝国は一旦解体された。
神の雷計画
地球連邦の査察により帝国は壊滅したと思われていたが、新総統となったカリスト兄弟の下で秘密裏に組織を再建。宇宙世紀0136年に「神(ゼウス)の雷計画」を決行する。これはコロニーレーザー「シンヴァツ」で遠く離れた木星から地球を直接砲撃するというもので、ドゥガチ前総統が計画していたものの、自身の寿命がコロニーレーザーの完成に間に合わないと判断して放棄したものである。計画は順調に進行しているかのように思われたが、シンヴァツ発射まで数十分を切ろうとしていた時に、脱走兵であるエウロペ率いる7機の精鋭部隊が「鋼鉄の7人」作戦を決行し地球より襲撃。シンヴァツは破壊され、陣頭指揮をとっていたカリスト兄弟も戦死。更にその間隙をついたレジスタンスにより指揮系統を掌握され、帝国は事実上瓦解した。
その後は、「鋼鉄の7人」作戦の生存者であるミノル・スズキと、彼と結婚したローズマリーが木星の査察官に就任し、残存勢力の監視に当たった。また、ドゥガチが生前に構成していた政治団体は完全に解体されていたが、資産の一部は残され、ドゥガチの娘であるテテニス・ドゥガチが引継ぎ、その手腕により経済面で木星圏を支えている。
代表的な人物
- クラックス・ドゥガチ
- テテニス・ドゥガチ/ベルナデット・ブリエット
- ザビーネ・シャル
- カラス
- ギリ・ガデューカ・アスピス
- ローズマリー・ラズベリー
- バーンズ・ガーンズバック
- 光のカリスト/影のカリスト
- エウロペ