昭和三大馬鹿査定
昭和三大馬鹿査定(しょうわさんだいばかさてい)と通称されるものは、『(日本国家/政府/血税の)莫大な無駄遣い』を表す比喩表現。
概要
実際には、(3つの無駄な使途以外の)別の使途が如何に無意味か、馬鹿げているかを反語的に強調しようとして発言されたものである。具体的には、(民営会社のはずのJRに国費を投入して新幹線路線延長をさせる)整備新幹線計画が、(ここで述べる昭和三大バカ査定と同じように、)馬鹿げていて無意味なのだということを主張するのが目的であった。
1987年12月、政府予算復活折衝のさなかに大蔵省田谷廣明主計官(当時)が述べた言葉である。
田谷主計官は更に言葉を続けて、「もし(民営化したばかりのJRで)整備新幹線計画を認めれば、これらの一つに数えられるだろう。」と締めくくった。
この語は、整備新幹線計画(に予算をつけること)を拒絶する目的で述べた反語である。当時、日本はバブル景気で沸いており、族議員は自らの地元に新幹線を延長すべく、我田引水ならぬ「我田引鉄」に躍起になっていた。
民営会社のはずのJRに新幹線の路線延長をさせるためには、運輸族議員と運輸官僚が策定したさまざまな策があった(ひも付き補助金・使途を特定した特別減税措置)。しかしその原資は税金であり、すでに赤字財政に転じていた日本国の財政をさらに悪化させる。田谷主計官はそのような悪循環を今度こそストップさせようと考えていた。族議員たちが田谷に直接面会したとき、田谷主計官は、鼻息荒く予算を迫る政治家に対して、「これではオンブ(=補助金)にダッコ(=特別減税措置)にオシッコ(=赤字)たれ流しだ」と言い放っている。
運輸族議員と運輸官僚は、予算折衝の時期を通して大蔵省をはじめとする各方面に猛烈な圧力をかけていた。田谷主計官は、整備新幹線がどうしても赤字体質から抜けられず政府の財政を悪化させると考えていたため、計画そのものを潰す目的でこの発言をしたのである。整備新幹線の採算性や意義については整備新幹線の項を参照のこと。
なお、田谷は後に東京税関長に異動(人事ルートとしては栄転)したが、その在任中に泉井事件に絡んだ主計官時代の過剰接待スキャンダルが発覚、事実上失脚させられ退官した[1]。
田谷のこの比喩は秀逸なもので、後々に至るまで「無駄な政府支出」「国家の愚策」を表す比喩表現として使われてきた。
その他
太田誠一自民党行革推進本部長は本州四国連絡橋、東京湾アクアライン、関西国際空港を「20世紀末の三大バカ事業」と酷評した。
脚注
- ↑ 『週刊現代』2008年7月7日号。