旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷
テンプレート:Infobox High Court旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(きゅうユーゴスラビアこくさいせんぱんほうてい、International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia)は、国際連合の安全保障理事会決議827によって1993年5月に設置された国際司法機関。正式名称は、「1991年以後旧ユーゴスラヴィアの領域内で行われた国際人道法に対する重大な違反について責任を有するものの訴追のための国際裁判所」。英語での略称は、ICTY(「アイシーティーワイ」又は「イクティ」と発音)。旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所ともいわれる。
設立の目的
- 1991年以後の旧ユーゴスラビア領域内で行われた、民族浄化や集団レイプなどの深刻な国際人道法違反について責任を有する者を訴追・処罰する。
- 旧ユーゴスラビアにおける和解を促進することにより平和再建に貢献する。
所在地
ハーグ(オランダ)
設置根拠
- 1993年5月25日、安全保障理事会決議[1]
- 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所規程[2]
組織
ICTYではおよそ1200名のスタッフが働いている。ICTYは主に裁判局、検察局、そして書記局で構成されている。
裁判局は、裁判官とその補佐たちが含まれる。この法廷には3つの裁判部と1つの上訴裁判部がある。裁判部の裁判長は、上訴裁判部の裁判長も兼ねている。2005年よりイタリアのファウスト・ポカール(Fausto Pocar)が裁判長を務めている。それ以前の裁判長は、イタリアのアントニオ・カッセーゼ (Antonio Cassese) が1993年から1997年まで、アメリカのガブリエラ・カーク=マクドナルド (Gabrielle Kirk-McDonald) が1997年から1999年まで、フランスのクロード・ジョルダ (Claude Jorda) が1999年から2002年まで、アメリカのテオドール・メロン (Theodor Meron) が2002年から2005年までとなっている。
書記局は、法廷での記録、文書の翻訳、被告人や証人に対する通訳、広報だけでなく、経理や人事など、ICTYの運営を担当している。また、公判中に拘留される被告人に関する事柄や、弁護のための費用のない被告人に対する補助なども担当している。現在の書記長は2001年からオランダのハンス・ホルティウス (Hans Holthuis) が務めている。それ以前は、1995年から2000年までオランダの (Dorothée de Sampayo Garrido-Nijgh) が、1994年2月から同年12月まではオランダのテオ・ファン・ボーヴェン (Theo van Boven) が務めた。
検察局は犯罪捜査や証拠収集、起訴等を担当している。現在の検察局を率いている検察官はベルギーのセルジュ・ブラメーツ (Serge Brammertz) である。それ以前は、ベネズエラのラモン・エスコヴァル・サロム (Ramón Escovar Salom) が1993年から1994年まで、南アフリカのリチャード・ゴールドストーン (Richard Goldstone) が1994年から1996年まで、カナダのルイーズ・アルブールが1996年から1999年まで、スイスのカルラ・デル・ポンテが1999年から2007年までとなっている。カルラ・デル・ポンテは2003年までルワンダ国際戦犯法廷でも検察官を務めていた。
管轄
- 領域的管轄・・・旧ユーゴスラヴィア領域内
- 時間的管轄・・・1991年1月1日以降
- 人的管轄・・・個人(自然人)
- 事項的管轄(対象犯罪)
刑罰
拘禁刑(死刑なし)
最近の動向
- 2005年12月8日、デル・ポンテ主任検事は、150人以上のセルビア人を殺したジェノサイド罪や人道に対する罪で訴追され手配されていた、クロアチアのアンテ・ゴトヴィナ元将軍を12月7日(スペイン現地時間)、カナリア諸島のホテルで逮捕したと発表した。ゴドヴィナは8日にいったんマドリードに移送されたのち、本法廷が所在するハーグに拘引されて公判が開かれた。
- 被告であった元ユーゴスラビア大統領スロボダン・ミロシェヴィッチが、2006年3月11日獄中で死亡した。
- 元スルプスカ共和国の大統領・ラドヴァン・カラジッチが2008年8月にセルビアで逮捕されICTYに移送された。
- 2009年2月26日、ミラン・ミルティノヴィッチ元セルビア共和国大統領に無罪判決と釈放が言い渡された[3]。
- 2011年5月26日、元スルプスカ共和国軍の参謀総長ラトコ・ムラディッチの逮捕がセルビアのボリス・タディッチ大統領により発表された[4]。
- 2011年7月20日、ゴラン・ハジッチ元クライナ・セルビア人共和国大統領が逮捕された、これにより訴追されたすべての人間が逮捕された[5]。
国内裁判所との関係
旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷は国内裁判所に優越する。
関連項目
- ルワンダ国際戦犯法廷(ルワンダ国際刑事裁判所)
- 多谷千香子
脚注
- ↑ 安全保障理事会決議827
- ↑ 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所規程(Statute of the International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia)
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外部リンク
- 旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷 - 公式サイト
- 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所 - 解説サイト(日本語)
- Free Slobodan Milosevic!
- Weblog "Finding Karad?i?"テンプレート:ユーゴスラビア紛争