慣性航法装置
慣性航法装置(かんせいこうほうそうち、テンプレート:Lang-en-short)は、潜水艦、航空機やミサイルなどに搭載される装置で、外部から電波による支援を得ることなく、搭載するセンサ(慣性計測装置、テンプレート:Lang-en-short、Inertial Navigation Unit;INU、Inertial Guidance Unit;IGU、Inertial Reference Unit;IRU等も使用される)のみによって自らの位置や速度を算出する。慣性誘導装置(テンプレート:Lang-en-short)、慣性基準装置(テンプレート:Lang-en-short)などとも呼ばれる。
解説
本装置の原理は、加速度計で検出する加速度を積分することで速度を、速度を積分することで距離を求め、一方、ジャイロで方角を検知し、移動距離と方角のベクトルを細分点ごとに合成してゆくことにより、起点からの移動距離を算出する。起点の静止位置を入力すれば、移動しはじめても自機の位置と速度を常に計算して把握できる。
悪天候や電波妨害の影響を受けないという長所を持つが、長い距離を移動すると誤差が累積されて大きくなるという特徴があるのでGPSや距離測定装置、超短波全方向式無線標識などによる補正を加えて使用することが多い。ドップラー・レーダー航法装置、無指向性無線標識、天測航法などを補助的に使用することもある。
なお、ドップラー・レーダー航法装置だけでも独力で航法を行うことは可能であるが、確実な地面のレーダー感知が前提であり、電磁波の散乱・クラッタによる誤差が存在する(特に海面では顕著)ため、旅客機等では補助的な使用以外ではあまり用いられず、慣性航法装置が主要な装置となる。
慣性航法装置・ドップラー・レーダー航法装置など、外部の施設に依存しないで独力で航法を行うことが可能な装置を総称して自蔵航法装置、自立航法装置などと呼ぶ。