性癖
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テンプレート:出典の明記 性癖(せいへき)とは、人間の心理・行動上に現出する癖や偏り、嗜好、傾向、性格。
性癖の語が持つ意味範囲は非常に広いが、個別・具体的な癖というより、その人のパーソナリティに根ざし、生活スタイルを方向づけるような行動傾向を指して用いられるのが本来の用法である。但し近年では下記の誤用(意味の限定)も広まっているため、本来の意味で使用しても読者がそのように受け取るとは限らず、誤解を招きやすい。それゆえ本来この語が持つ意味を言わんとする場合は別の語で言い換えられる傾向にある。ことばの分化、変容の過程をここに見ることができる。
物を片っ端から収集する収集癖や何事にも完璧を求める完全癖など、方向性や程度によっては世のため人のためになる性癖もあるが、見え透いた嘘を繰り返す虚言癖や自分の裸体や性行為を人に見せたがる露出癖、悪いとわかっていながら盗みを繰り返す窃盗癖や火付けがやめられない放火癖など、病的なものや反社会的なものを指して性癖の語が用いられることは多い。また正義漢、お調子者、皮肉屋、けちん坊などといった人間の類型も、特徴的な性癖によるラベリングの産物である。
誤用について
21世紀初頭ごろから、性癖の語が「性的嗜好」の意で使用される傾向にあるが、これは、「性」を性質の意ではなく性別の意ととらえ「性癖=性的な癖」と誤解した結果に基づいた誤用である。「性癖」は性的なものだけにとどまらず、広い意味範囲を持った語である。