山名祐豊
山名 祐豊（やまな すけとよ）は、戦国時代の武将、戦国大名。但馬守護。
概要
前半生
永正8年（1511年）、山名致豊の次男として生まれる。初名を山名韶熙（つぐひろ、表記は紹熙、継熙とも）といった。叔父で但馬守護（山名氏宗家家督）を務めていた山名誠豊の後継者となり、大永8年（1528年）の誠豊の死去によって山名氏の家督を継いだ。山名持豊（宗全）以来の通字により｢祐豊｣と改名したものこの時と思われる。
天文11年（1542年）に生野で生野銀山が発見されたことにより、祐豊は銀山経営のために先祖が築いた生野城を大規模に改修した。元は単なる山城であったが、山麓に館を設け近世に通じる役所的役割を城に持たせた。
山名氏歴代は臨済宗の信奉者であったが祐豊もこの例にもれず、生野城の山麓に銀山寺を建立した。
この頃の山名氏は但馬守護と因幡守護の両家に分裂していたため、祐豊は山名氏の統一を目指して天文17年（1548年）に因幡守護で一族の山名誠通を討ち取り、新たな領主として弟の豊定を派遣し、因幡の安定を計った。
永禄3年（1560年）に豊定が死去すると、祐豊自らの長男山名棟豊（むねとよ）を因幡守護代（陣代）として派遣。しかし、翌永禄4年（1561年）5月に棟豊も死去した（享年18）ため、甥（豊定の遺児）である豊数を因幡の領主に任命し統治を任せた。また、棟豊の死去に伴い、次男（のちの義親）が代わって祐豊の嫡子となった。また、父から引き継いだ山名氏の本拠地で但馬守護所である此隅山城を拡大し、戦国時代に相応しい大城塞として本国の守りも固めた。
永禄7年（1564年）には反抗的な家臣である武田高信を攻めるが敗退した。永禄12年（1569年）、尼子勝久や山中幸盛ら尼子氏残党軍が出雲に侵攻すると、これを支援して毛利元就とも戦っている。
永禄12年（1569年）、織田信長の家臣・木下秀吉（豊臣秀吉）の侵攻を受ける。このため居城であった此隅山城より出て、より堅固な有子山城を築城し但馬守護所を移し防戦した。しかし羽柴軍の激しい攻撃を受けた祐豊は領国を追われて和泉堺まで下る。
後半生
堺の豪商・今井宗久の仲介もあって、祐豊は織田信長に直接会い、今後は西進する織田軍に加勢することを誓い但馬の領有を認められた。
元亀元年（1570年）には領国の但馬に復帰している。有子山城下に常に住まいする館と城下町をきずき、それが後年の出石の町の発展の基となった。その後も同じく信長と手を結んでいた尼子勝久や山中幸盛らと協力して織田家の敵である毛利家と戦った。同年、丹波の赤井忠家に侵攻され、竹田城・此隅山城を占拠された。
元亀2年（1571年）には織田家の援軍を得て丹波氷上郡に攻め入る。
元亀3年（1572年）には毛利方についた武田高信と、山中幸盛らと共に戦った。
元亀4年（1572年）、嫡男へ室町幕府第15代将軍・足利義昭から偏諱の「義」の字が贈られる（山名義親）。
天正3年（1575年）11月、祐豊およびその三男・氏政（堯煕）の援軍もあり竹田城から丹波氷上郡へと、信長の家臣である明智光秀が侵攻した。しかし黒井城の荻野直正の加勢にきた波多野秀治に敗退し、光秀は自らの領国である近江坂本城に帰還してしまった。
天正7年（1579年）6月、光秀は秀治の本拠地である八上城を落城させた。しかし祐豊の重臣である太田垣輝延が突如として毛利方の吉川元春と和睦をしてしまい、山名家は結果として信長を裏切ってしまうこととなってしまった。これに怒った信長は再度但馬への出兵を羽柴秀吉に命じた。
天正8年（1580年）5月21日、秀吉率いる織田の大軍勢が居城である有子山城を包囲する中で死去した。享年70。法名は銀山寺殿鐡壁韶熈大居士。
三男の山名堯熙は降伏前に隣国へとのがれ助かるが、後に秀吉により取り立てられ秀吉の馬廻衆（親衛隊）となった。次男の義親も信濃へと逃れたといわれ、子孫もいるという。
参考文献
- 渡邊大門『中世後期山名氏の研究』日本史史料研究会(2010)
関連項目
外部リンク
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