小公女
テンプレート:Portal 『小公女』(しょうこうじょ、テンプレート:En)は、アメリカの小説家フランシス・ホジソン・バーネットによる、児童文学作品の一つ。
雑誌「セントニコラス」に連載された。連載終了後、1888年に テンプレート:En(セーラ・クルー、またはミンチン学院で何が起きたか)という題で発表されたが、舞台化の成功と読者からの投書に応じて大幅加筆された再版分(1905年)からは テンプレート:En の題名で発行されている。
1893年、若松賤子による「セイラ・クルーの話」という題名で雑誌『少年園』において連載が行なわれた。日本での紹介はこれが初となるが、この連載は若松の死により中断され、未完のままである。
ストーリー
舞台は19世紀のイギリス。セーラ・クルーは、英領であったインドで資産家の父ラルフ・クルーと共に暮らしていたが、7歳の頃に父の故郷イギリスのロンドンにあるミンチン女子学院に入学する。父の要望もあり、特別寄宿生として寄宿舎で生活し、聡明で心優しいセーラはすぐに友人にも恵まれる。
しかし、11歳の誕生日に父親の訃報と事業破綻の知らせが届き、生活は一転する。ミンチン院長は、それまでの出資金、学費などを回収出来なくなったとし、セーラの持ち物を差し押さえた上で、屋根裏部屋住まいの使用人として働く様に命じる。突如訪れた不幸と、不慣れな貧しい暮らしの中でも“公女様(プリンセス)のつもり”で、気高さと優しさを失わずに日々を過ごすセーラ。
ある日、窓から迷い込んで来た猿を届けに行ったことから、飼い主の富豪こそが父の親友であり、父の事業の成功を告げ、遺産を渡そうと、セーラを捜し求めていたことが判明する。セーラは隣の家に引き取られ、貧しかった時に苦労を共にしたベッキーも一緒に引き取り、幸せに暮らした。
登場人物
- セーラ・クルー(セエラ・クルウ)
- 主人公の少女。物語開始当時は7歳。父はイギリス人で、母はフランス人。国籍は父同様にイギリスとなる。物心がつく前に母を亡くしている。心優しい性格だが、芯の強さも合わせ持つ。英語、フランス語、ヒンディー語を話す。出版社によってサラ、セアラ、サアラと表記されているのも存在する。
- ラルフ・クルー(クルー大尉、ラルフ・クルウ)
- セーラの父。イギリス人。妻の母国の言葉を好んだため、妻を亡くした後もセーラが幼い時からフランス語で話しかけた。事業に失敗し、インドで病死した。死亡時には無一文であると考えられていたが、実は莫大な遺産を遺していた。
- マリア・ミンチン院長(ミンチン女史)
- セーラが入学した寄宿学校の院長。強欲で高慢な性格で、生徒の保護者から学院に支払われる寄付金の額を全ての基準にしている。のちにダイヤモンド鉱山の成功を知って、セーラを学院に戻そうとするが、突っぱねられ逆上した。
- アメリア・ミンチン(アメリア嬢)
- マリア院長の妹。不平不満が多いが、姉を恐れて何も出来ずにいる。しかし、後に姉に対してヒステリーを炸裂させた。
- ベッキー(レベッカ、ベッキイ)
- ミンチン女学院の使用人。14歳の冬からミンチン女学院で働き始める(セーラの入学から2年目)。セーラより5歳年上。セーラからの親切に感激。一緒に働く様になった時には、セーラを何かと支え、後にセーラの希望でクリスフォード家に引き取られる。
- アーメンガード・セントジョン(アアミンガアド・セント・ジョン、アーミィ)
- セーラと同い年の生徒。父は大学教授で、イライザという叔母がいる。成績は下の方。少々太めで髪のリボンを噛むのが癖。セーラを慕い、親友となる。
- ロッティ・レイ
- 学園で一番の甘えん坊で泣き虫。セーラより3歳年下。セーラ同様、物心つく前に母親を亡くしている。セーラを母のように慕い、屋根裏部屋まで会いに来た事もある。
- ラビニア・ハーバート(ラヴィニア・ハアバアト)
- セーラのクラスメイトで、裕福な商人の娘。少々意地悪な面があり、学院の看板生徒の座を奪われたとして、何かとセーラにつっかかる。
- ジェシー(ジェッシイ)
- セーラのクラスメイト。セーラの持ち物などを見て感嘆した。ラビニアとよく行動を共にするが、ラビニアの意地悪を注意した事もある。
- ガートルード
- セーラのクラスメイト。名前のみの登場。
- アンヌ(アン)
- セーラが買い物の途中、街頭で出会った乞食の少女。後にブラウン夫人(後述)に引き取られる。
- ブラウン夫人
- セーラが立ち寄ったパン屋の店主。セーラにパンをおまけしている。後にアンヌを住み込みの店員として雇う。
- トム・カリスフォード(カリスフォド氏)
- セーラの父・ラルフの親友で旧知の仲。ラルフの死後、預かった遺産と自分の財産を継がせる為にセーラを捜していた。
他メディアへの展開
映画
原題はいずれも“The Little Princess”。
- 『小公女』(1917年、アメリカ、メアリー・ピックフォード・カンパニー、サイレント、約60分)監督:マーシャル・ニーラン、出演:メアリー・ピックフォード(セーラ)、ノーマン・ケリー(クルー大尉)、ザス・ピッツ(ベッキー)、キャサリン・グリフィス(ミンチン校長)ほか。
- 『テンプルちゃんの小公女』(1939年、アメリカ、20世紀フォックス、テクニカラー、約90分)監督:ウォルター・ラング、出演:シャーリー・テンプル(セーラ)、イアン・ハンター(クルー大尉)、メアリー・ナッシュ(ミンチン校長)、シーザー・ロメロ、アーサー・トリーチャー、シビル・ジェーソン(ベッキー)、アニタ・ルイーズほか。
- 『小公女』(1986年、イギリス、TV映画、約160分)監督:キャロル・ワイズマン、出演:モーリン・リップマン(ミンチン校長)、アメリア・シャンクリー(セーラ)ほか。
- 『リトル・プリンセス』(1995年、アメリカ、ワーナー・ブラザーズ、テクニカラー、97分)監督:アルフォンソ・クアロン、出演:リーセル・マシューズ(セーラ)、エレナー・ブロン(ミンチン校長)ほか。
アニメ
- まんが世界昔ばなし「小公女」(TBS系放映、ダックスインターナショナル制作、1978年10月11日から同年12月27日に放映)
- 『小公女セーラ』世界名作劇場の大ヒット作品。原作よりいじめが過激で当時の日本の社会問題とリンク。登場人物の設定も異なり、一部原作には登場しない者もいる。また、セーラの性格描写には原作との大きな差異が見られる。 (1985年・日本)
テレビドラマ
- 小公女セイラ(TBS系)。舞台を現在の日本に置き換えており、登場人物も日本人名に置き換えている。原作とは異なり、全寮制の女子高等学校が舞台となっているため、一部では登場人物の設定が異なる。主演は志田未来。2009年10月17日から同年12月19日に放映。
漫画
- 『小公女』 (マンガジュニア名作シリーズ) マンガ:布袋あずき 構成:ミハラテツヤ 出版社:学研マーケティング 2012年1月31日出版。
関連項目
外部リンク
- テンプレート:青空文庫
- A Little Princess 原作テキスト - Project Gutenberg によるパブリック・ドメインのテキスト。英語。
- A Little Princess オーディオブック - Project Gutenberg によるパブリック・ドメインのオーディオブック(朗読音声ファイル)。英語。(2006年10月11日版)
- A Little Princess オーディオブック - Project Gutenberg によるパブリック・ドメインのオーディオブック(朗読音声ファイル)。英語。(2007年12月1日版)
- Sara Crewe, or What Happened at Miss Minchin's 改訂前の原作テキスト - Project Gutenberg によるパブリック・ドメインのテキスト。英語。
- Sara Crewe, or What Happened at Miss Minchin's オーディオブック - Project Gutenberg によるパブリック・ドメインのオーディオブック(朗読音声ファイル)。英語。(2007年12月版)テンプレート:Asbox