坂本一亀
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坂本 一亀(さかもと かずき、1921年12月8日 - 2002年9月28日)は、河出書房の編集者。
来歴・人物
1943年、日本大学法文学部国文学科を繰上卒業し、学徒出陣。佐賀と満洲の通信隊にいたとされる。敗戦3ヵ月後に復員。故郷に帰り、文学書に読み耽りながら小さな同人誌をやっていたところ、元河出書房社員の眼にとまったのがきっかけとなり、1947年1月河出書房に入社。1947年7月、待望の編集部に移り、『ドストエフスキー全集』の訳者米川正夫の担当となる。同月、伊藤整、瀬沼茂樹、平野謙の三人を揃えて文芸評論全集を企画。
以後、野間宏「真空地帯」、椎名麟三「赤い孤独者」、三島由紀夫「仮面の告白」、島尾敏雄「贋学生」、高橋和巳「悲の器」など戦後文学の名作を次々と手がけ、純文学編集者として名を馳せた。
1957年、河出は1度目の倒産を経験したが、坂本は残務整理にあたる再建要員として残された。1962年から1964年まで雑誌『文藝』の編集長。1978年に退社。構想社を設立した。
音楽家坂本龍一は長男。時折インタビュー等で父のことを語っている。孫の坂本美雨も歌手として活動している。
参考文献
- 田邊園子 『伝説の編集者坂本一亀とその時代』 作品社、2003年6月。ISBN 4-87893-567-7