地域主義
テンプレート:出典の明記 地域主義(ちいきしゅぎ)とは、中央による画一的・普遍的なコントロールに対して、各地方の独自性や特徴を重視・尊重する考え方をいう。英語圏ではローカリズム(Localism)と一般に呼称される。
対義語は国家主義・グローバリズム・セントラリズム(中央集権主義)など。
国家内の地域主義
政治の面では、中央から地方への税源移譲や地方議会の権限強化、地域政党の結成・政界進出など、地方自治の強化へと結びつく。文化の面では地域の言語(方言)の保護や伝統文化の保存などが積極的におこなわれる。
国威発揚・対外拡張といった国家主義を支えるナショナリズムに対し、伝統保存・地方自治を尊重する地域主義を支える立場としてはパトリオティズム(愛郷主義)が一般的である(ただし、ナショナリズムという語自体が多義的であり、ナショナリズムがパトリオティズムを包括していった側面もある)。
経済の面では、地域の内発的発展を重視し、グローバルに展開する中央資本・多国籍企業に対して、地域を地盤とする地場資本の調和や保護を要求する。国家的・国際的経済開発計画を受けての地域開発においての地方の利害や独自性を強調する。
日本における地域主義
日本においては、「地域主義」の主張は1970年代に盛り上がりを見せた。「地域主義」を言葉として提唱したのは、玉野井芳郎で 『地域分権の思想』(1977年)において「一定地域の住人が、その地域の風土的個性を背景に、その地域の共同体に対して一体感を持ち、地域の行政的、経済的自立性と文化的独立性とを追求すること」と定義した。政治分野における地方分権につながり、発想としての地域資源の見直し・活用、経済的豊かさに対する生活・文化の豊かさ重視、全国画一から地域の個性発揮などを含んでいる。1970年代前半は、政治・地方自治の世界では「地方の時代」が唱えられた時期であった。ただ、その後、市場化、グローバリゼーションの流れのなか、「ふるさと創生」など一時の揺り戻しはあったが、日本における地域主義は格別の進展をみせなかった。
ただし、2000年代から、既成政党に反発した首長や地方議員らが、相次いで地域政党を擁立し地域分権を有権者に呼びかける「地域政党ブーム」なるものが発生しており、その情勢も変化する可能性が指摘されている。ただし、日本における地域政党には、特に大阪維新の会に特徴的だが、むしろグローバリズムや国家主義を強調し、「地域から日本を変える」というスローガンを唱えて国政政党化を指向するという現象がしばしば認められる。日本における道州制論議については、かつては地域の復権をめぐる地域主義の文脈で取り上げられたこともあったが、その後はむしろ新自由主義・グローバル資本主義に接続する流れが強調され、むしろ本来的な地域主義とは対立する要素が強まっている。大阪府と大阪市が提案する大阪都構想、新潟県と新潟市が提案する新潟州構想などである。