古事類苑
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古事類苑(こじるいえん)は、明治政府により編纂が始められた類書(一種の百科事典)である。明治29-大正3年(1896-1914)に刊行された。古代から慶応3年(1867)までの様々な文献から引用した例証を分野別に編纂しており、日本史研究の基礎資料とされている。
概要
文部大書記官西村茂樹の建議により、1879年(明治12年)文部省により編纂が始められた[1]。事業は東京学士院、皇典講究所、神宮司庁に引き継がれ、1907年(明治40年)に編纂が完成。全1000巻に及んだ。
内容は、天部、歳時部、地部、神祇部、帝王部、官位部、封禄部、政治部、法律部、泉貨部、称量部、外交部、兵事部、武技部、方技部、宗教部、文学部、礼式部、楽舞部、人部、姓名部、産業部、服飾部、飲食部、居処部、器用部、遊戯部、動物部、植物部、金石部の30部門からなる。
それぞれの項目に簡単な説明を付け、六国史以降、慶応期までの文献から参考になる箇所を引用している。
皇典講究所が編纂を引き受けたのは1890年(明治23年)であり、同時期に國學院(現:國學院大學)を開設し、授業を始めた。1895年には神宮司庁に引き継がれるが、皇典講究所のメンバーが引き続き編集委員を担当したという。明治期の国学者による一大事業であった。
出版
編纂中の1896年(明治29年)から順次刊行が始まり、1914年(大正3年)まで刊行された。和装本で、本文355冊(本文350冊、総目録2冊、索引3冊)である。
洋装本は1908-1930年(明治41-昭和5年)に51冊(「総目録・索引」1冊を含む)で刊行された。第2次大戦後、吉川弘文館で、2度復刻されている(全51冊、1967-71年、1995-99年)。
内容
分類 | 部 | 内容 | 分類 | 部 | 内容 |
---|---|---|---|---|---|
天部 | 1-4 | 天体、気候 | 宗教部 | 1-72 | 仏教(宗派、経典、儀礼、寺院)、キリスト教 |
歳時部 | 1-20 | 年中行事 | 文学部 | 1-50 | 文字、和歌、学問、教育 |
地部 | 1-50 | 地理、地形 | 礼式部 | 1-36 | 作法、人生儀礼 |
神祇部 | 1-100 | 神道、神職、祭祀、有名神社 | 楽舞部 | 1-35 | 神楽、雅楽、田楽、能、浄瑠璃、落語 |
帝王部 | 1-27 | 天皇、皇室 | 人部 | 1-35 | 親戚、身体、心情、師弟、友情 |
官位部 | 1-80 | 朝廷の官職、幕府の官職 | 姓名部 | 1-10 | 姓氏、苗字、家紋 |
封禄部 | 1-10 | 封田、俸給 | 産業部 | 1-28 | 農業、漁業、工業、商業 |
政治部 | 1-100 | 政治 | 服飾部 | 1-28 | 直衣、狩衣、帯、冠 |
法律部 | 1-60 | 法律、刑罰 | 飲食部 | 1-16 | 料理、飯、麺、菓子、酒、調味料 |
泉貨部 | 1-7 | 貨幣 | 居処部 | 1-18 | 皇居、家、建築 |
称量部 | 1-3 | 度量衡 | 器用部 | 1-30 | 食器、装飾品、寝具、照明、車 |
外交部 | 1-25 | 外交 | 遊戯部 | 1-17 | 双六、将棋、茶、蹴鞠、花火 |
兵事部 | 1-48 | 軍事、武器 | 動物部 | 1-20 | 獣、鳥、虫、魚、貝 |
武技部 | 1-20 | 武術、武道 | 植物部 | 1-28 | 木、草、菌 |
方技部 | 1-18 | 陰陽道、暦法、医術 | 金石部 | 1-5 | 鉱山、金属、宝石 |
脚注
参考文献
- 『古事類苑索引』を現代仮名遣いに直し、旧版の誤り984箇所を訂正している。
関連項目
外部リンク
- 国文学研究資料館「古事類苑データベース」[2](HTML版) [3] (全文検索版)[4]
- 国際日本文化研究センター「電子化古事類苑プロジェクト」 [5]、「古事類苑全文データベース」[6]
- 国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」